建設業界で責任ある立場を目指す上で欠かせない資格の一つが「主任技術者」です。この資格は、建設現場での品質管理や安全管理、工程管理などを統括する技術者としての能力を証明するもので、一定の規模以上の工事では法的に配置が義務付けられています。
しかし、主任技術者の資格を取得するにはさまざまな要件があり、学歴や実務経験の年数に応じて異なります。
本記事では、主任技術者資格の概要、取得の要件、メリットなどを詳しく解説します。
主任技術者に必要な資格要件
まずは、主任技術者に必要な資格要件を解説します。
指定学科を修了し一定の実務経験期間を満たす
各業種において主任技術者の資格を取得するためには、高校・大学などの指定学科を修了し、一定期間の実務経験を積む必要があります。
指定学科と必要な実務経験の期間は以下の通りです。
業種 | 指定学科 |
土木工事業、舗装工事業 | 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下同じ。)都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科 |
建築工事業、大工工事業、ガラス工事業、内装仕上工事業 | 建築学又は都市工学に関する学科 |
左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、塗装工事業、解体工事業 | 土木工学又は建築学に関する学科 |
参考:指定学科一覧|国土交通省
- 大学(短期大学含む)の指定学科卒業者:3年以上
- 高等専門学校の指定学科卒業者:3年以上
- 高校の指定学科卒業者:5年以上
学歴が高いほど、必要な実務経験年数は短くなります。
建設業の業種に応じた1級・2級の国家資格を取得する
各業種で必要な資格を取得することで、主任技術者の資格取得が可能となる場合もあります。
以下は業種ごとに必要な資格の例です。
業種 | 必要な資格 |
土木 | 1級建設機械施工管理技士、2級建設機械施工管理技士、1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木) |
大工 | 1級建築施工管理技士、1級建築施工管理技士補、2級建築施工管理技士(建築、解体、仕上げ)、2級建築施工管理技士補、1級建築士、2級建築士、木造建築士、1級建築大工、2級建築大工、1級型枠施工、2級型枠施工 |
とび・土工・コンクリート | 1級建設機械施工管理技士、2級建設機械施工管理技士、1級土木施工管理技士、1級土木施工管理技士補、2級土木施工管理技士(土木、鋼構造物塗装、薬液注入)、2級土木施工管理技士補、2級建築施工管理技士(建築、解体、仕上げ)、2級建築施工管理技士補、1級造園施工管理技士、1級造園施工管理技士補、2級造園施工管理技士、2級造園施工管理技士補、1級型枠施工、2級型枠施工、1級とび、2級とび、1級コンクリート圧送施工、2級コンクリート圧送施工、1級ウェルポイント施工、2級ウェルポイント施工 |
参考:建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者 p42~45|国土交通省 近畿地方整備局
その他の業種に関しては、国土交通省近畿地方整備局の資料に記載されています。
複数業種での経験と特定業種での実務年数を満たす
複数業種での経験と特定業種での実務年数を満たしている場合、主任技術者の資格を取得できます。
以下は業種ごとに必要な実務経験です。
業種 | 実務経験 |
大工工事業 | 建設工事業及び大工工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、大工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務経験を有する者大工工事業及び内装仕上工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、大工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者 |
とび・土工工事業 | 土木工事業及びとび・土工工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、とび・土工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者とび・土工工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、とび・土工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者 |
屋根工事業 | 建築工事業及び屋根工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、屋根工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者 |
参考:指定学科一覧|国土交通省
その他の業種に関しては、国土交通省のホームページに記載されています。
10年以上の実務経験を有すること
指定学科を修了していない、または資格を取得していない場合でも、10年以上の実務経験を有していれば主任技術者の資格を取得可能です。
「既に社会人になり、今から高校・大学に入り直すのは難しい」という方は、コツコツ実務年数を積み重ねるのが現実的です。
関連記事:主任技術者の具体的な役割と責任|仕事内容と関連資格
主任技術者になるには実務経験が必須
主任技術者になるためには、一定の実務経験が必須です。実務経験の具体的な年数や内容は、工事の種類や規模、関連する資格の有無によって異なります。
資格取得や学歴の要件だけを満たしていても、実務経験の年数が不足していれば主任技術者の資格を取得できない場合があるため、注意が必要です。
関連記事:主任技術者になるためには実務経験が必須条件|求められる要件と必要年数
主任技術者になるために必要な資格は?
