消防設備士・甲種4類の資格取得を検討している人も多いのではないでしょうか。
消防設備士は、消防設備関連の会社やビルメンテナンス業界で働くうえで欠かせない資格です。また、消防設備士の資格は大きく分けて甲種と乙種に分かれています。さらに、甲種は特類から5類、乙種は1類から7類までに細分化されています。
ちなみに、消防設備士・甲種4類の合格率は毎月30%前後です。
これから消防設備士・甲種4類の取得を目指す方は、試験内容や受験資格について理解しておく必要があります。この記事では、消防設備士試験の概要や勉強時間などを紹介します。
消防設備士・甲種4類とその他の種類について
消防設備士は、火災防止や安全管理のために重要な役割を果たす資格です。また、消防設備士の資格は大きく分けて甲種と乙種に分類できます。
さらに、甲種は特類から5類、乙種は1類から7類までに細分化されています。
類別ごとに取り扱える消防設備は次のとおりです。
類別 | 取り扱える消防設備 |
特類 | 特殊消防用設備等 |
1類 | 屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備等 |
2類 | 泡消火設備・パッケージ型消火設備・特定駐車場用泡消火設備等 |
3類 | 不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備等 |
4類 | 自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・共同住宅用自動火災報知設備等 |
5類 | 金属製避難はしご・救助袋・緩降機 |
6類 | 消火器 |
7類 | 漏電火災警報器 |
このように消防設備士は細分化されているので、業務内容によって求められる資格が異なってくるでしょう。
消防設備士・甲種4類の試験概要
消防設備士・甲種4類の試験では押さえておくべきポイントがあります。
主に押さえておくべきポイントは次の5つです。
- 受験資格
- 受験申込の受付期間
- 試験地・受験手数料
- 筆記試験と実技試験の内容
- 試験日・合格発表日
消防設備士・甲種4類の試験概要について、それぞれのポイントごとに解説します。
受験資格
消防設備士・甲種4類の受験資格は、大きく分けて2つの満たし方があります。
まずは、保有免状・実務経験などで受験資格を満たす方法です。具体的には、次の資格もしくは実務経験がある場合、消防設備士・甲種4類の試験に挑戦できます。
- 甲種消防設備士
- 乙種消防設備士
- 技術士
- 電気工事士
- 電気主任技術者
- 工事の補助5年
- 専門学校卒業程度検定試験合格者
- 管工事施工管理技士
- 工業高校の教員等
- 無線従事者
- 建築士
- 配管技能士
- ガス主任技術者
- 給水装置工事主任技術者
- 旧給水責任技術者
- 消防行政3年
- 実務経験3年
- 旧消防設備士
続いて、学歴・修得単位・学位による受験資格の満たし方です。
学歴による受験資格の満たし方は次のとおりです。
学歴 | 資格内容 |
大学・短大または5年制高専 | 機械・電気・工業化学・土木または建築に関する学科もしくは課程を修めて卒業した場合 |
高校および中学校 | 機械・電気・工業化学・土木または建築に関する学科もしくは課程、授業科目を8単位以上修めて卒業した場合 |
旧制の大学および専門学校等 | 機械・電気・工業化学・土木または建築に関する学科もしくは課程、授業科目を15単位以上修めて卒業した場合 |
外国の学校 | 外国に所在する学校で、日本における大学・短大、高専または高校に相当するもので、指定もしくは同内容の学科または課程を修めて卒業した場合 |
また、学歴に加えて各単位の履修状況で受験資格を満たすこともできます。
学歴 | 資格内容 |
大学・専門大学、短大・5年制高専または専修学校・防衛大学校・防衛医科大学校・職業能力開発総合大学校・職業能力開発大学校・職業能力開発短期大学校・職業訓練大学校・職業訓練短期大学校・中央職業訓練所・水産大学校・海上保安大学校・気象大学校等 | 機械・電気・工業化学・土木または建築に関する授業科目を、各設置基準による単位を15単位以上修得した場合 |
