ドライバー職の中では比較的移動距離が短いものに「ミキサー車」の運転手があります。
そこで本記事では、ミキサー車とはどのような車両なのか、ミキサー車運転手の仕事内容、年収事情、必要な免許や求人例などを紹介します。ミキサー車運転手への転職を検討中の人は参考にしてください。
ミキサー車の仕組みや形状
ミキサー車とは、荷台に大きなドラムを備えたトラックの一種です。円筒形のドラムは走行中に回転し、生コンクリートを撹拌する役割を果たします。
ドラムの中には生コンクリートが入っており、走行中も回転させることで、固まりやすい生コンクリートの品質を保ちながら運ぶことが可能です。
また、ミキサー車は主に生コンクリートの製造工場から工事現場への輸送に使用されます。
生コンクリートは数時間で固まってしまうため、輸送中に品質を維持するためにはスムーズで迅速な作業と輸送が不可欠です。
建設現場では頻繁にミキサー車を見かけますが、運転手には通常のトラックドライバーとは異なる専門的な知識と技術が求められます。
なお、ミキサー車の運転手は、他のトラックドライバーに比べて移動距離が短いことが多く、そのため実労働時間に対して年収が高いとされ、人気の職業となっています。
ミキサー車運転手の仕事とは?
現場での仕事内容
ミキサー車運転手の仕事内容ですが、決められたルートを回って工事現場にコンクリートを建設現場に配達することです。各建設現場ではレバーを操作して生コンを注入してから、次の現場に移動します。生コンは鮮度が大切で、時間が経過すると品質が低下してしまいます。
このため生コンは工場で積み込んでから短時間で建設現場に配達する必要があり、長距離を運転することはありません。
1日あたりの走行距離は 40~50km 程度で、ダンプカーや長距離トラックの運転手などと比較すると運転時間は短いです。
残業は多い?休みは取れる?
残業は月平均20時間ほどで、手当が支給されます。生コンの注入作業は短時間で終わるので、配達中は車内(運転席)に滞在する時間が長いです。
このため、真夏の日中でも配達時間中はクーラーが効いた涼しい車内で過ごすことができます。普段の仕事以外にも、年に1回くらいの頻度でドラムの中の羽に付着して固まってしまったコンクリートを割って除去する必要があります。
ドリルでコンクリートを割る必要があり、これはかなりの力仕事です。定期的にタイヤ交換をする必要もあり、これも重労働です。ミキサー車の運転や生コンの注入作業は労力を必要としませんが、洗浄やミキサー車のメンテナンス作業が力仕事になります。
ミキサー車運転手の1日の流れ
仕事の流れですが、毎日8時に出社すると地図を渡されて配達場所・経路の確認がおこなわれます。場所を確認したら、工場で生コンを積み込んで出発して配達に向かいます。
現場に到着したら外に出て、レバーを操作して生コンを注入します。配達が終わって戻って来ると、ドラム内の生コンを洗浄します。洗浄作業が終了したらその日の仕事は終了で、定時であれば夕方5時に帰宅できます。
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・生コン車(ミキサー車)の寸法表/所要道幅/搬入条件に合わせた対策
ミキサー車運転手のメリット・デメリットについて
ミキサー車運転手は他の一般的なトラック運転手に比べいくつかのメリットがあります。
1つ目が力仕事が少ないということです。
一般的なトラックドライバーと違い、荷物を手積みしたりすることもなく、現場でも車を操作するだけでいいので力仕事は基本的にありません。
次のメリットは収入が比較的高いということです。
会社や雇用形態にもよりますが、他のトラック運転手と比べると残業代や拘束時間が短いのですが給料が高めと言えます。
次にミキサー車運転手のデメリットについてですが、まず1つ目にあるのが洗車が大変ということです。
他のトラックと違い、生コンを取り扱うため、おろしてそのままの状態にしておくとすぐに固まり取れなくなってしまいます。
そのため、生コンをおろした後や業務が終了した後などは必ず洗車をしなければならず、定期的にミキサー車の中に入って固まっている生コンを剥がしたりする作業もあります。
また、コンクリートを積み込んだ後、現場の作業に間に合わせる必要があるため、基本的に出勤時間がとても早いことも辛い点の1つと言えます。
関連記事:コンクリートミキサー車の運転に必要な免許とは?車両重量ごとにわかりやすく解説!
