1級自動車整備士の取得を目指している人の中には、合格率や効率の良い学習方法を気にしている人もいるでしょう。
実際、1級自動車整備士試験の合格率は25%から45%程度と言われています。また、過去問や試験スケジュールが公開されているので、前もった対策が可能です。
この記事では、1級自動車整備士の試験内容・合格率・勉強方法・合格体験談などを詳しく解説します。1級自動車整備士を検討しているのであれば、ぜひ参考にしてください。
1級自動車整備士の合格率:約25〜40%
1級自動車整備士の合格率は25%から45%程度と言われています。
1級の試験は学科と実技の2種類です。加えて、学科は筆記と口述に分かれています。
したがって、合格率は、筆記・口述・実技のそれぞれで公開されています。
1級自動車整備士の筆記・口述・実技の合格率は、次の通りです。
年度 | 種類 | 受験者数 | 合格率 |
平成30年度 | 筆記 | 3,403人 | 49.3% |
口述 | 1,682人 | 95.2% | |
実技 | 277人 | 19.9% | |
令和元年度 | 筆記 | 2,825人 | 52.7% |
口述 | 1,554人 | 96.4% | |
実技 | 370人 | 73.8% | |
令和2年度 | 筆記 | 2,529人 | 61.1% |
口述 | 1,592人 | 99.2% | |
実技 | 372人 | 35.5% | |
令和3年度 | 筆記 | 2,341人 | 59.0% |
口述 | 1,397人 | 95.1% | |
実技 | 367人 | 56.1% | |
令和4年度 | 筆記 | 2,456人 | 53.0% |
口述 | 1,364人 | 97.6% | |
実技 | 294人 | 64.3% |
ただし、令和9年から口述試験は廃止され、実技に組み込まれる予定です。
参考:試験結果(受験者及び合格者数等) | 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)
1級自動車整備士の概要と受験資格
1級自動車整備士の概要と受験資格をおさらいしておきましょう。
- 1級自動車整備士資格の種類と特徴
- 1級自動車整備士の業務範囲と役割
- 1級自動車整備士の受験資格と条件
- 実技試験免除の条件と対象者
上記のポイントに分けて解説します。
1級自動車整備士資格の種類と特徴
1級は令和6年時点で3種類に分けられています。
- 1級小型自動車整備士
- 1級大型自動車整備士
- 1級二輪自動車整備士
小型と大型の違いは次の通りです。
1級小型 | 1級大型 | |
総重量 | 8t未満 | 8t以上 |
最大積載量 | 2t以下 | 2t以上 |
乗車定員 | 11名以下 | 11名以上 |
また、大型と二輪の試験は開催されていないので、一般的に「1級=小型」と認識されています。
さらに、令和9年からは小型と大型の区分がなくなり、2種類になる予定です。
- 1級自動車整備士(総合)
- 1級自動車整備士(二輪)
1級自動車整備士の業務範囲と役割
1級自動車整備士の資格があれば、分解・修理・整備など、幅広い業務を担当できます。
基本的には、自動車整備に関するすべての仕事ができると考えて問題ないでしょう。
しかし、1級自動車整備士を取得していても検査員の検査業務のみ担当できません。
1級自動車整備士の受験資格と条件
1級自動車整備士は、一般的に2級を取得後、3年の業務経験が必要です。
しかし、一種養成施設で養成課程を修了した場合、実務経験がなくても1級の受験資格を得られます。
一種養成施設とは、整備専門学校・高校・職業能力開発校などです。
実技試験免除の条件と対象者
一種養成施設ならびに二種養成施設で養成課程を修了した場合、修了後2年間は実技試験が免除されます。
したがって、独学で1級自動車整備士を目指す場合は、学科だけでなく実技も取得しなければなりません。
1級自動車整備士に合格する3つのコツ
1級自動車整備士に合格するコツは主に3つです。
- 効果的な試験勉強のためにスケジュールを立てる
- 試験合格者に教えてもらう
- 教材を使って勉強する
それぞれについて解説します。
効果的な試験勉強のためにスケジュールを立てる
1級自動車整備士の登録試験は、年に1回しかありません。したがって、計画的に試験勉強しなければ、次の試験まで1年待たなければなりません。
独学の場合、1日2時間から3時間程度の勉強時間を確保することが望ましいと言われています。
試験合格者に教えてもらう
試験合格者は、試験内容や勉強法に関する理解と、合格を勝ち取った経験があります。
したがって、必要な知識やスキルのポイントを的確にアドバイスしてくれるはずです。
限られた時間で最大限の効果を得られる学習計画を立てられるでしょう。
教材を使って勉強する
1級自動車整備士の勉強には、テキストや過去問を使用しましょう。
テキストを使用すれば、幅広い知識習得ができ練習問題も経験できます。
さらに、過去問を活用すれば、苦手分野を把握したり試験の傾向を掴んだりできるでしょう。
1級自動車整備士の合格率を高める試験対策
1級自動車整備士の合格率を高める具体的な試験対策を2つのポイントに絞って解説します。
- 試験当日の心構えと対処法
- 筆記・口述・実技試験の具体的な対策
余裕を持って試験会場に行く
試験当日は、余裕をもって会場に到着しておきましょう。受験会場では早く受付ができなければ、試験開始までの待ち時間が長いため苦労します。
早めに受付を済ませて、試験までの時間を有効活用しましょう。
参考:自動車整備士を希望されるみなさんへ|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
筆記・口述・実技の具体的な対策をしておく
筆記・口述・実技の試験概要は次の通りです。
筆記 | 口述 | 実技 | |
試験時間 | 100分 | 10分 | 30分 |
問題数 | 50問(50点満点) | 2問(20点満点) | 4問(40点満点) |
合格基準 | 40点 | 16点 | 32点 |
科目 | 構造・機能および取り扱い法点検・修理・調整および完成検査の方法整備用機械に関する初等知識整備用の試験機・計量器および工具の構造・機能および取り扱い法材料および燃料油脂の性質および用法図面に関する一般知識保安基準その他の自動車の整備に関する法規 | 故障診断(問診)整備内容説明 | 基本工作点検・分解・組立・調整および完成検査修理整備用試験機・計量器および工具の取り扱い |
