現場監督は、建設工事を計画通りに終わらせる役割を担っており、建設業界に欠かせない存在です。建設業法でも工事全体を管理する立場として「主任技術者」や「監理技術者」の選任を義務付けています。
現場監督へのキャリアチェンジを検討しており、収入事情が気になるという方もいるでしょう。
この記事では、現場監督の平均年収や転職後に収入をアップさせる方法などについて、詳しく解説します。また、具体的な仕事内容や現場監督になる方法も紹介します。
現場監督の平均年収はどのくらい?
現場監督へのキャリアチェンジを検討する上で、気になるのが収入事情です。現場監督として働いていくことで、将来的にいくらほどの年収が得られるのか、企業規模によって収入がどれくらい変わるのか、知りたい人もいるでしょう。
ここでは「年代別」「男女別」「企業規模別」に分けて、現場監督の平均年収について解説します。
【年代別】平均年収
職業情報提供サイト・jobtagが公表している、令和5年度における「建築施工管理技術者」の平均年収は632万8,000円です。年代別の平均年収は、以下の通りです。
年代 | 平均年収 |
~19歳 | 284万600円 |
20~24歳 | 372万9,200円 |
25~29歳 | 510万2,500円 |
30~34歳 | 593万500円 |
35~39歳 | 686万4,500円 |
40~44歳 | 690万5,100円 |
45~49歳 | 723万8,800円 |
50~54歳 | 771万7,000円 |
55~59歳 | 795万8,800円 |
60~64歳 | 641万3,500円 |
65~69歳 | 559万6,200円 |
70歳~ | 459万7,400円 |
10代や20代前半といった、キャリア初期の年収はそこまで高くないものの、20代後半になると年収が500万円を超えています。中堅となる30代後半あたりで年収が600万円を超え、ピークを迎えるのは50代となります。
令和5年度の国民全体の平均年収460万円と比較すると、現場監督の平均年収は高水準であると言えるでしょう。
関連記事:施工管理の年収が高い理由|年齢別の収入事情や年収アップのコツ、ランキング
出典:建築施工管理技術者・職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
参考:令和5年分・民間給与実態統計調査|国税庁
【男女別】平均年収
令和5年賃金構造基本統計調査によると、現場監督の男女別の平均年収(平均賃金)は以下の通りです。
- 男性:596万6,100円
- 女性:437万5,900円
男性の給料が160万円ほど高いことが分かります。この理由として考えられるのが「働く年数や労働時間の差」です。女性の場合、結婚や出産を機に退職する人の割合が多く、復帰したとしても、子育てなどで労働時間が短くなる傾向にあります。
正社員として男性と同じ勤続年数を保っていれば、平均年収に大きな差は生まれないと考えられます。
出典:賃金構造基本統計調査/・令和5年賃金構造基本統計調査・一般労働者 職種|総務省
【企業規模別】平均年収
令和5年賃金構造基本統計調査によると、企業規模別の平均年収(平均賃金)は以下の通りです。
- 従業員数10~99人:541万4,300円
- 従業員数100~999人:561万7,500円
- 従業員数1,000人以上:631万6,200円
従業員数が多いほど平均年収が高くなる傾向です。この理由として、大手企業ほど資金力や収益力が高く、福利厚生などが充実していることが考えられます。
出典:賃金構造基本統計調査/・令和5年賃金構造基本統計調査・一般労働者 職種|総務省
現場監督の年収が地域で差があるのはなぜ?
