電気工事の技術者としてのキャリアアップを目指せる資格に「電気工事施工管理技士」があります。受験する前に、資格取得後の年収が気になるという方もいるでしょう。
電気工事施工管理技士になると、監督者として工事全体を管理する立場に就けるため、仕事の幅が広がります。業界内でも重宝される存在となるため、年収アップを目的とした転職も可能です。
今回は、電気工事施工管理技士の年収事情について解説していきます。技術者として年収をさらに上げていく方法も紹介していますので、参考にしてみてください。
【この記事のまとめ】
・電気工事施工管理技士の平均年収は650万円前後と推測される ・正社員求人の平均年収は487万円 ・上位資格や電気工事に関連する資格を取得することで、さらなる年収アップを目指せる ・施工管理技士は、建設業界での需要が高く将来性もある |
電気工事施工管理技士の年収相場
電気工事施工管理技士は、工事全体を管理する役割を担っており責任が大きい分、工事従事者の中でも年収は高めと言えます。
ここでは、電気工事施工管理技士の雇用形態別や、地域別での平均年収について解説します。
電気工事施工管理技士の平均年収
職業情報提供サイトjobtagが公表している、令和5年度における電気技術者の平均年収は、688万2,000円です。年齢別での平均年収は以下の通りです。
年代 | 平均年収 |
~19歳 | 286万3,500円 |
20~24歳 | 356万5,000円 |
25~29歳 | 500万8,000円 |
30~34歳 | 613万1,600円 |
35~39歳 | 670万2,100円 |
40~44歳 | 764万4,700円 |
45~49歳 | 801万8,800円 |
50~54歳 | 841万2,600円 |
55~59歳 | 840万4,200円 |
60~64歳 | 568万3,000円 |
65~69歳 | 543万2,900円 |
70歳~ | 438万8,900円 |
年齢別では、50代が最も高く800万円を超えています。
管理する工事が違うだけで立場や役割が同じである「建築施工管理技術者」の、同年度における平均年収は632万8,000円です。
経験年数などによって多少前後するものの、平均年収は650万円前後と推測されます。
ちなみに、ハローワーク求人統計データによると、令和4年度における電気技術者の求人賃金の平均は28万5,000円です。
出典:職業情報提供サイトjobtag・電気技術者|厚生労働省
出典:職業情報提供サイトjobtag・建築施工管理技術者|厚生労働省
雇用形態別の平均年収
求人に特化した検索エンジン「求人ボックス」が扱う、電気工事施工管理技士の求人データによると、雇用形態別の平均年収は以下の通りです。
・正社員:487万円 ・派遣社員:421万3,440円 ・アルバイト:442万2,528円 ※派遣社員とアルバイトの平均年収は1日8時間・月22日勤務した場合で算出 |
正社員の場合、働き始めでも年収500万円を十分目指せることが分かります。令和4年度における、国民全体の平均年収458万円と比較すると高水準と言えるでしょう。
参考:電気工事施工管理技士関連の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス 給料ナビ
地域別の平均年収
電気工事施工管理技士の、地域別での平均年収(求人データ)は、以下の通りです。
地域 | 平均年収 |
北海道・東北 | 439万円 |
甲信越・北陸 | 454万円 |
関東 | 513万円 |
東海 | 457万円 |
関西 | 478万円 |
中国 | 460万円 |
四国 | 458万円 |
九州・沖縄 | 421万円 |
地域別で求人の平均年収が最も高かったのは関東エリアで、次いで関西エリアでした。都会になるほど建物が多く、工事需要が高いことが関係していると推測されます。
最も低い九州・沖縄エリアでも400万円を超えており、年収水準は高いと言えるでしょう。
参考:電気工事施工管理技士関連の仕事の地域別給料|求人ボックス 給料ナビ
電気工事施工管理技士が年収を上げるコツ
電気工事施工管理技士の平均年収について解説してきましたが、さらに年収を上げることも十分可能です。
どのようなことに取り組めば年収が上がりやすいのか、3つのコツについて解説していきます。
上位の資格取得を目指す
電気工事施工管理技士は、1級と2級に分類されます。2級でも施工管理者として十分活躍できますが、さらに年収を上げたい場合は1級の取得を目指しましょう。
2級では「主任技術者」1級を取得すると「監理技術者」として電気工事に携われるようになります。
1級を取得すると、携われる工事規模に制限がなくなるため、仕事の幅が広がり社内での評価が高まり、年収も上がりやすくなるでしょう。
ちなみに、1級電気工事施工管理技士を取得するには、2級取得後に一定の実務経験を積む必要があります。
関連資格を取得する
電気工事に関する仕事は、専門知識やスキルが必須であることから、有資格者しか行なえない独占業務が多くあります。
活躍の場を広げてさらに収入を上げたい場合は、関連資格の取得がおすすめです。具体的には以下のような資格があります。
・電気工事士:電気工事にて配線や電気設備の設置を行なう
・電気主任技術者:ビルや病院などの電気設備の保守監督を行なう ・電気通信工事施工管理技士:電気通信工事の施工管理を行なう ・電気通信主任技術者:事業用電気通信設備の維持・運用における監督業務を行なう ・エネルギー管理士:エネルギーの使用量を監視や使用効率化に関する指導業務を行なう |
これらの資格を取得することで、社内での評価が高まるのはもちろん、資格手当を支給している会社もあります。
転職をする
