不動産業界への転職を検討中の方の中には、「20代でどれくらい稼げるのか」、年収事情が気になる方も多いでしょう。
厚生労働省の『令和4年賃金構造基本統計調査の概況』によると、不動産業界の20代の平均年収は約365万円です。一方で、dodaが行った令和4年9月~令和5年8月の1年間のデータによると、業界問わず20代の平均年収は、352万円でした。
不動産業界の平均年収は、一般的に、他業種より高い傾向にあると言われています。
この記事では、20代の不動産業界での平均年収や年収を上げるためのヒントを解説します。他業種との比較も含め、20代のキャリア構築に役立つ就職者向けアドバイスもまとめました。
不動産業界への就職を検討していたり、業界内でキャリア形成を考えたりしている方はぜひ最後まで読んでください。
不動産業界の20代の平均年収
不動産業界の平均年収は、他業種より高い傾向にあると言われています。不動産業界の平均年収に関する状況について、次の4つの視点から解説します。
- 求人サイトごとの不動産年収
- 不動産20代の正社員平均年収は約365万円
- 不動産営業社員の平均年収は約457万円
- 他業界の営業職と比較した場合、高い?低い?
求人サイトごとの不動産年収
各求人サイトで公開されている不動産業界の平均年収は、次の通りです。
サイト名 | 職種 | 年収 |
doda | 建設/プラント/不動産 | 432万円 |
マイナビ | 不動産業界 | 457万円 |
求人ボックス | 不動産営業/不動産事務/不動産仲介 | 396万円~427万円 |
不動産業界の中でも、職種などによって年収の差が出るようです。
参考:業種別に見る日本の平均年収(平均年収ランキング最新版)|doda
参考:不動産金融業界の年収傾向は?転職のコツを押さえて年収アップを目指そう|マイナビAGENT
参考:不動産営業の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|株式会社カカクコム
参考:不動産事務の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|株式会社カカクコム
参考:不動産仲介の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|株式会社カカクコム
不動産20代の正社員平均年収は約365万円
厚生労働省の『令和4年賃金構造基本統計調査の概況』によると、不動産業界で働く20代の平均年収は約365万円です。また、20代の中でも20歳~24歳は約315万円、25歳~29歳は約395万円でした。
一方、dodaが行った令和4年9月~令和5年8月の1年間のデータによると、業界問わず20代全体の平均年収は352万円です。
不動産業界では、若いうちから比較的高収入を得られることが見て取れます。
参考:令和4年賃金構造基本統計調査の概況|厚生労働省
参考:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類|政府統計の総合窓口
参考:年齢・年代別に見る日本の平均年収(平均年収ランキング最新版)|doda
不動産営業社員の平均年収は約457万円
令和5年9月に公開された『令和4年分民間給与実態統計調査結果』によると、不動産業界の平均年収は約457万円です。一方、dodaが行った令和4年9月~令和5年8月の1年間のデータによると、全体の平均年収は414万円でした。
さらに、不動産営業職の年収は、勤務先や経験、スキルなどによっても大きく異なるようです。いずれにしても、高収入を目指すためには、実績を積み重ね、高いスキルを身につけることが重要と言えます。
参考:産業別にみた賃金|厚生労働省
参考:令和4年分民間給与実態統計調査結果について|国税庁
参考:年齢・年代別に見る日本の平均年収(平均年収ランキング最新版)|doda
他業界の営業職と比較した場合、高い?低い?
