「働きながら自動車整備士になりたいな」と思っている人もいるのではないでしょうか。
結論、自動車整備士は働きながらでも目指せる専門職です。
一方で、資格取得に向けて実務経験などを求められるケースが一般的です。
この記事では、働きながら自動車整備士を目指すための3つのステップを解説します。
ぜひ、参考にして転職活動に活かしてみてください。
自動車整備士に働きながらなる3つのステップ
自動車整備士を働きながら目指す3つのステップは次の通りです。
- 認証工場・指定工場(民間車検場)に応募する
- 自動車整備振興会の技術教習所に通う
- 自動車整備士の国家試験に合格する
それぞれについて解説します。
1.認証工場・指定工場(民間車検場)に応募する
まずは、無資格でも働ける認証工場や指定工場(民間車検場)に就職して、知識やスキルを身につけましょう。
ただし、無資格者の場合、業務範囲は限定される点は認識しておきましょう。
2.自動車整備振興会の技術教習所に通う
資格取得に向けて、独学か自動車整備振興会の技術教習所などに通い、知識を身につけましょう。
試験は、学科と実技の2種類あります。独学で学ぶ場合は、資格取得のための費用がかからないメリットがあります。
一方で、学科と実技のそれぞれに合格しなければなりません。
自動車整備振興会の技術教習所に通う場合、時間や費用がかかります。
費用は資格によって異なりますが、10~20万円程度です。
また、講習受講には半年程度の期間が必要です。
しかし、受講修了後から2年間、実技試験が免除される点は大きなメリットです。
実際、講習に通って資格取得を目指す人が多いと言われています。
3.自動車整備士の国家試験に合格する
国家試験に合格すると、資格を取得できます。
整備士として長いキャリアを積みたい場合は、資格取得を目指しましょう。
関連記事:【40代・50代】整備士は何歳まで働ける?年齢ごとの転職・就職を考える
【資格別】自動車整備士に働きながらなる場合の期間
資格は、種類によって難易度ならびに求められる実務経験が大きく異なります。
資格は大きく分けて次の4つです。
- 3級自動車整備士
- 2級自動車整備士
- 1級自動車整備士
- 特殊整備士
資格別に取得に向けた必要期間を解説します。
3級自動車整備士
3級の受験要件は、学歴によって求められる実務経験が異なります。
- 高校もしくは専門学校を卒業した場合⇒実務経験不要
- 機械工学科の大学や専門学校を卒業した場合⇒実務経験6か月以上
- それ以外⇒実務経験1年以上
2級自動車整備士
2級の受験要件は、学歴だけでなく目指す整備士によっても求められる実務経験が異なります。
ガソリン・ジーゼル(ディーゼル)・二輪のケースは次の通りです。
- 専門学校もしくは専門大学校などを卒業した場合⇒実務経験不要
- 機械工学科の大学や専門学校を卒業した場合⇒3級を取得後、実務経験1年6か月以上
- 機械工学科の高校もしくは整備士3級課程の高校・専門学校を卒業した場合⇒3級を取得後、実務経験2年以上
- それ以外⇒3級を取得後、実務経験3年以上
2級自動車シャシ整備士のケースは次の通りです。
- 専門学校もしくは専門大学校などを卒業した場合⇒実務経験不要
- 機械工学科の大学や専門学校を卒業した場合⇒3級を取得後、実務経験1年以上
- 機械工学科の高校もしくは整備士3級課程の高校・専門学校を卒業した場合⇒3級を取得後、実務経験1年6か月以上
- それ以外⇒3級を取得後、実務経験2年以上
1級自動車整備士
1級の受験資格は次の通りです。
- 自動車関係の専門学校もしくは専門大学校などを卒業した場合⇒実務経験不要
- 2級取得者※2級シャシを除く⇒2級を取得後、実務経験3年以上
特殊整備士
特殊整備士の資格は、自動車電気装置・自動車車体・自動車タイヤの3つに分かれています。
特殊整備士の受験資格は次の通りです。
- 自動車整備関係の高校もしくは専門学校を卒業した場合⇒実務経験不要
- 自動車整備関係の専門大学や認定大学校を卒業した場合⇒実務経験1年以上
- それ以外⇒実務経験2年以上
自動車整備士3級・2級・1級の違い
資格ごとに担当できる業務などが異なります。
- 3級自動車整備士
- 2級自動車整備士
- 1級自動車整備士
- 特殊整備士
それぞれの資格の仕事内容について解説します。
3級自動車整備士
3級は、自動車整備士を目指す人がはじめに取るべき資格です。
3級自動車整備士には、次の4種類があります。
- 3級ガソリン
- 3級ジーゼル
- 3級シャシ
- 3級二輪
3級自動車整備士は、国家資格の中で最も初歩的な資格です。
担当できる仕事が限られているため、仕事の幅を広げるには2級の資格も取得する必要があります。
