バス運転手の女性割合や年収水準が、実際どれくらいなのか気になる人も多いでしょう。
『令和5年版交通政策白書』によると2021年時点で、バス運転手の女性割合はわずか1.7%です。また、女性バス運転手の月収は概ね25万から30万円、年収は約350円から約500万円と言われています。
この記事では、バス運転手の女性割合がなぜ1.7%なのかについて給料・年収とあわせて解説します。女性バス運転手を目指している人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
バス運転手の女性割合はわずか1.7%
バス運転手の女性割合は、国土交通省の『令和5年版交通政策白書』によると、2021年時点で全国平均で約1.7%です。ただし、2012年の割合が1.4%でしたので、緩やかではありますが増加傾向にあります。
一方で、2021年の全産業における平均男女割合は男性54.5%、女性45.5%のため、バス運転手の女性割合が極めて低いことが見て取れます。
参考:バス運転者を巡る現状について 平成26年4月25日 自動車局|国土交通省
参考:06 Ⅰ令和3年の働く女性の状況【修正】|厚生労働省
参考:令和5年版交通政策白書|国土交通省
バス運転手をしている女性の給料は月25〜35万円程
2023年3月に公開された『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、運輸業に従事する女性の平均月収は約26万円でした。
ただし、令和4年賃金構造基本統計調査には、運転手だけでなく事務職などの職能も含まれています。一般的に、事務より運転手のほうが高年収と言われているので、実際にはもう少し高い可能性があります。
したがって、女性バス運転手の月収は、概ね25万円から35万円と言えるでしょう。
参考:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類 | ファイル | 統計データを探す|政府統計の総合窓口
バス運転手をしている女性の年収は約350〜500万円
先ほどにも触れた通り、2023年3月に公開された『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、運輸業に従事する女性の平均月収は約26万円です。また、平均年間賞与額が約46万円のため、平均年収は約365万円になります。
また、運輸業に従事するすべての女性の平均年収のため、運転手の年収に限定するともう少し高くなると言われています。
したがって、女性のバス運転手の平均年収は、概ね350万円から500万円と言えるでしょう。
参考:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類 | ファイル | 統計データを探す|政府統計の総合窓口
バス運転手をしている女性が少ない3つの理由
女性のバス運転手が少ない理由は、主に3つと言われています。
- 採用をしていないバス会社が多い
- 家庭の両立が難しい
- 働きやすい勤務形態が整っていない会社が多い
それぞれについて解説します。
採用をしていないバス会社が多い
長年、バス運転手は男性の仕事とのイメージが根強く、女性ドライバーを積極的に採用していないバス会社が存在します。
そのため、女性用制服や設備が整っていなかったり、女性が働きやすい環境が整っていなかったりするので、そもそもの応募を抑制している可能性があるようです。
しかし、近年、バス業界全体で人手不足が深刻化しており、女性を積極的に採用する動きが活発化しています。
たとえば、女性採用に積極的なバス会社では、次の取り組みを行っています。
- 求人情報を発信
- 女性ドライバー活躍促進の職場説明会を開催
- 専用の休憩室や更衣室を整備
- 育児休暇や介護休暇などの制度を充実
今後、女性バス運転手の採用が進めば、業界全体の人材不足解消に大きく近づくでしょう。
家庭の両立が難しい
バス運転手の仕事は、早朝や深夜の勤務も多く、不規則な勤務時間です。子育てや家事との両立が難しいと感じる女性が多く、応募を躊躇してしまう要因となっています。
女性バス運転手の採用に注力する企業の取り組み例は、次の通りです。
- 勤務時間の短縮やフレックスタイム制の導入
- 休憩時間の確保
- 育児休暇や介護休暇などの制度の充実
- 女性が過ごしやすい設備や制度の整備
これらの取り組みを行っている企業では、女性バス運転手から「大変好評」との声が上がっています。
働きやすい勤務形態が整っていない会社が多い
長時間労働や休憩時間の少なさは、体力的に女性にとって負担が大きいと感じることもあります。また、業界全体で人材不足のため、繁忙期は、特に休みも取りづらいようです。
他にも、高速バスの運転手などの場合には夜勤もあり、さらに家庭との両立は難しいかもしれません。
より働きやすい勤務形態を整えるため、9時から15時までの当番勤務制を採用するなど、労働環境の整備に力を入れている会社もあるようです。
バス運転手に関する実際ある女性求人の事例3選
バス運転手に関する女性求人の事例を3つ紹介します。
- 事例①:西日本鉄道株式会社
- 事例②:都タクシー株式会社(都観光バス)
- 事例③:日立自動車交通株式会社
事例①:西日本鉄道株式会社
西日本鉄道株式会社では、日本一多くの女性バス運転手が在籍しているようです。同社では、産休・育休に加えて、時短勤務などの制度も整備されています。
他にも、営業所には女性専用のロッカールームなどが設けられています。
参考:西日本鉄道株式会社【西鉄バス】の求人|バス運転手専門の求人サイト「どらなび」
事例②:都タクシー株式会社(都観光バス)
都タクシー株式会社は、創立80年以上になる老舗企業です。同社では、さまざまな労働環境の整備に加えて、社内保育所などを準備して女性の活躍をサポートしています。
参考:都観光バスの求人|バス運転手専門の求人サイト「どらなび」
事例③:日立自動車交通株式会社
日立自動車交通株式会社には、主婦からトラックドライバーまでさまざまなバックボーンを持つ女性のバス運転手が在籍しています。
同社には、オートロック付きの女性専用化粧室が設けられているため、安心して業務の準備ができるようです。
参考:日立自動車交通の求人|バス運転手専門の求人サイト「どらなび」
バス運転手の女性に関するよくある質問
女性バス運転手に関して、よくある質問は次の通りです。
- 観光バスの女性ドライバーになる魅力は何がありますか?
- 初の女性バス運転手は誰ですか?
- バス運転手はどんな人が向いていますか?
それぞれについて解説します。
観光バスの女性ドライバーになる魅力は何がありますか?
観光バスの女性ドライバーになる魅力は、比較的、自分のペースで働けたり、仕事を通じて観光地に行けたりする点です。
観光バスの運転手は、日中の勤務が多いため、生活リズムが安定しやすいと言われています。
初の女性バス運転手は誰ですか?
観光バスで全国初の女性運転手は、1986年に入社した『京阪バスの中森真理さん』です。
参考:全国初の観光バス女性運転手、今も京都で現役 「運転しやすくなっている」理由とは|京都新聞
バス運転手はどんな人が向いていますか?
バス運転手は、車の運転や接客好きの人が向いていると言われています。
また、バス運転手は、多くのお客さまの命を預かる責任のある仕事です。安全運転を常に意識し、責任感を持って仕事に取り組める必要もあるでしょう。
まとめ
今回は、バス運転手の女性割合がなぜ1.7%なのかについて給料・年収と合わせて解説しました。
バス運転手の女性割合は、2021年時点で全国平均で約1.7%です。ただし、2012年の割合が1.4%でしたので、緩やかな増加傾向にあります。
運輸業に従事する女性の平均月収が約26万円で、年間賞与額などを含めた平均年収は約365万円です。ただし、統計調査には運転手だけでなく事務職などの他職能も含まれています。したがって、実際には、もう少し高い月収ならびに年収になる可能性があります。
今後、女性でバス運転手への就職を検討しているのであれば、チャレンジしてはいかがでしょうか。