不動産の平均年収は、他業種の営業職と比較して高いと言われています。国税庁の『令和4年分民間給与実態統計調査結果』によると、卸売業・小売業の平均年収は384万円、医療・福祉の平均年収は409万円です。
したがって、先ほど紹介した通り、不動産業界の平均年収は約457万円のため、他業界の営業職より高いと言えます。
不動産業界で20代から高年収を得やすい業種ランキング
同じ不動産業界でも、事業によって平均年収は異なります。不動産業界内で、特に平均年収の高い職種ランキング上位4つは次の通りです。
- 1位:不動産投資・売買営業
- 2位:マンションデベロッパー・土地活用
- 3位:売買仲介営業
- 4位:賃貸仲介営業
それぞれの業務内容や平均年収などについて解説します。
1位:不動産投資・売買営業
不動産投資・売買営業は、戸建て住宅やマンション、さらにはオフィスなどの不動産の売買、投資物件を提案する仕事です。不動産の価値や市場動向を分析し、お客さまのニーズに合わせた最適なプランを作成しなければなりません。
不動産投資・売買営業では、大規模な不動産プロジェクトや高額な物件の取引をするので、成功報酬が発生します。年収が高い理由は、成功報酬に応じた歩合給が給料の多くを占めているためです。
年収1,000万円も可能な魅力的な職種ですが、高い目標達成率が求められるので、努力と実力が必須です。
参考:不動産投資の営業|大東建託株式会社の転職・求人情報|エン転職
2位:マンションデベロッパー・土地活用
マンションデベロッパー・土地活用は、マンションやアパートなどの建築プロジェクトを企画・開発する仕事です。土地の取得や設計・施工・販売などの一連の業務を担当します。
不動産開発は、大規模なプロジェクトのため、リスクを伴います。しかし、成功すれば大きな利益を得られるのも事実です。
土地の適切な活用やプロジェクトの立案から実行まで高度なスキルと経験が求められるため、高収入も夢ではありません。
デベロッパーの平均年収は、求人ボックスによると2024年1月9日更新時点で、539万円です。企業によっては、平均年収1,000万円を超えるケースもあります。
参考:デベロッパーの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|株式会社カカクコム
3位:売買仲介営業
売買仲介営業は、不動産の売主と買主をつなぐ仕事です。具体的には、売買仲介営業では、不動産の査定や広告、契約書の作成、取引のサポートなどの業務を担います。
不動産の仲介営業には、売買以外に賃貸もあります。不動産の売買は、賃貸以上に取扱金額が大きいので、仲介手数料も高いです。売買仲介営業の平均年収が高くなる理由は、仲介手数料のうち定められた割合が歩合給に組み込まれるためです。
売買仲介営業の平均年収は、600万~700万円に達する企業も多くあります。中には1,000万円近くにも上るケースもあるようです。
4位:賃貸仲介営業
賃貸仲介営業は、住居用の賃貸物件を探している人に、希望に合う物件を紹介し、賃貸借契約の締結をサポートする仕事です。物件の紹介や内見、契約書の作成などの業務を担います。
仲介手数料は賃料の0.5か月分と定められていますが、最大1か月分まで受取可能です。
賃貸仲介営業では、仲介手数料の一部が歩合給に反映されるので、従事する人の年収が高くなります。平均年収は求人ボックスによると2024年1月9日更新時点で、427万円です。
参考:不動産仲介の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|株式会社カカクコム
不動産業界の20代の年収は給与形態で異なる
不動産営業職の給与は、会社によって大きく異なると言われています。理由は主に4つです。
- 不動産営業の仕事で年収が決まる仕組み
- インセンティブ(歩合)がある会社のケース
- インセンティブが無い会社のケース
- フルコミッション(完全歩合)の会社もある
それぞれについて解説します。
不動産営業の仕事で年収が決まる仕組み
不動産営業の年収は、固定給・歩合給・その他の賞与で構成されるケースが一般的です。したがって、固定給・歩合給・その他の賞与がそれぞれ年収に占める割合などによって、年収が異なります。
他にも、不動産営業では、業種・勤務先・経験年数などの要素も年収に影響を与えます。
インセンティブ(歩合)がある会社のケース
インセンティブ(歩合)制は、基本給に加えて、成約に応じた変動給が支払われる仕組みです。不動産業界の営業職は、給与形態にインセンティブ(歩合)が組み込まれているケースが多くあります。