続いては、主任技術者になるために必要な資格について解説します。
建築工事業に必要な資格
まずは、建築工事業に必要な資格を3つ解説します。
1級建築施工管理技士
建築工事業に必要な資格の1つ目は、1級建築施工管理技士です。
1級建築施工管理技士は、建築工事業において必要とされる国家資格の一つです。この資格を保有していると、大規模な建設プロジェクトの工程管理、安全管理、品質管理などを統括する責任者としての役割を担えます。
また、1級建築施工管理技士は公共工事などの特定のプロジェクトで、主任技術者や監理技術者として配置されるための必須資格とされることもあります。
関連記事:1級建築施工管理技士の受験資格と試験内容|合格率と難易度について
2級建築施工管理技士
建築工事業に必要な資格の2つ目は、2級建築施工管理技士です。
2級建築施工管理技士は、建築工事業で活躍するために必要な国家資格の一つです。この資格を取得することで、小規模から中規模の施工現場における工程管理や品質管理、安全管理などの業務を担当できるようになります。
特に、住宅建築や小規模な商業施設などのプロジェクトでは、2級建築施工管理技士を主任技術者として配置させることが法的に求められる場合が多く、建築工事を適切に進めるために欠かせない資格です。
関連記事:2級建築施工管理技術検定の申し込み方法と勉強のコツ
1級建築士
建築工事業に必要な資格の3つ目は、1級建築士です。
1級建築士は建築工事業において最高峰とされる国家資格であり、戸建住宅や商業施設、公共建築物など、あらゆる規模や用途の建築物の設計や工事監理を行える資格です。
試験では建築基準法をはじめとする法令知識や建築構造、設備設計に関する高度な知識、さらに実務に基づいた設計課題を解く能力が問われます。そのため、資格取得には膨大な量の学習と実務経験が必要ですが、取得することでプロジェクトの中心的な役割を担えるようになります。
関連記事:建築士になるには?必要な資格や求められるスキル、キャリアップ方法
土木工事業に必要な資格
続いては、土木工事業に必要な資格を3つ解説します。
1級土木施工管理技士
土木工事業に必要な資格の1つ目は、1級土木施工管理技士です。
1級土木施工管理技士は、土木工事業における施工管理の最高峰とされる国家資格です。取得することで、道路や橋梁、トンネル、ダム、河川整備といった公共性の高い大規模な工事の施工管理を行えます。
特に公共工事では、1級土木施工管理技士が監理技術者や主任技術者として配置されることが法的に求められる場合があります。
関連記事:【最短で約500時間で合格】1級土木施工管理技士の効率的な勉強方法
2級土木施工管理技士
土木工事業に必要な資格の2つ目は、2級土木施工管理技士です。
2級土木施工管理技士は、土木工事業で必要とされる国家資格の一つです。この資格を取得することで、小規模から中規模の土木プロジェクトにおいて現場の主任技術者として配置されることが可能になります。
特に、住宅地の整備や中小規模の道路工事などでは2級土木施工管理技士が中心的な存在と言えます。
技術士(建設部門)
土木工事業に必要な資格の3つ目は、技術士(建設部門)です。
建設部門の技術士は、土木分野における最上級の国家資格の一つです。この資格を取得することで、土木工事や都市計画、環境整備に関するプロジェクトの設計、施工、管理、評価に携わることが可能となります。
建設部門の技術士の試験では、土木工事に関連する幅広い知識、設計や管理技術に関する深い理解、そして論理的な問題解決能力が問われます。
電気工事業に必要な資格
続いては、電気工事業に必要な資格を2つ解説します。
1級電気工事施工管理技士
電気工事業に必要な資格の1つ目は、1級電気工事施工管理技士です。
1級電気工事施工管理技士は、電気工事業において必要不可欠な国家資格です。取得することで、発電設備や配電設備、大型商業施設や公共施設の電気工事など、大規模な電気工事の責任者として活動できるようになります。
試験では、電気工事の設計・施工に関する高度な知識や関連法規、安全管理の実務能力が問われます。
関連記事:1級電気工事施工管理技士とは?仕事内容や2級との違い、年収事情
第1種電気工事士
電気工事業に必要な資格の2つ目は、第1種電気工事士です。
第1種電気工事士は、電気工事業において必要とされる国家資格の一つで、高圧電気設備や低圧電気設備に関する工事を行える専門資格です。
特に第1種電気工事士は一般家庭の電気工事に加え、電力会社の高圧受電設備の工事やメンテナンスにも対応できるため、工事範囲が広く、電気工事業界での需要が非常に高い資格です。
関連記事:【2024年度】第一種電気工事士の試験概要|合格率と難易度
