バスは、人々の生活に欠かせない交通機関の1つであり、毎日多くの人が利用しています。
一方で、現役運転手の高齢化に伴う、人手不足が深刻化している状態です。
若手人材の確保を目的に、バス会社では資格取得支援制度の導入や、労働環境の改善といった対応が進められています。
このような取り組みもあり、異業種からバス運転手へ転職する人が増えてきています。
そこで今回は、バス運転手になるメリット・デメリットを中心に、仕事内容や将来性なども詳しく解説していきます。
バス運転手になる6つのメリット
運転系の仕事には、タクシーやトラック運転手などもありますが、バス運転手になるメリットとしては、以下のような内容があります。
- 運転好きは楽しく働ける
- 長期的に働ける
- 人間関係の煩わしさが少ない
- 平日に休める
- 直接感謝の声をもらえる
- さまざまな場所に行ける
なぜこのようなメリットがあるのか、バス運転手の具体的な業務内容を踏まえながら詳しく解説していきます。
運転好きは楽しく働ける
車の運転が好きな人にとっては「仕事のメインが運転」であること自体がメリットと言えます。
バス運転手になれば、好きな運転を通じて多くの人の役に立ち、社会貢献ができます。
普段運転できない大型車両を操作できることも魅力と言えるでしょう。
安心安全な運行を続けることは、決して簡単なことではなく辛いこともありますが、やりがいを持って働けます。
長期的に働ける
バスは公共交通機関の1つとして、多くの人が利用しており国内のあらゆる地域で需要があります。
将来的にも、急に需要がなくなることは考えにくく、運転スキルを身に付ければ長期的に働き続けられます。
トラック運転手と異なり、力仕事がなく高齢になっても仕事を続けやすいこともメリットと言えるでしょう。
仕事内容がほぼ同じであるため、路線バスから観光バスの運転手に転職するような人もいます。
また、バス運転手の経験を活かし、運行管理者などへのキャリアアップも可能です。
人間関係の煩わしさが少ない
バス運転手は、仕事中の大半を一人で過ごすため、人間関係の煩わしさがないこともメリットと言えるでしょう。
機嫌の悪い上司から理不尽な指示を出されたり、部下との板挟みになったりするようなことはありません。
仕事中は、運転業務だけに集中できます。
乗客との距離が比較的近いため、必要最低限の接客はあるものの、目の前の仕事にひたすら集中したいといった人に最適な仕事と言えるでしょう。
平日に休める
平日に休みを取れることも、バス運転手のメリットと言えるでしょう。
バスは通勤や通学、各種施設への移動で利用されるため、曜日に関係なく1年中運行しています。
そのため、バス運転手はシフト制が基本であり、平日休みもあります。
土日と違って人が少ないため、人気のお出かけスポットも並ぶことなく、気軽に利用可能です。
シフト制であるため、事前に希望を出せば土日に休むこともできます。
直接感謝の声をもらえる
バス運転手は、乗客との距離が近く毎日利用する人が多いことから、直接感謝の声をかけてもらえる機会があります。
さまざまな人から「今日もご苦労様」「ありがとう」といった声をかけてもらうことで、仕事に大きなやりがいを持てるようになります。
現役運転手からは「地域の人たちとの触れ合いが楽しくて仕事を続けている」といった声もありました。
さまざまな場所に行ける
観光バス運転手の場合、仕事を通じて国内のさまざまな場所を巡れます。
美しい景色を見ながら運転したり、その地域の美味しいものを食べたりすることも可能です。
修学旅行や社員旅行といった、人生の思い出作りをサポートできることもバス運転手ならではの魅力と言えるでしょう。
仕事で身に付けた運転スキルは、休日のドライブなどにも活かせます。
バス運転手になる5つのデメリット
バス運転手になるデメリットには、以下のような内容があります。
- 接客がストレスになる
- 休みが不規則になりがちになる
- バス会社によっては給料が低い
- 乗客を乗せているため集中力が必要になる
- 事故に遭遇するリスクがある
なぜこのようなデメリットがあるのか、バス業界の実情も踏まえながら解説していきます。
接客がストレスになる
バス運転手は、乗客との距離が近く感謝の言葉をかけてもらえる一方で、クレームを受けることも珍しくありません。
「もっと丁寧な接客をしてほしい」「渋滞のせいで予定に間に合わない」といった内容です。
プロとして真摯に受け止めなければならないものもあれば、運転手に全く関係のないようなクレームもあります。
些細なことが原因でトラブルに発展するケースもあり、精神的な負担に辛さを感じている運転手も少なくありません。