インセンティブは、一般的に成約によって発生する手数料をベースに計算されます。割合は会社によって異なりますが、3%~30%程度が一般的です。
また、成約数や顧客紹介数など、他の条件によってインセンティブが加算される場合もあるようです。
インセンティブがあると、成果に応じて給与が変動するので、高い収入を得られる可能性があります。一方で、デメリットは、成果が出なければ、給与が低くなる可能性があることです。
インセンティブが無い会社のケース
インセンティブが無い会社の給与形態は、固定給のみで構成されます。
給料の全額が固定給の場合、成果に関係なく、毎月安定した収入を得られます。一方で、取引金額や取引件数が多くても、直近の給料に反映されることはありません。したがって、
成果が評価されにくいので、キャリアアップが難しい場合があるようです。
フルコミッション(完全歩合)の会社もある
フルコミッション(完全歩合)は、固定給がなく、成約に応じてのみ給与が支払われる仕組みです。
成果に応じて給与が大きく変動するので、非常に高い収入を得られる可能性があります。成果が明確に数字で表れるため、モチベーション高く業務を遂行できるでしょう。
一方で、成果が出なければ、収入は得られません。収入が途絶えると、生活費のやりくりに苦労するでしょう。
不動産業界の20代の年収は業種で異なる
不動産業界では、取扱う案件の領域によって特徴や年収が異なります。次の4つの領域について解説します。
- 賃貸営業の特徴と年収
- 住宅営業の特徴と年収
- 土地仕入営業の特徴と年収
- 投資用不動産営業の特徴と年収
賃貸営業の特徴と年収
賃貸営業は、お客さまの希望条件に合った物件を見つけ、内覧から契約までをサポートする仕事です。
主な仕事内容は次の通りです。
- お客さまのニーズを把握するためのヒアリング
- 希望条件に合致する物件の提案
- 物件の案内
- 契約手続きのサポート
- 入居後のフォローアップ
賃貸営業の年収は、勤務先や経験によって異なりますが、一般的には200万円~500万円程度と言われています。平均年収は求人ボックスによると2024年1月9日更新時点で、427万円です。
参考:不動産仲介の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|株式会社カカクコム
住宅営業の特徴と年収
住宅営業は、お客さまのライフスタイルや希望を踏まえて、住宅を販売する仕事です。住宅営業では、高額な商品を扱う性質上、成約までの道のりは長く、プレッシャーも大きいと言われています。
住宅営業の主な仕事内容は、次の通りです。
- 住宅購入に興味のある人を集客する
- お客さまと商談~契約手続き
- 施工~引き渡し後のアフターフォロー
さらに、住宅営業は取扱う案件の領域によっても異なります。
- 注文住宅営業
- 建売住宅営業
注文住宅は、お客さまの要望を聞きながら、ゼロから理想の住宅を提案する仕事です。一方の、建売住宅営業では、すでに完成もしくは建設中の住宅を販売します。また、中には、新築住宅だけでなく、中古住宅なども販売する不動産営業の仕事もあります。
住宅営業の平均年収は、求人ボックスによると2024年1月9日更新時点で、408万円です。
参考:住宅営業の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|株式会社カカクコム
土地仕入営業の特徴と年収
土地仕入れ営業は、不動産会社がマンションや戸建て住宅などを建設・販売するために必要な土地を購入する仕事です。別名、用地仕入れ営業や土地取得営業とも呼ばれています。
不動産開発の根幹となる重要な役割を担う職種のひとつと言われています。
土地仕入れ営業の主な業務内容は、次の通りです。
- 土地の所有者への営業活動
- 土地の査定
- 土地購入の交渉
- 土地の権利関係調査
- 土地の測量
- 土地の登記手続き
土地仕入れ営業の平均年収は、求人ボックスによると2024年1月9日更新時点で、518万円です。
参考:用地仕入れの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|株式会社カカクコム
投資用不動産営業の特徴と年収
投資用不動産営業は、投資目的で購入する不動産を販売業務を担当します。
投資用不動産営業の主な業務内容は、次の通りです。
- 見込み顧客探し
- 物件の提案
- 契約手続き
- アフターフォロー
投資用不動産営業の仕事は、インセンティブの割合が多いと言われています。人によっては、年収1,000万円を超えるケースもあるようです。
