自動車整備士の年収は平均469.3万円となっており、乗用車やバイクなどのあらゆる車両を整備する重要な仕事に見合った水準といえます。
自動車整備士の仕事は人々の生活と密接に関わっているため、電気自動車や水素自動車が普及しても、その需要がなくなることはないでしょう。
将来性が高い職種であり、未経験者を歓迎する求人も増えているため、整備業界への転職を考える人も少なくありません。そこで今回は、自動車整備士の年収事情について解説します。
【この記事で分かること】 ・業種や年代別の整備士の平均年収 ・整備士の収入に関する近年の傾向 ・整備士として高収入を目指す方法 |
自動車整備士の平均年収は469.3万円
一口に整備士といっても、勤務先にはディーラーや民間の整備工場などがあり、扱う車種や業務内容も異なります。
また、経験を積み重ねていくことで出世するため、役職も年収に影響します。
ここでは、業種別・年代別・役職別で整備士の平均年収について紹介していきますので、就職するうえで参考にしてみてください。
平均年収は469.3万円
整備士の収入について調べると「低い」「高収入は無理」といったネガティブな情報も見受けられ、不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
厚生労働省が公表した、令和4年度における自動車整備士の年収は469万3,000円です。
国民全体の平均年収は、458万円で中央値が約396万円であることから考えると、整備士の年収は決して低くはないと言えるでしょう。
後ほど詳しく解説しますが、整備士の年収は近年上昇傾向にあり、将来さらに上がっている可能性もあります。
出典:職業情報提供サイトjobtag・自動車整備士|厚生労働省
出典:毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報|厚生労働省
業種別・自動車整備士の平均年収
次に、整備士が働く業種や会社の規模別で平均年収を見ていきましょう。
業種 | 平均月給 | 平均年収 |
自動車メーカー | 28~35万円 | 約500万円 |
大手企業の整備工場 | 28~30万円 | 約440万円 |
中小の民間整備工場 | 20~22万円 | 約400万円 |
自営の整備工場 | 18~21 | 約400万円 |
あくまでも傾向であり、一概には言えないものの自動車メーカーと中小の民間整備工場では、約100万円の差があることが分かります。
この理由としては、大手企業ほど整備以外の事業も展開しており、業績が安定しているからと考えられます。
また、ディーラーなどは仕事が幅広く、残業も民間の整備工場に比べると多い傾向にあるため、年収も高くなっていると予想できます。
年代別・自動車整備士の平均年収
先ほど紹介した、職業情報提供サイトjobtagによると、年代別における整備士の年収は以下の通りです。
年代 | 平均年収 |
~19歳 | 264万5,900円 |
20~24歳 | 330万9,200円 |
25~29歳 | 394万4,600円 |
30~34歳 | 463万9,100円 |
35~39歳 | 512万9,600円 |
40~44歳 | 543万2,200円 |
45~49歳 | 545万8,500円 |
50~54歳 | 559万900円 |
55~59歳 | 564万1,400円 |
60~64歳 | 420万4,400円 |
65~69歳 | 358万9,400円 |
70歳~ | 314万7,700円 |
10代は二級整備士をまだ取得していないと考えられ、全ての年代の中で最も低い年収です。
そこから整備士資格を取得し、経験を積み重ねていくにつれて年収も上がっていきます。
最も年収が高いのは50代であり、役職がついていることが理由として考えられます。
出典:職業情報提供サイトjobtag・自動車整備士|厚生労働省
役職別・自動車整備士の平均年収
勤務する企業にもよりますが、整備士として経験を積み重ねていくことで、出世によっても年収が上がります。
メーカーやディーラーの場合、出世して人事部や他の部署の管理職になることも珍しくありません。
整備士における、各役職の平均年収は以下の通りです。
役職 | 平均月給 | 平均年収 |
主任 | 25~30万円 | 330~380万円 |
係長 | 30~35万円 | 400~450万円 |
課長 | 35~40万円 | 450~500万円 |
部長 | 40~45万円 | 500~600万円 |
役職があるのは、社員数の多い大手整備工場や自動車メーカーで、中小の民間整備工場の場合、役職のない職場もあります。
大手企業であれば、課長や部長になると年収500万円以上も目指せます。
ただし、途中で管理職となり、若手整備士の教育などに仕事内容が変わっている可能性があります。
手当で年収が増えることもある
自動車整備士の年収に大きく影響するのが福利厚生で支給される「各種手当」です。
各会社で支給される、主な手当は以下の通りです。
・資格手当 ・住宅手当 ・家族手当 ・通勤手当 ・役職手当 |
福利厚生は、大手企業ほど充実している傾向にあります。
年収とは関係ありませんが、大企業の場合は持株制度や社員旅行、保養地の利用といった福利厚生が用意されていることも珍しくありません。
関連記事:
・【2024年最新】一級自動車整備士の平均年収は約450万円|職場別の待遇
・自動車整備士の年間ボーナスは約76万円|比較シュミレーションで検証
自動車整備士の平均年収が上がり続けている理由
自動車整備士の平均年収は約469万円ですが、以前から高かったわけではありません。
自動車整備士の平均年収が上がり続けている背景には、深刻な人材不足が挙げられます。自動車整備技術の高度化検討会の調査によると、国家資格を保有する自動車整備士は過去10年間で約1.2万人減少しています。
