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2級電気工事施工管理技士の試験情報|受験資格や合格する方法、コツ

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現場作業員

電気工事技術者のキャリアアップに欠かせない資格と言えるのが「2級電気工事施工管理技士」です。

資格はなんとなく理解しているものの、試験の概要や難易度が分からないという人も少なくありません。受験するには所定の条件が設けられているため、詳細をきちんと理解しておく必要があります。

また、試験概要や出題内容なども知っておくことで、効率良く合格を目指せるようになるでしょう。

今回は、2級電気工事施工管理技士とはどのような資格なのか、分かりやすく解説していきます。

この記事のまとめ
・2級試験は一次と二次検定に分けられており、二次検定を受験するには所定の実務経験を満たす必要がある
・資格取得することで、主任技術者として電気工事を管理できるようになり、キャリアアップに役立つ
・試験の合格率は4~6割ほどで、超難関資格というわけではない

2級電気工事施工管理技士の概要

技術者が腕を組む様子

電気工事施工管理技士の試験は「建設業振興基金」が実施しています。所定の実務経験が設けられており、誰でも挑戦できるわけではありません。

2級試験の概要を解説していきますので、詳細を理解したうえで受験スケジュールを立ててみましょう。

受験資格

2級試験は、一次検定と二次検定に分かれており、それぞれに受験資格が設けられています。令和6年度より受験資格が改正され、令和10年までは移行期間として改正前の条件を満たしている人も挑戦できます。

一次検定の受験資格は、試験実施年度に満17歳以上となる人です。二次検定に関しては、保有資格・学歴・専攻科目別に定められた実務経験年数を満たす必要があります。

これまでの受験資格

学歴・保有資格所定の実務経験
大学・高度専門士・指定学科を卒業:1年以上
・指定学科以外を卒業:1年6ヵ月以上
短期大学・高等専門学校(5年制)・専門学校の専門士・指定学科を卒業:2年以上
・指定学科以外を卒業:3年以上
専門学校の専門学科・高校・中等教育学校・指定学科を卒業:3年以上
・指定学科以外を卒業:4年6ヵ月以上
その他8年以上
電気主任技術者の保有者1年以上
第一種電気工事士の保有者実務経験の指定なし
第二種電気工事士の保有者1年以上

新・これからの受験資格

・2級試験の一次検定合格後、3年の実務経験
・1級試験の一次検定合格後、1年の実務経験
・電気工事士、電気主任技術者試験に合格後、1年の実務経験

実務経験の詳細は、新旧で内容が異なります。変更される可能性もあるため、事前に建設業振興基金の試験案内ページを確認しましょう。

参考:令和6年度2級 電気工事施工管理技術検定のご案内|一般財団法人 建設業振興基金

試験地

令和6年度・2級試験の予定試験地は、前期・後期試験で異なります。

前期試験札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・高松・広島・沖縄・福岡
後期試験札幌・青森・仙台・新潟・金沢・東京・名古屋・大阪・高松・広島・沖縄・鹿児島・福岡

上記試験地とは別に、学校申請者向けに8試験地が追加される予定です。変更となる可能性もあるため、受験票を必ず確認するようにしましょう。

試験日程

令和6年度・試験日程は、以下の通りです。

 申請の受付期間試験実施日合格発表
前期試験
※一次検定のみ
2月9日(金)~
3月8日(金)まで
6月9日(日)7月10日(水)
後期試験
※一次検定のみ
※一次・二次検定同時
※二次検定のみ
・ネット申請
6月26日(水)~
7月24日(水)まで・書面申請
7月10日(水)~
7月24日(水)まで
11月24日(日)・一次検定
1月10日(金)・二次検定
2月7日(金)

受験手数料

受験手数料は、一次・二次検定とも6,600円で非課税です。

一次と二次検定の受験申請を同時に行う場合は、一括で13,200円を振り込みます。

申請方法

申請方法は、受験する検定や受験経験によって方法が異なります。

 一次検定のみ一次・二次同時受験二次検定のみ
新規受験ネット申請書面申請書面申請
再受験再受験制度なしネット申請か書面申請ネット申請か書面申請

二次試験を受ける場合、事前に実務経験審査が行われるため、初めて受験する人は書面で申請します。

一方、一度でも受験したことがある人は、過去の実務経験情報を参考にするため、ネット申請でも問題ありません。

2級電気工事施工管理技士とは

技術者が打合せする様子

電気工事施工管理技士は、管理側の立場となり事前に定められた工期や予算を守り、安全に完了させる役割を担っています。資格は1級と2級に分かれています。

ここでは、電気工事施工管理技士がどのような資格なのか、取得するメリットを解説します。

建設業法に基づく国家資格

電気工事施工管理技士は、建設業法に基づいた国家試験です。工事全体を管理する役割を担っており、電気以外にも以下のような種類が存在します。

・電気通信工事施工管理技士
・土木施工管理技士
・管工事施工管理技士
・建設機械施工管理技士
・建築施工管理技士
・造園施工管理技士

建設工事の規模に関係なく、全ての工事で施工管理技士を配置しなければなりません。

1級との違い

1級施工管理技士との違いは、管理できる工事の規模に違いがあります。

2級資格全ての工事に設置が義務付けられている「主任技術者」と、建設業の営業所における「専任技術者」に就ける
1級資格工事の下請け金額が4,500万円を超える、大規模な工事で設置が義務付けられている「監理技術者」と、特定建設業の営業所における「専任技術者」に就ける