求人ボックス・給料ナビが発表した令和6年10月30日時点の「現場監督の地域別・平均年収」において、最も平均年収が高かったのが関東エリアで480万円、最も低かったのが北海道・東北エリアの432万円でした。
同じ仕事内容でも、地域によって平均年収に差が出る理由としては、以下の内容が関係しています。
- 生活コストが異なるから
- 都市部の大規模プロジェクトが収入に直結するから
- 地方は生活コストが低く実質的な年収差が少ないから
- インフラ整備地域で特殊手当があるから
- 建設需要が高い地域では年収が上がりやすいから
これらの理由について、建設需要を交えながら解説します。
参考:令和6年10月30日時点の現場監督の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス給料ナビ
生活コストが異なるから
年収に地域差が生じる理由の1つに、生活コストの違いがあります。都市部と地方では、住宅費や物価、交通費などが異なるため、企業はその地域の生活コストに応じて給与水準を調整する傾向があります。
基本給や手当の額で調整するのが一般的で、詳細は企業によって異なります。
都市部の大規模プロジェクトが収入に直結するから
都市部と地方で、大規模プロジェクトの数が異なることも年収に影響しています。都市部では再開発や大型商業施設の建設、高層ビルの建設プロジェクトといった、規模が大きく工期の長いプロジェクトが多くあります。
一方、地方は人口が少ないこともあり、都市部に比べて大規模プロジェクトが少ない傾向です。大規模プロジェクトほど収益を確保しやすいため、プロジェクト数が多い都市部では、それに携わる現場監督の年収も高めに設定されています。
また、大規模プロジェクトほど、高度な管理スキルや専門知識が求められ、報酬が上乗せされやすいと言えます。
インフラ整備地域で特殊手当があるから
地域によって現場監督の平均年収が異なる理由の1つに、インフラ整備地域での特殊手当があります。都市部や過疎地域、災害復興地域など、インフラ整備が急務とされる地域では、特殊手当が支給されることがあります。
特に災害復興地域では、復旧工事を迅速に進めるための支援が充実しており、通常工事では支給されない特別な手当が支給されやすい傾向です。
特定の地域で常にこれらの手当が付くわけではないものの、一時的に年収の差が出てしまうと考えられます。
建設需要が高い地域では年収が上がりやすいから
建設需要の高さも、現場監督の年収に影響があります。都市部は人口が多いため、商業施設や高層マンション、公共インフラなどの大規模な建設プロジェクトが頻繁に行われます。
新築需要だけでなく、古くなった建築物の改修工事や耐震補強に関する工事も多いため、都市部ほど企業の売り上げが多く、現場監督の収入も上がりやすい傾向です。
現場監督の年収をアップさせる方法
現場監督に転職したからといって、すぐに高収入を得られるわけではありません。特に未経験から現場監督を目指す場合は、即戦力ではないため給料は低く設定されます。
現場監督として年収を上げていくには、以下のポイントを意識しましょう。
- 資格を取得して資格手当を増やす
- 工期を計画通りに進めて高評価を得る
- 実績や経験を積んで役職に就く
- 大規模案件を扱う会社へ転職して収入を上げる
これらのポイントについて、現場監督の役割を交えながら解説します。
資格を取得して資格手当を増やす
監督業務に関連する資格を取得することで、資格手当による収入を増やせます。特におすすめするのが「施工管理技士」です。
工事内容によって、建築施工管理技士や電気工事施工管理技士など、7種類に分けられており、工事全体を監督するための知識やスキルを証明できます。
各工事で選任が義務付けられている「主任技術者」や「監理技術者」として工事に携われるのは、施工管理技士の有資格者だけであるため、需要の高い資格と言えるでしょう。
工期を計画通りに進めて高評価を得る
現場監督としての評価を高めるためには、工事を計画通りに終わらせることを意識しましょう。予め決められた工期や予算、品質基準を計画通りに進められれば、クライアントや上司からの評価を得やすくなります。
工事の進捗状況を細かく管理し、予測されるリスクに対して早期に対策を講じることが大切です。また、予想外のトラブルが発生した際にも、迅速に対応し、工期への影響を最小限に抑えるように努めましょう。
実績や経験を積んで役職に就く
現場監督として年収をアップさせるためには、実績や経験を積み、将来的に役職に就くことを目指しましょう。役職に就ければ、責任のあるポジションを任されるようになり、それに伴い給与も上がりやすくなります。
