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運転日報の保存期間はいつまで?法律上の義務と効率化方法について解説

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運転日報の保存期間はいつまで?法律上の義務と効率化方法について解説

「運転日報の保存はいつまでなんだろう......」と悩んでいる交通・運輸業を営む事業者の方も多いのではないでしょうか。

運転日報の管理をしないといけないのはわかっているけど、業務が忙しくてなかなか完璧に管理するのは大変ですよね。

本記事では、運転日報の保存期間について詳しく解説した上で、運転日報をデジタル化して効率的に管理する方法もお伝えします。保存期間をしっかり把握した状態で、効率化に向けて取り組んでみてください。

この記事のまとめ

・記録の保持期間は少なくとも1年間
・5年間保存していると安心
・管理はデジタル化がおすすめ

運転日報に関する記録の保持期間は少なくとも1年間

運転日報に関する記録の保持期間は少なくとも1年間

運転日報の保存期間は「最低1年間」※1)と設定されています。また「労働関係に関する重要書類は5年間保存※2)しなければならない」と要件が設定されています。

そのため5年間は、日報保存しておくのがよいでしょう。理由は以下のとおりです。

・運転者の適性や安全運行能力を把握するため
・事故や違反の原因究明や再発防止のため
・行政指導や罰則の対象となるため

運転日報の保存期間を適切に守れるように交通・運輸業に関する経営者や運行管理者の方は、注意しておきましょう。

出典:※1)国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」
出典:※2)e-GOV法令検索「労働基準法」

運転日報の作成方法と記載条件について

運転日報の作成方法と記載条件について

運転日報の作成方法と記載条件について、以下の2パターンで解説します。

・一般貨物自動車運送事業許可を受けている事業所
・一般貨物自動車運送事業以外で規定以上の社用車を保有する事業所

一般貨物自動車運送事業の許可を受けている事業所

運送事業の許可を受けている事業所は、運転日報の作成と記載条件に注意する必要があります。運転日報の記載内容は、以下のとおりです。

・運転者の氏名
・車両の登録番号
・目的地に到達した場所と時間
・通過したポイントと走行した全体の道のり
・仕事上で運転者が交代する場所
・休憩や睡眠のした場所・休憩時間
・荷物の積込みや配送の進行状況
・事故や大幅な遅れの詳細
・移動ルートに対する具体的な指示

上記のように、運転日報には運送事業における日々の運転状況や走行距離、休憩時間など、運送管理するための重要なデータが含まれます。

運転日報は運転者の適性や安全運行能力を把握し、事故や違反の原因究明や再発防止を図るための重要な資料です。

したがって、交通・運輸業に関する経営者や運行管理者の方は、日報作成と記載条件に注意しておきましょう。法的要件を満たすだけでなく、安全管理の強化にも努めてみてください。

一般貨物自動車運送事業以外で規定以上の社用車を保有する事業所

規定以上の社用車を保有する事業所は、以下の条件を記載した運転日報を作成・保存する必要があります。

・運転者の氏名
・出発した時刻と日付
・到着した時刻と日付
・走行した全体の道のり
・運転状況を理解するために必要な情報

事故が発生したり、交通違反が起こったりした場合、上記の内容は必要です。抜け漏れがないようにしっかり管理してみてください。

運転日報の作成は法律で義務になっている

運転日報の作成は法律で義務になっている

運転日報の作成は、以下の2つの規則に沿って法律で義務になっています。

・貨物自動車運送事業輸送安全規則
・道路交通法施行規則

それぞれ解説します。

貨物自動車運送事業輸送安全規則

貨物自動車運送事業輸送安全規則※3)は、貨物自動車運送事業者が守るべき重要な規則であり、法的にも義務付けられています。

この規則は国土交通大臣または、地方運輸局長の許可を受けた貨物自動車運送事業者が守るべきもので、交通・運輸業におけるトラック運送業者やバス観光会社などが該当します。

