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第一種電気工事士|実務経験証明書の書き方と実務経験の内容

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第一種電気工事士の免状を取得するため、必要な実務経験について気になっている人もいるのではないでしょうか。

第一種の免状交付のためには、テスト合格に加えて3年以上のキャリアが必要です。また、キャリアとして認められる業務は、電気工作物に該当する電気設備を設置、または変更する工事です。

また、過去のキャリアを認めてもらうためには、証明書の提出が求められます。

この記事では、第一種電気工事士の実務経験の詳細や証明書の書き方、経験として認めてもらえる内容について解説します。第一種の免状交付を目指している人は、ぜひ参考にしてください。

第一種電気工事士の免状交付に必要な実務経験

第一種電気工事士を取得した人

第一種の免状を取得するには、原則、テストに合格する必要があります加えて、3年以上のキャリアが必要です

ただし、キャリアの対象となる業務とそうでないものがあります。

参考:実務経験証明書について(第一種電気工事士)|東京都電気工事工業組合(公式ホームページ)

実務経験の対象となる工事内容

第一種の免状取得に向けてキャリアの対象となる業務内容は次のとおりです。

  • 電気工作物に該当する電気設備を設置、または変更する業務
    ※自ら施工する当該業務に伴う設計および検査を含みます

具体的な業務内容の例は次のとおりです。

  • 高圧受電設備の設置
  • 特別高圧受電設備の設置
  • 自家用電気工作物に関する業務
  • 高圧または低圧の架空電線路の設置
  • 受変電設備の設置

第一種電気工事士の免状取得を目指す際は、担当したもしくは実施する業務がキャリアの対象となるのか事前に確認しておく必要があります。

実務経験の対象とならない工事内容

一方で、第一種の免状取得に向けてキャリアの対象とならない業務もあります。

キュービクル・変圧器等の据付に伴う土木工事および電気機器の製造は、キャリアの対象となりません。

具体的に対象とならない業務内容の例は次のとおりです。

  • 一般家庭の低圧電気設備
  • インターネットや電話の配線
  • 太陽光発電システムの設置
  • 小型家電の修理や取り付け
  • IT機器の設置

また、次の業務もキャリアに認められないケースがあるようです。

  • 第二種のみ保有する人の自家用電気工作物(500kW未満)で行った電気
  • 認定電気工事従事者認定証のみ持つ人の一般用電気工作物で行った電気
  • 電気主任技術者免状を持たない人のビル管理・保安

参考:実務経験証明書について(第一種電気工事士)|東京都電気工事工業組合(公式ホームページ)

令和3年4月1日より第一種電気工事士の実務経験は3年以上に改正

電気工事士として活躍する人たち

現在、第一種の免状取得に向けたキャリアは3年以上必要です。しかし、令和3年4月1日以前は、学歴によって求められる年数が異なっていました。

令和3年4月1日以前の電気工事士法施行規則における必要な年数は次のとおりです。

  • 大学・高専の電気工学系を卒業した人:3年以上
  • それ以外の人:5年以上

したがって、電気工事士法施行規則の改正に伴って、キャリアの条件が緩和されました。

参考:電気工事士法施行規則の一部改正について

第一種電気工事士の実務経験を証明する手順

電気工事

第一種のキャリアを証明する手順は主に3つです。

  1. 実務経験証明書をダウンロードして下書きする
  2. 実務経験証明書を作成し組合へメールかFAXで送付する
  3. 組合の申請窓口で資格確認を行う

それぞれの手順について解説します。

1. 実務経験証明書をダウンロードして下書きする

はじめのステップは、実務経験証明書をダウンロードした上での下書きです。証明書は、インターネットからダウンロードできます。

ダウンロード後、必要な情報を下書きしていきます。具体的には、氏名・勤務先の情報・実務経験の期間および内容などを記入します。

特に、職歴に関する部分は、経歴を簡潔に記載しましょう。

2. 実務経験証明書を作成し組合へメールかFAXで送付する

続いて、下書きをもとに証明書を完成させましょう。完成した証明書には、証明者となる事業者の代表印が必要です。証明書の提出にあたって、押印漏れがないよう、会社には事前に依頼しておく必要があります。

