「自動車整備士になるにはどうしたら良いか」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
自動車整備士になるには、国家資格を取得しなければなりません。また、資格試験に挑戦するには受験要件が求められます。
この記事では、自動車整備士になるために必要な国家資格を4つ紹介します。また、受験要件を満たす方法なども解説しますので、整備士を目指している人は、ぜひ参考にしてみてください。
自動車整備士になるには国家資格が必要
自動車整備士になるには、国家資格の取得が必要です。
資格を取得する方法は大きく分けて2つあります。
- 学校に通う
- 独学・実務経験を積む
それぞれについて解説します。
学校に通う
学校に通う場合、大きく分けて2つのケースがあります。
- 一種養成施設(整備専門学校・高校・職業能力開発校など)
- 二種養成施設(各都道府県自動車整備振興会の自動車整備振興会技術講習所)
学校に通い、知識をつけ受験する人が一般的に多いと言われています。
参考:受験資格について|国土交通省
参考:自動車整備士養成施設について|国土交通省
独学・実務経験を積む
独学で学び、実務経験を積んで受験する方法です。
独学で資格取得に挑戦する人が少ない理由は後ほど紹介します。
自動車整備士の4つの資格
自動車整備士の資格は、大きく分けて4種類です。
- 1級自動車整備士
- 2級自動車整備士
- 3級自動車整備士
- 特殊整備士
それぞれについて解説します。
1級自動車整備士
1級は、自動車整備業界で最も難易度の高い資格です。1級を取得していれば、エンジンの種類に限らず取り扱えます。また、自動車整備に関するほとんどの業務を担当できます。
1級は次の3種類です。
- 1級小型
- 1級大型
- 1級二輪
しかし、大型と二輪の試験は現在、実施されていません。
1級小型に合格する人は毎年1,000人前後です。
参考:自動車整備士技能検定の申請者数及び合格者数|国土交通省
2級自動車整備士
2級は自動車整備士として働いている人のうち保持している割合が最も高いと言われている資格です。2級を取得していれば、エンジンから足回りまで、分解・修理・点検などの幅広い整備作業に従事できます。
2級は4種類あります。
- 2級ガソリン
- 2級ジーゼル
- 2級シャシ
- 2級二輪
2級の合格者は毎年20,000人程度です。
参考:自動車整備士技能検定の申請者数及び合格者数|国土交通省
3級自動車整備士
3級は、自動車整備士を目指す人がはじめに取るべき資格です。3級は、2級と同様に4種類あります。
- 3級ガソリン
- 3級ジーゼル
- 3級シャシ
- 3級二輪
3級の取得のみでは、担当できる仕事が限られています。整備士のキャリアを広げるには2級を取得しなければなりません。
たとえば、3級の場合、エンジンの分解整備などはできません。
整備士のキャリアをスタートさせるにあたって、3級は毎年6,000人から8000人程度が合格しています。
参考:自動車整備士技能検定の申請者数及び合格者数|国土交通省
特殊整備士
特殊整備士は、特定の分野に限定した資格です。資格は、3つに細分化されています。
- 自動車電気装置
- 自動車車体
- 自動車タイヤ
特殊整備士がなくても整備士としてキャリアを積めますが、市場価値を高めたい場合は取得を検討するとよいでしょう。
特殊整備士は毎年600人から900人程度が合格しています。
自動車整備士になる方法3選
自動車整備士になる方法は次の3つです。
- 高校で機械工学や自動車整備の基礎を学ぶ
- 自動車専門学校で高度な技術を学ぶ
- 転職して働きながら実務経験を積み上げる
それぞれについて解説します。
高校で機械工学や自動車整備の基礎を学ぶ
高校で機械工学や自動車整備の基礎を学べると、独学の場合と比較して受験に必要な実務経験が短縮されます。
自動車専門学校で高度な技術を学ぶ
自動車専門学校で高度な技術を学ぶ場合、費用はかかりますが資格取得には近道です。
整備専門学校・高校・職業能力開発校などの一種養成施設で所定の課程を修了した場合、実務経験がなくても受験要件を得られます。
転職して働きながら実務経験を積み上げる