また、現場監督の仕事だけでなく管理業務やスタッフの育成といった業務も任されるようになり、経験が収入に反映されやすくなります。
大規模案件を扱う会社へ転職して収入を上げる
現場監督として経験を積んだ後は、大規模案件を扱う会社への転職を検討することも一つの手です。大規模案件には、大型商業施設や高層ビルの建設などがあり、高度な専門スキルと経験が求められる分、給与も高く設定されているケースが多いです。
また、大規模案件を多く扱う大手企業は、福利厚生が充実しており、手当などで収入を増やしやすい魅力もあります。
大規模プロジェクトを扱うことで、新たなスキルやノウハウを習得しやすくなり、さらなるキャリアアップにも繋がるでしょう。
現場監督の年収アップにおすすめの資格6選
現場監督として年収アップを目指す場合、専門的な知識やスキルを証明できる関連資格の取得が必須と言えるでしょう。取得すべき資格は、携わる工事の種類によって異なります。
ここでは、現場監督として年収アップを狙えるおすすめの資格を6つ紹介します。
2級建築士
建築士資格は、建物の設計を行うための資格で、建築基準法や建物の構造、法令についての知識とスキルを身につけられます。
図面の読解力が身につけば、工事の細かい箇所まで品質基準をチェックしやすくなり、計画通りに工事を進められるようになります。
専門の学校を卒業して取得するのが一般的ですが、関連実務に7年間従事することでも受験資格を得られます。建築工事に携わっている場合は、取得を目指してみましょう。
参考:建築士とは/各種関連資格情報|一般社団法人 東京建築士会
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、土木工事の施工計画を立てて、安全かつ効率的に工事を管理するための国家資格です。具体的には、河川や道路、トンネルなどの土木工事を監督します。
現場監督に欠かせない、工事の安全管理や品質管理、原価管理などに関する知識やスキルを身につけられます。
あらゆる工事で選任が義務付けられている「主任技術者」や「監理技術者」になれるのは、施工管理技士の有資格者だけです。そのため、資格取得できれば現場監督としての評価を高められるでしょう。関連の実務経験が3年以上あれば、2級試験を受験できます。
関連記事:【未経験歓迎】土木施工管理者になれる理由とキャリアを築く方法
測量士
測量士は、土地や建物の位置や高さ、面積などを正確に測定し、地図や設計図を作成するための国家資格です。土木工事や建設工事において、測量は重要な工程の1つです。
資格を取得することで、地形や土地の境界を正確に把握し、施工計画に反映させるだけでなく、現場監督としてのスキルの幅が広がり、年収アップの可能性も高まります。
測量士の試験には特別な受験条件がなく、誰でも挑戦可能です。ただし、合格率は10%前後と低いため、計画的に学習を進めていく必要があります。
出典:測量士・測量士補国家試験及び登録|国土交通省・国土地理院
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士は、電気設備工事における施工計画や工程管理、原価管理などを行うための国家資格です。
他の施工管理技士と同様に、電気工事で主任技術者や監理技術者として従事するには、電気工事施工管理技士の資格が必要です。関連の実務経験が3年以上あれば、2級試験を受験できます。
近年では、再生可能エネルギーの普及や電気自動車用の充電設備の増加など、電気工事の需要が高まってきており、将来性の高い資格と言えるでしょう。
関連記事:【令和6年改正】電気工事施工管理の資格概要|受験要件や難易度、免除内容など
建設業経理士
建設業経理士は、建設業に特化した会計・経理の知識を証明できる資格です。建設工事では、現場ごとの収支管理が必要であり、経理業務が複雑です。
資格は1〜4級に分かれており、3級・4級に合格すると建設業経理事務士を取得できます。1級・2級に合格すると、建設業経理士を取得できます。
1級施工管理技士
施工管理技士は1級と2級に分かれており、携われる工事の規模が異なります。2級施工管理技士を取得後、さらに大規模なプロジェクトに携わるためには、1級資格が必要です。
大規模なプロジェクト案件を扱う企業へ転職したい場合は、1級施工管理技士の取得を検討してみましょう。
試験は第一次・第二次検定に分かれており、第一次検定は、19歳以上であれば誰でも受験できます。第二次検定は受験者によって3〜5年以上の実務経験が必要です。
関連記事:1級電気工事施工管理技士とは?仕事内容や2級との違い、年収事情
現場監督のキャリアパスと年収の変動
