2級建築施工管理技術検定は、建築業界でのキャリアを築く上で重要なステップの一つとされています。
2級建築施工管理技術士の資格を持つことで、専門的な知識や技術が認められ、多くの現場での信頼を得ることができます。
しかし、その受験には独自の申し込み手続きや、難易度の高い試験内容が待ち受けています。
本記事では、そんな2級建築施工管理技術検定の申し込み方法から、試験内容、合格するための勉強のコツなどを詳しく解説します。
2級建築施工管理技術検定とは
まずは、2級建築施工管理技術検定について説明します。
2級建築施工管理技士とは
2級建築施工管理技士は、建築工事の施工管理に関する知識や技能を有する者として認定される資格です。
2級建築施工管理技士の資格を取得することで、建築現場の施工管理の専任技術者として、具体的な工事の計画や品質管理、安全管理などの業務を進めることが認められます。
受験資格や内容は1級建築施工管理技士に比べてハードルは低めですが、それでも多くの専門知識を要する資格となっており、業界内での信頼や地位を築くためのステップとして重要視されています。
関連記事:建築工事全体を束ねる建築施工管理技士とは?仕事内容や資格の取得方法などを紹介!
3つの試験区分
2級建築施工管理技術検定には、以下の3つの試験区分が存在します。
- 第一次・第二次検定(同日受検):建築工事の施工管理業務に従事した実務経験を積んで所定の受検資格を満たした方が受検申込できる。この区分で受検申込を行った場合は、第一次検定を欠席して第二次検定のみを受検することはできない。
- 第二次検定のみ:「一級建築士試験合格者」「令和2年度までの学科試験合格者で有効期間内の者」「令和3年度以降の第一次検定合格者」のいずれかに該当し、第一次・第二次検定(同日受検)の受検資格を満たす者が申し込み可能。
- 第一次検定のみ:試験実施年度において満17才以上となる方が受検申し込み可能。
出典:令和5年度 2級 建築施工管理技術検定のご案内|一般財団法人建設業振興基金施工管理技術検定
2級建築施工管理技士を取得するメリット
続いては、2級建築施工管理技士を取得するメリットを3つ紹介します。
専任の技術者としてみなされる
2級建築施工管理技士を取得するメリットの1つ目は、専任の技術者としてみなされることです。
2級建築施工管理技士の資格を持っていると、技術的な知識や経験が認められ、特定の工事やプロジェクトにおいて主要な役割を担うことが期待されます。
また、施工管理の業務を適切に遂行する能力があるとみなされ、その結果、より高度なタスクや責任を持つポジションに就くチャンスが増える可能性も高まります。
このように、2級建築施工管理技士の資格は、プロフェッショナルとしての地位や信頼性を高める手段として非常に価値があるのです。
監理技術者・主任技術者になれる
2級建築施工管理技士を取得するメリットの2つ目は、監理技術者・主任技術者になれることです。
監理技術者や主任技術者になると、建築工事の現場における重要な役割を担うことができるため、業界内でのキャリアアップや専門性を高める上で非常に有利となります。
特に、大きなプロジェクトや複雑な工事に関わる際に、監理や主任としての業務を遂行する能力が求められる場合が多く、この資格を持っていることでそのようなポジションに就くチャンスが増えるでしょう。
従って、より専門的な知識やスキルを持ち、現場でリーダーシップを発揮したいと考える方にとって、この資格の取得は大きなメリットとなるのです。
技士補を取得できる
2級建築施工管理技士を取得するメリットの2つ目は、技士補を取得できることです。
2級建築施工管理技士の資格を取得するためには、2級建築施工管理技士試験の1次検定と2次検定に合格する必要があります。そして、1次検定に合格すると、技士補の資格を取得することができます。
特定の工事現場では、原則として監理技術者を専属で配置しなければなりません。しかし、技士補がいれば、その監理技術者は2箇所の現場を同時に担当することが許可されるため、技士補にも一定の需要が存在します。
このように、2級建築施工管理技士の資格を取得することは、キャリアのさらなる向上やブランディングに寄与し、建築業界での更なる成功への道を広げる要素となるでしょう。
2級建築施工管理技士ができる工事一覧
2級建築施工管理技士の資格を取得すると、下記の工事を担当できます。
建築 | 躯体 | 仕上げ | |
建築一式工事 | ○ | × | × |
大工工事 | × | ○ | ○ |
左官工事 | × | × | ○ |
とび・土工・コンクリート工事 | × | ○ | × |
石工事 | × | × | ○ |
屋根工事 | × | × | ○ |
タイル・れんが・ブロック工事 | × | ○ | ○ |
鋼構造物工事 | × | ○ | × |
鉄筋工事 | × | ○ | × |
板金工事 | × | × | ○ |
ガラス工事 | × | × | ○ |
塗装工事 | × | × | ○ |
防水工事 | × | × | ○ |
内装仕上工事 | × | × | ○ |
熱絶縁工事 | × | × | ○ |
建具工事 | × | × | ○ |
解体工事 | ○ | ○ | × |
関連記事:施工管理技士とは?種類や仕事内容について詳しく解説!
