トラック運転手はやめとけと言われる理由｜離職率や注意点も

トラック運転手の仕事は、自由な道路を走り、自分だけの自由な時間を楽しめる職務を楽しめると思われています。

しかし、実際のところトラック運転手は、外部から見えにくい多くの課題や困難を抱えているものです。

本記事では、「トラック運転手はやめとけ」と言われる理由、トラック運転手のリアルな声などについて解説します。

トラック運転手はやめとけと言われる理由

まずは、トラック運転手はやめとけと言われる理由を8つ紹介します。

イメージが悪い

トラック運転手はやめとけと言われる理由の1つ目は、マイナスイメージを持たれやすいからです。

「トラック運転手」というと、多くの人々が長時間運転、厳しい配送スケジュール、そして孤独な仕事といったネガティブなイメージを持たれがちです。

また、過去のトラック関連の事故や、一部の運転手のマナーが欠如した荒々しい運転スタイルがメディアで取り上げられることがあり、これが職業全体のマイナスイメージに繋がっています。

さらに、重労働であるにも関わらず報酬が低いとされることや、清潔感がないと思われることもあります。

これらの要因が合わさって、トラック運転手という職業への負のイメージを強化しているのです。

労働時間が長い

トラック運転手はやめとけと言われる理由の2つ目は、労働時間が長いからです。

トラック運転手は、長距離を運転することが多く、配送スケジュールによっては夜間や早朝の運転が必要になることも珍しくありません。そのため、一日の労働時間が非常に長くなる傾向にあり、休憩時間が限られたり、週末や祝日にも勤務することが求められたりすることもあります。

また、交通状況に左右されるため、予定通りに仕事を終えられないこともしばしばあり、長時間労働が身体的・精神的な負担となることも少なくありません。

このような状況が、トラック運転手を敬遠する理由として挙げられることがあるのです。

事故のリスクがある

トラック運転手はやめとけと言われる理由の3つ目は、事故のリスクがあるからです。

トラック運転手は長距離の運転や夜間走行が多く、長時間の集中力が求められるため、疲労による注意力の低下が事故につながるリスクを高めます。

また、大型車両を扱うことによる事故発生時の影響は、小型車と比べて大きく、結果として重大な事故に繋がる可能性が高いです。

さらに、悪天候や交通渋滞などの不測の状況下での判断力も求められ、これらのプレッシャーが精神的な負担となることもあります。

このように、トラック運転手という職業は事故のリスクが常に付きまとうものであり、その点が職業選択の際の懸念材料となることがあるのです。

手積み手下ろしがきつい

トラック運転手はやめとけと言われる理由の4つ目は、手積み手下ろしがきついからです。

「手積み手下ろし」の作業では、重い物を持ち上げたり、不便な姿勢での作業が伴うことが多く、これが肉体的な疲労や、場合によっては健康問題を引き起こすリスクにも繋がります。

長期にわたるこのような作業は、背中や膝などへの負担が蓄積し、職業病や怪我の原因となることもあります。

そのため、物理的な労力が必要な手積み手下ろしの作業の厳しさは、トラック運転手という職を敬遠する理由の一つとなっているのです。

生活が不規則になりがち

トラック運転手はやめとけと言われる理由の5つ目は、生活が不規則になりがちだからです。

トラック運転手は配送のスケジュールによって、早朝や深夜、時には夜通し運転することも珍しくありません。そのため、通常の日中の働き方とは異なり、定期的な生活パターンを確立することが難しくなります。

不規則な生活は、睡眠の質や食生活に影響を及ぼし、健康面での問題を引き起こすリスクがあります。また、家族や友人との時間が取りづらくなることもあり、私生活のバランスを保つことが難しいと感じることも少なくありません。