転職して働きながら実務経験を積み、整備士を目指すことも可能です。
ただし、一般的に幅広い業務ができる2級の受験要件を満たすには、3級の取得や3年以上の実務経験が求められます。
自動車整備士の受験資格について
自動車整備士の受験要件は専門学校に通うケースと通わないケースで大きく異なります。
- 自動車整備専門学校に通う場合
- 自動車整備専門学校に通わない場合
それぞれについて解説します。
自動車整備専門学校に通う場合
自動車整備士の多くが専門学校に通って資格を取得しているようです。
専門学校の種類は2つです。
- 一種養成施設(整備専門学校・高校・職業能力開発校など)
- 二種養成施設(各都道府県自動車整備振興会の自動車整備振興会技術講習所)
たとえば、一種養成施設所定の課程を修了した場合、実務経験がなくても受験資格を得られます。また、他の場合でも、実技試験を免除できるメリットなどがあります。
自動車整備専門学校に通わない場合
専門学校に通わない場合、受験要件を満たすために資格ごとに求められる実務経験をクリアしなければなりません。
また、資格取得も受験要件に求められるケースがあります。たとえば、2級の受験要件には3級の取得が必要です。
自動車整備士の仕事内容3選
整備士は、車両のメンテナンスを行うだけでなく、人々の生活の安全と直接的に関わる重要な職業です。車両が安全に機能するように、細部にわたって点検したり精密な修理をしたりします。
仕事内容は大きく分けて3つです。
- 点検整備
- 緊急整備
- 分解整備
それぞれについて解説します。
点検整備
整備士は、点検整備を通じて車両の安全性を保証します。具体的には、タイヤの摩耗状態・オイルレベル・ライトの機能・排気システムなどのチェックです。
点検整備は、予期せぬ故障を未然に防ぎ、ドライバーと他の道路利用者の安全確保のために重要な役割を担っています。
緊急整備
緊急整備は、車両の完全性を保つために損傷した部品の交換や修理をする作業です。
具体的には、タイヤがパンクしたり、エンジンがかからなかったりする予期せぬ事態に修理対応などしています。
分解整備
分解整備は、車両の長期的な性能と耐久性を維持する目的で行われる業務です。整備士は、エンジンやトランスミッションなどの主要コンポーネントを徹底的に検査し、必要に応じて修理や交換をします。
分解整備は高度な技術を要するため、認証工場や指定工場でのみ対応可能です。
自動車整備士の魅力3選
整備士の魅力は主に3つです。
- 専門的な技術が身につき職に困らない
- お客さまから感謝されやりがいを感じる
- 安定した市場があり将来性がある
それぞれについて解説します。
専門的な技術が身につき職に困らない
整備士は、エンジンやトランスミッションなど、車の複雑な構造を理解し、高度な技術を必要とする専門職です。さらに、国家資格を取得できると、就職や転職に有利になると言われています。
自動車整備業界の有効求人倍率が他の業界より高く推移しています。したがって、整備士の資格があれば、職に困らないと言えるでしょう。
実際に、自動車整備業界の有効求人倍率は、平成23年度が1.07でしたが、令和3年度は4.55まで高まっています。一方で、令和5年の日本全体の倍率は1.31でしたので、3倍以上です。
さらに、近年、自動車はますます高度化しており、ハイブリッド車や電気自動車など、新しい技術の開発が著しい状況です。整備士は、最新技術に対応できるよう、常に新しい知識やスキルを学び続ける必要があります。
参考:第26回 自動車整備技術の高度化検討会 議事次第|国土交通省
参考:一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について | 厚生労働省
お客さまから感謝されやりがいを感じる
整備士の役割は、お客さまの大切な愛車を預かり、安全で快適なカーライフを支えることです。車の修理や点検を通して、お客さまから感謝されるとやりがいを感じます。
また、整備士として働く人によると、お客さまから「ありがとう」と言われた時の喜びは、何物にも代え難いもののようです。
安定した市場があり将来性がある
車は現代社会で必要不可欠です。また、今後も市場は安定的に成長していくと予想されています。したがって、整備士は常に需要があり、将来性のある職業と言えるでしょう。