2級建築施工管理技術検定の試験地とスケジュール
令和5年度の2級建築施工管理技術検定は、前期試験(一次検定のみ)と後期試験(一次検定と二次検定)2日程に分かれます。
まずは、前期試験の試験地とスケジュールについて紹介します。
申込受付期間 | 令和5年1月27日(金)~2月10日(金) |
試験日 | 令和5年6月11日(日) |
試験地 | 札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄 |
合格発表 | 令和5年7月14日(金) |
出典:令和5年度前期 2級 建築施工管理技術検定(第一次検定のみ)のご案内|一般財団法人建設業振興基金施工管理技術検定
続いては、後期試験の試験地とスケジュールについて紹介します。
申込受付期間 |
※インターネット申込は再受検申込者のみ |
試験日 | 令和5年11月12日(日) |
試験地 | 札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄
※学生(高校、5年制高等専門学校、短期大学、専門学校、大学など)の場合は「帯広・盛岡・秋田・長野・出雲・倉敷・高知・長崎」でも受験が可能(要事前申請) |
合格発表 |
|
出典:令和5年度 2級 建築施工管理技術検定のご案内|一般財団法人建設業振興基金施工管理技術検定
なお、令和6年度の試験日程については未定となっておりますが、例年、前期試験は6月、後期試験は11月に開催されているため、令和6年度の試験日程もそのあたりの日付となることが予想されています。
施工管理の求人を検索する(無料)関連記事:施工管理の試験の流れは?願書の取得方法や受験資格、試験難易度も紹介!
2級建築施工管理技術検定の試験概要
続いては、2級建築施工管理技術検定の試験概要について解説します。
申し込み方法
2級建築施工管理技術検定は一次検定と二次検定に分かれており、一次検定と二次検定の受験タイミングによって、申し込み方法は異なります。
まずは、第一次検定のみを受験する場合です。
【第一次検定のみの申込方法】
インターネット申込 |
書面申込 |
× |
〇 |
続いては、第一次・第二次検定を同時に受験する場合の申込方法を紹介します。
【第一次・第二次検定、第二次検定のみの申込方法】
新規受検申込者 |
|
再受検申込者 |
|
受験資格
2級建築施工管理技術検定は第一次検定と第二次検定に分かれており、第一次検定と第二次検定で受験資格は異なります。
まずは、第一次検定の受験資格の一部を紹介します。
最終学歴または資格 | 実務経験年数 |
大学、専門学校「高度専門士」 | 卒業後1年以上(指定学科)、卒業後1年6か月以上(指定学科以外) |
短期大学、5年制高等専門学校、専門学校「専門士」 | 卒業後2年以上(指定学科)、卒業後3年以上(指定学科以外) |
高等学校、専門学校「専門課程」 | 卒業後3年以上(指定学科)、卒業後4年6か月以上(指定学科以外) |
その他(最終学歴を問わず) | 8年以上 |
出典:令和5年度 2級建築施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受検の手引|一般財団法人 建設業振興基金
その他の受験資格の詳細は、令和5年度 2級建築施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受検の手引を参照ください。
なお、実務経験年数と指定学科に関する規定は下記の通りです。
2級建築施工管理技術検定に関する実務経験年数について | 建築工事の施工に直接的に関わる技術上のすべての職務経験を指し、具体的には、下記①~③に関するものが該当する。
①受注者(請負人)として施工を管理(工程管理、品質管理、安全管理等を含む)した経験(施工図の作成や補助者としての経験も含む) ※なお、研究所・学校・訓練所等における研究・教育および指導業務、設計業務、保守・点検業務等は認められない。 【建築】 【躯体】 【仕上げ】 |
指定学科について | 国土交通省令で定めている学科(土木科・農業土木科・森林土木科・鉱山土木科・砂防学科・治山学科・都市工学科・電気工学・機械工学・電気通信工学・建築科・緑地科・造園科等) |
出典:令和5年度 2級建築施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受検の手引|一般財団法人 建設業振興基金
続いて、第二次検定の受験資格の一部を紹介します。
- 2級建築施工管理技術検定「第一次検定・第二次検定」を受験し、第一次検定のみ合格した者
- 建築士法による1級建築士試験の合格者で、第一次検定の受検資格を有する者
- 令和3年度以降の「第一次検定」のみを受験して合格し、所定の実務経験、第一次検定の受検資格を満たした者
必要書類
1級建築施工管理技術検定の試験を受験する際に必要な書類は、全員の提出が必要な書類と、条件に該当する人のみが提出しなければならない書類に分かれています。
受験者全員に提出が義務付けられている書類は下記の通りです。
- 受検申請書
- 住民票(住民票コードを記入した場合は不要)
- パスポート用証明写真1枚
- 受検手数料の振替払込受付証明書
以下の書類は一部の条件に該当する方のみ提出が必要な書類です。
- 卒業証明書(原本)
- 技能検定合格証書(コピー)
- 検定区分資格の確認書類
なお、条件に該当する方の判別は、令和5年度 2級建築施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受検の手引を参照ください。
受検料
2級建築施工管理技術検定の受験料は、第一次検定、第二次検定ともに5,400円です。
願書の購入方法
2級建築施工管理技術検定の願書は、個人申し込みの場合は「インターネット販売」と「窓口販売」の2つに対応しており、学校申し込みの場合は「インターネット販売」のみとなっています。
なお、個人申し込みのインターネット販売の場合、クレジットカード決済が1〜5部まで250円、コンビニ決済が1〜5部まで350円となっています。
関連記事:建築施工管理技士の受験資格とは?試験の難易度や合格のコツも併せて紹介!
