トラック運転手は文字通りトラックを運転するのが仕事ですが、集荷先や配達先に到着すると荷物の積み下ろしを行わなければなりません。
その中でも特に辛いと言われがちなのが『手積み』や『手降ろし』です。
これからトラック運転手に転職しようとしている人の中には、運転は得意でも手積み手降ろしができるかが不安だという方もいるのではないでしょうか。
今回はトラック運転手の手積み手降ろしがきつい理由、業務別での手積み手降ろしの辛さや特徴についてわかりやすく解説していきます。
現役トラック運転手の方はもちろん、これから運送業界へ転職を考えている方は是非参考にしてみてください。
手積み手降ろしがきつい3つの理由
手積み・手降ろしとは、手作業でトラックに荷物を積み込む作業・降ろす作業のことを言います。
手積み・手降ろしには下記のような作業があります。
・バラ積み
・パレット積み
・カゴ台車積み
ここでは各積み込みの内容や特徴、辛いと感じる理由について解説していきます。
バラ積みが大変だから
運送業界でのバラ積みとは手積み全般を指し、段ボールや紙袋、鉄などの荷物を手作業でトラックに積み込む作業全てのことです。
バラ積みは手積みの中でも特に辛く、重い荷物を何個も手作業で積み上げていかなければなりません。
大きなトラックになるほど容量が大きくなるため、形状によっては1,000個を超える荷物を手で積み込むケースもあります。
また、量が多い場合には、全ての荷物を積み込めるように計算しながら作業する必要があり、積み込めなかった時には配列を変えるなどして積み直さなければなりません。
中には形状がバラバラであったり、柔らかく積み上げすぎると倒れてしまったりする恐れのある荷物もあります。
ただ体を動かすだけでなく、計算しながら積み込みを進めていく必要があるのです。
また、混載(不特定多数の荷主の荷物を一台のトラックで配達すること)の場合は特に注意が必要です。
他の荷物と混ぜて積んでしまうと配達先で降ろし忘れる恐れがあります。
配達の順番を気にせず積むと、荷物が奥にあり他の荷物を一度降ろさなければなりません。
そのため、形状に配慮しながら、降ろす順番も考えて積み込んでいきます。
夏は外にいるだけで汗が出てくるほど暑いため、荷物に汗がつかないように注意しなければいけません。
パレット積みが大変だから
パレット積みとは、木製やプラスチック製の台の上に荷物を積み込み、ラップで固定したものをフォークリフトによって積み込んでいきます。
既にパレットが出来上がっている場合には、ただフォークリフトで積み込むだけなので、バラ積みに比べるとかなり時間短縮となり、体力も使いません。
ただし、自分でパレットに荷物を梱包する場合には、パレットの形状に合わせる必要があり、しっかりラップで固定しないと荷崩れを起こす恐れがあります。
また、バラ積みと比べると隙間なく積み込みにくいので、ギリギリの場合にはパレットの積み込む順番を考えながら作業します。
フォークリフトでの積み込みは自分でやることもあれば、配達先のスタッフが行ってくれるケースもあります。
パレット同士がぶつからないように積み込む必要があり、パレットからフォークリフトの爪が出ている場合には、奥の荷物を刺してしまわないように注意しなければなりません。
パレット間に隙間があるような場合には、緩衝材を挟んだり、ラッシングしてしっかりと固定していきます。
配達先でもフォークリフトで降ろしていくだけなので、バラ積みよりも早く降ろせます。
カゴ台車も意外と大変
カゴ台車とは、スーパーなどへの配達でよく使われるものです。荷物の搬入口で見たことがあるのではないでしょうか。
あおりがついたタイヤ付きの台車で、その中に荷物を積み込んでいきます。
トラックへの積み込みはトラック後方にある昇降式のゲートに乗せて行いますが、カゴ台車は形が全て一緒・タイヤ付きで簡単に移動させられるので、積み込み作業自体に体力は必要ありません。
ただし、カゴ台車から荷物を積み下ろす際は、手積み・手降ろしとなるため大変です。
軽いお菓子などであれば問題ありません、数十キロもあるお米や飲料品はとても重く体力が必要となります。
大型トラックは、カゴ台車が30台~40台も積み込めるので、台車からの積み下ろしがある場合は大変です。
また、カゴ台車の場合は指定された場所まで転がして運んでいくのですが、荷物を積み込んでいると数百キロほどになることもあります。
そのため、ちょっとした坂でも押すのには体力が必要で、隙間などに気づかずに進んでいるとカゴ台車を引っかけて転倒させてしまうリスクもあります。
専用エレベーターに乗せる際には詰めて乗せていくのですが、カゴ台車同士の間に指を挟んでケガをするといったことは珍しくありません。
関連記事:きついはずのトラック運転手を続けるのはなぜ?トラックを走らせるよろこびとは
パレット積みとバラ積みはどちらがいい?