電気工事施工管理技士しか就けない「主任技術者」や「監理技術者」は、全ての電気工事で設置が義務付けられています。建設業界には欠かせない貴重な存在です。
近年は、施工管理技士の人材不足も深刻化しており、多くの企業が求人を出しています。技術者として経験を積めば、待遇の良い企業への転職も十分可能です。
電気工事施工管理者の中には、経験を積んだうえで独立する人もいます。会社を設立するかフリーランスで活躍するケースです。
独立は、仕事を取るために営業したり事務作業をこなしたりする必要があるものの、利益を全て自分のものにできます。
収入が保証されているわけではないため、絶対に年収が上がるとは限らないものの、キャリアアップする手段の1つとして検討してみましょう。
電気工事施工管理技士になるなら押さえたい年収以外のこと
電気工事施工管理技士の年収について解説してきましたが、資格を取得するうえで知っておくべきことが他にもあります。
施工管理技士になることで、できるようになることや資格取得のメリットについて解説します。
電気工事施工管理技士にできること
電気工事施工管理技士になると、あらゆる電気工事で設置が義務付けられている「主任技術者」「監理技術者」として工事に携われます。
・主任技術者:全ての工事現場に配置が義務付けられている
・監理技術者:請負金額4,500万円(建築一式は7,000万円)以上の工事現場で配置が義務付けられている |
技術や知識がある人であれば、誰でもできるわけではなく、電気工事施工管理技士の資格を取得している必要があります。
この他では、建設企業の各営業所に設置が義務付けられている「専任技術者」にも選任できます。専任技術者は、適正な請負契約の締結をサポートをする役割を担う存在です。
電気工事施工管理技士になるメリット
電気工事施工管理技士になると、以下のようなメリットがあります。
・1級を取得すればより大規模な工事を担当できる ・企業からのニーズが高まる ・キャリアアップしやすくなる |
電気工事施工管理技士は1級と2級があり、1級を取得すると携われる工事規模に制限がなくなります。大規模な電気工事に携わることで、技術者としてさらに成長できるでしょう。
施工管理技士は、全ての工事に配置が義務付けられていることから、有資格者になると企業からのニーズも高まります。
建設業者が受ける「経営事項審査」では、施工管理技士の在籍が技術力の証明になり、企業評価の加点対象にもなります。
技術者として幅広く活躍できるようになることから、キャリアアップに役立つ資格と言えるでしょう。
電気工事施工管理技士に求められるスキル
電気工事施工管理者は、工事全体を管理するうえで以下のようなスキルが欠かせません。
・スケジュール管理能力 ・コミュニケーション能力 ・判断力、問題解決能力 |
電気工事では、配線のデザイン・電気設備の設置・配線・内装仕上げといった、さまざまな工程があります。施工管理者は、電気工事後の工程も踏まえて工期内に全ての作業が終わるように、スケジュールを管理しなければなりません。
材料や機材の到着が遅れたり、作業の中でトラブルが起きたりした際は、都度調整しながら遅れがでないようにします。
工期や品質基準を満たすためには、現場で働く職人とのコミュニケーションが欠かせません。気になる箇所がある場合は、年齢関係なく指示出しします。信頼関係を作り全員で助け合うような現場づくりが求められます。
発注者からの指示で、工事内容や予算が変わることも珍しくありません。
関連記事:
・電気施工管理はきつい?やめとけ?そうとも言えない4つの理由
・【2024年版】電気工事施工管理技士に必要な実務経験は?計算方法や認められない例
電気工事施工管理技士の年収に関連してよくある質問
最後は、電気工事施工管理技士に関する2つのよくある質問に答えていきます。
・電気工事施工管理技士の仕事に将来性はありますか?
・電気工事施工管理技士の転職先には何がありますか?
将来性や主な転職先を理解したうえで、資格取得を検討してみてください。
電気工事施工管理技士の仕事に将来性はありますか?
電気工事施工管理技士は、建設業界を中心に需要が高く将来性のある職種と言えるでしょう。
電気工事施工管理技士でなければ「主任技術者」「監理技術者」として工事に従事できないからです。
近年はAI化・Iot化が進んでおり、業務の自動化が進んでいるものの、現場状況に応じた判断が求められる施工管理の仕事は、人にしかできない仕事です。
今後さらに電気化が進むと言われており、関連工事の数も増えていくと予想されます。
電気工事施工管理技士の転職先には何がありますか?
電気工事に欠かせない電気工事施工管理技士は、さまざまな企業で活躍できます。
【電気工事施工管理技士の主な転職先】 ・大手ゼネコン ・設備工事業界 ・再生可能エネルギー業界 ・設備管理業界 |
多くの施工管理技士が活躍しているのが、大手ゼネコンです。大規模な都市開発などを手掛けており、発注者として工事を管理する部署もあります。
この他では、工場などの建設や管理をする設備工事業界や設備管理業界でも需要があります。
太陽光・バイオマス・風力発電といった再生可能エネルギー業界でも、電気工事やメンテナンス業務を行うため需要があります。
電気工事施工管理技士の年収についてのまとめ
電気工事施工管理技士の平均年収は650万円前後と推測されます。正社員募集の求人に関しても想定年収が487万円と高く、他の工事従事者と比べても高収入と言えるでしょう。
技術者として経験を積みながら、上位資格や関連資格を取得することで、仕事の幅が広がりさらなる年収アップも目指せます。
全ての電気工事に設置義務があり、今後も需要の落ちることが考えにくい将来性のある職種です。建設業界で長く活躍し続けたいと考えている人は、取得を検討してみてください。
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