現場監督としてのキャリアパスには「主任技術者」や「監理技術者」があります。これらのポジションは、誰でも簡単になれるものではなく、一定の経験や資格が必要です。
さらに経験を積み上げていくことで、現場業務だけでなく、管理職への昇進も目指せます。ここでは、それぞれのキャリアパスを目指すための要件と、年収の変動について解説します。
現場監督から主任技術者になる要件と年収変動
現場監督は、建設工事を計画通りに進めていく役割を担っており、適正な工事施行を確保するうえで欠かせない存在です。
建設業法でも工事全体を管理・監督する技術者の設置を義務付けており、携わる工事の規模によって「主任技術者」と「監理技術者」に分けられています。
主任技術者は、工事の請負金額や元請け・下請けにかかわらず、全ての工事で選任する必要があります。この主任技術者になるには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 携わる工事の種類に応じた専門資格または施工管理技士資格を保有している
- 学歴などによって設けられた3~10年の実務経験がある
- 指定された登録基幹技能者の講習を受けている
たとえば、建築一式工事で主任技術者になるには、建築施工管理技士または建築士の資格が必要です。
主任技術者になれる施工管理技士を取得することで、社内での評価が高まり、昇給しやすくなります。また、会社によっては資格手当も支給しているため、数万円〜数十万円の年収アップを狙えるでしょう。
出典:工事現場に配置する技術者とは|国土交通省
出典:建築施工監理技術者|職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
主任技術者から監理技術者になる要件と年収変動
監理技術者とは、元請け工事で4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円)を下請契約し、工事する際に選任される現場監督のことです。
監理技術者が携わる建設工事は規模が大きく、主任技術者以上の施工管理スキルと、経験が求められます。監理技術者になるためには、携わる工事に応じた専門資格または施工管理技士資格が必要です。
たとえば、電気工事に監理技術者として携わるためには、1級電気工事施工管理技士または技術士(電気電子、建設)の資格が必要です。
指定建設業以外の22業種であれば、3〜10年の実務経験(指導監督的実務経験2年以上)を満たすことでも監理技術者になれます。
監理技術者は、あらゆる規模の工事を管理できる職種であり、需要の高い資格です。実際にある求人では、年収600万円前後のものが多く、年収800万円を超える求人も中にはあります。
出典:建設キャリアアップシステム(CCUS)におけるレベル別年収の公表|国土交通省
監理技術者から施工管理部門の管理職になる要件と年収変動
監理技術者として豊富な経験を積んだあとは、施工管理部門の管理職も目指せます。
施工管理におけるスキルや知識だけでなく、プロジェクト全体の進捗管理やマネジメントスキルが求められます。また、技術者の育成や部下の社内評価なども重要な仕事です。
組織全体を管理する立場で責任が大きい分、報酬が高く設定されており、年収800〜1,000万円を目指すことも可能です。
出典:建築施工管理技術者・職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
現場監督の4つの仕事内容
現場監督(施工管理技士)は、建設工事を計画通りに進めるために、以下の項目ごとに管理業務を行います。
- KYKや5S活動を行う「安全管理」
- 人材や材料の調整を行う「工程管理」
- 全体の品質をチェックする「品質管理」
- 予算に応じるために必要な「原価管理」
これらの管理項目ごとにどのような業務をこなしているのか、詳しく解説します。
KYKや5S活動を行う「安全管理」
現場監督は、工事現場での事故を防ぎ、安全に作業を進めていくための取り組みを行います。具体的にはKYK(危険予知活動)や5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾け)があります。
- KYK(危険予知活動):工事箇所ごとでどのような危険が潜んでいるかを考えながら、具体的な対策を講じたり、注意喚起したりする
- 5S活動:安全性や作業効率の向上を図るために、掃除をしたり必要に応じて資材の保管場所などを指示したりする
工事現場を歩きながらチェックを行い、危険な箇所や改善が必要な箇所を見つけた場合は、作業員へ是正を指示します。
人材や材料の調整を行う「工程管理」
