「大型免許の難易度ってどのくらい?40代・50代が大型免許を取るのは難しい?」
この記事ではこのような疑問に回答します。大型免許の難易度や合格率、合格するコツを解説するので参考にしてください。
大型免許の難易度が高いと言われる理由について
巷では「大型免許の取得は難しい」とよく言われますが、実際にどの程度の合格率なのか、なぜ難しいと言われるのか、実態や理由を解説します。
一発試験の場合30%程になるため
大型免許を取得する方法は「教習所に通う方法」と「一発試験」の2つがあり、合格率はそれぞれかなり差があります。
教習所に通った場合の合格率は約90%であり、ほとんどの人が合格しています。しかし、一発試験の場合は合格率が約30%であり、かなり低いです。
そのため、単純に合格率だけを比較すると、一発試験の方が難易度は高いと言えるでしょう。
運転が難しいため
大型免許の取得で特に難しいと言われているのが技能試験です。大型自動車は車体が大きいため、普通車の運転とは勝手が異なります。
そこでここでは、大型免許の技能試験で難しいと言われている理由を解説します。
内輪差が発生する
そもそも大型トラックは車体が大きく、運転の感覚を掴むまでに時間がかかります。以前までは試験で運転する車両のサイズが7m前後だったのですが、現在は12m近くもあり、2倍近くも大きくなっています。
車体が大きいと大きな内輪差が生まれるので、運転の難易度が上がります。内輪差とは、車体が曲がる際の前輪と後輪の軌道差のことです。
内輪差が大きい車両の運転では、左折時に障害物を巻き込んでしまったり、縁石に乗り上げてしまったりします。内輪差を把握するまでには慣れが必要なので、何度も運転の練習が必要です。
死角が多い
大型トラックはその車体の大きさからたくさんの死角が生まれます。運転席が高いので、目の前の部分や助手席のすぐ隣の部分など、構造上運転手に見えない部分がどうしてもあるのです。
小型のトラックや普通車の運転に慣れている人にとっては、かなり運転が難しいと感じるでしょう。
オーバーハングが長い
オーバーハングとは、後輪から後ろにはみ出た部分のことです。トラックでは荷台の部分がそれに当たります。大型トラックはオーバーハングが長いので、右折時や左折時に隣の車線にはみ出たりする恐れがあります。
事故を起こさないためには、交差点や角を曲がる際に、どのタイミングでハンドルを切るかの感覚を身につける必要があるのです。大型トラックの運転経験がない人が、一発試験でその感覚をつかむのはかなり難しいでしょう。
隘路の部分
隘路(あいろ)は、一般的には「狭い道」という意味ですが、試験では「前向き駐車」を意味します。試験では真っ直ぐに直進して駐車せずに、90度曲がって駐車するのですが、ハンドルの切り返すタイミングや角度が難しく、テストの中で最も難易度が高いとされています。
方向転換
方向転換も難易度が高いです。具体的には一度左バックをして道に入り、その後右折をするなどの運転操作を求められます。左バック時のハンドルを切るタイミングに慣れていないと、障害物と接触する恐れがあるので注意が必要です。
エアブレーキの利き具合
大型車のブレーキシステムにも特徴があります。一般的な乗用車とは異なり、エアブレーキシステムを採用しているため、ブレーキの効きが強く、操作に慣れが必要です。
エアブレーキは高圧空気を使用して車両を停止させるシステムで、その反応性と効力の高さから、初心者が扱う際は適切な力加減が求められます。慣れない間は急ブレーキをかけてしまい、車体が大きく揺れることが少なくありません。
難易度が高いと言われる大型免許に合格する8つのコツ
運転操作が難しいと言われる大型の免許取得で、合格する8つのコツを紹介します。
ハンドルを切る位置を見つけておく
隘路や方向転換時にハンドルを切る際、どのタイミングでハンドルを切りはじめるのかは、慣れていないと難しいです。教習所では何度も練習ができるので、ハンドルを切る位置の目印を見つけておくと、比較的簡単に操作できます。
サイドミラーと目視でタイヤの位置を確認する
前輪は運転席の下にあるので見なくても大きな問題はありません。しかし、後輪の位置はサイドミラーか目視で確認しないとわかりません。
後輪の位置を把握しないまま運転し、カーブを曲がったり、左折や右折をしたりすると、事故を招く恐れがあります。そのため、2つある後輪の前側をよく見るようにしましょう。
これを「軸タイヤ」と呼び、軸タイヤが通り過ぎた後にハンドルを内側にどれだけ切っても、それ以上トラックの後ろ部分が内側に入ることがありません。
そのため、目視やミラーで後輪の位置を確認することは、大型トラックを運転する上で非常に重要です。
一発試験ではカーブや左折・バックを重点的に練習する
教習所に通う場合、難しいところを重点的に練習できますが、一発試験の場合はそうはいきません。可能であれば、有資格者を助手席に乗せて練習をしておきましょう。
特に難易度の高いカーブや左折、バックを見てもらうことをオススメします。
カーブや左折時のハンドルを切るタイミングを隣で見てもらってください。バックの際の車両感覚は、誰かに見てもらうことでズレがわかりやすくなります。
練習場所はトラック協会や運転免許センターのサイトで調べると見つかるので、ぜひ検索してみてください。
カーブでは事前に速度を落とす
大型自動車を運転する際、カーブを曲がる前には速度を落とすことが重要です。
速度が出たままカーブを曲がると、荷台の振動が大きくなり、最悪の場合、車両が横転するリスクもあります。特に重い荷物を積んでいる場合は、事前の減速が安全運転のカギです。
ブレーキはゆっくりと計画的にする
大型自動車のブレーキは反応が敏感であるため、ブレーキはゆっくりと早めにかけることが肝心です。ブレーキのタイミングを見計らい、ポンピングブレーキを活用して、急な停止や停止線を超えることなく安全に停車できるようにしましょう。
