事故防止

ヒヤリハットの事例紹介。トラック運転手にできる対策とは

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トラック運転手は荷主の元で積み荷を積み込み、配達先まで運転し到着後に積み荷を降ろすまでが一通りの仕事となります。

この中で起こりうるミスや事故は多くあります。

今回は実際にトラックによる運行中に起きたヒヤリハットの事例やその対策について解説していきます。

現役のドライバーはもちろん、これから運送業界で働こうとしている方は是非参考にしてみてください。

ヒヤリハットとは

皆さんも社会人として働いてきて「ヒヤリハット」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

ヒヤリハットとは、もう少しで大きな事故を起こしてしまいそうになった経験などのことを言います。

文字通り、ヒヤリとしたりハッとするような行為です。

運送業界はもちろん、車両の運転をしたり機械を操作するような現場でよく使用される言葉です。

多くの企業では、あと少しで事故を起こしそうになった事例であるヒヤリハットを社内で共有し未然に大きな事故を防ぐ取り組みが行われています。

ヒヤリハットを起こすトラック運転手の事例

トラック運転手の業務におけるヒヤリハットの事例はたくさんあります。

ここでは実際に起きたヒヤリハットの事例について紹介していきます。 

ヒヤリハットの事例紹介

起きた場所何の作業中何が起きたのか対策
積込先積込作業中荷台に乗ろうとした際に足が滑って転倒しそうになった足元に注意し、滑らないようにゆっくり上る
積込先積込作業中フォークリフトの爪がパレットよりも長く、奥の貨物に刺さりそうになった必ず積込の際には誘導者をつけてパレットは二度すくいを行う
一般道路配送中荷物の固縛が十分にできておらず、カーブを曲がったタイミングで荷崩れをおこした荷物の形状や空いたすぺーによって最適な固縛を必ず行う
一般道路配送中上に積んでいた荷物が重かったため、下の荷物がつぶれてしまった固く重い荷物を下にして上に軽い荷物を積み込むようにする
一般道路配送中狭い道から原付バイクが飛び出してきて接触しそうになったどんな飛び出しでも止まれるよう飛び出しのリスクがある箇所では減速する
一般道路配送中右折しようとしたところ、対向車が止まってくれたので動き出したら、死角から急に原付が飛び出してきて接触しそうになった慌てず、ゆっくり右折をする
一般道路荷下ろし中バラ貨物をパレットに移し替えていたところ、積み込まれていた荷物がこちらに崩れ落ちてきそうになったあまり高く積込すぎないしっかり固縛する
一般道路配送中運行中に前方を走るトラックの指示器のランプが消えていることに気づかず、急な減速で衝突しそうになった車間距離を十分にとり、交差点等では必要に応じて減速する
一般道路配送中わき道から本線へ合流しようとした際に、車が減速してくれたので、入れてくれるものと思い込み合流したらぶつかりそうになった無理な割り込みはもちろん、思い込み運転をしない
一般道路配送中前方を走るトラックの積み荷が高く、その前にある信号が全く見えていなかった。結果、黄色信になっているのに交差点へ侵入してしまい事故を起こしそうになった信号がしっかり確認できるほどの車間距離を取るようにする
一般道路配送中直進用と右折用の道路がどちらとも狭く、他のトラックとすれ違う際にミラーがぶつかりそうになった道路が狭い場所などでは、無理をせず、周囲を確認しながら運転する
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ヒヤリハット 体験者数ランキング

荷物の積み込み中や走行中のヒヤリハットについて解説してきました。

ここではその中でも特に多く発生しているヒヤリハット事例について解説していきます。

1位「前を走行している車両に接近しすぎて追突しそうになった」

このヒヤリハットは、トラックに限らず乗用車でもよく起こっている事例です。

前の車の前を何かが飛び出したり、急な飛散物などによりブレーキをしたことに気づくのが遅れぶつかりそうになるといったケースです。

また、赤信号で停車中に書類などを確認しており、隣の車が走り出したため、信号が青になったと思い込みアクセルを踏んだところ、前の車はまだ止まったままでぶつかりそうになったといったケースもあります。

