電気工事士

未経験から電気工事士へ転職する方法|向いている人・向いていない人の特徴

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配線作業をこなす電気工事士

電気設備は住宅や商業施設、工場といったあらゆる建物に必要不可欠なものであり、その設置や修理、メンテナンスを行うのが電気工事士です。

近年は、再生可能エネルギーの普及やスマートホーム化が進み、電気工事士の需要はさらに高まっています。将来性が高く、手に職をつければ安定して長く活躍できることから、人気の職種でもあります。

電気工事士への転職を検討しており、未経験でも挑戦できるのか、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。今回は、未経験からでも電気工事士へ転職できるのか、転職活動の進め方や適性について解説します。

未経験から電気工事士になるための方法とは?

腕を組む電気工事士

結論から述べますと、未経験からでも電気工事士になれます。ただし、電気工事では高度な専門知識と作業スキルが求められるため、誰でも簡単になれるわけではありません。

ここでは、未経験から電気工事士になるための方法について解説します。

第二種電気工事士の資格を取得する

未経験から電気工事士を目指す場合、まずは「第二種電気工事士」の資格を取得する必要があります。電気工事士法では、無資格者が電気工事を行うことを禁止しているため、この資格がなければ電気工事士として働けません。

電気工事士には第一種と第二種があり、第二種であれば学歴や実務経験のない人でも受験可能です。試験内容は筆記試験と実技試験に分かれており、両方に合格すれば資格取得できます。

人気資格であるため、初心者向けのテキストや通信講座が充実しており、効率的に学習できる環境が整っています。資格取得を通じて、電気工事の現場で働くための基礎を身につけられるため、未経験者にとって大きなステップアップとなるでしょう。

参考:電気工事士法・第三条(電気工事士)|e-gov法令検索
参考:一般財団法人電気技術者試験センター

資格取得後に実務経験を積む

第二種電気工事士の資格を取得した後は、実務経験を積んでいきます。資格を持っているだけでは、実際の現場作業に対応しきれないため、経験を通じてスキルを磨いていきます。

配線作業や電気設備の設置、部品の交換作業など、資格取得時に学んだ内容を活かしながら、実践スキルを身につけていきましょう。

未経験者の場合は、経験豊富な技術者のもとでアシスタント業務をこなしながら、基本的な作業に慣れたり電気工事の流れを理解したりしていきます。

実務経験を積むことで、任される業務が増えていき、将来的には第一種電気工事士の取得といったキャリアアップも目指せます。

出典|電気工事士・職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省

資格取得していない場合は「未経験OK」の求人に応募する

電気工事士として働くには、電気工事士資格が必要ですが、会社によっては転職時に必ず取得している必要はありません。

電気工事士の求人には、未経験者を歓迎するものも多く、正社員として働きながら未経験者向けの研修制度や先輩社員による指導を通じて、基礎から学べる環境が整っています。さらに、地域によっては幅広い募集が行われており、選択肢が豊富です。

研修後は、アシスタント業務を通じて仕事の流れを理解しながら、実践的なスキルを身につけていきます。その後、受験勉強を経て第二種電気工事士を取得できれば、電気工事士として本格的に活躍できる道が開けるでしょう。

関連記事:電気工事士とは?取得方法や試験概要、合格率や仕事内容も

未経験から電気工事士に転職する方法

求人を探す様子

前述の通り、転職時に必ず電気工事士を取得している必要はなく、未経験者でも転職できます。未経験から電気工事士に転職する具体的な方法は、以下の通りです。

  • ハローワークで電気工事士の求人を探して応募する
  • 電気工事士の専門求人サイトを活用する
  • 転職エージェントを活用して効率よく転職活動を進める

各転職方法について、具体的な流れを交えながら解説します。

ハローワークで電気工事士の求人を探して応募する

未経験から電気工事士を目指す場合、ハローワークの活用は有効な方法の1つです。ハローワークでは地域ごとの電気工事士の求人を多数取り扱っており、未経験者を歓迎する求人もみつけられます。