このように、トラック運転手としての仕事が生活のリズムを乱す可能性があるため、職業選択の際に懸念されることがあるのです。

休日でも飲酒量に配慮する必要がある

トラック運転手はやめとけと言われる理由の6つ目は、休日でも飲酒量に配慮する必要があるからです。

トラック運転手はプロの運転手として、道路交通法に則り、常に安全運転を心掛ける必要があります。そのため、仮に休日であっても翌日に運転を控えている場合、飲酒は控えめにしなければなりません。

また、アルコールの影響は人によって異なり、翌日にも残ることがあるため、飲酒後の運転は大きなリスクを伴います。

このように、プライベートな時間でさえも職業の責任によって制約を受けることは、トラック運転手の仕事の負担の一つとされ、その職業選択を避ける理由になっているのです。

トイレに行きにくい

トラック運転手はやめとけと言われる理由の7つ目は、トイレに行きにくいからです。

長距離を運転するトラック運転手の場合、特に高速道路などでのルートでは、適切なタイミングでトイレ休憩を取りづらいことが多いです。サービスエリアやパーキングエリアが限られており、配送スケジュールがタイトな場合は、トイレに立ち寄る時間がないこともあります。

また、市街地での配送の場合でも、駐車可能な場所が限られているため、トイレ休憩を取ることが困難な状況が生じることがあります。

このように、日常的なトイレ休憩が取りづらい環境は、運転手にとってストレスの原因となり得るため、トラック運転手という職業を敬遠する理由の一つになっているのです。

男社会の名残がある

トラック運転手はやめとけと言われる理由の8つ目は、男社会の名残があるからです。

長年にわたり、トラック運転手は男性が大多数を占める職業として知られており、その職場文化には男社会の名残が色濃く残っています。そのため、性別に関わらず新たにトラック運転手になる人は、古い慣習や固定観念に苦しむことが少なくありません。

このような環境は、特に女性や多様なバックグラウンドを持つ人々にとって、働きにくいと感じる要因となり得ます。

また、このような職場環境は、職場内のコミュニケーションの問題や人間関係のストレスを引き起こす可能性もあります。

ただし、近年は厚生労働省が主体となって、女性トラック運転手（通称：トラガール）を増やす取り組みも進められており、労働環境も徐々に改善されています。

出典：トラガール促進プロジェクト

やめとけと言われるトラック運転手の離職率

では、実際にやめとけと言われるトラック運転手の離職率について解説します。

約4割が3年で離職

厚生労働省のデータによると、2019年の就職後3年以内離職率は高卒が35.9％、大卒が31.5％、業種別に見ると、輸送業および郵便業の離職率は高卒者が32.7％、大卒者25.5％と、3～4割の人が3年以内に離職しています。

業種別に見ると、全体平均よりは低いものの、一定数の人が就職後3年以内に離職をしているという結果が出ています。

出典：新規学卒就職者の離職状況(平成31年３月卒業者)を公表します｜厚生労働省

他業種と比べると離職率は高くない

運送業界の離職率が他産業と比較して特別高いわけではないことは、前述の通りです。ただし、それは必ずしも「他産業よりも労働環境がいい」ということを表しているわけではありません。

トラック運転手の人が仕事を辞める主な理由としては、給与の問題が挙げられますが、企業によって給与の額や賞与が異なるため、すべての運転手の収入が低いわけではありません。

ただし、労働時間や休日の問題は、業界内である程度一貫している面があります。多くの運送業者では、12時間の勤務が一般的です。

また、飲酒の影響による仕事への支障を避けるため、プライベートでも制限がある場合があります。これは、自由な時間が少なく感じられることにも繋がります。

トラック運転手はやめとけと言われやすい人の特徴

続いて、「トラック運転手はやめとけ」と言われやすい人の特徴を3つ紹介します。

チームでの仕事が好き

「トラック運転手はやめとけ」と言われやすい人の特徴の1つ目は、チームでの仕事が好きな人です。

トラック運転手の職務は、一般的に単独で長時間運転を行うため、独立して作業を進めることが多くなります。

そのため、他の人と協力して作業を進めることを好み、チームワークを重視する人にとっては、この職種はやりがいを感じにくい可能性があります。

コミュニケーションや協力が仕事の大きな部分を占める環境を望む人は、トラック運転手の業務の孤独さや単調さに不満を感じやすく、この仕事を敬遠する傾向にあると言えるでしょう。