休みが不規則になりがちになる
休みが不規則であることは、メリットでありデメリットでもあります。
バス運転手は、シフト制が基本であり前もって旅行などの計画が立てにくいからです。
他の人が連休となるお盆や年末年始も運行があるため、周りと合わせて休めない可能性があります。
特に観光バスは、土日や祝日の運行がメインとなるため、家族や友人と出かけにくいと言えるでしょう。
また、早番や遅番といった勤務があるため、生活自体も不規則になりがちです。
バス会社によっては給料が低い
バス運転手は、給料が低いこともデメリットと言えます。
職業情報提供サイト「jobtag」が公表している、令和4年度におけるバス運転手の平均年収は398万7,000円です。
国民全体の平均年収が438万ほどであるため、全体の水準よりも約40万円低いことになります。
より高収入を目指すことも可能ではあるものの、長時間の残業や休日出勤、夜間の運行が必須と言えるでしょう。
「仕事量と収入が見合っていない」といった声も少なくありません。
乗客を乗せているため集中力が必要になる
大型車両の運転は、ちょっとしたミスが大きな事故につながる恐れがあるため、運転中は常に集中しておかなければなりません。
混雑時は、立ったままの乗客もいるため、ブレーキがほんの少し強かっただけでも、転倒などによるけが人が発生してしまう可能性があります。
停留所で乗客を乗せた後の出発に関しても「急に割り込まれた」といったクレームが入りやすく、神経を使う仕事と言えるでしょう。
人手不足による長時間労働も珍しくなく、心身ともに疲弊してしまう運転手も少なくありません。
事故に遭遇するリスクがある
毎日、大型バスを運転する中で、避けられないリスクとしてあるのが「交通事故」です。
徹底した研修を受けたベテランドライバーであっても、絶対に事故しないとは限りません。
相手側が急にぶつかってくるといった、避けようのない事故もあります。
このような事例も含め、交通事故を起こした運転手は乗務停止となるのが一般的です。
部署異動や解雇といったことは稀であるものの、収入の減額は避けられません。
「免許がなくなれば失職するので、プライベートの運転にも気を遣わなければいけない」といった声もありました。
バス運転手の種類と仕事内容
バスは、運行形態などによって、以下の通り4種類に分かれます。
- 路線バス
- 観光バス
- 高速バス
- 送迎バス
どのバス運転手も運転がメインであるものの、具体的な業務内容や仕事の流れが異なります。
【路線バス運転手】 ・停留所におけるドアの開閉や運賃の収受 行き先や途中の経路などについて質問されることもあり、4種類の中で最も接客が多い特徴があります。 |
【観光バス運転手】 地元の観光地を巡ることもあれば、数日かけて遠方の観光地へ向かう運行もあり、泊りがけとなるケースもあります。 地域によっては繁忙期と閑散期の差が大きいといった特徴もあります。 |
【高速バス運転手】 朝方に目的地へと到着する夜行バスも多く、深夜勤務も珍しくありません。 歩行者の多い交差点を通過したり、狭い道を通るようなことはないものの、80キロ以上で走行しているため、常に集中しておかなければなりません。 |
【送迎バス運転手】 朝と夕方のみといった時間の限られた運行や、1時間に数本のペースで停留所と目的地を何度も行き来する運行があります。 拘束時間が短く比較的負担が少ないため、体力に自信のない人でも従事しやすい一方で、収入が少ないことがデメリットです。 |
バス運転手は、上記業務の他にも出勤前の車両点検や、運行後の給油・洗車なども行います。
バス運転手に必要な資格
バス運転手の求人には、未経験者を歓迎するものが多くありますが、運転手として従事する際は「大型二種自動車運転免許」が必ず必要です。
二種免許とは、お金をもらって旅客運送する場合に必要となる免許で、普通二種免許や中型二種免許もあります。
大型二種免許の取得には「21歳以上で普通免許などを取得してから3年以上経過していること」が条件として定められています。
ただし「受験資格特例教習」を受講すれば、19歳以上で普通免許などを取得してから1年以上経過していれば二種免許取得にチャレンジできます。
近年は「資格取得支援制度」を導入するバス会社が増えてきており、入社後に会社の費用負担で、大型二種免許を取得することもできます。
そのため、バス会社に入社する上で必須となるのは、普通運転免許のみです。
求人によって、普通運転免許を取得してからの経過年数が異なるため、注意しましょう。
ちなみに、運転免許を取得した後は、バス会社で2〜3ヶ月間の研修を受ける流れです。