まずは最寄りのハローワークに訪問し、キャリア相談窓口で転職の意向を伝えましょう。担当者が求人検索をサポートし、応募書類の作成や面接対策についてのアドバイスも受けられます。

ハローワークのオンラインサービスを利用すれば、自宅からでも求人情報をチェックできます。求職者に限られますが、職業訓練を受けて電気工事士の資格取得を目指すことも可能です。

電気工事士の専門求人サイトを活用する

電気業界に特化した専門求人サイトの活用もおすすめです。電気工事士関連の求人を多数掲載しており、未経験者歓迎の求人を探しやすくなっています。

勤務地や給与条件、勤務形態など、詳細な条件で検索できるため、自分に合った求人を見つけられるでしょう。さらに、通勤が便利な勤務地を選ぶことで、長期的に働きやすい環境を確保できます。

また、求人要項だけでなく賞与や入社後の具体的な流れや仕事内容まで記載されているため、転職後のミスマッチを防ぐのに役立ちます。複数の転職サイトを併用して、効率よく転職活動を進めていきましょう。

転職エージェントを活用して効率よく転職活動を進める

転職エージェントの活用もおすすめです。転職エージェントとは、転職活動全般のサポートを受けられるサービスで、業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍しています。

希望する条件にあった電気工事士の求人を紹介してもらえるだけでなく、面接日程の調整や履歴書の添削サポートまで無料で受けられます。

キャリアアドバイザーは業界に詳しいため、電気工事士の仕事内容などで分からないことがあれば、相談も可能です。

この他では、企業の採用イベントやセミナーに参加したり、人脈を活かして知り合いや取引先から求人を紹介してもらうといった方法もあります。

関連記事:電気工事士は未経験でも大丈夫?きつさや必要な資格について
関連記事:電気工事士のホワイト企業の選び方やおすすめの企業について

未経験から電気工事士になるための就職活動のコツ

遠くを見つめる作業員

未経験で電気工事士への転職を成功させるには「求人選び」「志望動機」「面接」に力を入れましょう。求人選びでは、未経験者を歓迎し、研修制度が整った企業を選ぶようにします。資格取得支援制度がある企業であれば、スムーズに資格取得を目指せます。

志望動機では「なぜ電気工事士になりたいのか」を明確に伝えることが大切です。未経験である分、熱意や成長意欲で強くアピールする必要があります。入社後の目標やキャリアプランも交えながら就業意欲をアピールしましょう。

面接では、コミュニケーション能力や柔軟性が重視されるため、丁寧な受け答えを心掛けます。志望動機の内容についても質問されるため、スムーズに答えられるよう準備しておくことが大切です。

【年代別】電気工事士へ転職を成功させるポイント

転職活動中の男性

電気工事士への転職を成功させるには、企業が応募者に求める内容について理解しておくことが大切です。特に、未経験者の場合、年代によって求められるスキルや適性が異なるため、自分の強みをどのようにアピールするかを工夫する必要があります。

ここでは、年代別で電気工事士への転職を成功させるポイントについて解説します。特に未経験者の場合、年齢に応じたアプローチを意識することが重要です。

20代・30代未経験から電気工事士を目指す場合

20代や30代の未経験者に対して、企業は将来性や成長意欲を重視する傾向があります。

そのため、志望動機で「なぜ電気工事士になりたいのか」を具体的に伝えるとともに、資格取得やスキル習得に向けた積極性をアピールしましょう。

関連記事:電気工事士への転職に条件はある?年代や経験について
関連記事:30代未経験でも電気工事士に転職できる|成功のコツや向き・不向き

40代・50代未経験から電気工事士を目指す場合

40代・50代で未経験から電気工事士を目指す場合、企業は「社会人としての経験値」を重視する傾向があります。これまでの職務経験で培ったコミュニケーション能力や責任感をアピールしましょう。

