トラックドライバーは全国で不足しており、多くの企業が積極的に採用活動を行っています。
しかしながら、応募自体が少なく応募があったとしても面接後に途中でキャンセルとなってしまい、人材不足が続いているという企業も少なくありません。
ドライバー採用は、ちょっとしたコツを意識するだけで、採用数を上げられます。
今回は、ドライバー採用が難しい理由と、採用を成功させるコツについて解説していきます。
ドライバー採用が難しい5つの理由
積極的に採用活動を行っているのにもかかわらず、なかなか採用できない理由には複数の理由があります。
運送業界に対するイメージや、若い人材が仕事に求めることの変化です。
まずは、採用が難しくなっている5つの理由について解説していきます。
有効求人倍率が上昇傾向だから
冒頭でもお伝えした通り、景気が回復傾向にある中でドライバーの需要も高まっており、全国でドライバー不足が問題となっています。
トラックドライバーの有効求人倍率は平成21年のリーマンショック以降、年々上昇してきており、平成28年には2.33倍にまで上がりました。
直近に関しても令和4年では2.26倍と高い状態を推移しています。
他の業界も人材不足となっているため、若手人材の取り合いが起こっており、採用が難しくなっています。
家族に反対されるから
家族が運送業界への就職に反対していることも、採用が難しくなっている理由の1つです。
運送業界では賃金の引上げや労働環境の改善など、さまざまな人材確保に関する取り組みが行われています。
しかしながら、昔の「きつくて危険」といったイメージを持っている人は未だに多く、長く働き続けることを反対されて、就職を諦める人も少なからずいます。
労働条件が厳しいから
近年は、ドライバー人材の確保に向けた労働環境の改善が進められていますが、未だに労働条件は厳しいと言えます。
就職先を決める際に比較されやすい年間労働時間では、全産業の平均を中型・大型トラックドライバー共に、300~400時間上回っているのが現状です。
また、年間所得額に関しても、全産業平均を下回っており「長時間労働で給料が安い」といった現状を知って、就職を諦める人もいます。
出典:自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト|厚生労働省
求職者の考え方が変化したから
昔は仕事に対し収入や安定を求めている人が多くいました。
しかし現在では、仕事に求める内容が変わってきており「プライベートの充実」を一番に求める人が増えてきています。
そのため、休日が少なく残業の多い業界は避けられる傾向にあり、運送業界もそれに含まれているのが現状です。
2024年問題で収入が減少するから
最近になり、多くのメディアで取り上げられているのが「2024年問題」です。
時間外労働時間の制限などが定められており、求職者からすると良いことのように思われそうですが、そうでもありません。
長時間労働が減った分、運送会社の収益も下がり、結果的にドライバーの収入も下がるという予想があるためです。
実際に施行されてみなければどうなるのか分からないため、直前での就職を避けている人も少なからずいます。
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ドライバー採用を成功させる8つのコツ
ドライバー人材の確保は難しいのが現状ですが、中には若手人材の確保に成功している会社も存在します。
採用に成功している会社の特徴は「運送業界やドライバーに対する悪いイメージを払拭できている」ことです。
ここでは、悪いイメージを払拭してドライバー採用を成功させる、具体的なコツについて解説していきます。
採用サイトを充実させる
最近の求職者の多くは、就職活動時に採用サイトをチェックすることが分かっています。
そのため、取引先向けの自社サイトだけでなく採用ページがあるのとないのでは、応募数に大きな差が出ます。
運送業界に対する悪いイメージを払拭するために、家族向けのページを設けている会社もあるほどです。
前述した運送業界を避ける理由を解消できるような、会社の魅力を載せるなどして応募しやすくなるように工夫してみましょう。
未経験者でも積極的に募集する
運送業界に挑戦する前から、中型免許や大型免許を持っている人は非常に稀な存在だと言えます。
採用側としては即戦力を求めたい気持ちも分かりますが、未経験者も歓迎することにより対象者の幅を大きく広げられます。
また、未経験者を歓迎するのであれば運転免許の資格取得制度も設けて、積極的にアピールするようにしましょう。
経験者を採用するなら条件を提示する
未経験者を歓迎するのと同時に経験者からの応募も増やすためには、具体的な条件提示が大切です。
経験者が転職活動をする理由は、以前の会社よりも待遇を良くしたいからです。
経験者は何度も転職を繰り返さないためにも、求人の具体的な条件を確認します。
経験者であれば給料がいくらになるのか、残業はどれくらいあるのか、運搬するのは手積みの貨物なのか、詳しく記載するようにしましょう。
給与面での魅力を伝える
前述した通り、トラックドライバーの平均年収は全産業の平均年収を下回っており「収入が低い」といったイメージを持っている人は少なくありません。
そのため、トラックのサイズ別の給与提示や、手当の詳細に関してもしっかり伝えるようにしましょう。
また、入社時だけではなく、1〜3年目の年収例を載せるとイメージしやすくなります。
ただし、応募数を増やしたいからと嘘の記載をすると、すぐに辞めてしまい悪い口コミも広がるため注意が必要です。
イメージが湧くような情報を伝える
トラック運転手は、力仕事が多く長時間労働のイメージを持たれがちです。
このようなイメージを払拭するには、具体的な仕事の流れを記載するようにしましょう。
一日の流れや繁忙期の残業時間などを記載することにより、応募数が増えるだけでなく、入社後のギャップによる離職率を抑えやすくなります。
女性ドライバーの不安を取り除く
最近ではドライバー不足解消のため、国では女性の運送業界での活躍にも力を入れています。
運ぶ荷物によっては女性でも十分活躍可能であり、年々従事者数が増えてきています。
そのため、女性に向けて悪いイメージを払拭できるような情報も記載するようにしましょう。
労働環境の良さや、育児との両立に関する情報がおすすめです。
休日や残業の仕組みを説明する
若年層は収入よりもプライベートの充実を重視する傾向にあるため、お盆や年末年始の休暇に関する情報も記載するようにしましょう。
また年間休日数や有給休暇取得率の記載も重要です。
シフト制を設けている場合には、休みの取りやすさもアピールすることにより好印象を持たれやすくなります。
安全面への取り組みをアピールする
トラックは些細なミスが大事故に繋がる恐れがあり、危険性を気にして就職を反対する人もいます。
そのため、普段行っている安全面への取り組みも、なるべく具体的に載せるようにしましょう。
具体的には安全講習の実施や、ドライブレコーダーの解析などがあります。
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ドライバー採用が難しいなら女性を積極的に採用する
前述した通り、国土交通省では女性ドライバーの活躍を推進しており、さまざまな活動を行っています。
女性ドライバーが定着することにより、会社のイメージも上がり、更に多くのドライバーを集めやすくもなります。
女性の採用経験がない場合には、国土交通省が公表している「女性ドライバーに関するガイドライン」を参考にしてみると良いでしょう。
出典:若年層・女性ドライバー就労育成・定着化に関するガイドライン|国土交通省
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ドライバー採用が難しい理由に関するまとめ
今回は、ドライバー採用が難しい理由と、採用を成功させるコツについて解説してきました。
近年は全国でドライバー不足が深刻化しており、多くの企業が人材採用に苦戦しています。
応募が少ない主な理由には、運送業界に関する悪いイメージや将来性があります。
しかしながら、会社の労働環境改善に関する取り組みや、待遇の良さをアピールできれば、採用を成功させることは可能です。
なるべく具体的に労働条件も記載するなどして、安心して応募してもらえるようにしましょう。