このヒヤリハットを経験した人の男女比は男性が約50%で女性が43%ほどとなっています。年代に関しては、20代前半が特に多いようです。

対策としては、しっかり前を確認しながら運転中は集中することと、適度な車間距離を取ることなどがあります。

2位「人や自転車の急な飛び出しで交通事故になりそうになったこと」

交差点などでの急な飛び出しによる事故は全国各地で起きており、最も事故が起きる箇所でもあります。

運転している車両に関係なく、急に死角から自転車や子供が飛び出してきてびっくりした経験は誰もがあるのではないでしょうか。

男女ともに幅広い年代において経験している事例です。

交差点では、優先側が決められており一旦停止などの標識がありますが、たとえ優先側を走行していた場合でも、飛び出してきた場合に備えて減速するようにしましょう。

特に、交通量が少ない狭い道路等では注意が必要です。

3位「前のクルマが急ブレーキをかけて交通事故になりそうになったこと」

1位の状況と似ていますが、前を走行している車はいつどんなタイミングで急ブレーキをかけるかわかりません。

信号のない交差点などはもちろん、普段交通量が少ない道路等では急に人が飛び出してきたり、猫などの動物が横切る場合もあります。

たとえ急いでいる場合でも前の車とは十分に車間距離を取った上で、よそ見などはせずに運転に集中するようにしましょう。

4位「交差点で出会い頭にバイクや車と接触しそうになったこと」

最も事故が多い交差点でのヒヤリハットであり、運転手の約3人に1人が経験している事例です。

年齢では25歳~59際と中間層が最も多く、運転に慣れてきたころに起きやすいと言えます。

原因は、どちらかが道路の標識などを無視したり気づかずに交差点へ侵入したことがほとんどです。

特に交通量が少ない道などでは「どうせ車は来ていない」といった思い込みから急に自転車などが飛び出してくる可能性があります。

最近ではエンジン音が静かな車や電気自動車が普及してきたことで、車の接近に気づかないことが増えてきています。

交差点へ侵入する際は「飛び出してくるかもしれない」と意識しながら減速して運転するようにしましょう。

5位「車線変更の際に他のクルマと接触しそうになったこと」

車線変更中のヒヤリハットも経験している人が多い事例です。

男女比に大きな差はなく、幅広い年代の人が経験しています。

よくある事例としては、侵入しようとしている車線の後方からスピードを出している車が急接近してきてぶつかりそうになったケースです。

また、ミラーの角度などから隣に車がいるのに気づかずに車線変更を使用としてしまうケースもあります。

他にも3車線以上の道路では、右端の車線の車と左端の車線の車が同じタイミングで中央の車線に入ろうとするようなケースもあります。

対策としては、ミラーや目視で侵入する車線の確認を行い、無理な車線変更は行わないようにすることがあります。

ランキングの紹介は以上となります。

トラック運転手のヒヤリハットは、事故が起きる要因の大部分を占めています。

事故が起きれば、運転手自身のドライバー生命に関わるだけでなく、企業側にも当然ダメージがあります。保険によって金銭的なダメージを軽減できても、企業イメージの悪化は避けられないでしょう。

全国的にトラックの事故件数が減少傾向にあるとはいえ、自社のトラック運転手が事故を起こす可能性は常にあります。

もし「うちの会社は安全教育が十分とは言えない」「ヒヤリハットに対する社員の意識を強化したい」などのお悩みを抱えていれば、事故率や保険料の削減に役立つドライバー向けの安全教育システム『ロジポケ』の導入をご検討下さい。

関連記事:トラック事故は多い?事故防止やあおりへの対処を事例とともに紹介

ヒヤリハットを起こしやすいトラック運転手の傾向

ここまでヒヤリハットの事例や対策について解説してきました。

事故の一歩手前であるヒヤリハットは誰もが経験することではあるものの、経験数は人によって違います。

ここではヒヤリハットを起こしてしまいやすいトラック運転手の傾向について解説していきます。

周りに対して攻撃的な傾向

まず一つ目が周りを走行している車や歩行者に、イライラしたりしやすい運転手で攻撃的な行動を取りやすい人です。

イライラしている理由が周りに関係ない場合であっても、運転に出てしまいやすく、法定速度以上に飛ばしたり、急な割り込みなどをすることから上記で説明したようなヒヤリハットを起こしやすいと言えます。

急いだり、荒い運転をしやすいと自覚がある場合には、予定よりも早めに出発してゆとりをもって運転したり、腹を立てないように意識することが大切です。

漫然としたり脇見をしながら運転している

運転中に集中することができず、ぼんやりしたりわき見運転をしてしまうような人のことで前の車を見たりしていなかったり油断しやすいことからヒヤリハットを起こしてしまいやすいと言えます。

一番の対策としては、ちょっとしたミスが大事故に繋がるリスクをしっかりと自覚して集中することがあります。

どうしてもわき見をしてしまったりしやすい人は、運転中は携帯をマナーモードにしたりして周りに気になるものがないようにすることでも防ぎやすくなります。

違反に対する認識が緩い傾向

運転に慣れてきた人に多いのがこの傾向であり、ちょっとした速度超過や標識無視などであれば大丈夫といった考えを持っている人です。

止まるべきところで止まらなかったり、必要以上にスピードを出してしまっていることから、急な対応が出来なかったりして事故に合いやすいと言えます。

交通規則を守らないことで事故を起こしてしまうリスクが高くなることと、ちょっとしたルール違反により人の命を奪う可能性があることを理解して運転することが大切です。

腰が弱いトラック運転手はヒヤリハットを起こしやすい?

