建設資材を販売する建材業界においては、建設現場まで資材を運搬するための物流費が大きなコストとなっています。そんな物流費を効果的に削減するため、いくつかの方法をご紹介します。
なかなか物流費を建材の価格に上乗せできないと悩んでいる建設資材業界の方必見です。さらに物流費を大きく削減するためのポイントもご紹介していきます。
建設・建材業界で物流費がかかる二大物資
住宅やビル、鋼構造物や港湾などの建設現場では、多くの建設資材を取り扱っています。ここでは土木系建材と建築系建材とに分けて、建設資材の種類や運搬費の特徴について解説していきます。
土木系建材は採掘できる場所の近くが有利
道路工事や建設物の基礎には必ず土木系建材を用い、主に次のような建設資材の種類があります。
- 砂や砂利
- コンクリート
- 石材
このような土木系建材は比較的日本のどこでも採掘できるため、販売価格の半分は物流費が占めるとも言われています。
採掘できる場所に近ければ近いほど物流費が抑えられるのも、このような土木系建材の特徴になります。
また比較的狭い範囲での流通となるため、その地域ごとの慣習が異なり、小さなネットワーク内での商売に関するルールなどが独自に決められていることもあります。
そのため大規模な建設資材物流ネットワークが構築されていないのも、この土木建材の物流費を思うように削減できない原因の一つとなっています。
建築系建材は現場の数や種類が多い
一方の建築系建材は多岐に渡る種類が特徴です。
- 木材系建材
- 外壁材
- 内装材
- ガラス建具
- 瓦やタイル、レンガ
- 住宅設備機器
- 冷暖房空調設備機器
- 給排水設備機器
- エクステリア建材
住宅などの建設にかかわる建材だけでも上記の通りです。このように建築系建材は取り扱う材料の種類が多く、建設現場も各所に散らばっています。
他にも下請けの工務店から大手ゼネコンまでの多層構造により、多くの段階を経て輸送されるため、どうしても建設資材の物流費が多くなってしまうという特徴があります。
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削減が必要な物流費の種類
そして物流費には大きく分けて社内運搬費と支払い運搬費があります。それぞれの内容をよく頭に入れることが、物流費を削減するために重要です。
社内運搬費は人件費や保管費など
社内運搬費とは自社内で発生する物流費の総称です。主に下のような内訳になります。
- 社内保管費・・・人件費・保管費など
- 社内輸送費・・・人件費・車両費・輸送費など
- 社内梱包費・・・人件費・資材費・梱包費など
- その他社内物流費・・・流通加工費・物流管理費など
これら社内物流費の特徴は、会計上では他の費目に混入してしまうため物流費に計上されないということが挙げられます。それにより物流費の把握がきちんとできなくなってしまうため削減するためには注意が必要です。
支払い運搬費は倉庫賃料や輸送費など
支払い運搬費とは、社外に支払う賃料や輸送費のことを指します。
- 倉庫賃料
- 物流システム導入費
- 社外輸送費
毎月の資材の保管に必要な倉庫の賃料や社外輸送費など、社外に支払う輸送費は扱う建設現場が多いほど比例します。
また突発的な建設資材の輸送には、チャーター便などを利用するため通常よりも物流費が高くなる傾向にあります。
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建設・建材業界で物流費を削減するポイント
それでは建設資材業界における物流費を削減するために必要な事柄を解説していきます。こちらは建設資材に関する輸送業者だけでなく、物流費の削減でお悩みのすべての業種に当てはまります。
営業利益が上がらない会社では物流費削減のキーとなるため、ぜひ参考にしてみて下さいね!
