製造業とは、部品を加工したり組み立てたりしながら製品製造を行い、販売する業界です。
一口に製造業といっても食品や医薬品、自動車などあらゆる業種があります。
業種だけでなく、多くの職種があり仕事内容が異なります。
今回は、製造業がどのような業界なのか、仕事の種類や仕事内容を中心に解説していきます。
製造業とは
一言に製造業と言っても、その職種は自動車、金属、化学製品など多様です。また、製造の工程のうち、どの部分に携わるかによっても業務内容は大きく異なります。
そこで、ここでは製造業に分類される7つの職種と3つの工程について解説します。
製造業の職種
製造業における主な職種は以下の7つです。
機械関連(自動車産業など)
機械関連の職種は、機械の設計、製造、組み立てを中心におこないます。この職種では、自動車をはじめとする日常生活に必要な機械や、産業機器、研究装置など、多岐にわたる製品を製造しています。
近年では、産業用ロボットが普及し、業界全体で自動化や効率化が進んでおり、人員が減少傾向にあるのが特徴です。
金属・鉄鋼・リサイクル関連
この分野では、機械や建築に使われる金属や鉄鋼、そしてリサイクル素材を製造しています。
金属や鉄鋼は、自動車や家電、建築資材として幅広く利用されており、日本の産業を支える基盤ともいえる分野です。
さらに、資源の有効活用を目的に、金属部品などのリサイクルにも力が注がれており、環境負荷の軽減に貢献しています。
電気機械器具(家電製品・電子部品など)
電気機械器具製造は、パソコンやスマートフォンなどの電子機器やその部品を手がける分野です。
家電製品や情報通信機器、電子デバイスなど、複数の分野に分かれており、技術の進化が求められます。
近年、半導体不足を受けて、国内生産を強化する動きが見られるなど、需要の変化にも柔軟に対応しています。
化学製品(接着剤など)
化学製品の分野では、日常生活に密着した製品、例えば接着剤や繊維、プラスチック製品を製造しています。
原料の調達から製品化まで一貫しておこなう企業が多く、現代人が使う多くの製品にこの分野の技術が活かされています。
食品関連(缶詰やお菓子など)
食品関連の製造業は、缶詰やお菓子、ジュース、加工食品などを製造しています。
食品の生産だけでなく、新商品の開発やマーケティングも含まれるため、幅広い業務を担当することが求められます。
工場の自動化が進み、AIやIoTなどの技術を活用した生産体制の向上が見られるのも特徴です。
建築・住宅関連(建築資材など)
この分野は、住宅やビルの建築だけでなく、建築に必要な資材を製造する業界です。
窓やサッシ、内装部品、さらには道路や橋梁の建築資材まで多岐にわたる製品が製造されています。
最近ではリフォームやリノベーションの需要が増えており、それに対応する資材の開発・製造も活発になっています。
医薬品(一般用医薬品など)
医薬品業界は、処方薬から一般用の市販薬まで、さまざまな薬品を製造しています。
人々の健康を守るために、医薬品の開発から臨床試験まで高度な専門知識が求められるのが特徴です。
製造業の工程
製造業は、大きく分けて上流工程、中流工程、下流工程の3段階に分かれています。詳細は以下の通りです。
上流工程
上流工程では、製品の基となる素材を生産します。この工程では、紙や木材、樹脂、繊維、ゴム、化学素材など、ものづくりに欠かせない基本素材が製造されます。
なお、上流工程を担う企業には、鉄鋼メーカーやアルミメーカー、繊維メーカーなどが多いです。これらの素材は後の工程で使われるため、製品全体の品質に大きな影響を与えます。
中流工程
中流工程では、上流で作られた素材を使って、製品の部品を製造します。半導体、電子部品、精密機械部品、タイヤなどがこの工程で作られ、主に企業間取引(BtoB)で取引されます。
なお、この工程は製品の機能性や性能を決定するため、製造精度や品質管理が重要です。
下流工程
下流工程は、部品や素材を加工・組み立てして完成品を作る工程です。自動車や家電製品など、最終的に消費者の手に渡る製品がここで完成します。
なお、電子機器メーカーや自動車メーカーなどは、中流工程で作られた部品を使って製品を組み立てますが、一部の業界では中流工程を挟まず、直接素材から製品を完成させることもあります。