楽観的過ぎる

「トラック運転手はやめとけ」と言われやすい人の特徴の2つ目は、楽観的過ぎる人です。

トラック運転手の職は、予期せぬ事態に対処する能力や、厳しい状況でも冷静に判断を下さなければなりません。例えば、交通渋滞、悪天候、緊急のスケジュール変更など、トラック運転手の仕事には予測不可能な要素が多く含まれています。

しかし、楽観的な性格の人は、こうした状況に対して十分な注意を払わず、適切なリスク管理を怠る可能性があるのです。

また、トラック運転手の仕事は、細かいスケジュール管理や安全対策が重要であり、楽観的過ぎる人は、これらの要求に対応できないことも多いです。

このように、楽観的過ぎる性格は、トラック運転手として求められる慎重さやリスク管理能力と相反する場合があるため、この仕事が不向きとされることがあります。

短気である

「トラック運転手はやめとけ」と言われやすい人の特徴の3つ目は、短気な人です。

トラック運転手は、日々の業務の中で予期せぬ状況や過度のストレスを経験することがあります。例えば、交通渋滞、厳しい配送スケジュール、他の運転手とのやり取りなど、忍耐力と冷静な対応が求められる状況に直面することが一般的です。

短気な性格の人は、こうした状況において感情をコントロールすることが難しく、運転中の怒りやイライラが安全運転を妨げる原因となり得ます。

また、ストレスが原因で衝動的な判断を下す可能性があるため、短気な人はトラック運転手としての職務を遂行する上で適さないと考えられることがあります。

トラック運転手に転職する際の注意点

続いて、トラック運転手に転職する際の注意点を3つ紹介します。

「年齢不問＝誰でもOK」ではない

トラック運転手に転職する際の注意点の1つ目は、「年齢不問＝誰でもOK」ではないことです。

「年齢不問」というフレーズは、表面上は年齢を問わず応募が可能であることを示していますが、これは「誰でも採用される」という意味ではありません。実際には、運転技術や体力的な要件、さらには健康状態や過去の職歴など、採用にあたってさまざまな要因が考慮されます。

特にトラック運転手の仕事は長時間の運転が求められ、集中力や判断力が重要になるため、年齢だけでなく全体的な能力や適性が見極められることになります。

そのため、転職を考える際には、年齢不問という表記に惑わされることなく、自分自身の適性や条件を慎重に考慮することが大切です。

肉体的な負担が大きい

トラック運転手に転職する際の注意点の2つ目は、肉体的な負担が大きいことです。

トラック運転手の業務は長時間の運転に加え、荷物の積み下ろし作業など、体力を要求される作業が含まれることが一般的です。特に長距離運転の場合、長時間同じ姿勢を続けることによる身体への負担や、運転に伴う精神的な緊張が継続します。

これらの要素は、特に腰痛や肩こりなどの身体的な不調を引き起こすリスクがあり、これらの症状は日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。

したがって、トラック運転手への転職を考える際には、この職種が求める肉体的な耐久力と健康状態を十分に考慮し、自身の体力や健康状態を客観的に評価することが重要です。

就業先によって労働環境の差がある

トラック運転手に転職する際の注意点の3つ目は、就業先によって労働環境の差があることです。

運送業界内でも、企業によって労働条件、勤務スタイル、給与体系、そして安全に対する取り組みの度合いなどは大きく変わります。例えば、一部の企業では過重な労働が求められることがあり、また別の企業では労働者の健康や安全を最優先に考えた運営が行われています。