物流費の単価を抑える
まず初めに建設資材における物流費の単価を見直してみましょう。一口に単価といっても、保管にかかる坪単価や梱包用資材の費用、作業単価などが考えられます。
建設資材の物流費にかかわる単価を精査し直すことで、この価格は適正か?もっと削減できないか?などが明らかになってきます。一つ一つの削減金額は少額であっても、年単位や会社全体で見れば大きなコスト削減につながるのではないでしょうか。
ここで大切になるのは確かな工程分析と時間計測です。やみくもに単価を下げてしまえば作業の質も落としてしまう原因に。
現場の社員としっかり話し合いながら、自社にとって適正な物流費にしていくことがポイントです。
物流部門を外注する
思い切って建設資材の物流部門を外注にするのも物流費削減のためには重要なカギとなります。
自社で抱えていた人件費や建設資材の物流拠点にかかるコストを、外注することで効率化することが可能になります。それにより下記のようなコスト削減につながります。
- 拠点にかかる賃料
- 管理するためのコスト
- その他拠点運営のための経費
拠点を縮小すれば輸送距離が増えることで配送コストは上がりますが、会社全体として考えれば有効なコスト削減案になるでしょう。
物流効率を改善する
建築資材輸送に関して、コスト削減につながる最後のポイントは物流効率を改善するということです。
- 輸送について・・・実車率や回転率、積載率を高める
- 保管について・・・保管効率をよりアップさせるための積み方や保管方法の改善
- 倉庫作業について・・・倉庫内レイアウトやピッキング方法の変更、物流システムの再構築
上記の内容により建設資材の輸送面や建材の保管面などで物流効率の改善が図れます。ただしこちらは物流部門の外注のように短期間で成果の出る施策ではありません。
しかしながら長い時間をかけて継続的にコスト削減に取り組むための下地作りとしてだけでなく、社員教育のためにもしっかりと取り組みましょう。
関連記事:小売業での物流費削減の最適なやり方とは?見直すべきポイント4選
建設資材業界の物流費を削減するために必要なこと
最後に建設資材の物流を担う会社にとって、高騰する建設資材の物流費を削減するための考え方を解説していきます。
基本的なことでありながら実践するにはなかなか難しいかもしれませんが、これを実践することで建設資材業界における物流費を抑えることができるはずです。
現状の物流費についてきちんと把握
まずは自社の物流費として毎月どのくらいの金額が掛かっているかをしっかりと把握することです。これまでご紹介してきましたが、建設資材の物流費には社内運搬費と支払運搬費の二つがあります。
特に社内運搬費は会計においては別の勘定科目になるため物流費として計上されません。しかし社内運搬費も含めた物流費を明らかにすることで、自社の建設資材物流費の削減ポイントも浮き彫りになるかもしれないのです。
場合によっては外注の方が物流コストを削減できることも出てくるでしょう。物流費をきちんと精査することは物流コスト削減の第一歩と考えて、きちんと物流費を明らかにすることが重要です。
慣習にとらわれない柔軟な発想
また昔からの地域の慣習や自社の流れにとらわれず、絶えず新しい発想を実行するのも建設資材の物流コスト削減のためには大切です。とかく地場の建設資材会社は古くからの慣習が多いもの。
「今までこうやってきたから」や「他の部門にしわ寄せが来るのではないか」では、効果的な物流コスト削減は望めません。またこの建設資材業界は物流のIT化が遅れている分野でもあります。
特に家業から始まった建材会社の多い建設資材業界では、メーカーなどが独自の発注システムを使用している以外は業界としての共通システムが構築されていません。
しかし最近ではなかなか手が付けられなかった建設資材の物流費も、営業利益をアップさせる手法として、削減に取り組んでいる会社も増えてきました。
このように最新のITシステムを取り入れながら、恒常的な物流コスト削減のために上で挙げた削減方法を取り入れましょう。
関連記事:物流コストを削減する方法とは?基礎知識と事例を紹介!
建設・建材業界での物流費削減についてのまとめ
いかがだったでしょうか?今回は建設資材業界における物流費の削減についていくつかのポイントを紹介してきました。
建設資材物流費の削減はなかなか一朝一夕にはいきません。しかし大規模な建設資材業界全体のIT化は難しくとも、自社の物流費についてしっかり考え、単価を下げる努力や物流効率アップのための工夫は今からでもできます。
営業利益アップのためにも、建設資材の物流費削減を目指していきましょう。
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