サービスエンジニアと聞くと、「エンジニアはやめとけ」「仕事が激務」といった、ネガティブな情報も少なくありません。
サービスエンジニアは、機械の保守・メンテナンスを行うだけでなく、顧客と良好な関係を維持するうえで重要な存在です。
各メーカーに欠かせない存在であり、将来的にも需要の落ちない仕事と言えるでしょう。
近年は、未経験者を歓迎する求人が増えてきており、サービスエンジニアへ転職を検討する人も増えてきています。
それなのになぜ、きつい・激務といったネガティブなイメージがあるのでしょうか。
今回は、サービスエンジニアの仕事が本当に激務なのかを中心に、仕事のメリットや将来性について詳しく解説していきます。
【この記事のまとめ】 ・サービスエンジニアは責任が大きくトラブル対応がメインで負担が大きい ・生活リズムが不規則で出張が多いので大変 ・比較的自由に働けて刺激が多いといった魅力もある ・機械いじりが好き、人と話すのが好きという人が向いている |
サービスエンジニアが激務といわれる理由
サービスエンジニアは、自社で扱う機械の保守・メンテナンス作業や、故障した際の対応が主な仕事内容です。
扱う機械にもよるものの、基本的に1人で対応するため、機械に関する知識と高度なメンテナンス技術が求められます。
そんなサービスエンジニアが激務と言われる理由は、主に6つあります。
・プレッシャーが多いから
・トラブル対応が多いから
・生活リズムが崩れやすいから
・日頃から勉強が必要だから
・ついでの依頼が多いから
・移動が多いから
ここでは、上記6つの理由について、実際の仕事内容を踏まえながら解説していきます。
プレッシャーが大きいから
サービスエンジニアの仕事は、プレッシャーのかかる仕事です。
普段の仕事では、機械の保守・メンテナンス作業だけでなく、顧客からの連絡を受けて故障の対応もします。
故障や動作異常の対応は、メーカーの代表として1人でこなすのが一般的で、直接顧客のもとへ向かいます。
故障に関する事前情報はあるものの、具体的な原因の究明や作業内容は現場に到着してみなければ分かりません。
あらゆる症状に1人で対応しなければならず「最短で直さなければならない」というプレッシャーが重くのしかかります。
経験を積み重ねていくごとに慣れてはいくものの、プレッシャーに耐え切れず辞めてしまう人も中にはいます。
トラブル対応が多いから
各機械メーカーには、カスタマーサポートが設けられており、顧客からの問い合わせに対応します。
よくある質問や、電話のみで対応可能なものに関しては、専門スタッフが対応します。
サービスエンジニアにまわってくる仕事は、電話対応や遠隔操作だけでは解決できない複雑な問題ばかりです。
機械の故障やそれまでのやり取りで、顧客が怒っているケースも珍しくなく、メーカーの代表として、現地で叱責されることとなります。
良好な関係を壊さないためには、適切な対応が常に求められるため、ストレスの溜まりやすい仕事と言えるでしょう。
「開発部署や設計部署の尻ぬぐいばかりでやってられない」「ただクレーム対応係をやっているようなもの」といった声も見受けられました。
生活リズムが崩れやすいから
機械の保守・メンテナンスと異なり、機械の故障はいつどのタイミングで起きるか分かりません。
退社しようとしていたタイミングで出張が決まることも珍しくなく、勤務時間がばらばらになりがちです。
顧客のもとでの作業に関しても、時間を指定されることも多く、好きな時間に点検作業を始められるわけではありません。
海外に出張となった場合は、数日がかりでの勤務となり、生活リズムを保つのが難しい仕事でもあります。
「休みの日でも常に連絡用の携帯を持ち歩いている」といった声もありました。
日頃から勉強が必要だから
サービスエンジニアは、自社のあらゆる商品について構造や設定方法を熟知していなければなりません。
顧客からのニーズを受けて、商品は日々改良されているため、新しい機能などがつくたびに勉強しなければなりません。
新商品の場合は、機械の構造や仕様が従来のものと大きく変わることもあり、普段の業務をこなしながら機械について勉強しなければなりません。
必須ではないものの、エンジニアとしてさらにキャリアアップするには、関連資格の取得も重要と言えるでしょう。
ついでの依頼が多いから
機械のメンテナンス・各種設定・故障など、全てに対応しているサービスエンジニアは、ついでに別の作業を頼まれることがあります。
新しく増設したパソコンの、社内ネットワークの設定で向かった際に、ついでに関係のない業務ソフトのインストールもお願いされるといった内容です。
断るか別料金をもらうのが本来の対応となるものの、顧客と良好な関係を維持するために、無料で対応することも珍しくありません。