パレット積みとバラ積みにはそれぞれに特徴がありますが、どちらが楽かで判断すると圧倒的にパレット積みのほうがおすすめです。
パレットにバラ積みするとしても、トラックへの積み下ろしにかかる時間は圧倒的にパレット積みの方が早くなります。
また、パレットから荷物をバラす作業は、配達先のスタッフが行うことが多いと言えます。
現場によってはフォークリフトを自分で運転する必要があり、別の技術やスキルを身に付けなければいけませんが、体力的な負担はありません。
体力に自信がない方や、長期でトラック運転手を続けたいと考えているのであれば、パレット積みが多い求人への応募がおすすめです。
【業者別】手積み手降ろしのきつい点と楽な点
ここまで、手積み手降ろしの種類と辛さについて解説してきました。
上記で説明したような、パレット積みやバラ積み、カゴ台車などを含め、手積み手降ろしを行う業務には下記のようなものがあります。
・宅配便業者
・コンビニの配送業者
・飲料の配送業者
・家具の配送業者
・家電の配送業者
・引越し業者
これらの業務における、手積み手降ろしの内容や特徴について解説していきます。
宅配便業者
宅配便は私たちの生活に身近な存在であり、大手企業では佐川急便やヤマト運輸などがあります。
個人宅への配達であるため、基本的に運ぶ荷物の重さは軽い傾向にあり、一度に手降ろしする個数も少ないのが特徴です。
一方で配達先は一日100件を超えることもあり、業務自体は体力を必要とします。
運転するトラックは1.5t~3tほどの車両が多く、お歳暮やお中元のシーズンには激務になりやすいと言えます。
また、繊細な荷物が多いため取り扱いには細心の注意が必要です。
宅配便のきつい点は『配送件数が圧倒的に多い』ことです。
地域に詳しくないと、効率的な配送ができず、家に着いても不在の場合は時間を空けて再配達しなければなりません。
特に最近では、通販関連の荷物取扱量が増加傾向にあり、需要が高まっている業務と言えます。
コンビニの配送業者
カゴ台車を使用した積み下ろしが多いコンビニ配送業務は重量物が少なく、一日に運ぶ件数は10件~20件ほどです。
運転するトラックは2t~4tが多く、配送する荷物によって保冷車や冷凍車を運転します。
トラックへの積み下ろしは後ろのゲートを昇降させて行うため、体力的な負担は少ないと言えます。
一方で配達先ではカゴ台車から荷物を降ろす必要があり、飲料品・食料品など繊細な荷物が多いので取り扱いには注意が必要です。
また、夏になると飲料やアイスの物量が増えるため、体力的に辛くなります。
ただし、毎回同じような荷物を取り扱うことから作業に慣れやすく、配達先も決まっているので地域に詳しくなくても安心です。
飲料の配送業者
自動販売機の飲料を補充する業務であり、運ぶ荷物の重さは10キロ前後となります。
積み下ろし自体は個数が少なく、体力を必要としないものの、各自動販売機で飲料を補充する作業には持久力が必要です。
配達件数は一日で20件~30件ほどとなっており、運転するトラックは2t~4tとなります。
夏は最も飲料が売れやすい時期であるため、補充の量が多く大変です。
また、自動販売機の他にもレストランやスーパー、小売店などへの配達もあります。
手積み手降ろしに関して体力はそこまで必要としないものの、関連業務である売り上げの集金、ごみの回収を行わなければいけません。
また『商品を購入したが別のものが出てきた』『お金を入れたのに商品が出てこない』といったクレームは珍しくなく、発生した場合にはすぐに向かう必要があります。
家具の配送業者
家具の配送業者は取り扱う荷物の種類が多いことが特徴です。軽いものもあれば重量物もあり、大きさも違います。
一日の配送件数は~10件ほど、運転するトラックは3t~4tとなります。
家具の中には、ガラスが使われていてとても繊細なものや、数百万円するような高額なものもあるため、取り扱いには細心の注意が必要です。
また、指定された場所まで運ぶ中で、ぶつけて傷を付けることがないようにしなければなりません。
所属している会社によっては、配達だけではなく家具の組み立てまで行っているケースもあり、その場合は専門の知識やスキルも必要です。
引越しシーズンは家具が売れやすく忙しくなります。
家電の宅配業者
家電の配送は、取り扱う荷物に重量物が多く、衝撃に弱いものが多いので取り扱いには細心の注意が必要です。
特に冷蔵庫はサイズが大きく重いため、ぶつけないようにゆっくりと運ばなければいけません。