第一種の免状交付に向けて、代表印が押印された証明書を組合へ送付しましょう。証明書の送付方法は、メールかFAXのいずれかを選べます。

送付後、組合側で証明書の内容が確認されます。通常、組合に証明書が到着して1週間から10日ほどで、担当者から電話連絡があるので対応しましょう。

電話連絡で事前確認受付番号が伝えられるので、証明書の右上欄に記載します。事前確認受付番号は窓口での申請時に必要になりますので、忘れずに記載しておかなければなりません。

3. 組合の申請窓口で資格確認を行う

最後に、事前確認から2か月以内に組合の申請窓口で資格確認を実施しましょう。

窓口ではキャリアの再確認に加えて、身分証明などを実施します。実際に、健康保険証などの確認を求められるケースがあるようです。

窓口ですべての書類が確認されると、キャリアが認められ、第一種電気工事士の免状交付に向けた準備が整います。

参考:実務経験証明書について(第一種電気工事士)|東京都電気工事工業組合(公式ホームページ)

実務経験ではなく認定制度により第一種電気工事士取得も可能

電気工事士として点検業務に従事する人

第一種の認定を受けるためには、基本的にテストに合格する必要があります。しかし、電気主任技術者の免状を持っている場合には、少し異なるプロセスが適用されます。

電気主任技術者免状を取得した後、5年間のキャリアを積むと、テストを受けることなく申請によって第一種の認定を受けられます。

さらに、高圧電気工事技術者の場合は、より短い期間のキャリアで第一種を取得できます。具体的に、求められるキャリアは3年間です。

したがって、テストに合格する以外でも電気主任技術者や高圧電気工事技術者の免状を活用して、第一種を取得するのも可能です。

関連記事:電気主任技術者と電気工事士の違いは業務内容|役割・年収・資格の比較
関連記事:電気通信主任技術者の難易度は高い?受験資格やメリット、合格のコツ

実務経験を満たした後の第一種電気工事士免状交付申請で必要な書類

会議をしている様子

キャリアを満たした後、第一種の免状交付申請で必要な書類は、次の2パターンに分けられます。

  • 試験合格者が用意する書類
  • 認定者が用意する書類

それぞれの書類について解説します。

試験合格者が用意する書類

第一種のテストに合格した人が免状交付申請をする際には、いくつかの書類を提出する必要があります。

テストに合格した者が用意する書類は次のとおりです。

  • 電気工事士免状交付申請書
  • 第一種電気工事士試験合格通知書(原本)
  • 実務経験証明書
  • 写真2枚(6か月以内に撮影した縦4cm×横3cmの証明写真)

また、準備した写真の裏には、氏名を記載しておかなければなりません。加えて、申請は、都道府県によって対応が異なるケースがあります。

認定者が用意する書類

第一種電気工事士の認定制度を活用する場合に準備しなければいけない書類は次のとおりです。

  • 認定申請書
  • 高圧電気工事技術者試験合格証書または電気主任技術者免状の写し
  • 実務経験証明書
  • 電気工事士免状交付申請書
  • 認定証
  • 写真2枚(6か月以内に撮影した縦4cm×横3cmの証明写真)

まずは、認定制度を活用するために、認定申請書・高圧電気工事技術者試験合格証書または電気主任技術者免状の写し・証明書を担当部署に提出します。

その後、免状交付に向けて、電気工事士免状交付申請書・認定証・写真2枚を準備しましょう。

第一種電気工事士・実務経験証明書の書き方

電気工事に関する仕事をする人

第一種の免状交付に向けた証明書には記載すべきポイントがあります。

  • 所属部署および役職名
  • 期間(所属部署ごと)
  • 職務の内容
  • 通算期間

また、事業者の代表印は漏れやすい箇所です。証明書を提出する際は、漏れなく記載できていることを確認しましょう。

書き方の詳細については、該当するエリアを管理している組合のホームページで確認できます。

参考:実務経験証明書について(第一種電気工事士)|東京都電気工事工業組合(公式ホームページ)

第一種電気工事士・実務経験証明書を作成する際の注意点

技術者が打合せする様子

第一種の証明書を作成するにあたっての注意点は主に4つです。

  • 免状が交付されるまでには時間がかかる
  • 免状交付の申請先が都道府県によって異なる
  • 虚偽の申請は絶対にしない
  • 免状交付後も5年以内に定期講習を受ける必要がある

それぞれの注意点について解説します。

免状が交付されるまでには時間がかかる

第一種の免状が交付されるまでに時間がかかる点を認識しておかなければなりません。申請書を提出してから免状が実際に交付されるまでには約1か月の時間を要するケースがあります。