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製造業における仕事内容とは
製造業と聞くと、多くの人が工場などでの製造業務をイメージしますが、他にもさまざまな仕事内容があります。
そのため、これまでの異業種での経験が活かせる可能性も十分あります。
ここでは、製造業の主な仕事内容について解説していきます。
営業
自社で製造した商品を販売する営業職は、どの製造業種にも必要不可欠な仕事の1つです。
BtoBと呼ばれる法人営業が多く、素材メーカーの場合は加工・組み立てメーカーに向けて営業を行います。
加工・組立メーカーや自社生産メーカーに関しても、販売店への営業が多く、個人に直接するようなことは少ないと言えるでしょう。
自社製品の営業はもちろん、販売後のアフターサービスやクレーム処置を行います。
また、クレームの内容を踏まえた工場とのやり取りも大切な業務の1つです。
商品企画
商品企画の仕事では、モニターやアンケート調査を通じて市場のニーズを探り、新商品のアイデアを考えます。
商品のアイデアを考えた後は、実際に生産が可能か、原価や資材調達の観点から検討します。
そのため研究開発や資材調達の部署との連携が必要です。
製造が決まった後は、広告も含めてどのように販売していくのかの戦略を練るのも、商品企画の仕事です。
資材調達
資材調達の仕事では、素材や部品の仕入れ先となる企業の選定を行います。
生産計画に基づいた量を納品可能な業者を探すのはもちろん、品質や納期なども踏まえて複数の業者から選定を行います。
予定していた販売数を大きく上回るようなこともあるため、売れ行きや社会情勢などを踏まえた外注先の調整も必要です。
部品や素材の納入が遅れてしまうと、製造全体に影響が出てしまうため、他部署との連携が求められます。
設計
設計では、商品企画によって生まれたアイデアを、CADなどを使って形にしていきます。
言われた通りに設計するのではなく、設計図の段階で機能性や生産のしやすさを考えながら、デザインなどを決めていきます。
既存の製品に関しても、ニーズに応じた改良があり、製造のしやすさも踏まえた再設計が必要です。
商品の形を作り上げる仕事もあれば「電気制御設計」のように、機械や設備を整備する制御システムの設計業務もあります。
この場合も、設計には電気設計CADなどが使用されます。
生産管理
生産管理では、製品のニーズや市場状況を踏まえ、工場の生産能力に応じた生産計画を立てていきます。
在庫を抱えたくないからといって、製造数を少なくしすぎると足りなくなってしまい十分な売り上げを確保できません。
逆に、需要の動向を考えず大量に生産すると、必要な時に増産できず在庫を抱えすぎてしまうリスクがあります。
材料や部品の有無や最新の需要を踏まえた計画を立てる必要があるため、資材調達や企画開発部署との連携も求められます。
品質管理
品質管理では、製品が品質基準を満たしているかの確認作業を行います。
検査項目は製造業種によって異なり、味や匂いのチェックもあれば、強度や機能性のチェックもあります。
自動車製造の場合は、約3万個の部品が使用されており、1つでも不良品があった場合は重大な事故につながる恐れがあります。
完成した製品をチェックするのはもちろん、製造過程で使用される部品や材料の品質チェックも必要です。
設備保全
設備保全では、製品を製造する機械のメンテナンスを行います。
工場内ではさまざまな機械が稼働しており、1つでも故障してしまうと工場全体の生産に影響が出てしまいます。
そのため、定期的に機械の保守点検を行い、必要に応じてメンテナンスするのが設備保全の仕事です。
機械だけでなく、工場で使用する電気の管理なども行うため、電気設備や機械設備に関する知識が求められます。
研究開発
研究開発では、市場のニーズを基に考えられたアイデアの商品化が難しい場合などに、技術や品質の研究を行い、商品化を目指します。
また、長期的な視野で新たなビジネスチャンスを見つけていくための研究開発もあり、大学などの研究機関と連携することもあります。