たとえば、3級の場合、エンジンの分解整備などはできません。
2級自動車整備士
2級は保持している人の割合が最も高いと言われている資格です。
2級自動車整備士はエンジンから足回りまで、分解・修理・点検などの幅広い整備作業に精通しています。
2級の資格は4種類あります。
- 2級ガソリン
- 2級ジーゼル
- 2級シャシ
- 2級二輪
資格取得の難易度は3級よりも高く、専門的な知識と技術が求められますが、整備士としてのキャリアアップが可能です。
1級自動車整備士
1級は、自動車整備業界で最も難易度の高い資格です。
一方で1級の資格がなくても2級を取得していれば、業務のほとんどを担当できます。
しかし、1級を取得して昇給・昇格につながるのであれば、目指す価値はあるでしょう。
1級の資格は次の3種類です。
- 1級小型
- 1級大型
- 1級二輪
2級と3級はエンジン別にガソリン・ジーゼル・シャシと分類されていますが、1級は分類されていません。
特殊整備士
特殊整備士は、特定の分野に限定した資格です。
自動車電気装置・自動車車体・自動車タイヤの3つに細分化されています。
- 自動車電気装置
- 自動車車体
- 自動車タイヤ
特殊整備士の資格がなくても整備士としてキャリアを積めますが、市場価値を高めたい場合は取得を検討してもよいでしょう。
自動車整備士3級・2級・1級を取得する費用相場
資格を取得するにあたって、必要とする費用は種類によって異なります。
- 3級自動車整備士
- 2級自動車整備士
- 1級自動車整備士
それぞれの資格ごとに解説します。
3級自動車整備士
3級の「登録試験」の受験手数料は、次の通りです。
- 学科試験:7,200円
- 実技試験:14,000円
加えて、整備士技術講習を受講する場合は、教材費と受講料がかかります。
たとえば、大阪府の場合は91,522円の費用が必要です。
内訳は次の通りです。
- 受講料:85,240円
- 教材費:6,282円
参考:自動車整備士を希望されるみなさんへ|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
参考:令和6年度第1回自動車整備技術講習|一般社団法人大阪府自動車整備振興会
2級自動車整備士
2級の「登録試験」の受験手数料は、3級自動車整備士と同じく次の通りです。
- 学科試験:7,200円
- 実技試験:14,000円
加えて、整備士技術講習を受講する場合は、教材費と受講料がかかります。
たとえば、2級ガソリン整備士の講習を大阪府で受講する場合は、91,329円の費用が必要です。
内訳は次の通りです。
- 受講料:85,240円
- 教材費:6,089円
参考:自動車整備士を希望されるみなさんへ|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
参考:令和6年度第1回自動車整備技術講習|一般社団法人大阪府自動車整備振興会
1級自動車整備士
1級の「登録試験」の受験手数料は、次の通りです。
- 学科試験:9,300円
- 実技試験:14,000円
加えて、整備士技術講習を受講する場合は、教材費と受講料がかかります。
たとえば、2級ガソリン整備士の資格を取得していて、1級小型整備士の講習を大阪府で受講する場合は181,589円の費用が必要です。
内訳は次の通りです。
- 受講料:166,410円
- 教材費:15,179円
参考:自動車整備士を希望されるみなさんへ|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
参考:令和6年度第1回自動車整備技術講習|一般社団法人大阪府自動車整備振興会
自動車整備士の夜間に通える学校|2選
整備士を目指すにあたって、独学や技術講習の受講だけでは不安と感じる人もいるでしょう。その場合、働きながら専門学校に通う方法もあります。しかし、夜間に通える専門学校は限られています。
夜間に通える専門学校の代表例が次の2校です。
- 東京工科自動車大学校
- 札幌科学技術専門学校
それぞれについて紹介します。
東京工科自動車大学校
東京工科自動車大学校世田谷校では、日本で唯一の2年制の夜間課程が設けられています。
1日の授業は1時限と2時限があり、18時20分から21時50分までです。
札幌科学技術専門学校
札幌科学技術専門学校では、夜間のコースが設けられています。
一般的に、カリキュラムは3年制です。
自動車整備士の働きながらなる方法に関するよくある質問
整備士を働きながら目指す方法に関してよくある質問は次の通りです。
- 働きながら自動車整備士2級を取るのに最短で何年かかりますか?