特に、免状が必要となる具体的な日程が決まっている場合は、早めに手続きを開始するようにしましょう。

免状交付の申請先が都道府県によって異なる

日本全国のどの都道府県でも同じ手続きが求められますが、申請先は地域によって異なります。

たとえば、愛知県や福岡県は県で受け付けているものの、東京都や大阪府では電気工事工業組合が窓口です。

また、申請先は住民票のある都道府県のため、間違えないように注意しましょう。

虚偽の申請は絶対にしない

第一種の書類作成にあたって、虚偽の申請は絶対に避けなければならない点です。証明書には、自分の実際の経験を正確に記載する必要があります。

虚偽の情報を記載すると、免状の交付が取り消されるだけでなく、法的な処罰を受ける可能性もあるので注意しましょう。

免状交付後も5年以内に定期講習を受ける必要がある

免状を取得しただけで終わりではなく、最新の技術や法令に関する知識を維持・更新するために、定期的な講習の受講が義務付けられています。

講習を受けなければ免状が無効になる可能性があるため、日程や内容を把握し、計画的に受けるようにしましょう。

第一種電気工事士に必要な実務経験を積む手段

スマホを操作する様子

第一種の免状交付に求められるキャリアを積む手段は主に3つです。

  • 第二種電気工事士を取得後に電気工事に従事する
  • 認定電気工事従事者としてキャリアを積む
  • 電気主任技術者の監督に指導を受けながらキャリアを積む

それぞれの手段について解説します。

第二種電気工事士を取得後に電気工事に従事する

第二種の資格を取得した後に電気工事の仕事に従事するのが、キャリアを積む手段のひとつです。第二種の資格を持っていると、一定の範囲内で電気工事の業務を許可されます。

キャリアを通じて、電気工事の基本的な技術や知識を実践的に学べる上に、第一種の免状取得に必要な経験を積めます。

関連記事:【2024年度】第二種電気工事士の試験概要|試験日や合格発表日について

認定電気工事従事者としてキャリアを積む

認定電気工事従事者としてキャリアを積むのも手段のひとつです。認定電気工事従事者とは、特定の範囲内で電気工事を担当できる資格です。

認定電気工事従事者の立場で業務をこなすと、幅広い技術や知識を習得できるでしょう。

電気主任技術者の監督に指導を受けながらキャリアを積む

電気主任技術者の監督を受けながらキャリアを積むのも手段のひとつです。電気主任技術者は、高度な知識と技術を持つ電気の専門家です。

電気主任技術者のもとで働くことで、より高度な技術や知識を学べるでしょう。

関連記事:【2024年版】第一種電気工事士の試験概要|合格率や勉強時間について

第一種電気工事士の実務経験などに関するよくある質問

現場作業員

第一種のキャリアなどに関するよくある質問は次のとおりです。

  • テストに合格したら免状がなくても従事できる電気工事の幅が広がる?
  • アルバイトの経験も実務経験に含められる?

それぞれの質問について解説します。

テストに合格したら免状がなくても従事できる電気工事の幅が広がる?

第一種のテストに合格しただけでは、法的には資格を有しているわけではありません。そのため、テストに合格した後、免状を取得する必要があります。

免状が交付されるためには、証明書をもっての申請が求められています。

免状を取得した後には、第一種として担当できる業務範囲が大幅に広がるでしょう。

アルバイトの経験も実務経験に含められる?

アルバイトでも対象となる業務に従事していれば、年数に含められます。

ただし、アルバイトの場合、責任の大きな作業まで担当させてもらえない可能性があるでしょう。したがって、その場合は就業先に業務範囲を確認しておきましょう。

第一種電気工事士取得に必要な実務経験を満たして免状交付を受けよう

2人の作業員が立っている様子

この記事では、第一種の免状交付に向けて必要なキャリアなどについて解説しました。

第一種の免状交付のためには、テスト合格に加えて3年以上のキャリアが必要です。また、キャリアとして認められる業務は、電気工作物に該当する電気設備の設置などです。

一方で、電気主任技術者免状を取得した後、5年間のキャリアを積むと、テストを受けることなく申請によって第一種の認定を受けられます。

さらに、高圧電気工事技術者の場合は、より短い期間のキャリアで第一種を取得できます。具体的に、求められるキャリアは3年間です。

第一種の免状交付を目指しているのであれば、条件などを把握した上で挑戦してみてはいかがでしょうか。

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