また、電気工事士は体力を必要とするため、長時間の作業や力仕事に対応できることを伝えると、より評価を高められます。

関連記事:50代未経験で電気工事士に転職は可能?何歳まで働けるのか

電気工事士の仕事内容と主な職種

配線作業中の電気工事士

未経験から電気工事士へ転職する場合、仕事内容について詳しく理解しておくことが重要です。また、電気工事士資格を活かせる職種について理解しておくと、将来的なキャリアプランを立てやすくなります。

ここでは、電気工事士の主な仕事内容と資格を活かせる主な職種について解説します。

屋内外の配線工事や家電の取り付けなどを行う「電気工事士」

電気工事士の主な仕事は、建物内外の電気設備に関する工事や修理です。

具体的には、新築住宅やビル、商業施設などの屋内配線工事や電気機器、照明設備の設置や修理などを行います。また、家電製品の取り付けやメンテナンスも、電気工事士の仕事に含まれます。

屋外では電柱や配電盤の工事、公共施設の電気設備の設置作業などが中心です。さらに近年では、太陽光発電や電気自動車の充電設備の設置といった再生可能エネルギー関連の工事も増えてきています。

関連記事:電気工事士の年収は高い?給料の実態や仕事内容を解説

ビルの内部にある設備の点検や交換作業を行う「ビルメンテナンス」

ビルメンテナンスは、ビル内部の電気設備や空調設備、照明器具などの点検・交換作業を通じて、建物の安全性と快適さを維持する仕事です。

電気工事士の資格があれば、配電盤や分電盤の点検、不具合箇所の修理、照明器具の交換作業などを行えます。ボイラー技士や消防設備士といった関連資格も取得することで、ビルメンテナンス業で幅広く活躍できます。

医療機器や家電などを修理する「サービスエンジニア」

サービスエンジニアは、医療機器や家電製品などの修理・保守を行う技術職で、故障した機器の診断や部品交換、動作確認などが主な仕事内容です。

電気回路の修理や、配線作業などで電気工事士の資格を活かせます。機械の構造に興味があり修理を得意としている人におすすめのキャリアプランです。

関連記事:サービスエンジニアに向いている人の特徴は?求められるスキルや年収

電気工事の保安監督や施工計画などを行う「電気工事施工管理技士」

電気工事施工管理技士は、電気工事士と同じく電気工事に携わる職種ですが、工事作業を手伝うことはありません。電気工事を計画通りに完了させる責任者の役割を担っています。

具体的には、電気工事において品質管理、安全管理、原価管理、工程管理、環境管理などを行います。電気技術者としてキャリアアップを目指したい人におすすめです。

関連記事:電気工事施工管理技士とは?資格取得の難易度やメリット

電気工事士に向いている人・向いていない人の特徴

電気工事の準備をする作業員

電気工事士は未経験からでも挑戦できる仕事ですが、誰でも簡単に一人前になれるわけではありません。電気工事士ならではの辛さや求められるスキルがあり、中には向いていない人もいます。

電気工事士の適性について理解した上で、転職を検討するようにしましょう。

電気工事士に向いている人の特徴

電気工事士に向いているのは、以下のような人です。

  • 電気工事に興味がある
  • 丁寧で几帳面
  • 集中力がある
  • 向上心がある

電気工事に興味があることは必須の適性と言えるでしょう。配線作業では電線をキレイにまとめなければならず、細かい部品の固着作業などもあります。そのため、几帳面で集中力の高い人が向いていると言えます。

また、電気工事技術や法令は変わり続けているため、常に向上心を持ち学び続ける姿勢が大切です。

関連記事:電気工事士に向いている人とは?|やりがいや適性について

電気工事士に向いていない人の特徴

電気工事士に向いていないのは、以下のような人です。 

  • 体力に自信がない
  • 細かい作業が苦手
  • 集団行動が苦手
  • 機械に興味がない

電気工事士は、10kgにもなる工具ベルトを装着し、高所や狭い箇所で作業することの多い仕事で、場合によっては残業が発生することもあります。重い電気設備や配線を持ち運ぶことも多いため、体力に自信がない人は向いていないと言えます。

