施工管理技士は建設業界に欠かせない存在であり、現役の技術者はもちろん、これから建設業界への転職を予定している人が取得を目指す人気の資格です。
受験するうえで、試験の難易度や受験資格が気になるという人もいるでしょう。この記事では、施工管理技士試験の難しさを中心に分かりやすく解説します。
施工管理技士になるメリットや平均年収なども紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【種類別】施工管理技士の難易度ランキング
一口に建設工事と言っても土木工事や電気工事など、さまざまな種類が存在します。工事ごとで管理するために必要な知識や経験が異なることから、施工管理技士も7種類に分けられています。各施工管理技士の難易度ランキングは以下の通りです。
※令和5年度の合格率を参照
順位 | 施工管理技士の種類 | 1次検定 | 2次検定 |
1位 | 1級造園施工管理技士 | 35.2% | 43.2% |
2位 | 2級建築施工管理技士 | 49.4% | 32% |
3位 | 1級土木施工管理技士 | 49.5% | 33.2% |
4位 | 2級電気工事施工管理技士 | 43.8% | 43% |
5位 | 1級建築施工管理技士 | 41.6% | 45.5% |
6位 | 1級電気通信工事施工管理技士 | 51.2% | 37.0% |
7位 | 1級建設機械施工技士 | 27.8% | 61.0% |
8位 | 1級電気工事施工管理技士 | 40.6% | 53% |
9位 | 1級管工事施工管理技士 | 37.5% | 62.1% |
10位 | 2級電気通信工事施工管理技士 | 50.6% | 54.3% |
11位 | 2級土木施工管理技士 | 50.6% | 54.3% |
12位 | 2級造園施工管理技士 | 53.9% | 52.4% |
13位 | 2級建設機械施工技士 | 41.2% | 74% |
14位 | 2級管工事施工管理技士 | 69.6% | 82.3% |
難易度ランキングは、直近の試験合格率から算出したものです。1級と2級では管理できる工事の規模などが異なり、1級の方が試験の難易度は高めです。
各施工管理技士の難易度などは、下記記事でも解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
関連記事:施工管理技士の資格難易度は?全業種の合格率や勉強方法のコツ
関連記事:電気工事施工管理技士の難易度は高い?電験三種との違いや合格率、勉強方法
難易度が高い施工管理技士の受験資格
施工管理技士試験では、学歴に応じて所定の実務経験が受検資格として設けられています。しかしながら、建設業界における人材不足の問題を受けて、令和6年より受検資格が大幅に見直されました。
令和10年度の試験までは経過措置として、旧受験資格と新受検資格のいずれかを満たしていれば受験可能です。新受検資格は以下の通りです。
【1級施工管理技士・新受験資格】
1次検定 | 19歳以上(受験年度末時点) |
2次検定 | 【1級1次検定合格後】 ・実務経験5年以上 ・特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 ・監理技術者補佐として実務経験1年以上【2級2次検定合格後】 ・実務経験5年以上 ・特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
【2級施工管理技士・新受験資格】
1次検定 | 17歳以上(受験年度末時点) |
2次検定 | 【2級1次検定合格後】 ・実務経験3年以上(建設機械種目の場合は2年以上)【1級1次検定合格後】 ・実務経験1年以上 |
受験資格改正により、短期間で資格取得を目指せるようになっています。
実務経験の詳細については、下記記事でも詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
出典:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります|国土交通省
関連記事:管工事施工管理に実務経験は必須?級別の受験資格やメリット
関連記事:建築施工管理技士の受験資格とは?試験の難易度や合格のコツも併せて紹介!
難易度の高い施工管理技士試験に最短で合格するための勉強方法
施工管理技士試験は、令和6年度より受験資格が見直されたことで比較的取得しやすくなったものの、難易度が高いと言えます。
施工管理技士は工事全体を管理する役割を担っており、広範囲にわたる専門知識と実務経験が求められます。最短で合格するには、複数のポイントを抑えて勉強することが大切です。
ここでは、施工管理技士試験に最短で合格するための勉強方法について解説していきます。
関連記事:【最短で約500時間で合格】1級土木施工管理技士の効率的な勉強方法
関連記事:2級管工事施工管理技士とは|資格取得の方法と勉強のコツ
無理のない受験計画を立てる
施工管理技士試験に合格するためには、効果的なスケジュール計画が不可欠です。仕事の急な増加や私生活の忙しさによって勉強時間が不足することもあるため、余裕のある計画を立てるようにしましょう。
試験範囲を直前で急いで覚えようとしても、応用問題や詳細な知識問題ではイメージが湧かず、点数が取りにくくなってしまいます。
試験日から逆算して必要な勉強時間を見積もり、余裕のある計画で一発合格を目指してみましょう。
複数年の過去問を繰り返し解いて理解を深める
施工管理技士試験は出題範囲が非常に広く、全てを覚えようとすると時間がかかります。ある程度知識が身に着いた後は、複数年分の過去問を繰り返し解きながら、試験の傾向を身に着けていきましょう。
過去問を繰り返し解くことで、苦手な分野と得意な分野の傾向が見えてくるため、対策しやすくなります。