管工事業に必要な資格
続いては、管工事業に必要な資格を2つ解説します。
1級管工事施工管理技士
管工事業に必要な資格の1つ目は、1級管工事施工管理技士です。
1級管工事施工管理技士は、管工事業における施工管理の最高峰とされる国家資格です。取得することで、大規模な建築物や工場、公共施設の空調設備や給排水設備、ガス管工事など、さまざまな管工事の計画、設計、施工管理を総合的に行えるようになります。
特に、公共工事や大規模プロジェクトでは、1級管工事施工管理技士が監理技術者や主任技術者として配置されることが義務付けられている場合があり、資格保有者は業界内で高い需要があります。
関連記事:施工管理技士試験の難易度ランキング|受験資格や勉強時間、取得のメリット
給水装置工事主任技術者
管工事業に必要な資格の2つ目は、給水装置工事主任技術者です。
給水装置工事主任技術者は、管工事業において必要とされる国家資格の一つです。この資格を取得することで、一般住宅から大規模な施設まで、さまざまな建物における給水設備の設計や施工、維持管理を行う責任者として活動できるようになります。
また、給水装置工事主任技術者の資格は水道事業者の登録要件にもなっており、水道事業において重要な資格です。
関連記事:給水装置工事主任技術者とは?仕事内容や試験概要、資格取得のポイント
その他の業種に必要な資格例
最後に、その他の業種に必要な資格例を解説します。
造園工事業:造園施工管理技士
造園工事業においては造園施工管理技士の資格が必要です。
造園施工管理技士は、造園工事業における施工管理の国家資格です。設計、施工、維持管理を総合的に担う能力を証明する国家資格です。この資格を取得することで、公園や庭園、緑地の造園工事を計画立案から施工管理まで行えるようになります。
造園施工管理技士には1級と2級があり、1級は大規模なプロジェクトや公共工事の監理技術者として活躍できる資格で、2級は小規模から中規模の現場で主任技術者として必要とされます。
解体工事業:1級または2級建築施工管理技士
解体工事業においては1級または2級建築施工管理技士の資格が必要です。
解体工事は建物の撤去に伴い、安全性や周辺環境への配慮が重要視されるため、建築施工管理技士が責任者として、工事が法令を遵守し、効率的かつ安全に進むよう監督する必要があります。
さらに、一定の規模以上の工事では主任技術者や監理技術者の配置が義務付けられており、建築施工管理技士の資格が必須となる場面も多いです。
塗装工事業:1級または2級建築施工管理技士
塗装工事業においては1級または2級建築施工管理技士の資格が必要です。
塗装工事では、美観の維持や防水性、耐久性の確保が求められるため、建築施工管理技士が品質を確保しつつ、施工が効率的かつ安全に進むよう指導を行うことが求められます。
また、一定規模以上のプロジェクトでは主任技術者や監理技術者の配置が法的に求められる場合があり、建築施工管理技士の資格が必要不可欠となる場面も多いです。
主任技術者の資格取得の方法
続いて、主任技術者の資格取得の方法を解説します。
資格取得の手順
まずは、資格取得の手順を解説します。
必要な実務経験を積む
主任技術者資格では必要な実務経験が求められるため、施工管理や品質管理、安全管理などの業務経験を積みながらスキルを磨くことが重要です。
なお、実務経験として認められる期間や内容は、工事の種類や規模、受験者の学歴、資格の有無によって異なります。
国家資格の取得
主任技術者資格は、建築施工管理技士、土木施工管理技士、管工事施工管理技士、電気工事士などの国家資格を取得することで取得できる場合もあります。
ただし、これらの試験では専門知識だけでなく実務経験を踏まえた応用力も問われるため、実務経験の年数を要件とする資格もあります。
申請書類の提出
実務経験と国家資格の要件を満たせたら、主任技術者資格を取得するための申請書を提出します。
詳細な申請方法については次章で解説します。
申請方法
続いて、申請方法を解説します。
必要書類を準備する
まずは、申請にあたって必要な書類を準備します。申請に必要な書類は業種によって異なりますが、主任技術者免状交付申請書は全業種に共通して必要となります。加えて、提出する書類一式には実務経験の証明書や資格証明書などが含まれます。
また、資格者証、免許証、登録証などの資格を証明する書類や、大学・高校の卒業証明書、単位取得証明書も必要となります。
実務経験の証明
上記の書類と同時に、実務経験の証明も必要となります。実務経験の証明には、実務経歴証明書が必要となります。
申請手続きの完了
必要書類を揃えて提出することで、申請手続きは完了です。
