建設業界では、商業施設やマンション、住宅、学校、工場など様々な建物の建設をしています。
この他にも水路や道路などの土木工事もあり、海底トンネルなどの施工もあります。
このような建物の建設では地盤の調査や補強、基礎工事や内装工事、設備設置など様々な工程があり、同じ会社の職人が全ての作業を行うわけではありません。
各分野に特化した職人が施工を行い一つの工事が完成します。
建設業における事業ごとの仕事内容などについて、わかりやすく解説していきます。
建築業に分類される事業一覧
建築一式工事業
建築工事では、各作業を専門の職人が進めていくのですが、総合建設業として「建築一式工事」があります。
新築や改修の元請けとして仕事を行い、工事全体を進めていきます。
専門工事業者を統括する場合、建築一式工事の許可を取らなければなりません。
ただし、工務店などがリフォームなどを1,500万円以下で請け負う場合は許可を取る必要はありません。
土木一式工事業
もう一つの総合建設業としてあるのが「土木一式工事業」です。
土木工作物そのものを作る元請けとなり、その後の補修や改造、解体なども含め工事を行います。
工事の中で必要な専門工事に関しては別途許可をとる必要があるため、各業者と連携しながら建設工事を進めていく必要があります。
具体的な工事としては、トンネル工事や海岸工事、土地区画整理工事、河川工事などがあり、人々の生活に欠かせない工事ばかりです。
石工事業
石工事業とは、石材を加工したりして工作物を築造したり、工作物に石材を取りつける工事を行います。
担当する職人は石大工や石工などと呼ばれ、建設事業の中でも歴史が長く、墓石の建立や鳥居の設置などで古くから活躍していました。
屋根工事業
屋根工事業とは、建物の屋根を金属薄板や瓦、ストレートなどを使用してふく(作る)工事内容となります。
最近では当たり前になった屋根と一体型になった太陽光パネルの設置工事も含まれます。
ただし、既に完成している屋根に途中から太陽光パネルを設置するといった場合に関しては電気工事に該当します。
大工工事業
大工工事業とは、木材を加工したりそれと組み合わせたりして工作物を築造する工事や、工作物に木製設備を取り付ける工事を言います。
木材のカットなどは機械を使って正確に行われますが、実際に組み合わせたりする際にサイズが数ミリ合わなかったりした場合は、現場で微調整などを行いながら作業を進めていきます。
左官工事業
左官工事とは、建物の床や壁の下地づくりをしたり、仕上げ塗りなどを行う工事を言います。
作業のほとんどが手作業で行われるため、職人としての技術がとても重要であり、豊富な経験を積むことで一人前の職人になることができます。
最近ではタイルなどが普及したり、壁用の建材が誕生したことから、仕事量は減少傾向にありましたが、味のある仕上がりは今でも多くの場所で需要があります。
タイル・れんが・ブロック工事業
タイルやレンガ、ブロックなどを用いて工作物を作っていく工事や建築物にタイルやレンガを取り付ける仕事を言います。
左官と同様に昔からおこなわれている歴史の古い工事法です。
とび、土工工事業
建設現場で足場を組み立てたり、工事後に解体したりします。
この他にもコンクリートを使用した基礎など工事を行うための準備などを行います。
足場などは非常に重く、力作業が多いことから体力が必要な仕事となります。
電気工事業
電気工事では、家屋への分電盤設置や送電線の接続、証明器具の設置などを行います。
この他にも大型機器の回路や変電設備などのメンテナンスも仕事の一つです。
鋼構造物交事業
鋼構造物工事とは、鋼板や型鋼など鋼材の加工や組み立てを行い、工作物を築造する工事のことを言います。
身近なものとしては、鉄骨造りの建物や鋼製の水門、ガスタンクなどが該当します。
この他にも看板や広告板などを作成するのも鋼構造物工事に含まれます。
管工事業
管工事とは給排水や空調、冷暖房、ガスなど管を使用して様々なものを通すための設備を設置する工事を言います。
似たような工事に水道施設工事がありますが、違いとしては浄化槽を使った処理施設を設置するもののみが管工事の扱いとなります。