工事現場における「工程管理」は、工事を計画通りに進めていくために、人材や機材の発注を調整する重要な業務です。工事の進行状況を日々確認しながら、必要に応じて計画の見直しや調整を行います。
たとえば、ある工程で品質基準に問題が見つかった場合、修正に時間がかかるため、その後の工程が早く終わるように人員を多めに調整します。
また、屋外で行う工程は天候に応じて日程を事前に調整し、工事に無駄が発生しないように管理します。毎日現場を見て回るだけでなく、各工程の責任者と綿密にコミュニケーションを取ることが大切です。
全体の品質をチェックする「品質管理」
品質管理は、工事全体の品質が設計や規格の基準を満たしているかを確認し、最終的な仕上がりの精度を高めるための重要な業務です。現場監督は、工程ごとに細かく材料の品質や施工手順、仕上がり具合を入念にチェックします。
具体的には、コンクリートの強度検査や配筋の位置確認、塗装の仕上がり検査などを行います。各工程で実施した試験の結果は、全て記録として残さなければなりません。関連書類の作成も現場監督の仕事です。
細部まで徹底して品質管理を行うことで、建物の安全性と耐久性が確保されます。
予算に応じるために必要な「原価管理」
原価管理は、工事の予算内で施工を完了させるための重要な業務です。現場監督は、事前に設定された予算をもとに、資材費や人件費、機材費などのコストを細かく管理します。
具体的には、資材の単価交渉や使用料の管理、各工程の人員調整や機材のレンタル日数の調整などがあります。工事の進捗状況によって都度調整が必要です。
各種費用を抑えすぎると、品質基準を満たせなかったり、無理のある作業が原因で職人の士気が下がる可能性があるため、適切な調整が求められます。
関連記事:【未経験者必見】現場監督の魅力|仕事内容と必要な資格
関連記事:施工管理の五大管理「QCDSE」とは?優先順位や管理方法
現場監督になる方法は?
現場監督として工事全体を管理するには、工事で行われる各作業に関する知識や経験だけでなく、責任者としてのリーダシップも求められます。
そのため、未経験で転職した場合、すぐに現場監督になれるわけではありません。ここでは現場監督になるためのステップについて解説します。
建設業界の知識を学ぶ
現場監督になるには、建設業界の基本的な知識を身につけることから始めていきます。建設業界にはさまざまな工種や専門職があり、作業内容が異なります。
また、工事を適切に管理するには、建築基準法や建設業法、労働安全衛生法といった法律知識も欠かせません。
さらに、各工事で使用される専門用語や図面の読み方、材料や機材に関する知識も学んでおくことで、職人とのコミュニケーションもとりやすくなるでしょう。
実務経験を積みながら現場に慣れる
現場監督として活躍するためには、実務経験を積みながら現場の流れに慣れておくことが大切です。建設現場では、各工程が細かく連携しており、日々状況が変化します。
机上の知識だけでは対応しきれないケースもあるため、現場での経験を通じて具体的な対処方法やリーダーシップについて学びます。
また、現場監督として携わる工事では、年上の職人に対して指示出しすることも珍しくありません。円滑な人間関係を築けるコミュニケーション能力が重要と言えるでしょう。
施工管理技士など必要な資格を取得する
工事全体を管理する、主任技術者や監理技術者として工事に携わるためには、施工管理技士の資格を取得する必要があります。まずは2級資格の取得を目指しましょう。
2級試験は第一次・第二次検定に分かれており、第一次検定は17歳以上であれば誰でも受験できます。第二次検定の受験資格は以下の通りです。
- 2級第一次検定に合格後、3年の実務経験を積む
- 1級第一次検定に合格後、1年の実務検定を積む
これらの受験資格は、令和6年度より改正された新受験資格であり、令和10年度試験までであれば、下記の旧受験資格を満たすことでも二次試験に挑戦できます。
学歴 | 実務経験 |
大学卒業 | ・指定学科を卒業した場合:卒業後1年以上の実務経験 ・指定学科以外を卒業した場合:卒業後1年6ヶ月以上の実務経験 |
短期大学高等専門学校 | ・指定学科を卒業した場合:卒業後2年以上の実務経験 ・指定学科以外を卒業した場合:卒業後3年以上の実務経験 |
高等学校 | ・指定学科を卒業した場合:卒業後3年以上の実務経験 ・指定学科以外を卒業した場合:卒業後4年6ヶ月以上の実務経験 |
上記以外 | 実務経験8年以上 |
受験資格を満たしているか確認したうえで、受験スケジュールを立てていきましょう。
関連記事:2級電気工事施工管理技士の難易度は高い?受験資格も紹介
出典:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります|国土交通省