ミキサー車運転手の平均年収/月収について
ミキサー車運転手はアルバイト(日雇い)・正社員・派遣社員などがあり、雇用形態や地域によって年収に大きな違いがあります。
ミキサー車は移動範囲が限定されていて長距離を運転することはありませんが、地域ごとに配達回数に違いがあるので年収にバラツキがあります。
地方であれば平均月給は手取りで20万円台ですが、都市部だと30万円を超える給料がもらえます。
ミキサー車運転手の年収は地域によって異なる
働く地域によって、全く同じ条件でも100万円以上もの年収の差があります。平均年収は 300万円~400万円ほどですが、忙しい時期は残業代が支給されるので年収が500万円前後になるケースもあります。
ミキサー車運転手の仕事は勤務時間が朝8時から夕方5時までの定時が基本で土日祝日は休みなので、他のトラックドライバーと比較すると実労働時間の割に年収額が高めです。
勤続年数が長くなるとメンテナンスの仕事ができるようになるため、経験に応じて年収がアップします。最初は年収が低いですが、地道に仕事を続けることで年収額を増やすことが可能です。
アルバイトで働く場合も地域ごとに日給に差があり、10,000円~14,000円です。もしも仕事が早く終わった場合でも、1日分の日給が支給されます。
1年を通して仕事をした場合は、年収が300万円を超えることも可能です。日雇いのアルバイトでも300万円以上の年収が得られるので、人気があります。
関連記事:生コン車のサイズや容量、所要道路幅などを詳しく解説
ミキサー車運転手の年収は車種によって異なる
コンクリートミキサー車には車種(サイズ)ごとにいくつかのタイプに分かれていて、小型・中型・大型の3種類に分かれています。経験年数や雇用形態が同じでも、トラックのサイズごとに年収に違いがあります。
小型トラック
中型トラック
大型トラック
ミキサー車運転手は生コンについての知識が必要ですし、運転以外にもドラム内の洗浄作業の仕事があります。
このため他のトラックドライバーと比較すると年収額が高く、運転手の仕事では上位20位以内にランクインしています。
ちなみにアルバイト(日雇い)だと正社員と比べて年収が低くなりますが、大型車の運転手で都市部で仕事をすれば年収300万円~360万円を稼ぐことは可能です。
小型車だと中型・大型車よりも年収が下がりますが、運転距離・時間が短いのとドラムを洗浄する作業の労力が少ないという利点があります。このため、ミキサー車運転手はガテン系で高い年収を狙う女性に人気のある職種のひとつです。
ミキサー車運転手の運転に必要な免許
ミキサー車運転手は現場で生コンの注入や配達後にドラム内の洗浄をする必要がありますが、これらの作業は特別な資格は必要ありません。
このため、ミキサー車運転手に必要な資格はトラックを運転するための運転免許だけです。必要な免許はミキサー車の種類(重量)によって違いがあり、小型(積載重量3トン)・中型(5~7トン)・大型(11トン)です。
小型・中型車であれば、中型か旧普通自動車免許(8トン限定中型)があればミキサー車を運転することができます。
年収アップのために大型のミキサー車を運転したい場合は、大型免許を取得する必要があります。
大型免許を取得するためには教習所に通う必要があり、35万円前後の費用がかかります。大型のミキサー車だと小型車と比べて年収が40~50万円も高いので、1年で教習費用を取り戻すことができます。
年収アップを狙う方は、大型車の免許を取得するようにしましょう。
コンクリートミキサー車の運転に必要な免許は車両重量で異なる
ミキサー車運転手として転職・就職する方法
ミキサー車運転手の仕事に就く場合は、会社に入社して正社員になるかアルバイト・契約社員に応募する方法があります。求人チラシの募集を見て直接応募するか、求人情報サイト・ハローワークなどを通して応募することができます。
地域によっては派遣会社に登録しておき、派遣スタッフとしてミキサー車の運転をする方法もあります。いずれの場合も、募集の条件として大型免許または中型免許を取得していることが求められます。
正社員の求人では大型免許が必須の会社が多いので、大型免許を取得しておく必要があります。
トラックドライバーで既に大型免許を取得している人は、年収アップのために募集を見つけて転職をすることができます。
トラック運転が未経験の人は最初にアルバイトに応募して日雇いで小型車を運転しながら経験を積み、大型免許を取得してから正社員になって年収アップを目指す方法もあります。
ミキサー車のサイズが大きくなると高度な運転技術が求められますが、基本的な仕事内容は同じなので年収アップのためには大型車の運転ができると有利です。
関連記事:増トントラックがまるわかり!種類や規格、必要資格やメリットなどあらゆる情報を紹介します
ミキサー車運転手の求人例
最後に実際のミキサー車運転手の求人詳細をいくつか見ていきましょう。
【バラセメント車・ミキサー車運転手】
・仕事内容
~バラセメント車・ミキサー車の運転業務。
・雇用形態
~正社員
・応募資格
~大型自動車免許必須、経験や知識、学歴については不問
・勤務時間
~8:00~17:00(現場により変更あり)
・給料、報酬
~日給10,000~20,000円(月給220,000~440,000円)
・休日
~年間休日105日
【3tのミキサー車運転手】
・仕事内容
~近畿圏内の工事現場へ一日4~5件コンクリートを配送
・雇用形態
~正社員
・応募資格
~改定前普通免許、業界未経験でも可
・勤務時間
~6:20~18:00(ルートによる)
・給料、報酬
~日給13,000円~
・休日
~日曜、祝日、GW、夏期、年末年始
【10tの大型ミキサー車運転手】
・仕事内容
~10tの大型ミキサー車を運転し、一日に工場から現場間を3~4往復
・雇用形態
~記載なし
・応募資格
~要大型運転免許
・勤務時間
~記載なし(最低勤務時間一日7時間)
・給料、報酬
~日給12,000円~
・休日
~週休二日制
他にも多くの求人があり、日給の他にも手当や賞与などの支給に関しては会社によって違うので、自分の条件を決めた上で理想の会社を探してみましょう。
関連記事:輪留めの必要性や種類、選び方や装着し忘れたことで起きた事故例を紹介!
ミキサー車運転手についてのまとめ
ミキサー車運転の仕事は生コンの取り扱い方法についての専門知識が必要ですが、他のトラック運転手と比べて実労働時間の割に年収が高いという利点があります。このため、女性でも多くの人がミキサー車の運転をしています。
基本的な仕事内容が同じでも大型車の方が年収が高くなるので、大型免許を取得すると有利な職種です。大型ミキサー車運転手で経験を積むと年収500万円も可能なので、高収入を目指す方におすすめのお仕事です。
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