高圧ガス移動監視者というのはご存知でしょうか。世間一般的にはあまり知られていませんが、世の中で非常に重要な存在となっています。簡単にいうと高圧ガス移動監視者がいないと高圧ガスを運ぶことができません。企業や工場はもちろん一般家庭の普段の生活にも直接的に影響してしまうのです。
高圧ガス移動監視者になるには、資格の習得は難しいのか、資格を取得すればどのようなことができるのか等、ここでは高圧ガス移動監視者についてまとめています。
高圧ガス移動監視者とは:高圧ガス保安法に基づき管理する人
高圧ガス移動監視者とは、危険な高圧ガスを輸送する際に高圧ガスを安全に輸送できるように、監視する専門家のことを指します。高圧ガスを輸送する際には、高圧ガス移動監視者の同乗が法律(高圧ガス保安法など)で義務づけられているため、必ず高圧ガス移動監視者が必要になります。可燃性ガス、酸素、毒性ガス、LPガス等がこの危険な高圧ガスにあたります。
高圧ガスの移動中に万が一なにかあった場合、大事故にも繋がりかねないので、こうした専門家の元でのみで移動することができるようになっているのです。ですので、高圧ガス移動監視者はガス業界やエネルギー業界などで、現在大きく活躍しています。
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【都道府県別】高圧ガス移動監視者の求人状況について
【都道府県別】高圧ガス移動監視者の求人状況について、それぞれ解説します。
東京
高圧ガス移動監視者の講習は毎年2回程度実施されています。また東京だけではなく関東圏内で多くの講習を実施しているので、日程の調整がしやすくなっています。求人だけではなく資格の取得もしやすいのが特徴です。
愛知
高圧ガス保安協会の中部支部があり、セミナーやイベントなどにも参加することができます。工業が盛んで、高圧ガス移動監視者はもちろん、高圧ガスの取り扱いに関する様々な資格が重宝されています。
大阪
高圧ガス移動監視者の講習を実施しており、試験も年2回実施されています。運搬も盛んに行われており、特にドライバーとしての高圧ガス移動監視者が必要とされています。
福岡
大阪に続き、福岡でもドライバーとしての高圧ガス移動監視者の求人が多いです。それに加えて製造所などの設備管理としての高圧ガス移動監視者の求人も多く見受けられます。
高圧ガス移動監視者は専門的でありながら、現代社会に欠かせない高圧ガスに関わるので必要としている企業は多くあります。特にどの地域でもドライバーとしての採用が多い傾向にあります。ドライバーで高圧ガス移動監視者であれば二つの役割を担うことができるので、ドライバーとしての採用が多いのも納得できます。
しかも高圧ガス移動監視者講習修了者証は国家資格ですので、自分のスキルとして大きなアピールポイントになります。転職などを考えている方にも大きな武器となります。
高圧ガス移動監視者の資格取得条件
高圧ガス移動監視者の資格取得条件について、以下より解説します。
高圧ガス保安協会の講習を受ける
高圧ガス移動監視者の資格を取得するには、まう高圧ガス保安協会が行なっている高圧ガス移動監視者講習を受講することが必須になります。この高圧ガス移動監視者講習には「移動監視者」と「移動監視者(液化石油ガス)」の2種類があり、どちらを受講するかによって移動を監視することのできる高圧ガスが変わります。
「移動監視者」の講習を受講すると全ての高圧ガスの移動を監視することができ、「移動監視者(液化石油ガス)」の講習を受講すると液化石油ガスの移動を監視することができます。液化石油ガスの移動の監視のみが必要であれば「移動監視者(液化石油ガス)」の講習を受講し、それ以外の高圧ガスの移動の監視も必要であれば「移動監視者」の講習を受講する必要があるということです。
ただし、講習を受講するだけでは高圧ガス移動監視者の資格を取得することはできません。続けて筆記試験を受ける必要があるのです。
受講後に筆記試験を受けて合格する
講習を受講すると筆記試験を受けることができるようになります。そして、この筆記試験に合格することで高圧ガス移動監視者の修了証を受け取ることができるのです。よって高圧ガス移動監視者の資格習得に必要なのは、講習の受講と筆記試験の合格の2つです。
高圧ガス移動監視者は取り扱いの難しい高圧ガスを安全に運ぶために、間違った知識や技術を覚えるわけにはいけません。そのために講習を受講し、筆記試験に合格することを課せられているのです。
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高圧ガス移動監視者:試験の難易度と内容について
高圧ガス移動監視者:試験の難易度と内容について詳しく解説します。
全体の平均合格率は80%以上
高圧ガス移動監視者の試験は平均して受験者全体の85%が合格しています。かなり高い合格率で難易度はそれほど高くないといえます。そもそも受験者は、講習を受講した上で筆記試験を受験しているので、高い合格率になっています。講習の中で重要なところの説明があったりもするので、その場だけでもある程度の対策をとることができます。
