レッカー車にはどのような免許証が必要なのでしょうか?
運転免許だけではレッカー車は運転できないことは想像ができますが、レッカー車と免許制度については意外に知られていません。
そこで、レッカー車にはどのような免許が必要でその制度はどのようになっているのか詳しく解説していきます。
レッカー車の免許:種類について
レッカー車とは、事故や故障などで動かなくなってしまった車を吊り上げて牽引し、別の場所まで運ぶクルマのことを指します。レッカー車は、現場で応急処置ができるよう様々な装備を搭載しており、脱輪から乗り上げやスタックなどのほか、現場での応急作業に当たることができます。
レッカー車には大きさや装備に様々な種類があり、レッカーする車の種類や大きのほか、車のトラブル状況によって使い分けをします。
道路を走るクルマには、軽自動車から大型車まで大きさも様々です。それに対応するために、レッカー車も吊り上げてけん引する車に合わせた大きさのレッカー車が用意されています。
主なレッカー車の種類には、3トン車までに対応する小型レッカー車、4トン車を牽引できる中型レッカー車、そして大型車に対応した大型レッカー車に分けることができます。
もちろん、大型レッカー車には8トン車や10トン車に対応のもののほかに、巨大なトラックに対応した60トンレッカー車などもあります。
レッカー車の免許:装置について
レッカー車は、国土交通省の特殊用途自動車の構造要件に合致していなければなりません。そのためレッカー車には、アンダーリフト、ウィンチブーム、クレーン、ベルトアタッチメント、ピントルフックなど、レッカー作業を行うことができる装備が装着されています。
これらの装備は、自動車を吊り上げて車輪を固定し、吊り上げた状態で保持できるようになっています。
レッカー車の免許:価格について
レッカー車は、特殊用途自動車となるため、ベースのトラックに架装が行える専門の制作販売店を通じて購入することになります。制作する時にはお客さんの要望に沿って手作業により制作されることがほとんどです。
価格は、2トンクラスで約1,000万円、4トンクラスで約2,000万円、8トンクラスで約3,000万円、10トンクラスで約4,000万円が目安となりますが、制作するレッカー車の仕様により価格は変動します。
もちろん、中古車市場にもレッカー車は販売されていますが、年式と走行距離で価格が大きく異なるのと、台数がそれほどないので購入したいと思ったときに予算内で自分の欲しい状態のレッカー車を見つけることはかなり困難となる場合もあります。
そして、おおよその中古レッカー車の価格は、100万円前後から300万円前後とかなり開きがあります。しかし、時期によってはこの価格の中では納まらないレッカー車も中古車市場に出回ることがあるでしょう。
関連記事:ユニック車やクレーンの運転に必須な資格・免許は?どちらを取得するべき?
レッカー車に必要な免許について
レッカー車を運転するにはどのような免許が必要なのでしょうか。大型自動車運転免許が必要と考える人もいますが、決して必須ではありません。2トントラックベースのレッカー車であれば、普通自動車免許または平成29年3月12日以降に運転免許を取得した方は、準中型免許があれば運転することができます。
そして、クルマを牽引するため一般に考えれば牽引免許が必要と考えると思いますが、要件によっては牽引免許も必修ではありません。
小型トラックで軽自動車等を牽引するケース
けん引免許が必要となるのは、牽引する車両総重量が750㎏以上の場合に必要となります。
軽自動車等は、750㎏以下の車両が多いので、小型トラックでも十分牽引することができますから牽引免許は特に必要ないように思われます。しかし、最近の軽自動車も車両重量が重い車種が販売されていきました。例えばホンダN-ONEは820kg、スズキスペーシアは850kg、ダイハツウェイクに至っては990kgもあります。当然この他にも750kg以上の軽自動車は多数あるので、軽自動車を牽引する場合は車検証を確認して、牽引免許が必要かどうか確認する必要があります。
750㎏を超える車両を牽引するケース
車両総重量が750kgを超える車両を牽引する場合は、牽引免許が必要となります。もちろん、牽引するトラックに応じた自動車免許が必要であり、普通免許しか所持していない方が、いくら牽引免許を取得しても大型車のレッカーはできません。
750㎏を超える車両を牽引する場合は、牽引免許のほかに乗車するレッカー車の大きさに合わせた運転免許証が必要となります。
大型レッカー車を運転するケース