運転日報の作成が明確に義務付けられており、安全運転の管理や事故防止のために重要です。

たとえば、車両総重量7t以上や最大積載量4t以上の事業用トラックは、タコグラフの設置が義務付けられていますが、データを運転日報に転記しなければいけません。

そのため、貨物自動車運送事業を営む交通・運輸業の経営者の方は安全規則に沿って、運転日報の作成を徹底する必要があります。

道路交通法施行規則

道路交通法施行規則にもとづき、交通・運輸業の事業者は運転日報の作成を義務付けられています。該当しない事業者でも以下のような特定の条件がある場合は、運転日報の作成が必要です。

・1つの拠点で5台以上の自動車を保有する事業者
・乗車定員11人以上の自動車を1台以上保有する事業者

上記の条件に当てはまる場合、規定にしたがって運転日報の作成をおこないましょう。

出典:※3)国土交通省「一般貨物自動車運送事業」

安全運転管理者制度とは?

安全運転管理者制度とは?

安全運転管理者制度について、イマイチ理解できていない方も多いのではないでしょうか。専任・罰則について、それぞれ解説します。

安全運転管理者等の選任

特定の基準を満たす事業所は、安全運転管理者を選任する義務があります。さらに、20台を超える自動車を保有する事業者の場合、20台ごとに1人の副安全運転管理者を選任し公安委員会への届出が必要です。

たとえば、20台のトラックを運用している場合、少なくとも1人の安全運転管理者と副安全運転管理者を選任する必要があります。

そのほかにも、運転者の安全運転を指導したり、日報の記録を管理したりする必要もあるでしょう。選任条件としては、以下の表のとおりです。

要件安全運転管理者副安全運転管理者
年齢・20歳以上・20歳以上(30歳以上の場合あり)
実務経験・自動車の運転の管理に関し2年以上の実務経験を有する者等・自動車の運転の管理に関し1年以上の実務経験を有する者等

※参考:警察庁「安全運転管理者の制度概要」

自社の車両保有状況を把握し、制度にもとづく適切な管理者の選任と届出を心がけてみてください。

安全運転管理者制度による罰則

安全運転管理者制度は法律で義務付けられており、制度に違反した場合、罰則が科せられます。管理者を選任しなかったり、公安委員会に届け出なかったりした場合、最大50万円以下の罰金および5万円以下の罰金※4)が科せられます。

もし、選任せずに運行を続け、交通事故を起こした場合、罰金の対象となるだけでなく、事業所の信頼と評判にも大きなダメージを与えてしまうでしょう。

安全運転管理者制度を守り、適切な候補者選びと届出をしてみてください。

出典:※4)警察庁「安全運転管理者等に関するよくある質問」

運転日報はデジタル化が可能

運転日報はデジタル化が可能

運転日報のデジタル化は、法律によって認められており多くのメリットがあります。今まで紙媒体で管理されてきた運転日報は、保管スペースやコストがかかり、データの検索や管理も手間がかかっていたはずです。

しかし、運転日報をデジタル化することで、保管スペースの節約や紙代の削減、データの迅速な検索・閲覧が可能になります。

交通・運輸業を営む事業者の方は、業務の効率化とコスト削減をするためにも、運転日報のデジタル化がおすすめです。とくに業務全体を網羅できる多機能システムの導入は、業務全体の効率化に繋がるでしょう。

関連記事:デジタコの運転日報の見方は?デジタコを有効に活用する方法まで説明

運転日報作成をデジタル化する4つのメリット

運転日報作成をデジタル化する4つのメリット

運転日報作成をデジタル化する5つのメリットは、以下のとおりです。

1.回収・集計をおこなう管理者の作業負荷を軽減できる
2.運転日報を作成する運転者の作業負荷を軽減できる
3.入力・集計のミスが削減できる
4.位置情報が正確に記録・把握できる

なぜ、運転日報作成をデジタル化するのがおすすめなのか、それぞれ紹介します。

回収・集計をおこなう管理者の作業負荷を軽減できる

運転日報をデジタル化することにより、回収や集計をおこなう管理者の業務負担が大幅に軽減されます。

デジタル化によって、日報の手書き入力や紙の保管など、物理的な集計の手間がなくなります。また、デジタル化だと迅速なアクセスと処理が可能になり、時間と労力の節約も可能です。