「いつも依頼内容以外の作業も頼まれるから帰るのが遅くなる」「顧客の愚痴を聞かされるのが面倒」といった声もありました。
移動が多いから
サービスエンジニアは、基本的に顧客の元に向かい作業するため、出張の多い仕事です。
一日のほとんどが運転で終わるといったことも珍しくなく、各地域に支店がない場合は遠方への出張もあります。
医療機器など、海外の施設に設置されている場合は、泊りがけで現地へ向かわなければなりません。
顧客のスケジュールに合わせて、早朝に家を出ることもあり、身体的負担がかかりやすい仕事でもあります。
「外食ばかりで洗濯などが大変」「勤務外でもゆっくり休めない」といった声もありました。
関連記事:サービスエンジニアが「きつい・やめとけ」と言われる理由
激務といわれるサービスエンジニアになるメリット
サービスエンジニアが激務と言われる理由について解説してきましたが、決して辛いことばかりの仕事というわけではありません。
需要が高く、エンジニアならではのメリットもあります。
・感謝の声を直接もらえる
・時間の自由度が高い
・刺激が多くて飽きにくい
上記3つのメリットについて、現役エンジニアの声も踏まえながら解説していきます。
感謝の声を直接もらえる
サービスエンジニアは、会社の代表として現地に直接向かうため、最も顧客と接することが多いと言えます。
迷惑をかけた際には叱責される日もある一方で、無事に解決できた際には感謝の声を直接もらえます。
他の人では解決が難しい状況が多い分、エンジニアとして役立っていることを強く実感できるでしょう。
「責任が大きい分、感謝してもらえた時には本当に良かったと感じる」といった声が多くありました。
時間の自由度が高い
サービスエンジニアは、出張が多くオフィスでの仕事が少ないため、時間の使い方が自由と言えます。
顧客のスケジュールが最優先ではありますが、休憩時間は自分の好きなタイミングで取れます。
依頼内容によっては、会社に出勤せずに顧客のもとへ直行したり、作業が終わり直帰したりする日もあります。
「1人で仕事をこなすことが多いから人間関係を気にしなくてすむ」「出張でいろんなところにいけるのが好き」といった声もありました。
刺激が多くて飽きにくい
サービスエンジニアは、顧客からの連絡を受けて、さまざまな地域へ向かいます。
機械の症状も毎回異なり、プレッシャーが大きい一方で、刺激の多い仕事で飽きにくいことはメリットと言えるでしょう。
多くの人と関わりをもてる仕事であるため、人と話すのが好きという人におすすめです。
「多くの人との出会いがあり、自社製品が役立っているのを直接確認できるのが嬉しい」といった声がありました。
関連記事:サービスエンジニアは楽しい?向いている人の特徴も紹介
激務といわれるサービスエンジニアの将来性
これからサービスエンジニアとして活躍していくうえで、気になるのが将来性です。
結論から述べると、サービスエンジニアの将来性は非常に高いと言えます。
・専門性のあるサービスエンジニアには価値がある
・不規則な勤務に対応できるサービスエンジニアは多くない
・機器や設備は増える一方である
ここでは、サービスエンジニアの将来性が高いと言われる3つの理由について、解説していきます。
専門性のあるサービスエンジニアには価値がある
サービスエンジニアが対応する機械の故障やメンテナンスは、専門性の高い作業が多く、誰でもこなせる仕事ではありません。
高度なメンテナンススキルはもちろん、顧客と良好な関係を維持するためのコミュニケーション能力も欠かせません。
あらゆる異常に対応しているエンジニアは、各メーカーにとって必要不可欠な存在であり、今後も需要が落ちることはないと言えるでしょう。
不規則な勤務に対応できるサービスエンジニアは多くない
高度なスキルだけでなく、激務である仕事をこなせる人材が少ないという意味でも、サービスエンジニア人材は貴重な存在です。
24時間いつでも対応しているからこそ、顧客満足度を下げることなく製品を使い続けてもらえているといっても過言ではありません。
決して楽な仕事ではないものの、柔軟に対応できるサービスエンジニアほど、将来性は高いと言えるでしょう。
機器や設備は増える一方である
複合機・産業用ロボット・ITソフトウェアなど、サービスエンジニアが扱う製品は多岐に渡り、これらの設備や機器がなくなることはありません。
機器や設備は、定期的な保守やトラブル対応が必須であるため、今後も需要の高い状態が続くと言えるでしょう。
常に改良が進められているため、学び続けなければならないものの、最新の知識を身に付けていれば、長く活躍し続けられる仕事です。
また、関連資格を取得することにより、さらに仕事の幅を広げてキャリアアップも目指せます。
関連記事:サービスエンジニアの年収はなぜ高い?年収アップに役立つ資格も
サービスエンジニアを激務と感じにくい人の特徴