研究職は、テーマに応じた実験を行いながら、データ収集や分析・検証業務を行うことが主な仕事です。
開発職は、実験で得られたデータを基に、安全の確保やモニタリング、コスト計算などを行います。
製造業における3つの製造業務とは
製造業は、製造する製品によって以下の3種類に分けられます。
・素材
・加工、組立
・自社生産、加工
それぞれでどのような物を作っているのか、解説していきます。
素材
製品を製造するには、材料となる素材を作る必要があります。
素材を作る製造メーカーでは、主に以下のような物が造られています。
・ガラス素材 ・食品素材 ・繊維 ・化学素材 ・金属 ・紙 |
これらの素材を製造し、加工・組立メーカーへ販売します。
加工・組み立て
素材メーカーから材料を仕入れた上で加工や組み立てを行い、製品を作り上げるのが「加工・組み立てメーカー」です。
該当するのは、電気機器・自動車・食品といった品目です。
自動車製造といった、使用する部品が多い製造品は、素材メーカーにも複数の階層が存在します。
完成部品を自動車メーカーに納品する企業はティア1と呼ばれ、ティア1に納品するのがティア2と下に続いていきます。
自社生産・加工
さまざまな企業から素材や部品を仕入れて製造するのではなく、素材の調達から加工までを一貫して行うのが「自社生産・加工メーカー」です
主な業種としては、医療品などが該当します。
素材の生成段階から研究開発を行った上で、加工まで行います。
製造業の技能職・技術職とは
製造業の技能職
製造業の技能職の業務内容や、向いている人の特徴は以下の通りです。
実務を担当
技能職とは、個人のスキルを用いて実際に作業する人のことを言います。
製造工程の中で、機械を使った部品の加工や組み立てがメイン業務です。
食品製造といった工場では、素材の調合や食べ物の盛り付けなどが該当します。
向いている人の特徴
技能職は立ちっぱなしが基本であり、ライン工程に関しては担当する工程を繰り返し素早くこなさなければなりません。
そのため「黙々と仕事に打ち込むのが好きな人・体力に自信がある人」が向いていると言えるでしょう。
一方で、ひたすら同じ作業を繰り返すのが苦手な人には向いていない恐れがあります。
製造業の技術職
製造業の技術職の業務内容や、向いている人の特徴は以下の通りです。
生産体制を整える
製造業における技術職とは、生産体制を整える役割を担う仕事のことです。
工程ごとに、製造工程を適切に設計・管理することで、製造作業がスムーズに進みます。
主な職種としては「研究・開発、設計、設備保全」などがあります。
向いている人の特徴
技術職は職種によって仕事内容が異なるものの、課題の発見や解決がメイン業務であり、他の部署との連携が多い仕事です。
そのため「好奇心旺盛な人・コミュニケーション力が高い人」が向いていると言えます。
また、細かい作業が多いことから、几帳面な性格の人も適性があると言えるでしょう。
製造業の平均年収
厚生労働省が公表した「令和3年度・賃金構造基本統計調査の概況」によると、製造業の平均年収は401万7,600円です。
また、年代別で最も年収が低いのは19歳以下の227万5,200円で、逆に最も高いのは55~59歳の511万8,000円でした。
平均年収はそこまで高くないですが、キャリアを積むことで収入面での待遇は良くなる傾向があります。
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製造業についてのまとめ
製造業とは、さまざまな製品を製造する人々の生活に欠かせない業界です。
製造作業だけでなく、営業や設計、企画開発などさまざまな仕事があり、体力仕事もあればデスクワークもあります。
職種によっては、これまでの経験を活かすことも可能です。
技能職に関しては、未経験者を歓迎している求人も多く、別業界からの転職であっても挑戦しやすい魅力があります。
転職を検討している人は、より具体的に仕事内容を調べた上で、自分に合った職種に応募してみましょう。
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