監理技術者がいる場合は、主任技術者を選任する必要はありません。

取得するメリット

電気工事施工管理技士になれば、電気工事で作業する立場ではなく、管理する立場になれます。

ここでは、施工管理技士を取得するメリットを解説していきます。

専任の技術者になれる

電気工事業を営む場合、建設業許可を取得しなければなりません。これに関連するルールとして、許可を受けた事業所は、営業所ごとに「専任の技術者」を配置する義務があります。

専任の技術者は、営業所で請け負う工事の工法を検討したり、依頼者に技術的な説明を行ったりする役割を担う重要な存在です。

二級電気工事施工管理技士になれば、この専任の技術者になれます。仕事の幅を広げるだけでなく、社内での評価を上げられるでしょう。

主任技術者になれる

建設工事では、工事の規模によって監理技術者か主任技術者を必ず設置しなければなりません。2級施工管理技士を取得すると、主任技術者として工事に携われます。

また、1級施工管理技士を取得すれば、規模の大きい工事で設置が義務付けられている監理技術者として工事に携われます。

有資格者でなければ就けないポジションであるため、長く電気工事業界で活躍し続けられることが魅力と言えるでしょう。

経営事項審査で貢献できる

2級電気工事施工管理技士は、経営事項審査で評価ポイントが加算されることから、社内で評価されやすくなるというメリットもあります。

経営事項審査とは、公共工事を直接請け負う建設業者が必ず受ける審査で、さまざまな項目の評価が数字として算出されます。

点数が高いほど優良企業としての評価を受けやすく、電気工事施工管理技士の在籍は加点の対象です。企業への貢献もできることから、昇格や昇給にも繋がります。

2級電気工事施工管理技士が管理する工事の種類

作業員が話し合う様子

2級電気工事施工管理技士は、総額4,500万円未満の工事で主任技術者として全体を管理します。

電気工事は全て同じというわけではありません。ここでは、電気工事施工管理技士として携わる工事の種類とその詳細について解説します。

発電設備工事

発電設備工事は、電力会社の発電所だけでなく、一軒家などに設置する自家発電設備などの設置を含む作業を行う仕事です。近年は太陽光発電パネルを設置する課程が増えてきています。

常用と非常用があり、病院や商業施設などでは必ず非常用の発電装置を設置しなければなりません。

変電設備工事

変電設備工事も、電気工事施工管理技士が管理する工事の1つで、変電装置の設置などを行います。

発電所から各地域に電気を送る場合、電圧を低すぎると十分な電気を各施設に供給できません。そのため、高電圧に設定された電気が電線を伝って送られてきます。

電気が届いた先で、電圧や抵抗値を下げて調整するのが変電設備の役割です。一般家庭やお店で安全に電気を使用するうえで欠かせない電気工事と言えるでしょう。

送配電線工事

送配電線工事とは、発電所から変電設備まで電気を送るための送電線や、変電設備から各施設まで電気を送る配電線を設置する工事です。

送電線を支えるのは山間部などで見かける鉄塔で、工事では高所作業が伴います。高い電圧が流れていることもあり、安全面の配慮が特に必要な工事と言えるでしょう。

照明設備工事

照明設備工事は、施設内での作業が一般的で、美観などにも関わることから、設置センスも求められる工事と言えます。

施工管理技士は、設計図通りに配電されているか、証明の位置などに問題がないかをチェックします。

構内電気設備工事

構内電気設備とは、電圧が調整されて送られてきた電気を利用するための設備で、具体的にはコンセント・スイッチ・誘導灯・電話設備等があります。

施設によっては、ある程度内装工事が進んでいることもあり、作業の際には周りに細心の注意を払わなければなりません。

周囲に住居が多い場合は、騒音や振動など近隣住民への配慮も施工管理技士の仕事の1つです。

信号設備工事

信号設備工事では、道路や鉄道で使用する信号を設置していきます。工事では信号機柱の設置から始まるため、電気だけでなく土木に関する知識も必要です。

また、信号は制御器を通じてコントロールされるため、動作設定も行います。工事全体を管理する電気工事施工管理技士は、これら全ての作業に関する知識を身に着けておかなければなりません。