※筆記・実技は、各分野で40%以上の正答率がなければ、基準を超えていても不合格
記載の通り、筆記と実技では、各分野で4割以上の正答率が求められます。
したがって、苦手分野を作らないようにテキストや過去問で入念な復習が必要です。
さらに、実技で使用する工具や車両は事前に公表されます。
確認して使用する工具や車両にあわせた対策を実施しましょう。
参考:令和4年度第2回|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
参考:自動車:試験の内容について|国土交通省
【体験談】1級自動車整備士試験の合格率を高める方法
合格者に聞く1級自動車整備士試験に向けたヒントは3つです。
- ①試験会場には早めに到着しておき、テストの環境に慣れておく
- ②時間配分に気を配り、ストップウォッチを使用する
- ③リラックスして試験に望む
それぞれについて解説します。
①試験会場には早めに到着してテスト環境に慣れておく
試験当日は試験会場に早めに到着して環境に慣れておきましょう。
早めの到着を意識すれば、万一の混雑やトラブルに備えられます。
また、試験会場の雰囲気や机・椅子などに慣れることで、落ち着いて試験に臨めます。
②時間配分に気を配りストップウォッチで確認する
試験時間は限られており、すべての問題に解答するには効率的な時間配分が重要です。
特に、口述試験の場合、ストップウォッチを使って時間管理を忘れないようにしましょう。
③リラックスして試験を受ける
緊張していると集中力が途切れ、本来の力を発揮できません。
試験前日は十分な睡眠を心がけ体調を整えましょう。
試験のために深呼吸などのリラックス方法を練習しておくとよいでしょう。
【最新情報】1級自動車整備士の試験日程や動向
1級自動車整備士の試験日程や動向について3つの視点で解説します。
- 2024年度の試験日程
- 2023年度の試験内容にもとづく動向
- 2023年度の最新データにもとづく合格率と傾向
2024年度の試験日程
1級自動車整備士の登録試験日程は、次の通りです。
- 筆記:3月24日(日)
- 口述:5月12日(日)
- 実技:8月25日(日)
参考:自動車整備技能登録試験日|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
2023年度の試験内容にもとづく動向
筆記の出題分野は大きく5つに分けられています。
また、出題される問題数の内訳は次の通りです。
- エンジン(15問)
- シャシ(15問)
- 故障診断(10問)
- 環境・安全(5問)
- 法令(5問)
エンジンやシャシの問題が多く出題されていますが、すべての分野で40%以上の正答率がなければ不合格です。
したがって、筆記の試験勉強では、山を張らずに全体的に対策しましょう。
実技では、主に4つの分野が問われています。
- 基本工作
- 点検・分解・組立・調整および完成検査
- 修理
- 整備用試験機・計量器および工具の取り扱い
参考:令和4年度第2回|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
2023年度の最新データにもとづく合格率と傾向
令和4年度分の合格率は次の通りです。
- 筆記:53.0%
- 口述:97.6%
- 実技:64.3%
例年、口述の合格率は95%を超えています。一方で、実技の合格率は、直近5年で30%台から70%台と幅広い状況です。
ただし、多くの受験者は、専門学校に通い実技が免除されています。
可能であれば、二種養成施設で所定の課程を修了して、実技の免除を目指しましょう。
その場合、筆記をメインに対策できれば、合格の可能性が高まります。
参考:試験結果(受験者及び合格者数等) | 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)
1級自動車整備士試験に合格する3つのメリット
1級自動車整備士の試験に合格するメリットは主に3つです。
- キャリアの選択肢が広がる
- 高い年収が期待できる
- 独立や起業を狙える
それぞれについて解説します。
キャリアの選択肢が広がる
1級自動車整備士は、さまざまな車両を取り扱えるため市場価値が高いと言われています。
したがって、1級自動車整備士を取得できると、キャリアの選択肢が広がるでしょう。
たとえば、ディーラー・民間整備工場・車両開発部署などへの就職が可能です。
また、昨今では、1級自動車整備士の現場経験を活かして、営業所のマネジメントや経営への参画をしている人もいるようです。
高い年収が期待できる
令和4年賃金構造基本統計調査によると、自動車整備士の平均年収は469.3万円です。
平均年収の計算には2級や3級保持者も含まれているので、1級に限定すると平均年収は高くなると言われています。
1級自動車整備士は、2級・3級と比較して、取り扱える車種の幅が広く重宝されています。
参考:自動車整備士 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
独立や起業を狙える
1級自動車整備士の資格を取得して、独立や起業を果たす人もいるようです。また、独立や起業の場合、年収1,000万円以上を目指せる可能性もあります。
一級自動車整備士の合格率に関するまとめ
今回は、1級自動車整備士の合格率、試験内容と学習のコツを中心に解説しました。
1級自動車整備士の合格率は25%から45%程度と言われています。
また、令和4年度の筆記・口述・実技の合格率は次の通りです。
- 筆記:53.0%
- 口述:97.6%
- 実技:64.3%
合格に向けて、試験勉強のスケジュールを明確に立てましょう。
また、テキストや過去問を活用して、苦手分野をなくす取り組みが大切です。
1級自動車整備士を取得できれば、キャリアが広がり年収アップを期待できます。
これから、1級自動車整備士の取得を検討しているのであれば、チャレンジしてはいかがでしょうか。
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