各種学校 | 機械・電気・工業化学・土木または建築に関する授業科目を講義については15時間、実習については30時間、実験・実習および実技については45時間の授業をもってそれぞれ1単位として15単位以上修得した場合 |
他にも、指定された博士号・修士号を有する場合も消防設備士・甲種4類を受験できます。
学位 | 資格内容 |
博士・修士 | 理学・工学・農学または薬学のいずれかに相当する専攻分野の名称を付記された修士もしくは博士の学位を有する場合 |
消防設備士・甲種4類の受験資格はさまざまあります。個人の状況に合わせて、どの受験資格を満たせるのか確認しましょう。
受験申込の受付期間
受験申込の受付期間は、試験地や時期によって異なります。概ね試験日の1か月半から2か月前に受験申込を受付しているケースが一般的です。また、試験地・試験日ごとの受験申込を受付している期間は約1週間です。
受験申込に関する詳細は、一般財団法人消防試験研究センターで公開されていますので、適宜確認するようにしましょう。
試験地・受験手数料
消防設備士・甲種4類の試験は全国各地で開催されています。また、受験手数料は6,600円です。ちなみに、乙種の受験手数料は4,400円です。
甲種と乙種を間違えて申込まないように注意しましょう。
筆記試験と実技試験の内容
消防設備士・甲種4類の筆記試験における内容は次のとおりです。
- 工事設備対象設備等の構造・機能・工事・設備
- 火災および防火
- 消防関係法令
- 基礎的知識
- 消防用設備等の構造・機能・工事・整備
この中から筆記では45問が出題されています。
また実技試験の形式は鑑別等・製図です。基本的には、鑑別等から5問、製図から2問の問題が出題されています。
試験日・合格発表日
消防設備士・甲種4類の試験日は受験場所によって異なります。また、合格発表日も受験日・試験地によって異なっています。
したがって、希望の受験地では、いつに試験が開催されるのか等を事前に確認しておきましょう。
関連記事:消防設備点検資格者の取得方法とは?受験料や年収事情も紹介
消防設備士・甲種4類の合格率
消防設備士・甲種4類の合格率は次のとおりです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
令和6年4月 | 272人 | 56人 | 20.6% |
令和6年3月 | 2,773人 | 972人 | 35.1% |
令和6年2月 | 2,403人 | 797人 | 33.2% |
令和6年1月 | 1,644人 | 508人 | 30.9% |
毎月の合格率は30%前後で推移しているケースが一般的です。ただし、試験の難易度自体は高くないと言われています。
電気工事士資格保有者は消防設備士・甲種4類試験の一部が免除になる
電気工事士の資格を取得している場合、消防設備士・甲種4類の試験の一部で免除を受けられます。具体的な免除部分は次のとおりです。
- 筆記試験
- 基礎的知識および構造・機能及び工事・整備のそれぞれの科目における電気に関する部分
- 実技試験
- 鑑別等試験の問1
ただし、電気工事士の試験に合格していても、免状を保有していない場合は試験免除の対象外です。
他にも、電気主任技術者などの資格を取得している場合も免除を受けられます。
関連記事:電気工事士の年収を年代別・資格別・学歴別・経験年数別に解説
関連記事:電気工事士資格一種・二種の技能試験|実技試験の内容と難易度
消防設備士・甲種4類の勉強時間
消防設備士・甲種4類の勉強時間は80時間から130時間程度必要と言われています。ただし、学習方法や実務経験などによっても必要な勉強時間は異なるでしょう。
また、学習方法は独学や通信講座など多岐にわたります。
消防設備士・甲種4類の勉強におすすめのテキスト
消防設備士・甲種4類の資格取得に向けて、独学で挑戦する人も多いでしょう。消防設備士・甲種4類の勉強におすすめのテキストは次のとおりです。
- 消防設備士 第4類(甲種・乙種)令和6年上巻
- わかりやすい!第4類消防設備士試験
- これだけはマスター!第4類消防設備士試験 製図編
それぞれのテキストについて紹介します。
消防設備士 第4類(甲種・乙種)令和6年上巻
「消防設備士 第4類(甲種・乙種)令和6年上巻」は、最新の試験傾向に対応した内容が盛り込まれており、基本から応用まで幅広くカバーしています。