サービスエンジニアは、良くも悪くもクセの強い仕事であるため、激務で耐えられない人もいれば、楽しくて充実しているという人もいます。
サービスエンジニアの仕事を楽しめる適性があるのは、以下のような特徴を持つ人です。
・機械いじりが好き
・人と話すのが好き
・問題解決能力に長けている
・いつも冷静に対処できる
なぜこのような人がサービスエンジニアの仕事を激務と感じにくいのか、解説していきます。
機械いじりが好き
サービスエンジニアの仕事をこなすうえで欠かせない適性と言えるのが「機械いじりが好き」ということです。
機械の各種点検や部品交換など、常に機械と向き合い続けなければならない仕事であるからです。
機械の構造に興味があったり、子供のころからラジコンなどを組み立てるのが好きであったりする人は、仕事を苦痛に感じにくいと言えます。
人と話すのが好き
人と話すなど関わりを持つのが好きという人も、サービスエンジニアの仕事が向いていると言えます。
ただ機械を直すのではなく、症状などについて分かりやすく顧客へ説明しなければなりません。
メーカーの代表として、顧客と良好な関係を維持するのもエンジニアの大切な仕事の1つです。
そのため、人と話すのが好きな人は適性があると言えるでしょう。
問題解決能力に長けている
サービスエンジニアは、基本的に1人で顧客の元に向かい、あらゆるトラブルを解決しなければなりません。
設計部署や開発部署に電話で相談できるものの、自分で考え判断しながら作業をこなします。
そのため、周りに指示を仰ぐのではなく、自ら考えて決断することに慣れているような人は、エンジニアとしての適性があると言えるでしょう。
いつも冷静に対処できる
サービスエンジニアが担当するトラブルは、複雑な内容のものが多く、最短で原因を追究したうえで直していかなければなりません。
復旧に時間がかかるほど、損失がでてしまうこともあり、現場は落ち着いて作業できるような雰囲気でもありません。
そのような中でも、顧客の要望を取り入れながら冷静に対処できるような判断力を持つ人は、適性があると言えるでしょう。
この他では、理不尽な依頼があったり顧客から叱責されたりすることもあるため、ストレス耐性がある人も向いています。
サービスエンジニアに転職する際のチェックポイント
前述した通り、サービスエンジニアの仕事は合う人と合わない人の差が大きいと言えます。
転職に失敗しないためには、事前に以下のポイントをチェックしてみましょう。
・業務内容はマッチしているか
・担当エリアはマッチしているか
・十分な研修制度があるか
具体的なチェック方法について解説していきますので、転職を検討している人は参考にしてみてください。
業務内容はマッチしているか
サービスエンジニアの求人は、メーカーによって扱う機器が全く異なります。
業務内容に関しても機械の保守・メンテナンスに特化したものや、機械の設置や現地スタッフの教育など全てに対応している求人もあります。
どのような機械を担当するのか、メインとなる業務は何なのかチェックしてみましょう。
担当エリアはマッチしているか
サービスエンジニアは、顧客の元へ向かうことが多いため、どこまでのエリアを担当するのかも重要なチェックポイントです。
国内に支店があり、出張範囲が狭い求人もあれば国外への出張を担当する求人もあります。
カスタマーサポートの要素が強く、出張のない求人もありますので、詳細についてチェックしておきましょう。
また、出張が多い場合は各種手当が支給されるのか、出張に関するサポート内容も重要です。
十分な研修制度があるか
未経験からサービスエンジニアに転職する場合は、研修制度の充実も重要なチェックポイントです。
研修期間はどれくらいなのか、どのような課程を経てエンジニアとして活躍できるようになるのか、チェックしてみましょう。
資格取得支援制度などを設けている会社であれば、エンジニアとして成長しやすいと言えます。
関連記事:【例文あり】サービスエンジニアの転職理由のまとめ方と面接での伝え方
サービスエンジニアは激務かについてのまとめ
サービスエンジニアは、メーカーの代表としてあらゆる機械の異常に対応しなければならず、大きな責任が伴う仕事です。
出張が多く顧客に合わせた動きになるため、生活リズムが崩れやすく激務と言われがちです。
ただし、辛いだけの仕事というわけではなく、直接顧客から感謝してもらえたり、ある程度自由に動けたりすることがメリットと言えるでしょう。
また、サービスエンジニアはメーカーにとって不可欠な存在で、今後も需要が伸び続ける職種です。転職を考える際には、こうした業務の特性ややりがいを十分に理解しておくことが大切です。
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