鉄筋工事業
鉄筋工事業では、建物や橋などの骨組みを鉄筋で作るのが仕事となり、担当する職人は鉄筋工と呼ばれています。
基礎部分の鉄筋組立から、柱や壁、床の鉄筋工事を行います。
鉄筋工事がしっかりしていないと建物自体の崩壊の危険性があることから非常に重要な工事と言えます。
舗装工事業
舗装工事とは車屋人が安全に通行できるように道路などの地盤面にコンクリートやアスファルトを敷き詰める工事のことを言います。
ただ敷き詰めるだけではなく、上下水管を収納したりしながら工事を進めていきます。
浚渫工事業
浚渫(しゅんせつ)工事とは、河川や運河などにある土砂を作業用の船を使って取り除く作業を行います。
一定以上の水深を確保することにより、大型貨物船などが通った際に船底が海底に接触するような事故を防ぐことができます。
板金工事業
板金工事とは金属の薄い板を加工して工作物に取り付けたりする工事を言います。
屋根工事における一部作業や外壁の水切り、ダクトなど板金を使用する工事が含まれます。
防水工事業
防水工事とはシーリング材やアスファルト、モルタルなどを使用して水漏れを防ぐ工事を指します。
防水と聞くと水道など水を多く使用する場所の工事に思われがちですが、ベランダなど屋根など様々な箇所で防水工事が必要です。
塗装工事業
塗装工事業では、ペンキなどの塗料や塗材を使用して工作物を塗ったり吹き付ける工事を担います。
建築物は雨ざらしで過酷な環境に耐える必要があり、様々な工程を経て工事が完成します。
また、新築物件だけではなく、10年以上経った建物の修復作業もおこないます。
ガラス工事業
ガラス工事とは、工作物にガラスを加工して取り付ける工事を言います。
店舗のフロントガラス取り付けや防犯ガラス取替工事などがあるほか、板ガラスの加工や取り付け、サッシにガラスを取り付ける作業もガラス工事業に当てはまります。
内装仕上げ工事業
内装仕上げ工事は吸音板や木材、壁紙などを取り付けたり、床に畳を敷いたりと建築物の内装仕上げを行います。
墨出し作業で印をつけて、下地を組み立てながら仕上げていきます。
熱絶縁工事業
熱絶縁工事とは、工作物や工作物の設備を熱絶縁する工事を言います。
熱エネルギーを効率よく利用できるように、冷暖房設備や給排水などの配管類に対し、最適な保温・保冷工事を行います。
使用する材料は、目的に応じてグラスウールやウレタンフォーム、独立気泡ゴムなどを使用して工事を行います。
機械器具設置工事業
機械器具設置工事とは、機械器具などの組み立てにより工作物を建設したり、工作物に取り付ける工事を言います。
作業内容は組み立てなどだけではなく、機械の取り付けや移動、撤去などの他レイアウト変更なども含まれます。
電気通信工事業
電気通信工事とは、無線や有線など関係なく通信設備の工事やアンテナ工事、データ通信に関する設備工事を行います。
具体的にはLAN工事や携帯電話基地局工事、放送設備工事などがあります。
さく井工事業
さく井(さくせい)工事業とは、井戸や天然ガス、温泉や石油などを専用の機械を使って掘削する工事を言います。
ただ掘削するだけではなく、現地調査や仮説作業、掘削後の設備工事、内部清掃や水質検査も工事に含まれています。
造園工事業
造園工事では、公園や緑地の築造を行う工事であり樹木の植栽などを行います。
工事の内容によって保護養生をしたり整地、泥入れ作業、石組み、生育状況の点検も行う必要があり、工事に関する技術はもちろん、植物に関する知識も必要です。
建具工事業
建具工事は、工作物に木税または金属製の建具等を取り付ける工事のことを言い、具体的にはサッシ取り付け工事やふすま工事、自動ドア取り付け工事などがあります。
水道施設工事業
水道施設工事とは上水道や工業用水道のための取水や浄水の施設を築造する工事を言います。
家屋やその他敷地での配管工事などは配管工事となり、公道などでは土木一式工事となります。
解体工事業
解体工事業は、工作物や建築物を解体し、更地に戻す工事を行います。
最近ではリフォームする建物も増えてきており、それに伴い内装のみの解体も含まれます。