加えて、勤務時間やルートの固定性、休日の数や質など、職場によって働きやすさは大きく変わってくるでしょう。

このような状況から、トラック運転手として転職を検討する際には、単に職種の特性だけでなく、具体的な就業先の労働環境を慎重に調査し、自分の働き方に合った職場選びをすることが重要です。

「トラック運転手はやめとけ」に対する現役の声

続いて、現役トラック運転手のリアルな声をいくつか紹介します。

Tさん（男性・運転手歴6年）

もうね、トラック運転手やって6年目だけど、正直言って、この仕事、かなりキツいよ。毎日の運転は長いし、渋滞にハマるとストレスマックス。荷物の積み下ろしも体にくるし、なんといっても長時間運転での疲労が半端ない。

それにさ、休憩とる時間もろくになくて、トイレに行くのも我慢することがしばしば。ぶっちゃけ、プライベートの時間もほとんどないし、休日出勤もザラだから、友達や家族との時間も削られるんだよね。

でも、道路を走ってるときの開放感は格別でさ、運転っていうのは一種の楽しみでもあるんだ。それに、自分が運んだ荷物が誰かの役に立ってるって思うと、なんかやりがいも感じるし、それがこの仕事を続けるモチベーションになってるかな。

ただ、将来的には体のことも考えて、もうちょっとラクな仕事にシフトしていきたいなって思ってる。体力的にも精神的にも、このペースがずっと続くのはキツイからね。

Sさん（男性・運転手歴15年）

ああ、もうトラック運転手やって15年になるけどね、この歳になると色々考えちゃうよ。まずね、体が一番の資本だから、体調管理には気を使うようになった。若い頃は無理してでもバリバリ走ったけど、今はそうもいかないからね。

正直言って、長時間の運転は体に堪える。特に夜間の運転はね、目の疲れも溜まるし視力にも来るし、集中力も必要だから、翌日の疲れが違うんだ。それに、荷物の積み下ろしも、年々重く感じるようになってきた。

でも、この仕事のいいところもあるよ。一人で運転してると、なんていうか、自分だけの時間が持てるんだよね。ラジオを聴きながら、自分のペースで仕事ができる。それに、長年やってると色んなお客さんとのつながりもできて、そこはやりがいを感じるね。

ただ、将来のことを考えると不安もある。体が持つかどうか、そしていつまで現役でいられるか。そろそろ次のステップを考えないといけない年齢だしね。子供たちにも、同じ道は勧めないかな。もっと体に負担の少ない仕事がいいよね。

Yさん（女性・運転手歴10年）

うん、もうトラック運転手やって10年になるけど、正直、いろいろ大変な面もあるよ。まず、女性運転手っていうのがまだ珍しいから、現場でちょっとした驚きを受けることもあるし、時には男性運転手たちからの偏見みたいなものも感じることがあるんだ。

長距離の運転は体力的にも精神的にもキツいし、特に夜間運転は疲れが残るよね。あと、トイレの問題とかね、女性ならではの悩みもある。休憩所が限られていたり、安全な場所でトイレ休憩を取るのも一苦労だったりする。

でもね、運転っていうのが好きで、道を走ってるときはすごく楽しいんだ。開放感があって、自分のペースで仕事ができるのは大きな魅力だよ。それに、自分が運んだ荷物がお客さんの役に立ってるって実感すると、なんだか嬉しくなるし、達成感もある。

ただ、将来のことを考えると、自分の体はもちろん、子育ての心配も大きいな。今は私自身が女性運転手の先駆けとして頑張ってる実感があるから、これから女性がこの仕事に進出しやすい環境がもっと整ってくれるといいなって思うよ。

「トラック運転手はやめとけ」についてのまとめ

今回は、「トラック運転手はやめとけ」と言われる理由について解説しました。

トラック運転手の仕事には、今回紹介したようにさまざまな側面があるため、これからトラック運転手になろうと考えている方は、本記事を参考にして、ぜひトラック運転手への就職を検討してみてください。