バス運転手の現状と将来性
近年は、自動運転の技術的進歩が著しく、交通産業での導入も期待されています。
バス業界の現状や、バス運転手の将来性に対して不安を感じる人もいるのではないでしょうか。
ここでは、バス業界やバス運転手の現状について、詳しく解説していきます。
需要の高さに対して人手不足
ここまで解説してきた通り、バスは人々の生活に欠かせない交通機関であり、多くの人が利用しています。
都市部はもちろん、電車が通っていないような地域では、コミュニティバスが住民の交通手段となっています。
また、近年では新型コロナウイルスの流行が収まってきたこともあり、インバウンド需要が元に戻りつつあります。
そのため、都市部や観光地を中心に需要が高まっており、人手不足となっているのが現状です。
現役運転手の高齢化も問題となっており、団塊世代が一気に引退してしまった場合、人不足がより深刻化すると懸念されています。
労働環境は改善の兆しがある
バス業界全体の人手不足を受けて、各バス会社では労働環境の改善に向けた取り組みが積極的に進められている状況です。
長時間の拘束を抑制する仕組みの構築が行われており、若手人材の確保を目的とした福利厚生の充実も進められています。
そのため、バス運転手の求人は未経験者を歓迎するものが多く、寮や社宅の完備だけでなく入社祝い金や、引っ越し費用を負担している会社もあるほどです。
2024年4月には、バス業界に対する「働き方改革関連法」の適応も控えており、より働きやすい環境が整っていくと予想されます。
バス運転手になるメリット・デメリットに関するよくある質問
ここでは、バス運転手になるメリット・デメリットに関する、3つのよくある質問に答えていきます。
・バス運転手のやりがいは何ですか?
・バス運転手に向いているのはどのような人ですか?
・大型二種自動車運転免許がないと就職できませんか?
バス運転手の適性や、転職する上での条件に関する内容ですので、参考にしてみてください。
バス運転手のやりがいは何ですか?
バス運転手のやりがいには、以下のようなものがあります。
・お客様から感謝の言葉をかけてもらえる ・お客様との一期一会の出会いがある ・交通機関の運転手として社会に大きく貢献している |
路線バスは、毎日多くの人が利用しており人々の生活に欠かせない交通機関です。
特に高齢者は、自分で車を運転するのが難しく、バスがなくては生活が成り立たないといった人も珍しくありません。
そのため、普段の運行の中で直接感謝の言葉をかけてもらえやすく、人の役に立っていることを実感できます。
観光バスの場合は、乗客とすごす時間が長く観光地巡りを通じて、思い出作りのサポートができます。
人々の生活を豊かにする、社会貢献度の高い仕事と言えるでしょう。
バス運転手に向いているのはどのような人ですか?
バス運転手に向いているのは、以下のような人です。
・運転が好き ・1人で黙々と仕事に打ち込むのが好き ・接客が得意 ・誠実に仕事と向き合える ・時間管理や体調管理ができる ・ストレス耐性がある |
バス運転手のメイン業務は運転であるため、運転が好きであることが特に重要です。
運行中は1人で業務をこなすため、黙々と仕事に打ち込むのが得意な人が向いていると言えるでしょう。
仕事の特性から、時間管理や体調管理を厳しくできる人や、ストレス耐性がある人もバス運転手に向いていると言えます。
大型二種自動車運転免許がないと就職できませんか?
大型二種自動車運転免許がない人でも、バス会社への転職は十分可能です。
近年は、福利厚生の一環として「資格取得支援制度」を導入しているバス会社が多く、入社後に免許取得できます。
そのため「普通運転免許」のみ取得していれば、バス運転手への転職が可能です。
普通免許は、取得してから1〜3年以上経過していることが条件となるため、必ず応募前に求人詳細で調べておくようにしましょう。
バス運転手のメリット・デメリットについてのまとめ
バス運転手は将来性が高く、運転スキルを身に付けることで長期的にバス業界で活躍できます。
運行中は、1人で業務をこなすことから、人間関係の煩わしさなどはありません。
観光バスに乗務する場合は、さまざまな場所を走れることもメリットと言えるでしょう。
一方で、日頃の接客や利用者からのクレームがストレスになりやすく、仕事量に収入が見合っていないといったデメリットがあります。
今回紹介したバス運転手のメリット・デメリットや、運行の種類による業務の特性を理解した上で、バス運転手への転職を検討してみてください。
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