参考:電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方 p1|経済産業省
試験形式
続いて、試験形式について解説します。
筆記試験
主任技術者試験の筆記試験では、施工計画や工程管理、安全管理、品質管理に関する理論と実務の応用力が評価され、建築基準法や労働安全衛生法などの法令に関する知識などが問われます。
問題形式は選択問題や記述問題が組み合わされており、設計図の読み取りや計算問題なども出題されます。
実技試験
主任技術者試験の実技試験では、施工計画の立案や工程表の作成、図面の読み取り、問題のある施工条件への対策提案などが問われます。さらに、施工中に使用する設備や器具の設置に関する知識が試験範囲に含まれることもあります。また、安全管理や品質管理に関する具体的な事例を基に、適切な対応策を提示することが求められる場合もあります。
取得にかかる費用
続いて、取得にかかる費用について解説します。
受験手数料
主任技術者の受験手数料は、試験によって異なります。例えば、第一種電気主任技術者試験の場合は、インターネットからの申し込みで13,800円、郵送での申し込みで14,200円です。
申請手続き費用
事務手数料に関しても試験によって異なります。電気主任技術者試験の詳細は、ホームページで確認できます。
参考:令和 7 年度電気主任技術者試験の実施日程等のご案内|一般財団法人電気技術者試験センター
取得に要する期間
続いて、取得に要する期間について解説します。
受験準備期間
主任技術者試験の受験準備期間は、試験の種類によって異なります。例えば、第三種電気主任技術者の合格に必要な勉強時間は1,000時間程度と言われています。
また、合格に必要な勉強時間は、個々人の学習能力によって異なります。
試験後の申請手続き
主任技術者資格の申請手続きから取得までの日数は、試験の種類によって異なります。例えば、電気主任技術者の場合は申請からおよそ2ヶ月で取得が可能です。
参考:電気主任技術者の免状交付|一般財団法人電気技術者試験センター
主任技術者資格の難易度と合格率
続いて、主任技術者資格の難易度と合格率について解説します。
難易度
まずは、難易度について解説します。
難易度は高く、専門知識と実務経験が必要
主任技術者資格の取得は難易度が高く、施工管理や安全対策、品質管理などに関する専門知識が不可欠です。
また、受験資格として一定の実務経験が必要であり、その年数や内容は工事の種類や受験者の学歴、関連資格によって決まります。
受験には高度な建設関連知識が求められる
主任技術者資格の受験には、施工計画の立案や工程管理、品質管理、安全対策といった建設業務に関する高度な知識が求められます。加えて、現場での技能が備わっていることも合格への重要な要素となります。
試験では、施工に関する基本的な理論から、工事の種類や規模に応じた具体的な技術、さらに突発的な問題に対応するための応用力、建築基準法や労働安全衛生法といった関連法規などが出題されます。
実務経験を活かした実技試験も含まれる
主任技術者資格の受験では、実務経験を活かした実技試験が含まれている点が特徴的です。
実技試験では、設計図の読み取りや工事の進行における問題点の把握、解決策の提案といった現場で求められる実務的な能力が重視されます。そのため、試験に合格するには、日々の業務を通じて実践的なスキルを磨いておくことが不可欠です。
合格率
続いては、合格率について解説します。
1級施工管理技士の合格率は約40%
直近5年間の1級施工管理技士の合格率は以下の通りです。
年度 | 合格率(1次) | 合格率(2次) |
令和5年 | 41.6% | 45.5% |
令和4年 | 46.8% | 45.2% |
令和3年 | 36.0% | 52.4% |
令和2年 | 51.1% | 40.7% |
令和元年 | 42.7% | 46.5% |
参考:1級建築施工管理技術検定の合格率について|総合資格学院
年度によって多少のばらつきはあるものの、1級施工管理技士の合格率は平均40%程度です。
2級施工管理技士の合格率は約40〜50%
過去5年間の2級施工管理技士の合格率は以下の通りです。
年度 | 合格率(1次) | 合格率(2次) |
令和4年 | 42.3% | 53.1% |
令和3年 | 49.0% | 52.9% |
令和2年 | 35.0% | 28.2% |
令和元年 | 31.6% | 27.1% |
平成30年 | 25.9% | 25.2% |
参考:2級建築施工管理技術検定の合格率について|総合資格学院
直近2年間は40~50%程度の合格率ですが、令和2年度以前の合格率は平均30%程度でした。
他の国家資格も一般的に20〜50%程度