主任技術者として現場を指導できる立場になる
主任技術者になれば工事を管理できますが、一人前と認められるには、日々の業務において継続的な学習が大切です。より細かく工程管理ができるよう、職人と積極的にコミュニケーションを取りながら、信頼を築いていきましょう。
また、工法や関連法規は日々変わり続けているため、常に最新の知識を学び続ける努力も欠かせません。
監理技術者としてさらに大きな責任を担う
主任技術者として経験を積んだ後は、1級施工管理技士を取得して監理技術者を目指しましょう。監理技術者になると、より大規模な工事に携わることになります。
主任技術者としての経験を基に、さらに高度な工程管理や安全対策を講じながら、依頼主や職人、上司と連携を取りながら調整を行います。
監理技術者として現場を安全かつ効率的に進め、着実に成果を積み上げていくことで、信頼されるプロフェッショナルへと成長しやりがいを持ちながら仕事に取り組めるでしょう。
現場監督の年収に関するよくある質問
現場監督の平均年収や仕事内容について解説してきましたが、転職を検討するうえでまだまだ気になることがある方もいるでしょう。
ここでは、現場監督の各年代の年収事情に関する5つのよくある質問を紹介します。
大手ゼネコン現場監督の年収はどのくらい?
大手ゼネコンで現場監督として働いた場合の平均年収は580万円前後です。ちなみに、中小ゼネコンは430〜480万円、スーパーゼネコンは1,000万円となります。
大手企業ほど大規模な案件を扱っており、福利厚生が手厚い傾向もあるため、年収が高くなりやすいと言えるでしょう。
30代現場監督の平均年収はどのくらい?
30代で現場監督をしている人の平均年収は、30代前半で約593万円、30代後半で約686万円です。
新卒で働いている場合、20代で施工管理に関する知識やスキルが身につき、主任技術者や監理技術者として働いている時期となります。
現場監督として、責任ある役割を担う機会が増えるため、20代と比べて年収は上昇傾向にあります。
40代現場監督の平均年収はどのくらい?
令和5年度における40代で現場監督をしている人の平均年収は、40代前半で約690万円、40代後半で約723万円です。
40代は、主任技術者や監理技術者として豊富な経験を積んでおり、より大規模な工事での現場監督を任される機会が増えます。
また、部下の育成や施工管理部門の管理など、管理職としての業務を任され始める時期でもあります。
出典:建築施工管理技術者・職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
50代現場監督の平均年収はどのくらい?
令和5年度における50代で現場監督をしている人の平均年収は、50代前半で約771万円、40代後半で約795万円です。
現場監督として豊富な経験があり、重要なプロジェクトや大規模な工事の総責任者としての役割を担う機会が増えます。
また、現場監督から管理職へキャリアアップし、部下の指導や部署の管理を行う人も少なくありません。企業によっては部門長や役員としての昇進が見えてくる時期でもあり、年収が1,000万円を超える人もいます。
出典:建築施工管理技術者・職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
年収1,000万円以上の現場監督はどのくらいいる?
現場監督で年収1,000万円以上を達成している人の割合は、全体の5%ほどと言われています。
特に、スーパーゼネコンや大手ゼネコンなど、大手企業ほど年収が高くなる傾向にあります。現場監督として高収入を目指したい場合は、大手企業への転職も検討してみましょう。
2級施工管理技士を取得済の場合は、1級資格を取得し、大規模な工事の施工管理経験を積んでいくことで、高収入を目指せます。
資格取得と実績を積んで高収入の現場監督を目指そう
現場監督の平均年収は約630万円前後であり、建設職の中でも高水準と言えます。ただし、工事全体を管理する責任の大きいポジションであるため、誰でもすぐに現場監督になれるわけではありません。
建設業界の知識を身につけて、実務経験を積みながら2級施工管理技士の取得を目指しましょう。1級を取得すると、大規模な工事にも携われるチャンスが広がり、現場監督としてのキャリアアップを目指せます。
将来性の高い業界でもあるため、手に職をつければ長く安定して活躍し続けられるでしょう。「現場監督を目指したい」「建設業界へキャリアチェンジしたい」と考えている方は「建職キャリア」をご活用ください。
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