整備士不足の原因には「少子化」や「若者の車離れ」に加え、職業選択肢の広がりも影響しているでしょう。また、自動車技術の進歩により整備項目が複雑化しており、それに対応できる技術者が不足している現状です。
このような状況を受けて、各企業では整備士の待遇改善が進められ、その一環として年収の上昇が見られています。
参考:自動車整備の高度化に対応する人材確保の対策|自動車整備技術の高度化検討会
関連記事:自動車整備士は年収1000万は実現可能?目指す方法やスキルアップのコツ
自動車整備士の年収はメーカーか整備工場かで差が出る
業種別での年収でも紹介したとおり、整備士の収入は勤務先によって大きな違いがあります。
日本自動車整備振興会連合会が公表した調査結果によると、整備士の勤務先によって、以下のような収入の違いがあります。
勤務先や雇用状態 | 令和3年年度の年収 |
ディーラー整備士 | 468万5,000円 |
兼業整備士 | 384万円 |
専業整備士 | 362万4,000円 |
民間の整備工場で働くのと、ディーラーで働くのとでは、年収に約100万円の差があることが分かります。
この理由として、ディーラーは整備だけに特化しているわけではなく、フロント業務やアフターケアなどもこなさなければならず、残業が多いことが考えられます。
また、企業規模が大きいほど福利厚生が充実しており、出世による昇給もあることから、年収が上がりやすいと予想できます。
自動車整備士の年収が高いメーカーランキング
自動車整備士に関するさまざまな情報を発信している「整備士JOBS」が令和2年における全国のディーラーの初任給を調査したところ、以下のような結果となりました。
メーカー | 初任給 | 推計年収 |
1位・いすゞ自動車 | 17万7,133円 | 約213万円 |
2位・日野自動車 | 17万6,879円 | 約212万円 |
3位・マツダ | 17万6,074円 | 約211万円 |
ちなみに、最下位だったダイハツの初任給は16万6,742円であるため、1位と約1万円の差があることが分かります。
参照:自動車整備士の給料は安いって本当?実情と高収入整備士の特徴を紹介|整備士JOBS
自動車整備士が高年収を目指す方法
自動車整備士の年収事情を紹介してきましたが、整備士として高収入を目指すことも十分可能です。
ここでは、整備士としてさらにキャリアアップするための方法について、3つ紹介していきます。
これから整備業界を目指す人はもちろん、既に整備士として働いている人も参考にしてみてください。
ディーラーに就職する
ここまで解説してきた通り、整備士は就職先によって年収に大きな差があります。
高収入を目指したい場合は、仕事量が多く福利厚生が充実しているディーラーへの就職をおすすめします。
ただし、忙しさや福利厚生の内容は会社によって異なるため、求人票の詳細や口コミサイトの内容をリサーチするなどして、慎重に検討しましょう。
独自の資格を取得する
整備士資格には一級・二級・三級と種類があり、上位資格を取得するほど仕事の幅が広がり、社内での評価も高まります。
また、特定の分野に特化した「特殊整備士」という資格もあります。
電気装置整備士は、電気自動車の普及が進むにつれて需要が高まると考えられるため、取得をおすすめします。
車体整備士に関しては、板金塗装業界で活躍したい人におすすめの資格です。
新たな役職に昇進する
ディーラーは、整備業務以外にも車の販売やアフターケアに関する仕事もあります。
そのため、接客スキルやマネジメントスキルを身に付けたうえで、管理職への昇進も収入を上げる1つの方法です。
整備士以外の仕事も覚えていく必要はありますが、積極的に挑戦してみましょう。
自動車整備士の年収に関してよくある質問
最後は、自動車整備士の収入事情に関する、3つのよくある質問に答えていきます。
・自動車整備士で年収1000万を目指せますか?
・トヨタで働く自動車整備士の年収はどれくらいですか?
・自動車整備士に将来性はある?
整備業界を目指すかどうかを決めるうえで役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
自動車整備士で年収1000万を目指せますか?
自動車整備士として年収1,000万円を目指すことは難しいと言えます。
ただし、整備士として経験を積み独立開業したうえで、経営者として収益を安定させられれば年収1,000万円以上を目指すことは可能です。
トヨタで働く自動車整備士の年収はどれくらいですか?
日本を代表する自動車メーカー・トヨタの正規ディーラーには「トヨペット店・ネッツ店・トヨタモビリティ」などがあります。
トヨタの整備工場で働いた場合の平均年収に関しては、他のディーラーと大きな違いはないと考えられます。
冒頭で解説した通り、平均は469万円ほどで出世などによりさらに高収入を目指すことも可能です。
自動車整備士に将来性はある?
自動車整備士は、人々の交通手段を支えるうえで欠かせない存在であり、今後も需要が下がることはないと言えます。
また、近年は人手不足が深刻化していることから、より需要は高まっていくと考えられます。
今後は、電気自動車の普及が進んでいくため、電気装置や電気制御の知識を身に付けておくと、より仕事の幅を広げられるでしょう。
自動車整備士の年収についてのまとめ
自動車整備士の平均年収は、約469.3万円で決して低くないと言えます。
人手不足が深刻化しており、各企業が労働環境や待遇面の改善に取り組んでいることから、今後さらに収入が上がっていく可能性も考えられます。
需要がなくなる可能性が低く、将来性の高い仕事であるため車が好きな方は整備業界への就職を検討してみてください。
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