施工管理技士以外の国家資格の合格率も、20~50%程度と言われています。
例えば、令和5年度の給水装置工事主任技術者の合格率は34.5%、令和6年度の1級建築士(学科試験)の合格率は23.3%です。
参考:過去の受験者数&合格者数|公益財団法人給水工事技術振興財団
主任技術者資格がキャリアアップに役立つ理由
続いては、主任技術者資格がキャリアアップに役立つ理由を4つ解説します。
主任技術者資格取得により管理職への道が開けるから
主任技術者資格がキャリアアップに役立つ理由の1つ目は、資格取得により管理職への道が開けるからです。
主任技術者は、施工現場での工程管理や品質管理、安全管理を総合的に担当する重要な役割を担います。そのため、主任技術者資格を取得することで、建設業界で責任あるポジションに就くためのスキルと信頼を得られます。特に、請負業務の管理責任を果たせる資格者として高く評価されます。
さらに、主任技術者に求められる現場全体を把握して効率よく管理する能力は、管理職としての資質と直結するため、昇進のチャンスを広げる大きな要素となります。
資格取得によって年収が増加する可能性があるから
主任技術者資格がキャリアアップに役立つ理由の2つ目は、資格取得によって年収が増加する可能性があるからです。
施工現場では主任技術者が品質管理、安全管理、スケジュール調整などを総合的に担います。さらに、施工に伴う金額の確認や調整も責務に含まれる場合があります。そのため、主任技術者資格を取得することで責任あるポジションやプロジェクトを任される機会が増え、報酬アップにつながる可能性があります。
また、一部の企業では主任技術者資格の保有者に資格手当が支給される場合があり、直接的に年収を上げることも可能です。
さらに、資格を取得することで転職にも有利になり、より高年収な職場に移れる可能性も高まります。
幅広い工事や業界でのキャリアが選択できるから
主任技術者資格がキャリアアップに役立つ理由の3つ目は、幅広い工事や業界でのキャリアが選択できるからです。
主任技術者資格の保有者は、公共事業や民間工事、住宅建築、大規模な商業施設の施工管理まで、多様な現場で活躍できます。そのため、特定の分野にとどまらず幅広い業界でのキャリア選択が可能になります。
また、主任技術者資格は法令で指定された工事で必要とされる資格であり、あらゆる規模のプロジェクトに対応が可能です。そのため、転職も含めて自分のキャリアを柔軟に設計できます。
資格によって顧客や社内の信頼が向上するから
主任技術者資格がキャリアアップに役立つ理由の4つ目は、資格によって顧客や社内の信頼が向上するからです。
主任技術者資格を取得することで、顧客に対しても工事の品質や安全性、工程管理に関する知識とスキルがアピールできるため、案件の受注にもつながります。
また、社内においても資格を持つ社員はプロジェクトの中核を担う存在として見なされ、重要な業務を任される機会が増えます。これにより職場での信頼が厚くなり、将来的な昇進や役職への推薦にもつながるでしょう。
主任技術者の資格を取得する際の注意点
続いて、主任技術者の資格を取得する際の注意点を5つ解説します。
恒常的な雇用関係であることが求められる
主任技術者の資格を取得する際の注意点の1つ目は、恒常的な雇用関係であることが求められることです。また、工事を請け負う企業は主任技術者を適切に配置するために、事前に必要な行政許可を取得している必要があります。
主任技術者として現場に配置されるためには、その技術者が所属する会社と継続的な正社員の雇用契約が条件となります。つまり、業務委託契約や一時的な雇用形態で関与する場合は、主任技術者として認められません。
この点を見落とすと、資格取得後に主任技術者としての配置が難しくなる可能性があるため、注意が必要です。
派遣社員やアルバイトとしての従事は認められていない
主任技術者の資格を取得する際の注意点の2つ目は、派遣社員やアルバイトとしての従事は認められていないことです。
主任技術者は施工現場の管理責任者として、正社員として雇用主と雇用契約を結ぶことが求められます。そのため、派遣社員やアルバイトといった雇用形態では、主任技術者として認定されません。
複数の工事現場での兼任ができない場合がある
主任技術者の資格を取得する際の注意点の3つ目は、複数の工事現場での兼任ができない場合があることです。
主任技術者は担当する工事現場の品質管理や工程管理、安全管理などに責任を負う立場であるため、現場に常駐することが求められます。
複数の現場を同時に担当すると、各現場で求められる管理業務を十分に行うことが難しくなるため、法律や指針によって兼任が制限される場合があります。また、発注者からの要望や指示に迅速かつ正確に対応する能力も必要です。