- 自動車整備士にノルマはありますか?
- 自動車整備士は誰でも取れる資格ですか?
- 自動車整備士は減っていますか?
- 自動車整備士は何歳まで目指せますか?
それぞれについて解説します。
働きながら自動車整備士2級を取るのに最短で何年かかりますか?
普通科を卒業して、2級自動車整備士を働きながら目指す場合、最短で4年かかります。
ステップは次の通りです。
- 1年以上の実務経験を積む
- 3級自動車整備士試験に合格する
- さらに3年以上の実務経験を積む
- 2級自動車整備士試験に合格する
ただし、夜間学校や通信教育などを活用できる場合は、より短期間で資格取得を目指せる可能性もあります。
自動車整備士にノルマはありますか?
整備士にもノルマは設けられているケースがあります。
ノルマの内容は、作業量・売上・顧客数などさまざまです。
しかし、ノルマはあくまでも目安としているケースが多いようです。
もし、ノルマがきつくてつらい場合は、上司や同僚に相談したり、転職を検討したりしましょう。
自動車整備士は誰でも取れる資格ですか?
受験要件を満たせれば、誰でも取れる可能性があります。
しかし、受験要件には、過去の学歴や実務経験が問われます。
一般的に、資格取得までは数年の時間が必要です。
自動車整備士は減っていますか?
自動車整備業界の有効求人倍率が右肩上がりに上がっています。
したがって、整備士の数が不足していると言えるでしょう。
自動車整備業界の有効求人倍率について、平成23年度は1.07でしたが、令和3年度は4.55まで上がっています。
有効求人倍率が1より高いと、求職者より求人が多いことを示しています。
参考:第26回 自動車整備技術の高度化検討会 議事次第|国土交通省
自動車整備士は何歳まで目指せますか?
整備士を目指すにあたって、年齢制限はありません。
ただし、年齢が上がると就職活動が難しくなる場合もあります。
したがって、早めに資格取得を目指して実務経験を積みましょう。
自動車整備士の働きながらなる方法についてのまとめ
今回は、自動車整備士を働きながら目指す3つのステップを中心に解説しました。
働きながら整備士を目指すステップは次の通りです。
- 無資格で働ける認証工場か指定工場(民間車検場)の求人に応募する
- 独学か自動整備振興会の技術教習所に通う
- 自動車整備士の国家試験に合格する
資格取得には、学歴や実務経験などが求められます。他にも、講習の受講などの費用もかかります。
整備士は資格取得に長い時間を要しますが、有効求人倍率は右肩上がりで必要不可欠な職種です。
これから整備士のキャリアを考えているのであれば、挑戦してはいかがでしょうか。
整備士の仕事をお探しの方へ
整備士キャリアは、自動車整備業界に特化した転職支援サービスです 。
- 希望条件に合う求人のご紹介
- 履歴書など書類作成のサポート
- 企業との条件交渉/面接日程の調整
無料でご利用いただけますので、ぜひご活用ください。
求人を検索する(無料)