国家資格でありながらも非常にとりやすい資格になっているのです。しかし当然ながら不合格の受験者もいることは事実です。合否の基準はこの筆記試験になりますので、85%もあれば大丈夫だろうと考えるのはおすすめしません。
20問中60%以上が合格ライン
試験時間は90分で、問題は20問出題されます。60%以上の正解が合格ラインとなるので、20問中12問正解で合格ラインに達します。講習の内容をしっかりと抑えておけば、十分合格できる難易度になっています。そして過去問を中心とした出題がメインですので、過去問をしっかり頭に入れておくことで、より高得点が望めます。
合格率が高いこともあり、事前に勉強はせずに講習をしっかり受講し、復習するだけで資格を取得できたという方もいます。しかし一発勝負ですので過去問などを事前に解いておいた方が確実です。さらに資格を取得して実際に仕事にするとなると必要な知識ばかりですので勉強しておくとよいでしょう。
筆記試験は講習で受講した内容から出題される
筆記試験は講習で受講した内容から基本的に出題されます。過去問では簡単なもので「熱量の単位として正しいものは」という問題が出題されたりしています。難易度が上がると絶対圧力の計算問題なども出題されることがあります。計算にも慣れておいた方がよいでしょう。知識としての暗記と計算が重要となってきます。
高圧ガス移動監視者におすすめのテキスト
「高圧ガス移動監視者検定問題集(平成31年度版)」がおすすめのテキストです。これは高圧ガス移動監視者講習の検定試験の問題と解答・解説が過去5年分が収録されています。講習もこのテキストに沿って行われていますので、検定試験にも直結してきます。過去問を解いておくことで、本番の検定試験もスムーズに進めることができますし、傾向なんかも掴めてきます。
講習で使用するテキストは高圧ガス保安協会のホームページに載っています。そしてこの高圧ガス保安協会のホームページから注文して購入することも可能です。
テキストに限らず、高圧ガス保安協会のホームページについては、よく確認しておく必要があります。
試験の申し込みや検査・認定についての記載もあります。
高圧ガス移動監視者の講習・試験について
高圧ガス移動監視者の講習・試験について詳しく解説します。
高圧ガス移動監視者の申し込み方法
KHK本支部、一般高圧ガス関係団体と液化石油ガス教育事務所が申込先となっています。試験の応募は高圧ガス保安協会ホームページから可能です。高圧ガス保安協会ホームページでは最新のスケジュール等の情報が記載されていますので、そちらをチェックした上で申し込むとスムーズに申し込むことができます。申し込みの受付期間も毎年指定がありますので注意してください。
講習は2日間:試験は別日程でおこなわれる
講習は2日間行われ、「法令」3時間、「学識と保安管理技術」11時間の2つの講義で構成されています。講習が終わったその日に試験があるのではなく、試験は別日程で行われるため、講習が終わってから復習することも重要なポイントになってきます。
直近の講習日程
一般高圧ガス団体・KHK本部 液化石油ガス教育事務所 回次 第二回 第二回 講習期間 8/23~9/2 8/23~9/2 検定日 9/5 宮城県 - 8/25~26 茨城県 8/26~27 千葉県 8/30~31 東京都 未定 愛知県 8/25~26 大阪府 8/24~25 香川県 8/17~18
※2021/05/25現在公表されている情報をもとに編集部作成
受講検定料
移動監視者 13,200円 移動監視者(液化石油ガス) 12,400円※
これは2021年5月時点で最新の受講検定料になります。※2021/05/25時点では講習の実施が予定されていません。
1年に4回おこなわれる
講習は年4回開催されており、全国で15ヶ所程度で開催が予定されています。年によって変更もあるので、最新のスケジュールを高圧ガス保安協会ホームページでチェックしておく必要があります。
受講検定料
高圧ガス保安協会ホームページから希望する開催地を選択し、電子申請を行うか、書面申請用の願書を手に入れて願書を提出する方法があります。書面申請用の願書は各地域の担当試験事務所等が無料配布しているので、足を運んで取りに行くか、電話をして郵送してもらうことで手に入れることができます。ただし書面申請の受付期間は、電子申請の受付期間より短くなっていまので注意が必要です。
開催地は最寄りの開催地を選択する方が多いのですが、最寄りでないといけないということはありません。スケジュールの関係で他の開催地で申し込みたいという方は他の開催地で申し込むこともできます。ただし交通費や宿泊費は実費になるので注意が必要です。
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高圧ガス移動監視者のよくある質問
高圧ガス移動監視者のよくある質問に関して、それぞれ解説します。
高圧ガス移動監視者が必要なのはどういう時?