大型レッカー車の出番は、大型車をレッカー移動させるときになります。そのため、牽引免許のほかに大型自動車運転免許証の取得が必要となります。しかし、大型レッカー車には、クレーンがついているものがほとんどとなりますから、大型特殊自動車運転免許証が必要となることが多いでしょう。
このほか特別な資格が必要となるケースもあります。例えばクレーンを扱うには玉掛け技能者の資格が必要となり、ウィンチを作動させる場合には、巻き上げ機運転特別教育を受けておく必要もあります。
レッカー車に関係する牽引免許にも二種免許がある
自動車免許証には、第一種免許と第二種免許がありますが、その違いは人を乗せて営業行為をするかしないかです。
第二種免許といえば、タクシーなどの普通二種免許とバスの運転手の大型二種免許が知られていますが、牽引にも二種免許が存在します。
牽引二種免許が必要とされる場面は、現在の日本ではありません。連節バスを最近目にする機会が多い方もいるかもしれませんが、連節バスはトレーラーのように切り離すことができないので、大型二種免許で運行が可能となっています。ただし、動きがトレーラーと似ていることからバス会社の社内規定で牽引二種免許取得をさせているバス会社もあります。
レッカー車に関係する牽引免許を取得する3つの条件
牽引免許を取得しようとした場合、牽引免許のみの取得をすることができません。牽引免許の取得を考える場合は、自動車を運転できる免許を所持していることが条件となります。
このほか、運転免許証と同じように年齢条件があるほか、視力検査や聴力、運動能力も取得条件に定めがあります。
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年齢制限
年齢制限は、普通自動車免許の取得年齢と同じく満18歳以上と定められています。そのため、中型免許や大型免許取得時に一緒に取得する人が多く見られます。
満18歳以上であれば牽引免許は取得できますから、普通免許を取得している人であれば、誰でも牽引免許取得年齢に達しています。
中型免許や大型免許のように、免許普通免許を取得してから運転経歴が何年必要といった制限はありません。
免許
牽引免許を取得する場合、運転免許証を取得していると牽引免許の受験資格があります。所持している免許の種類は、普通免許、中型免許、大型免許そして各種二種免許のどれを持っていても牽引免許の取得が可能です。
ただし、普通免許で牽引免許を取得すれば、普通自動車で牽引することしかできません。当然中型免許は車両総重量5トン以上11トン未満、最大積載量3トン以上6.5トン未満をベースとしたレッカー車もしくは牽引トラックのみ運転ができます。そのため、大型トレーラーの運転を視野に入れているのであれば、大型免許を所持していたほうが、牽引免許を取得した後に大きなメリットとなるでしょう。
検査
当然牽引免許も運転資格になるので、身体的に重要な視力と聴力検査が行われます。
視力検査には、普通自動車免許を取得するときに行われる視力検査がありますが、合格ラインは両眼で0.8以上、片眼で0.5以上の視力が必要となります。
この他、大型免許取得や書き換えでおなじみの深視力検査も行われます。こちらの検査は、奥行きの遠近感をテストする検査で、2.5mの距離で3本の棒が横一直線に並んだところでスイッチを押す検査となります。この検査を3回行い、誤差が2cm以内であれば合格になります。
聴力検査は、補聴器を使用していることも認められており、10mの距離で90dBの警音器の音が聞こえる必要があります。
最後に色彩判別検査ですが、こちらは信号機の赤、黄、青の3色の見分けがつくことが条件となります。
これら4つの条件の一つでも欠けていると、牽引免許の受験資格がありません。
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レッカー車の免許に関するまとめ
レッカー車の免許制度について解説してきました。
レッカー車は、車両総重量750kg以下のクルマを牽引する場合は、牽引免許の資格は必要ありませんが、レッカー車を運転するのであれば、牽引免許の取得はしておいたほうが良いでしょう。
また、乗車するレッカー車が普通免許で乗れるのか、それとも大型免許がなければ乗れないのかなど、牽引免許のほかに運転免許の種類にも注意が必要です。
牽引免許は単体で取得するものではなく、持っている運転免許証の種類の自動車で牽引作業ができるようになる免許証です。
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