投資用不動産営業の仕事は高い収入を得られる可能性がある一方で、ノルマや顧客との信頼関係構築などの難しさもあります。見込み客を探すために、必死にアンケートを収集したり、セミナーを開いたりする地道な努力が必要です。
自分の目標や能力をよく理解した上で、この仕事への挑戦を検討しましょう。
不動産業界で20代が年収アップを狙う方法
不動戦業界で年収アップを狙う方法は、主に5つです。
- 大手不動産に就職する
- 投資や売買営業の職種を選ぶ
- インセンティブに比重を置いている企業を選ぶ
- 資格取得に励む
- 営業スキルを磨く
それぞれについて解説します。
大手不動産に就職する
大手不動産は、ブランド力やネットワークが強く、仕事の規模も大きくなる傾向にあるので、給与水準も高くなると言われています。実際に、不動産業界を代表する大手企業では、年収1,000万円以上も少なくないようです。
また、大手不動産は、多岐にわたるプロジェクトや不動産取引に関与しているため、経験を積みやすく、キャリアの成長が期待できるでしょう。大手不動産での経験は、将来的な転職先でも有利になるケースもあるようです。
投資や売買営業の職種を選ぶ
不動産業界で、投資や売買営業の職種は一般的に高い報酬が期待できます。特に、高額な不動産取引や成功報酬が発生する取引に携わることで、給与が大幅にアップします。
また、自分の判断力や交渉力を活かせるやりがいのある仕事です。しかし、リスクも高く、不動産の需要や景気に左右されやすい点には注意が必要です。
インセンティブに比重を置いている企業を選ぶ
インセンティブに比重を置いている企業は、成果に応じて報酬が変動するので、自分の努力や能力が直接反映されます。
一方で、インセンティブに比重を置いている企業では、固定給が低く設定されている場合が多く、収入が不安定になる可能性もあります。また、自己管理や自己責任が求められるため、ストレスや孤独感を感じるかもしれません。
資格取得に励む
宅地建物取引士や不動産鑑定士などの資格取得は、専門性を高め、年収アップにつながると言われています。企業によっては、資格手当を支給しているケースもあるようです。
また、資格取得は、転職や昇進にも有利になるでしょう。
営業スキルを磨く
不動産業界は、一般的に成果主義です。したがって、営業成績が年収に大きく影響します。営業スキルを磨くことで、成約率が高くなり、年収アップにつながるでしょう。
不動産業界の20代の平均年収に関してよくある質問
不動産業界への就職を検討するにあたって、年収面を中心に気になることもあるでしょう。よくある質問は次の3つです。
- Q1.20代でも1,000万円稼げますか?
- Q2.不動産業界の年収が高い理由は何ですか?
- Q3.不動産業界で年収が低い人にはどのような特徴がありますか?
それぞれについて解説します。
Q1.20代でも1,000万円稼げますか?
不動産業界では、20代でも1,000万円稼ぐことは、可能と言われています。
若いうちから1,000万円稼ぐためには、大手不動産、投資や売買営業、インセンティブに比重を置いた企業への就職がおすすめです。
Q2.不動産業界の年収が高い理由は何ですか?
不動産業界の年収が高い理由は、1件あたりの取引金額が大きかったり、成果主義の傾向があったりするためです。
不動産は他と比較して高額な商材のため、成約すれば大きな手数料を得られます。また、業界全体的に、成果主義です。したがって、インセンティブ制を採用している企業が多くあります。
他には、不動産関係の資格取得も年収を高くするひとつの手段です。
Q3.不動産業界で年収が低い人にはどのような特徴がありますか?
不動産業界で年収が低い人には、営業成績が低かったり、経験・スキル不足であったりする特徴があります。
営業に自信があれば、不動産業界に挑戦するのはおすすめです。
不動産業界の20代の平均年収についてのまとめ
今回は、20代の不動産業界での平均年収や年収を上げるためのヒントやキャリア構築に役立つ就職者向けアドバイスなどについて解説しました。
不動産業界の平均年収は約457万円です。不動産業界は他業界と比較して、平均年収が高い傾向にあります。一方、dodaが行った令和4年9月~令和5年8月の1年間のデータによると、全体の平均年収は414万円です。
不動産業界の中でも、不動産投資・売買営業やマンションデベロッパー・土地活用などの仕事は平均年収が高いと言われています。
平均年収の高い職種を選択する以外にも、大手不動産への就職やインセンティブに比重を置いた企業への就職も年収アップの手段です。
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