先ほども紹介した通り、整備士の有効求人倍率が高まっている点からも自動車業界の将来性も見て取れるでしょう。
さらに、高齢化社会の進展や、自動運転技術の普及などによって、整備士の需要は今後ますます高まっていくと考えられています。
自動車整備士の平均給料は月35万円程と予想
厚生労働省が公開している令和4年賃金構造基本統計調査の結果を踏まえた自動車整備士の平均年収は469.3万円です。
また、世代ごとの平均年収は次の通りです。
年代 | 平均年収 |
~19歳 | 249.28万円 |
20歳~24歳 | 325.84万円 |
25歳~29歳 | 385.58万円 |
30歳~34歳 | 457.55万円 |
35歳~39歳 | 511.19万円 |
40歳~44歳 | 527.98万円 |
45歳~49歳 | 541.09万円 |
50歳~54歳 | 529.13万円 |
55歳~59歳 | 516.32万円 |
60歳~64歳 | 399.21万円 |
65歳~69歳 | 347.54万円 |
70歳~ | 305.63万円 |
経験値もあり体力的にも余力のある40代後半に平均年収のピークを迎えています。
また、厚生労働省がとりまとめている毎月勤労統計調査によると、自動車整備業が分類されているその他サービス業の平均賞与は次の通りです。
- 令和4年の夏季賞与:217,344円
- 令和4年の年末賞与:217,774円
したがって、平均年収や平均賞与の金額を踏まえると、自動車整備士の月収は約35万円と予想できるでしょう。
参考:自動車整備士 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
参考:毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等|厚生労働省
参考:毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等|厚生労働省
自動車整備士になる方法に関するよくある質問
自動車整備士を目指すにあたって、よくある質問は次の通りです。
- 自動車整備士は高校で取れる資格ですか?
- 自動車整備士は誰でも取れる資格ですか?
- 自動車整備士の国家試験の合格率は?
- 高校卒業で整備士になれますか?
それぞれについて解説します。
自動車整備士は高校で取れる資格ですか?
機会学科を卒業して6か月以上の実務経験があれば、3級自動車整備士の受験資格を満たせます。
自動車整備士は誰でも取れる資格ですか?
自動車整備士は誰でも目指せる資格です。一方で、自動車整備士の試験を受験するには、一定の要件を満たさなければなりません。
要件は、受験する種類によって異なります。
自動車整備士の国家試験の合格率は?
自動車整備士の合格率は、資格別に大きく異なります。
たとえば、1級自動車整備士の合格率は例年25%から45%程度です。
また、令和4年度第2回の1級自動車整備士の試験別合格率は次の通りです。
- 筆記試験:53.0%
- 口述試験:97.6%
- 実技試験:64.3%
一方で、2級自動車整備士は、種類別に合格率は異なりますが、60%から90%程度である場合が多いようです。
さらに、3級自動車整備士の合格率は、60%から70%程度でした。
高校卒業で整備士になれますか?
高校卒業で整備士になれる可能性は十分にあります。高校卒業後、専門学校に通ったり、養成施設で実務経験を積んだりして、国家試験合格を目指すのが一般的です。
まとめ
今回は、自動車整備士になるために必要な国家資格4つを中心に解説しました。
自動車整備士の資格は1級から3級まであります。
一般的に、幅広い業務を担当するには、2級が必要と言われています。したがって、2級まで取得して自動車整備士として活躍している人が大半です。
ただし、1級自動車整備士の取得により昇給・昇格できる場合は、挑戦してもよいでしょう。
これから自動車整備士を目指す際は、専門学校に通ったり、転職して実務経験を積んだりしてはいかがでしょうか。
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