注意点として、令和6年の受験資格改正に伴い、試験問題も見直されます。詳細は、試験実施機関のホームページに掲載されていますので、必ず確認しておくようにしましょう。
YouTubeや通信講座などを活用する
未経験から資格取得を目指す場合、専門用語が分からなかったり、内容がイメージできず覚えにくかったりすることがあります。
効率良く学習できていないと感じた場合には、YouTubeや通信講座も活用してみましょう。YouTubeでは、出題科目に関する解説動画が数多く投稿されており、初心者向けの内容もあります。
通信講座は、受検者のレベルに応じた最適なカリキュラムが組まれており、分からないことがあった場合は講師陣への質問も可能です。講座によって費用が異なるため、予算に応じたものを選んでみましょう。
関連記事:【最短で約500時間で合格】1級土木施工管理技士の効率的な勉強方法
関連記事:2級管工事施工管理技士とは|資格取得の方法と勉強のコツ
施工管理技士を取得するメリット
施工管理技士の受験を検討しているものの「資格を取得してどのようなメリットがあるのか、本当に取得して意味があるのか」と、疑問に感じている人もいるでしょう。
施工管理技士になると、工事全体の管理に伴って仕事の幅が広がるだけでなく、以下のようなメリットがあります。
- 社内評価が高まり昇給や昇進しやすくなる
- 主任技術者や監理技術者として活躍できる
- 好待遇な会社へ転職しやすくなる
建設業界における施工管理技士の立ち位置や将来性を交えながら、3つのメリットについて解説します。
関連記事:施工管理技士は転職しやすい?転職を失敗させない方法と転職しやすい業種を紹介
関連記事:施工管理として独立すると年収はいくら?メリット・デメリットも
主任技術者や監理技術者として活躍できる
全ての建設工事では、計画通り安全に工事を終わらせるための責任者として「主任技術者」と「監理技術者」の設置が義務付けられています。
主任技術者と監理技術者は、経験豊富であれば誰でもいいわけではなく、施工管理技士からしか選任できません。
全ての工事において欠かせない存在となれることから、施工管理技士は将来的にも長く活躍し続けられる資格と言えます。
社内評価が高まり昇給や昇進しやすくなる
施工管理技士になると、先ほど説明した主任技術者や監理技術者として工事に従事できます。会社として新たな仕事を受注しやすくなるため、社内評価が高まり昇給や昇進を目指しやすくなるでしょう。
公共工事を請け負う企業が受ける「経営事項審査」においては、施工管理技士の在籍が評価点数の加点対象にもなります。
好待遇な会社へ転職しやすくなる
施工管理技士は、全ての建設工事に設置が義務付けられている「主任技術者」や「監理技術者」として従事できるため、貴重な存在と言えます。
資格取得で身に着けた知識は建設業界で幅広く活かせるため、転職の際には優遇されやすくなると言えるでしょう。今以上に収入を上げたいと考えている人にもおすすめの資格と言えます。
ちなみに、施工管理技士資格を活かせる主な転職先には「ディベロッパー・不動産・ゼネコン・設計事務所・建設コンサルタント事務所」などがあります。
施工管理技士に合格するための勉強時間
施工管理技士に合格するために必要な勉強時間は、受験者のレベルによって大きく異なります。現役技術者の場合は100〜200時間、初心者の場合は400時間前後を目安にしてみましょう。
300時間で計算した、資格取得にかかる期間は以下の通りです。
- 1日1時間の勉強:10ヶ月ほど
- 1日2時間の勉強:5ヶ月ほど
- 1日3時間の勉強:3~4ヶ月ほど
1次検定は年2回、二次検定は年1回しか実施されないため、自分のレベルを把握したうえで余裕のある受験計画を立ててみましょう。
施工管理技士の難易度や資格に関するよくある質問
最後は施工管理技士に難易度や資格に関する、2つのよくある質問に答えていきます。
- 施工管理技士の偏差値は?
- 施工管理技士の年収は?
難易度の把握や将来性に関する内容ですので、受験を決めるうえで参考にしてみてください。
関連記事:施工管理技士の平均年収は620万円|転職で1,000万円稼ぐ方法
施工管理技士の偏差値は?
施工管理技士の偏差値は、建築施工管理技士1級で55、2級で50ほどと言われています。資格取得するには実務経験を満たす必要もあり、難易度は高めと言えるでしょう。
ただし、初心者でも無理のない受験計画を立てれば合格は十分に狙える資格です。継続して勉強しながら、資格取得を目指してみましょう。
ちなみに、同じくらいの偏差値の資格には、二級建築士(56)や宅建(57)などがあります。
施工管理技士の年収は?
厚生労働省が運営する職業情報提供サイトによると、令和5年度における建築施工管理技術者の平均年収は632.8万円です。
令和4年度における給与所得者の平均年収が458万円であることを踏まえると、かなり高水準と言えるでしょう。
ちなみに、ハローワーク求人統計データによると、建築施工管理技術者の求人賃金平均は31.9万円です。
出典:職業情報提供サイトjobtag・建築施工管理技術者|厚生労働省
出典:令和4年分民間給与実態統計調査|国税庁
施工管理技士の難易度を理解したうえで受験計画を立ててみよう
施工管理技士の資格は、7種類に分かれておりそれぞれで難易度は異なります。合格率は40〜60%ほどで推移しており、実務経験を満たす必要があることも踏まえると、難易度は高めと言えるでしょう。
最短で合格するには、無理のない受験計画を立てたうえで、過去問を繰り返し解きながら知識を高める方法がおすすめです。
施工管理技士は主任技術者や監理技術者として工事に従事できる貴重な存在であり、将来性の高い職種です。建設業界で長く働き続ける予定の人は、取得を検討してみてください。
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