高圧ガス移動監視者が必要になる場合は、下記の数量の高圧ガスを車両で移動したい場合になります。
圧縮ガス
・容積300m3以上の可燃性ガス、酸素
・容積100m3以上の毒性ガス
液化ガス
・質量3000kg以上の可燃性ガス、LPガス、酸素
・質量1000kg以上の毒性ガス
・圧縮水素スタンドの液化水素の貯槽に充塡する液化水素
・特殊高圧ガス(移動する数量の多少に関係なく必要)
※特殊高圧ガスとは、モノシラン、ジシラン、アルシン、ホスフィン、ジボラン、モノゲルマン、セレン化水素の7種類のガスのことをいいます。
※移動方法は「タンクローリー」「トラックなどによる容器のばら積み」のいずれの場合でも必要です。
試験に落ちたら講習から受け直すの?
高圧ガス移動監視者は受講と検定がセットになっていると考えておいたほうがよいです。つまり、検定試験に落ちると次回検定試験のみを受けることはできず、講習からやり直しということになります。ただし所定の高圧ガス製造保安責任者免状の交付を受けている者はこの講習を受講せずに高圧ガス移動監視者になることができます。
検定試験に一度落ちてしまって、再度チャレンジする際、再び講習でおさらいができるので、確実に合格するには受講することに損はないでしょう。また、検定を受ける料金についても「受講検定料」という表記です。受講と検定をまとめての料金になるので、ただ形だけ受講するのではなく、しっかり受講をしないとお金の面でも無駄になってしまいます。活用できるものはとことん活用しておきましょう。
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高圧ガス移動監視者は講習を受ければ誰でも取得可能
高圧ガス移動監視者は合格率も高く、2日間の講習もセットになっているため、前もって自分で勉強し講習をしっかりと受講すれば、ほぼ合格することができます。講習の内容も調べやすいですので、自分で勉強することも難しいものではありません。市販の参考書も多く売っていますので、自身のない方はそちらを買ってみるのもよいでしょう。
しかし、地域によって試験が行われる回数が少ない場合もありますので、自分が決めた日に受験できるとは限りませんので、きちんと下調べしておくことも重要です。
また、ドライバーの方などで自分の年収アップや仕事の幅を広げるために取得する方もいます。仕事をしながらでも十分取得可能ですし、資格を取得するための条件なども特にありません。ですので誰でも取得可能な部分も高圧ガス移動監視者の資格の魅力の1つでもあります。
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高圧ガス移動監視者に関するまとめ
高圧ガス移動監視者は法的に必要ですので欠かせない存在です。さらに運搬が盛んで、車も頻繁に走っている現代では、資格を習得すると安定して働くことができます。取得できる機会は多くはないですが、一発合格も十分見込める資格ですので、非常に魅力的な資格といえるでしょう。資格取得を考えている方は開催地や申し込み方法などの最新の情報をチェックするも大切です。
また、取得した高圧ガス移動監視者講習修了証は高圧ガスを移動する際に必ず携帯しておかなければいけませんので注意してください。法律に関わることですので、しっかりと資格に見合った知識・技術と取り扱いを行うことも重要です。さらに、高圧ガスに関わる資格は他にもいくつかありますので、高圧ガス移動監視者の資格を習得して知識が深まると他の資格も取得しやすくなります。
興味のある方はぜひそちらも取得してみてはいかがでしょうか。
高圧ガス製造保安責任者の難易度は高い|受験資格や科目、合格率について
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