電車線工事

電車線とは、線路の上にある電線のことで、変電所から送られてきた電気を電車に供給する仕組みです。

一般家庭よりも高圧の電気が流れていることから、修繕やメンテナンス作業には細心の注意が必要です。鉄道に関する電気工事には、踏切の設置や駅構内の照明工事などもあります。

2級電気工事施工管理技士の合格率

デスクワークをこなす様子

2級電気工事施工管理技士の試験は、一次検定と二次検定に分かれており、それぞれの合格率は以下の通りです。

実施年度一次検定の合格率二次検定の合格率
令和5年43.8%43%
令和4年55.6%61.8%
令和3年57.1%50.4%

一次・二次検定共に4〜6割ほどの合格率で推移しており、一発で合格するのは全体の2〜3割と推測されます。

決して低くはないものの、実務経験を満たした現役の技術者が受験していることを踏まえると、難易度は高めと言えるでしょう。

参照:過去の受検状況・検定問題・合格基準|一般財団法人 建設業振興基金

2級電気工事施工管理技士の過去の出題内容

スマホを操作する様子

2級電気工事施工管理技士の試験は、一次・二次検定に分かれています。主な出題内容は以下の通りです。

【一次検定】
電気設備・電気工学・関連分野・設計、契約関係・施工管理・法規【二次検定】
施工経験の記述・施工管理について・電気設備全般・法規

試験に合格するには、過去問を繰り返し解きながら知識を深めていくやり方がおすすめです。令和5年度の一次試験では、以下のような問題が出題されています。

【問題例1】

電力系統における変電所の役割に関する記述で、最も不適当なものはどれか。

1.送配電電圧の降圧や昇圧を行う

2.電力の流れを調整し、電力を有効に利用できるようにする

3.事故点の検出を行い、系統から切り離すことで事故の波及を防ぐ

4.需要変動に応じた系統周波数を一定に保つために、出力調整を行う

【問題例2】

三相誘導電動機の特性に関する記述で、最も不適当なものはどれか。

1・負荷が増えることで、回転速度が遅くなる

2・滑りが減ると、回転速度が速くなる

3・極数を少なくすると、回転速度は速くなる

4・電源周波数を低くすると、回転速度は速くなる

知識問題の他では、計算問題も出題され、二次試験は記述式で解答します。過去問は建設業振興基金でダウンロードできます。

上記問題の答えは、問題1が4、問題2が4です。

2級電気工事施工管理技士の試験に合格するコツ

サラリーマンがほほ笑む様子

2級試験の二次検定に挑戦するには、実務経験を満たす必要があることから、働きながら受験勉強する人がほとんどです。

限られた学習時間で効率良く知識を身に着けるには、通信講座を活用するのがよいでしょう。過去の出題傾向や学習ポイントを教えてもらえて、学びやすいテキストが一式揃っています。

学校に通う必要もなく、費用も通学に比べると安く設定されていることも、メリットと言えるでしょう。知識が身についてきたら、過去問を繰り返し解きながら、理解を深めていくのがコツです。

2級電気工事施工管理技士でオススメの過去問題集

デスクワークの様子

試験の出題範囲を学んだ後は、過去問を繰り返し解いていくことで理解を深められます。

過去問題集は、書店や通販で簡単に購入できますが、本によって解説の分かりやすさが異なるため、注意が必要です。

ここでは、試験対策としておすすめの過去問題集を2冊紹介しますので、受験勉強で活用してみてください。

2級電気工事施工管理 第一次・第二次検定問題解説集2024年版

このテキストでは、一次検定が過去5年分、二次検定が過去10年分の問題が収録されており、全ての問題に解説が付いています。

出題傾向の記載もあり、現役技術者はもちろん初学者でも理解できるほど、分かりやすい解説が特徴です。

2級電気工事施工管理技士 第一次検定 分野別過去問題集 2024年度版

施工管理技士の受験対策で高い評価を得ている「CIC日本建設情報センター」が出版したテキストで、一次検定の過去9回分の試験問題が収録されています。

分野別で詳しく解説されているため、苦手な分野を克服したい人におすすめです。

2級電気工事施工管理技士についてのまとめ

作業員が遠くを見つめる様子

2級電気工事施工管理技士になるには、建設業振興基金が実施する試験に合格する必要があり、受験には所定の実務経験が定められています。

取得後は、主任技術者として電気工事を管理できるため、技術者としてより成長できます。また、知識や実力の証明にもなり、社内での昇格やキャリアアップを目的とした転職にも役立つでしょう。

電気工事施工管理技士は全ての電気工事に設置が義務付けられており、電気業界に欠かせない存在です。技術者として今よりも成長したいと考えている場合は、受験を検討してみてください。

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