建物には木造や鉄骨、RC造と構造が違うため、建物に応じた解体技術が必要です。
清掃施設工事業
清掃施設工事とは、し尿処理施設やごみ処理施設などの工事が該当します。
これに関連する全ての工事が清掃施設工事に該当するわけではなく、浄化槽によりし尿を処理する施設の建設は管工事となります。
また、公共団体が設置するもので、下水道により収集した汚水を処理する施設の建設工事に関しては水道施設工事となります。
消防施設工事業
消防施設工事とは消火設備や避難設備、消火活動に必要な設備を設置する工事を言います。
具体的には火災報知器設備工事やスプリンクラー設置工事、漏電火災警報器設置工事などが該当します。
いま、建設業界が抱える課題
上記で説明してきた通り、建設業界で行われている工事は多岐にわたり、各工事に特化した職人が存在します。
公共施設等の工事の依頼もあることから、今後も需要が下がらないと考えられる建設業界ですが、一方で課題もあります。
どのような課題を抱えているのかわかりやすく解説していきます。
1.人手不足
建設業界は他の業界と比較しても人手不足が深刻となっています。
特に若年層の入職者が少なく、入社後も長く続かないことが課題です。
理由としては業界全体に対するイメージであり「汚い」「きつい」「危険」の3Kがあります。
これらの解消のため、多くの企業で新たな3Kである「給料が高い」「休暇が取れる」「希望がある」を目指した取り組みが進められています。
2.労働者の高齢化
人手不足に似た問題としてあるのが労働者の高齢化です。
若年層の入職者が少ないことから労働者の高齢化が進んでおり、今後の人手不足が更に加速する原因となりつつあります。
対策として労働環境の改善の他、外国からの労働人材の受け入れ、e建機など新たな働き方と職種の創設などが進められています。
3.過酷な労働環境
建設業界の3Kについて説明しましたが、その一つと言えるのが過酷な労働環境です。
特に現場に関しては力仕事が多く、夏などは特に過酷と言えます。
また、デスクワークなども含め残業時間が多いことが課題となっていました。
現在、これらの解消に向けて多くの企業が改善努力をしてきており、改善傾向にあります。
建設業界のミライ
建設業界のこれまでの課題について解説してきましたが、これらの課題に対しての対策も多く行われています。
具体的にどのような取り組みが行われており、今後建設業界はどう変わっていくのか見ていきましょう。
1.「3K」の変化
上記で説明した従来の3K「汚い・きつい・危険」ですが、新しい3Kでは「給与が高い・休暇が取れる・希望がある」に変化させようと多くの建設関連企業が取り組んでいます。
具体的には給与水準の上昇のため、日給制から月給制への変更や新しい働き方による効率の向上などがあります。
2.新たな働き方による人材の確保
若年層の入職者が少ないことや、労働者の高齢化が課題となっている建設業界では、労働環境の改善だけではなく、新しい人材の確保に向けた取り組みも出てきています。
今注目を集めているのが「e建機」です。
e建機とは現場で操作していた重機の運転を遠隔操作に変更し、長時間の労働ができない人や身体が不自由な人であっても活躍できる場を創出する取り組みです。
まだまだ課題はありますが、将来的には現場まで出勤しなくても作業を進めたり、災害現場であっても安全に作業ができるようになるかもしれません。
以下のリンクから、e建機に関する取り組みの取材レポートをご覧いただけます。
【取材レポート】『e建機』を知っていますか?遠隔操作で建設現場の人材不足を解消する!
建設業界に挑戦してみよう!
今回は建設業界の事業別仕事内容、業界の課題や新しい取り組みについて解説してきました。
建設業界と言っても多くの事業があり作業内容も全く異なります。
求人の中には未経験歓迎のものも多く、資格によっては未経験でも挑戦することができます。
業界全体が変わろうとしている今、挑戦するにはちょうどいいタイミングかもしれません。
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