実際に、この1冊で合格まで至ったとのレビューもあるようです。
わかりやすい!第4類消防設備士試験
「わかりやすい!第4類消防設備士試験」は、そのタイトル通り、初心者にも理解しやすいように工夫されています。専門用語や難解な部分を平易な言葉で解説し、イラストや図表を多用して説明しています。
そのため、初心者や業界経験の浅い人でも、このテキストを活用して合格に至った体験談が複数上がっていました。
これだけはマスター!第4類消防設備士試験 製図編
「これだけはマスター!第4類消防設備士試験 製図編」は、製図問題に重点を置いたテキストです。消防設備士の試験では、製図問題が重要な部分を占めています。
製図の基礎から応用まで段階的に学べるため、試験本番でも自信を持って対応できる力を養えるでしょう。
消防設備士・甲種4類を取得するメリット
消防設備士・甲種4類を取得するメリットは主に3つです。
- 知識やスキルの証明になり昇給や昇格につながる
- 就職や転職で有利になる
- 需要が高く長く働き続けられる
それぞれのメリットについて解説します。
知識やスキルの証明になり昇給や昇格につながる
消防設備士・甲種4類の資格があれば、専門的な知識やスキルを有する証明になります。
したがって、消防設備士・甲種4類の資格があれば、職場での信頼性が高まり、昇給や昇格につながるかもしれません。
就職や転職で有利になる
消防設備士・甲種4類の資格は、就職や転職の際にも非常に有利と言われています。実際に、消防設備士の資格は多くの企業で求められており、建築業界や設備管理の分野での需要があります。
資格があれば、他の応募者との差別化が図れ、就職や転職で有利になる可能性が高まるでしょう。また、専門性の高い職務を任されるケースがあるため、自身のキャリアをより一層発展させられる可能性があります。
需要が高く長く働き続けられる
消防設備士・甲種4類の資格があれば、長期間安定して働くための大きな助けとなります。消防設備は法令で設置が義務付けられており、常に点検や保守が必要です。
そのため、消防設備士の需要は常に高く、景気の変動に左右されにくい職業と言えるでしょう。
消防設備士・甲種4類に関するよくある質問
消防設備士・甲種4類に関するよくある質問は次のとおりです。
- 消防設備士・甲種4類は難しい?
- 消防設備士・甲種試験の過去問はどこで見れる?
- 消防設備士試験の勉強方法は?
それぞれの質問について解説します。
消防設備士・甲種4類は難しい?
消防設備士・甲種4類の合格率は約30%です。したがって、難易度が高い資格と言われています。
また、試験では筆記と実技の両方をクリアしなければなりません。内容も火災警報設備や消火設備など、消防設備の設計・施工・維持管理に関する専門知識が問われます。
ただし、勉強時間を確保できれば十分に合格も狙えます。また、試験も適宜開催されているので、複数回挑戦する中で資格を取得した人も少なくありません。
消防設備士・甲種試験の過去問はどこで見れる?
消防設備士・甲種試験の過去問は一部ですが、一般財団法人消防試験研究センターのホームページで紹介されています。
過去問を参考にして習熟度を高めましょう。
消防設備士試験の勉強方法は?
消防設備士試験合格に向けた勉強方法は、いくつかあります。
たとえば、参考書などを活用して独学する方法です。他にも、通信講座や専門学校を活用して効率的に学習を進めるのもひとつの方法です。
消防設備士・甲種4類を取得して就職や転職を有利に進めよう
この記事では、消防設備士・甲種4類の試験概要を中心に解説してきました。
消防設備士は、火災防止や安全管理のために重要な役割を果たす資格です。また、消防設備士の資格は大きく分けて甲種と乙種に分類できます。
さらに、甲種は特類から5類、乙種は1類から7類までに細分化されています。
一方で、消防設備士・甲種4類の試験を受験するには、要件を満たさなければなりません。合格率は毎月30%前後とそこまで高くないのが現状です。
しかし、試験は全国各地で適宜開催されており、概ね80時間から130時間の勉強時間で合格を狙えると言われています。
これから消防設備士・甲種4類の資格取得を検討しているのであれば、挑戦してみてはいかがでしょうか。
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