専任配置が必要な場合には特定の現場に常駐する義務が生じる
主任技術者の資格を取得する際の注意点の4つ目は、専任配置が必要な場合には特定の現場に常駐する義務が生じることです。
専任配置とは、特定の工事現場において主任技術者が他の業務を兼任せず、その現場に専従して管理業務を行うことです。また、専任技術者の配置が求められる規模の工事では、主任技術者との役割分担が重要です。
専任配置が必要となる工事は規模が大きいものや技術的に複雑なものが多く、主任技術者には現場全体の状況を把握し、適切な管理が求められます。
そのため、専任配置が必要な現場に配属される場合には、自身のスケジュールや業務範囲がその現場に制限される可能性があります。
雇用契約と配置条件が法律や規制に準拠していることを確認する
主任技術者の資格を取得する際の注意点の5つ目は、雇用契約と配置条件が法律や規制に準拠しているかを確認することです。
主任技術者は建設業法や関連する法規に基づいて配置される必要があり、これらの条件を満たしていない場合、資格を持っていても主任技術者として活動できなくなる可能性があります。
例えば、雇用主と正社員としての雇用関係が求められる場合や、専任配置が必要な場合には特定の現場に常駐する義務が生じることなど、法律で定められた要件を満たす必要があります。
万が一、違法な形で配置された場合、個人だけでなく企業全体の信頼にも影響を及ぼす可能性があるため、契約内容や配置状況を事前に細かく確認しましょう。
主任技術者の資格取得に関するよくある質問
ここからは、主任技術者の資格取得に関するよくある質問に回答します。
主任技術者になるには10年の実務経験が必要?
主任技術者になるために10年の実務経験が必要かどうかは、受験者の学歴や保有資格によって異なります。
例えば、建築施工管理技士や土木施工管理技士などの関連資格をすでに取得している場合や、大学で工学系の学位を取得している場合には、10年の実務経験は不要です。
主任技術者の実務経験年数の数え方は?
主任技術者の実務経験年数の数え方は、担当した工事の種類や規模、期間に基づいて計算されます。具体的には、建設業における現場での作業や管理業務を行った期間が対象となり、関連業務での経験が実務経験として認められることが基本です。
ただし、実務経験として認められるには一定の条件を満たす必要があります。例えば、工事が正式に契約されているものであること、また、その期間中に実際に施工管理や現場作業に携わっていたことが求められます。
また、同時に複数の現場で作業していた場合でも、実務経験として数えられるのは一つの現場分だけとされるため注意が必要です。
さらに、実務経験年数は担当業務が主任技術者の役割に関連するものであるかどうかが重要であり、補助的な業務のみでは対象とならない場合があります。
1級技士補は主任技術者になれる資格?
1級技士補は主任技術者になれる資格ではありません。1級技士補は、1級技術士を補助する立場として設けられた資格であり、専門知識や技術を持つことを証明するものですが、主任技術者としての法的な要件を満たすものではありません。
主任技術者を目指す場合には、1級技士補の資格を土台にしながら必要な施工管理技士資格や関連資格の取得を目指す必要があります。
主任技術者資格を持つと複数の現場を兼任できるのか?
主任技術者資格を持っていても、複数の現場を兼任できるかどうかは工事の種類や規模、法的な要件によります。
通常、主任技術者は施工現場での工程管理や品質管理、安全管理を責任を持って行う立場であるため、特定の現場に常駐することが原則です。
そのため、法律や規制によって複数の現場を兼任することが制限される場合があります。例えば、公共工事や一定の規模以上の工事では、主任技術者が一つの現場に専任で配置されることが求められる場合が多いです。
一方、小規模な工事や短期間の工事などでは、条件付きで複数の現場を兼任することが認められる場合もありますが、その際は十分な管理体制が整っていることが求められます。
必要な実務経験を積んで主任技術者資格を取得しよう
今回は、主任技術者の資格について解説しました。
主任技術者資格は、建設業界でのキャリアアップのために必要不可欠な資格です。取得には専門知識や実務経験が求められますが、取得することで建設業界での一定の地位を確立できます。
また、資格取得を目指す際には、知識の補強や効率的な学習を目的とした講習の受講も検討すると良いでしょう。
主任技術者の資格取得を考えている方は、本記事を参考にして、ぜひ挑戦してみてください。
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