2級建築施工管理技術検定の出題内容
2級建築施工管理技術検定の出題内容は下記の通りです。
【前期試験】
分野 | 検定基準 |
建築学等 |
|
施工管理法 |
|
法規 | 建設工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する概略の知識を有すること。 |
出典:令和5年度前期 2級建築施工管理技術検定 第一次検定 受検の手引|一般財団法人 建設業振興基金
【後期試験】
分野 | 検定基準 |
建築学等(一次検定) |
|
施工管理法(一次検定) |
|
法規(一次検定) | 建設工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する概略の知識を有すること。 |
施工管理法(二次検定) |
|
躯体施工管理法(二次検定) |
|
仕上施工管理法(二次検定) |
|
出典:令和5年度 2級建築施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受検の手引|一般財団法人 建設業振興基金
2級建築施工管理技術検定の合格率
続いて、2級建築施工管理技術検定の合格率について解説します。
近年の合格率
近年の、2級建築施工管理技術検定の合格率(全国平均)は下記の通りです。
区分 | 平成30年前期試験(%) | 平成30年後期試験(%) | 令和元年前期試験(%) | 令和元年後期試験(%) | 令和2年前期試験(%) | 令和2年後期試験(%) | 令和3年前期試験(%) | 令和3年後期試験(%) | 令和4年前期試験(%) | 令和4年後期試験(%) |
一次(学科) | 39.7 | 20.6 | 33.3 | 25.3 | - | 35.9 | 37.9 | 48.8 | 50.7 | 42.5 |
二次(実地) | - | 25.2 | - | 27.1 | - | 28.2 | - | 35.1 | - | 53.1 |
上記の表に記載の通り、合格率はここ数年で上昇傾向にあるため、2級建築施工管理技術検定は徐々に易化していることがわかります。ただし、易化しているとは言え、直近の合格率は一次が42.5%、二次が53.1%と、資格試験としては依然難易度が高いと言えます。
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2級建築施工管理技術検定の勉強のコツ
続いて、2級建築施工管理技術検定の勉強のコツを3つ紹介します。
過去問・動画教材・通信講座等を活用する
2級建築施工管理技術検定の勉強のコツの1つ目は、過去問・動画教材・通信講座等を活用することです。
2級建築施工管理技術検定の合格率を上げるための勉強のコツは、多岐にわたります。特に効果的なのが、過去の出題傾向をつかむための過去問題の繰り返し解答です。これにより、試験で求められる知識や思考の流れを身につけることができます。
さらに、動画教材を利用することで、専門家の解説を直接聞きながら学習を進めることができ、視覚的な情報を取り入れることで理解を深めることが可能です。また、通信講座は自宅での学習をサポートしてくれるため、自分のペースでじっくりと学習を進めることができます。
これらの方法を組み合わせることで、効率的な学習が実現され、試験対策を強化することができるでしょう。
実地試験の対策をする
2級建築施工管理技術検定の勉強のコツの2つ目は、実地試験の対策をすることです。
実地試験は、建築現場の状況を模擬した実際の作業を行う試験であり、紙上だけの知識では対応しきれない状況が多々あります。そのため、筆記試験対策とは異なり、実際の現場をイメージしながらの練習や、具体的な作業手順の習得が必要です。
具体的な現場の経験が少ない方や、試験の内容に自信がない方は、模擬試験や実技講座を受講することで、実地試験の流れや求められる技術を身につけることができます。
この実地試験の対策をしっかりと行うことで、試験全体の合格率を大きく上げることができるのです。
試験の構成を理解しておく
2級建築施工管理技術検定の勉強のコツの3つ目は、試験の構成を理解しておくことです。
2級建築施工管理技術検定の試験は、複数のセクションやトピックに分かれており、それぞれのセクションには独自の重要点や出題傾向があります。
そのため、単に教材を漫然と読み進めるだけではなく、どの部分がどのセクションに関連するのか、またそのセクションで何が求められるのかを明確にしておくことで、効率的な学習が可能です。
さらに、試験の時間配分や出題形式も確認しておくことで、実際の試験時に焦ることなく、計画的に問題を解くことができるようになります。
このように、試験の構成を初めから理解しておくことは、的確な勉強方法の策定や、試験本番に向けた心の準備に役立つのです。
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2級建築施工管理技術検定についてのまとめ
今回は、2級建築施工管理技術検定について解説しました。
2級建築施工管理技術士の資格取得を検討している方は、本記事を参考にして、ぜひ2級建築施工管理技術検定に挑戦してみてください。
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