運ぶ件数は~10件ほどで、トラックは1.5t~3tのトラックを運転します。
家具と同じで、引越しシーズンに商品が売れやすく多忙となります。
配達先がマンションであった場合には、指定された階へと運ぶ必要があり、エレベーターがないアパートなどでは階段で運ぶこととなります。
配達先は毎回違うため、ある程度地域に詳しい必要があり、中には配達の際に使い方を聞かれることもあります。
引越し業者
家電や家具、書籍などあらゆる荷物を梱包し、配達先まで運びます。
中には壊してしまったらもう二度と手に入らない思い出の品などもあるので、取り扱いには細心の注意が必要です。
運ぶ件数は一日~5件ほどで、2t~4tのトラックを使用します。
また、引っ越し業務では梱包作業も行います。
しっかり梱包をしないと、運んでいる際に崩れて傷つけてしまう恐れがあるので注意が必要です。
大きな荷物を複数人で運ぶ場合、コミュニケーションを取り連携しながら作業を進めていきます。
上層階への運搬はとても大変であり、引っ越しシーズンは激務で体力的にも大変です。
関連記事:きついはずのトラック運転手を続けるのはなぜ?トラックを走らせる歓びとは
ルート配送なら手積み手降ろしが比較的に楽でおすすめ
トラック運転手未経験の人は『まずは手積み手降ろしのある、軽貨物ドライバーや小型トラック運転手からスタートするしかないのかな?』と考えているかもしれません。
その通り、運送業界の経験が浅い人は、まずトラックの運転に慣れる必要があります。ほとんどの場合、手積み手降ろしのある職場に就職することになるでしょう。
しかし、どうせ手積み手降ろしが発生するのであれば、『ルート配送業務』を選ぶのがおすすめです。
ルート配送と聞くとコンビニのルート配送をイメージする方が多いのですが、他にも車の部品や生活雑貨などを取り扱うこともあります。
運転する車は中型トラックが多く、運転に慣れやすいのはもちろん、配送ルートが決まっているため地理に詳しくなくても安心です。
手積み手降ろしに関しても、積み込める量はそこまで多くないので、大きな負担とはなりにくいでしょう。
どうしても不安な場合にはカゴ台車など、トラックゲートを使い昇降させて積み下ろしをする仕事を選べば、更に負担を減らしながらトラック運転手を続けることができます。
ルート配送を通じてトラック運転手の仕事に慣れてきたら、大型運転免許を取得する・長距離配送の業務に応募するなどしてキャリアアップも狙えます。
その際、手積み手降ろしの仕事を選ぶ必要はありません。なるべくパレット積みなどが多い求人にすることで、体力的な負担を軽減しながらトラック運転手を続けられるでしょう。
手積み手降ろしがきついに関するよくある質問
最後は手積み手降ろしに関するよくある質問について解説していきます。
これから運送業界へ転職を考えている人は参考にしてみてください。
「手積み手降ろしがない求人もある」と聞いたけど、嘘でしょ?
トラック運転手にとって避けることのできない荷物の積み込み業務ですが、必ずしも手積み手降ろしがあるわけではありません。
体の負担を最小限に抑え、運転業務だけに集中できる求人は多くあります。
『日本最大級のドライバー求人専門サイト クロスワーク』では多くの『手積み手降ろしなし』の求人が掲載されています。
トラック運転手への転職を考えている人はぜひ見てみてください。
手積み手降ろしの有無で給料は変わる?
手積みや手降ろしは体力が必要であり、なるべくしたくない業務ではありますが『その分給料が高くて、手積み手降ろしでなければ収入が減るのでは』と考える方もいるかもしれません。
これに関しては、ほぼ変わらないと言えます。
トラックのサイズや配送距離で収入が変わることはあるものの、手積み手降ろしの有無で収入は変わりません。
関連記事:4tドライバーはきつい?大型との違いや給料事情を解説
手積み手降ろしがきついと言われる理由に関するまとめ
今回は手積み手降ろしがきつい理由について解説してきました。
手積み手降ろしにはバラ積みやパレット積み、カゴ台車などがあり、それぞれに辛い特徴があります。
また、家具や家電、飲料水の補充など業務内容によっても辛さは変わり、人によって向き不向きがあります。
今後トラック運転手を目指そうと考えている人は、今回紹介した内容を参考にしてみてください。
トラック求人の中には手積み手降ろしがないものもあるため、体力に自信がない方はそういった仕事を選択するといいでしょう。
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