バック時の感覚を習得する
バックは大型自動車運転の難関の一つです。早い段階でバック時の感覚を掴むことが重要で、特に荷台の後端を確認することがポイントです。後方確認の練習を重ね、ゆっくりと確実にバックできるように心がけましょう。
オーバーハングの長さを理解する
大型自動車のオーバーハング、つまり後輪から後端までの部分は長く、この部分の長さを理解しておくことが必要です。特に曲がる際にはこの長さを意識し、隣の車線へのはみ出しを避けましょう。
方向転換は軸タイヤを基準にする
大型自動車の方向転換では、軸タイヤを中心に考えることが大切です。軸タイヤを基準にハンドル操作をおこない、特に後輪の位置に注意しながら慎重に方向転換をおこないましょう。方向転換時には縁石や障害物に注意し、安全な転換を心がけてください。
難易度が高いと言われる大型免許に関して
これから大型免許を取得する人向けに、あらためて大型免許とは何なのか、どのような種類があり、どのような車両を運転できるのか、詳しく解説します。
大型自動車とは:最大積載量が6.5tを超える車両
大型免許とは、「大型自動車」の運転に必要な免許のことです。大型自動車とは、車両総重量が11トン以上、最大積載量が6.5トンを超えるもの、または乗車定員が30人以上の車両が該当します。
これらの大型自動車は、大量の貨物輸送や多くの乗客を運ぶために設計されており、特に物流や公共交通などの分野で広く利用されています。
第一種と第二種の大型免許の違い
大型免許には「第一種」と「第二種」の二種類が存在し、それぞれ運べる内容が異なります。詳しくは以下の通りです。
第一種大型免許
第一種は主に個人用途または業務用途での運転に使用されます。車両の総重量や乗車定員に応じた大型自動車の運転が可能です。一般的な運送業や貨物運搬など、商業的な目的で使用されることが多いです。
第二種大型免許
第二種は特に人を運ぶことを目的とした大型自動車、例えばバスやタクシーなどの運転に必要な免許です。
第二種免許を持つ運転手は、人の安全を預かる責任があるため、より厳しい運転技術と法律の知識が求められます。また、健康状態や運転に関する道徳的な要素も審査の対象となります。
大型免許で運転できる車
大型免許を取得した人が運転できる車両は以下の通りです。
- 普通自動車
車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満、乗車定員10人以下の車両が運転可能です。
- 原動機付自転車
エンジン付きの自転車も、大型免許を持っていれば運転できます。
- 小型特殊自動車
特定用途向けの小規模な特殊車両も運転範囲に含まれます。
- 準中型自動車
車両総重量が3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量が2トン以上4.5トン未満、乗車定員10人以下の車両を運転できます。
- 中型自動車
車両総重量が7.5トン以上11トン未満、最大積載量が4.5トン以上6.5トン未満、乗車定員が11人以上29人以下の車両に対応しています。
- 大型自動車
このカテゴリーには、車両総重量が11トンを超え、最大積載量が6.5トン以上、乗車定員が30人以上の大型自動車が含まれます。
関連記事:二種免許の取得は難しい?最短8日で取れるって本当?費用や勉強のコツ
難易度が高いと言われる大型免許の取得条件
大型免許を取得するには、事前に普通自動車免許、準中型免許、中型免許、あるいは大型特殊免許のいずれかを所持していることが前提条件です。
また、運転実績として最低3年以上の経験が求められ、この期間に免許の一時停止があった場合は、その期間を除いた運転経験が3年以上である必要があります。
視力の要件は通常の普通自動車免許に求められる基準よりも高く、両目で0.8以上、各目で0.5以上の視力が必要です。さらに、運転に適した深視力、聴力、色覚の検査もパスしなければなりません。
難易度が高いと言われる大型免許の取得に使える補助金
大型免許の取得では、補助金を活用することで金銭的な負担を軽減できる場合があります。代表的な補助金の制度は以下の2つです。
人材開発支援助成金
事業主が従業員のスキルアップや資格取得を支援する目的で提供される制度です。特に、「若年人材育成訓練」プログラムは、若手労働者の成長とキャリア構築を促進するものです。
教育訓練にかかる費用の最大45%が補助され、条件によっては60%までの補助が得られることもあります。対象者は35歳未満で、雇用保険に加入している労働者です。詳しくは厚生労働省のサイトを参照してください。
教育訓練給付制度
この給付制度は、労働者の自己啓発を支援することを目的としており、指定された講座を修了した際に受講料の一部が補助されます。
大型免許取得も対象となっており、「特定一般教育訓練」によって受講料の40%が給付されます。ただし、給付金には上限が設けられており、また指定された教習所でしか制度を利用できません。なお、受給資格には雇用保険加入期間など特定の条件があります。詳しくは厚生労働省のサイトを参照してください。
難易度が高いと言われる大型免許に関するまとめ
大型免許の取得は、その特性上難しいと見なされることが多いです。内輪差の管理、特有のブレーキシステムへの適応、方向転換の技術など、大型車特有の難易度の高さがあるのです。
しかし、適切な訓練と練習を重ねることで、これらの課題を克服できる見込みは十分にあります。大型免許を保持していれば、応募できる求人の数もかなり増えますので、大型トラックドライバーへの転職を検討中の方は、ぜひ大型免許の取得を目指してみてください。
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