さらに、配線や部品の取り付けなど、細かい作業を正確にこなす必要があり、チームで連携しながら進める場面も多くあります。集団行動や細かい作業が苦手な人は、負担を感じやすいため向いていないと言えるでしょう。

関連記事:電気工事士はやめたほうがいい?向いている人と向かない人の特徴

未経験から電気工事士を目指すうえで必要なスキル

チェック作業中の作業員

電気工事士として活躍する上で必須と言えるスキルは3つあります。

  • コミュニケーション能力
  • 危険を予知する能力
  • 問題解決能力

コミュニケーション能力は、他の技術者や関係者と連携しながら作業を進める際に欠かせません。電気工事では安全が最優先されるため、事故やトラブルを未然に防ぐ危険予知能力も求められます。

配線作業では、図面通りに配線できないケースも多く、現場の状況に応じて対応策を考える問題解決能力が求められます。

未経験から電気工事士を目指す方に関するよくある質問

考え事をする作業員

最後は未経験での電気工事士への転職に関する、4つのよくある質問に答えていきます。

電気工事士の需要や資格取得の難易度に関する内容ですので、理解した上で転職の流れやタイミングを検討してみましょう。

電気工事士はなぜ人手不足?

電気工事士が不足している主な理由としては、再生可能エネルギーやスマートホームの増加による電気工事の需要拡大があります。

また、現役技術者の高齢化も深刻で、若手人材の参入が減少していることから、近い将来さらに人手不足が深刻化すると考えられます。

第二種電気工事士は独学で取得できる?

第二種電気工事士は、独学でも取得できます。未経験者向けに分かりやすく解説されたテキストが市販されており、効率的な学習が可能です。実技試験対策用には、道具や材料がセットになった教材も販売されています。

ただし、理解が難しい箇所もあるため、初めての資格取得に挑戦する方は通信講座の利用をおすすめします。

関連記事:電気工事士の難易度は高い?一種と二種の合格率とは

電気工事士は勝ち組?

電気工事士が勝ち組であるかどうか、明確な基準はないものの、需要が高く経験を積めば高収入を目指しやすい魅力があります。

また、関連資格を取得することで、施工管理技士やビルメンテナンスといった職種へのキャリアアップも目指せます。独立して自営業を始めることも可能であり、長く活躍しつづけられる職種と言えるでしょう。

関連記事:電気工事士で年収1,000万円は可能?一人親方などの収入事情

第一種電気工事士になるには何年かかる?

第二種電気工事士の上位資格として第一種電気工事士があります。第二種に特別な受験条件はありませんが、第一種試験に挑戦するには3年間の実務経験が必要です。

そのため、第一種電気工事士になるには最短でも3年はかかります。ちなみに実務経験と認められる作業内容にも指定があります。詳細は、試験実施期間である電気技術者試験センターの案内ページを確認しましょう。

関連記事:電気工事士の難易度は高い?一種と二種の合格率とは

参考:一般財団法人電気技術者試験センター

未経験から電気工事士資格を取得して転職を有利に進めよう

腕を組む電気工事士

電気工事士として活躍するには、高度な専門スキルや知識が求められるものの、転職時に資格を取得しておくことは必須ではありません。

近年は、電気工事士が不足しているため、人材確保を目的に未経験者を歓迎している求人も多くあります。入社後の研修も整っており、働きながら資格取得を目指せます。

将来性が高く人気の職種ですが、電気工事士ならではの辛さもあるため、適性や仕事内容を理解した上で転職を検討しましょう。

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この記事を書いたライター

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工業高校・航空専門学校で「電気工事士」「危険物取扱者」「けん引免許」などの資格を取得。学校卒業後は、航空貨物を扱う会社の輸入部署にて、倉庫業や物流業に関する仕事に約8年ほど従事。転職後はカーコーティング会社でマーケティング担当として約5年間勤務。現在は自身の経験をもとに専業Webライターとして活動中。

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