ただし、運転日報のデジタル化を検討する際には、以下の点に注意しておきましょう。

・運転日報のデジタル化に必要なシステムやソフトウェアを導入する
・デジタル化した運転日報の保存方法を検討する
・デジタル化した運転日報のセキュリティ対策をする

上記の点に注意することで、運転日報のデジタル化を安全かつ効率的におこなえます。

運転日報を作成する運転者の作業負荷を軽減できる

運転日報のデジタル化は、運転者が日報を作成する際の業務負担を軽減できます。

ただでさえ運送業務が忙しい運転者にとって、紙の運転日報を記入する作業はかなりの労力がかかるでしょう。

一方、デジタル化された運転日報であれば、運転者がタブレットやスマートフォンなどの端末で手軽に運転日報を入力できます。紙の運転日報を用意したり、手書きで記入したりする必要がありません。

仮に紙での記入が15分で、タブレットやスマートフォンを利用した場合、5分でできるとすると、毎日10分の時間削減ができます。

25日出勤の計算で、約250分の時間を短縮できます。デジタル化することで、運転者の負担も減り、結果として離職率削減にも繋がるのではないでしょうか。

入力・集計のミスが削減できる

運転日報をデジタル化することにより、入力や集計時のミスを大幅に削減できるでしょう。

紙の運転日報を記入する場合、運転者が手書きで記入する必要があります。そのため、忙しい場合、誤字脱字や数字の打ち間違いなどのミスが生じやすいです。

また、複数人で集計するときも、入力内容の整合性をチェックする手間もかかります。

一方、デジタル化された運転日報であれば、運転者がタブレット端末やスマートフォンなどの端末で入力することで、手書きによるミスを防げます。

また、システム上で集計をおこなうため、整合性のチェックも自動化でき、ムダな人件費をかける必要もありません。

したがって、交通・運輸業を営む事業者の方は、運転日報のデジタル化を取り入れ、データの正確性を向上させて、全体の運行管理をしてみるとよいでしょう。

位置情報が正確に記録・把握できる

運転日報のデジタル化をおこなうことにより、運転者の位置情報が正確に記録され、簡単に把握できます。

また、GPSを利用してリアルタイムで運転者の正確な位置を記録できるため、事故の対処やルート間違えに対しても迅速に対処できます。

関連記事:運転者台帳の保存期間はいつまで?保管期間の管理と効率化する方法

運転日報に関するよくある質問

運転日報に関するよくある質問

運転日報に関するよくある質問を3つ厳選しました。

・車両日報は義務ですか?
・運行指示書の保存期間はいつまでになりますか?
・運転日報作成におすすめのアプリはありますか?

それぞれ解説します。

車両日報は義務ですか?

日本では特定の条件で、車両日報の作成が義務付けられています。

・1つの拠点に5台以上の自動車を保有する事業者※5
・乗車定員11人以上の自動車を1台以上保有する事業者
・運転日報作成におすすめのアプリはありますか?

※5.(50ccを超える自動二輪は0.5台として計算)

運転日報は運転者の安全管理や労働状況の把握、事故の原因究明などで必要になります。規則にしたがわない場合、罰則が科される可能性があるため注意しておきましょう。

運行指示書の保存期間はいつまでになりますか?

運転日報の保存期間は、貨物自動車運送事業輸送安全規則で「最低1年間」と要件が設定されています。

労働基準法では「労働関係に関する重要書類は5年間保存しなければならない」と要件が設定されています。万が一のことを考えると、5年間保存しておくのが安心できるでしょう。

運転日報作成におすすめのアプリはありますか?

運転日報のデジタル化できるアプリは複数あるので、自社と相性がよいものを使用しましょう。弊社でも「ロジポケ」という運転日報をデジタル化できるサービスの提供しています。

対応できる業務は、以下のようになります。

・経営管理
・運送手配
・請求管理
・安全教育
・監査対策
・採用

利用している事業所も2023年11月時点で5,000件を超えており、安心してご利用いただけます。運転日報をデジタル化したいとお考えの事業者の方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

まとめ

運転日報の保存期間には、法律上の明確な義務があります。本記事を通して、運転日報の法的保存期間の理解を深め、効率的なデータ管理方法を検討してはいかがでしょうか。

運転日報の保存期間や管理方法についての、具体的な情報を求めている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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