もともと腰痛持ちの人や長年トラック運転手をしていて、腰痛持ちになることは珍しくありません。

中には、今後腰痛持ちになったらどうしようと不安に感じる人もいるかもしれません。

腰痛とヒヤリハットの関係について解説していきます。

運転に支障をきたす可能性はある

結論から言うと、腰痛持ちになったことで運転に支障が出ることはあります。

常に支障が出るわけではないのですが、症状が悪化してしまうと同じ姿勢で長時間運転することが辛くなったり、運転中のちょっとした振動により痛みが走って正常に運転ができないこともありえます。

ただし、腰痛持ちになったからトラック運転手の仕事は一切できないというわけではありません。

実際に腰痛持ちでありながらトラック運転手をやっている人は多くいます。

腰痛は対策ができる

腰痛になってもトラック運転手の仕事や通常の運転はできるのですが、ならないに越したことはありません。

運転中にできる具体的な対策としては「正しい姿勢で運転する」ことが大切です。

腰に負担がかからないようにするには、お尻と背中をシートにくっつけるように深く座るようにします。

イメージとしては、骨盤をまっすぐ立たせるように背筋を伸ばして座るようにする感じです。

ペダルとの位置関係に関しては、膝が伸びすぎない位置で勝手が良い箇所で固定します。

どうしても、トラックのシートなどが自分とあわないと感じた場合には、通販などで販売されている専用グッズなどを活用してみるのも方法の一つと言えます。

夏場などは、荷物の積み下ろしなどで汗をかいてしまうのですが、そのまま運転してクーラーなどで体を冷やしすぎてしまうと腰痛の原因となります。

車内を冷やしすぎず、必要に応じて着替えるなどの対策を取りましょう。

ヒヤリハットの対策

ヒヤリハットの事例や起こしやすい人の特徴などについて解説してきましたが、対策をとることで、その数を大きく減らすことは可能です。

具体的にどのような対策が必要なのか解説していきます。

傾向を把握しておく

上記で説明した通り、ヒヤリハットを起こしやすい人の特徴としては3つあります。

・違反に対する認識が緩い

・漫然としたり脇見をしながら運転しがちである

・周りに対して攻撃的な傾向

これらに該当するという場合には、自分の運転にどのような癖があり過去にどんなヒヤリハットを多く起こしているのかを知ることが大切です。

違反に対する認識が緩いのであれば、交通ルールの遵守を意識したり、集中できないのであれば、携帯をしまっておくなど運転に集中できるような環境づくりが大切です。

どうしても荒い運転をしてしまうのであれば、ゆとりを持ちやすくするために、出発時間を早めにするなどの対策が取れます。

普段の運転がどうなのかをまずは考えてみることから始めましょう。

どうしても自分ではわからないといった場合には、経験豊富なドライバーなどに同乗してもらい客観的な意見を聞いてみるのもいいでしょう。

運転技術の向上

ヒヤリハットの原因として、交通違反に対する認識が甘かったり、運転中の癖でわき見運転や集中しないまま運転してしまうなどが上げられます。

これらを直すには、本人の意識改善が一番なのですが、それを長期に渡り維持するのは簡単ではありません。

そこで最近になり注目を集めているのが「AI技術を活かしたドラレコ」です。

その一つである「DRIVE CHART」は走行中の前方映像やドライバーの視点から事故の要因となりえるものを自動で認知することが可能です。

これらの分析結果に関しては、Webでチェックすることはもちろん、全体で共有することが可能です。

この「DRIVE CHART」を導入した結果、これまでの事故発生件数を3分の1まで現象できた実例もあるほどです。

各ドライバーの意識向上に向けた取り組みはもちろん、これらの最新技術を取り入れることでヒヤリハットや事故を減少させることは十分に可能です。

関連記事:【運送業者向け】ドライバーのヒヤリハット対策3選

関連記事:ドライバーの事故削減のために運送会社ができる取り組みとは?

関連記事:フォークリフトのヒヤリハット事例と5つの対策を解説

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