一級自動車整備士と二級自動車整備士の違いは、業務範囲や資格の取得難易度、さらには給料に大きな差があることです。
特に一級自動車整備士はより高度な技術が求められ、難易度も高くなっていますが、その分、キャリアアップや給与面でのメリットも大きいです。
そこで本記事では、一級自動車整備士と二級自動車整備士の違いについて、難易度や業務範囲、給与などの観点から解説します。資格取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
一級自動車整備士と二級自動車整備士の難易度の違い
1級自動車整備士と2級自動車整備士の難易度には、試験の難易度において明確な違いがあります。
まず、1級自動車整備士の学科試験の合格率は、筆記試験が令和4年度で53.0%と比較的高めですが、他の年度では59.0%や61.1%と年度によって上下します。
一方、口述試験の合格率は非常に高く、97.6%(令和4年度)とほとんどの受験者が合格しています。実技試験は64.3%(令和4年度)と合格が難しい試験の一つです。
これに対し、2級自動車整備士の学科試験の合格率は、試験の種類によって差が見られます。
例えば、ガソリン車整備では61.3%(令和5年度第1回)、シャシ整備では73.7%(令和4年度第2回)と比較的高いものの、ジーゼル車整備や実技試験の一部では合格率が低く、実技試験のガソリン部門では41.7%(令和4年度第1回)と難易度が高いことがわかります。
全体的に、1級自動車整備士の試験は口述試験の合格率が高く、学科と実技の難易度が上がるため、より高度な知識とスキルが求められます。
一方で、2級は試験の範囲がやや狭く、特定分野での合格率に大きな差がありますが、全体的には1級より取得しやすい資格です。
参考:令和4年度第1回|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
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一級自動車整備士と二級自動車整備士の業務の違い
まずは、一級自動車整備士と二級自動車整備士の業務内容における違いを解説します。実は、持っている資格によってできる仕事が異なりますので、自分がしたい仕事をするにはどちらの資格が必要か、確認しておきましょう。
一級自動車整備士の場合
一級自動車整備士資格を持っていると、自動車の整備や点検、修理などの安全管理業務全般の他、部下の育成やアドバイザーとしての業務もこなせます。
また、自動運転や電気自動車、安全装置などの最新技術に関する業務を行うこともできます。
最先端技術に携わりたい人や部下の育成を行いたい人、役職に就きたい人は、一級自動車整備士を取得するのがおすすめです。
二級自動車整備士の場合
二級自動車整備士資格を持っていると、自動車の分解作業や整備、点検業務ができます。点検によって自動車に使われている各部品の劣化や故障を早期発見し、整備や修理を行います。交通事故を起こさないためにも、1つ1つの作業を丁寧に行う「正確さ」が必要です。
一級自動車整備士と二級自動車整備士の給料の違い
次は給与に関する違いを紹介します。
二級自動車整備士資格を持っていると、多くの場合、資格手当などの形で給料に反映されます。二級自動車整備士が長い間、業界最高峰であったためです。
しかし、一級自動車整備士に関しては給料に反映されないこともあります。一級自動車整備士の知識を活かして働きたい人や給料アップを目指している人は、最先端技術を扱うメーカーやカーディーラーに就職すると良いでしょう。
一級自動車整備士と二級自動車整備士の資格試験の違い
最後に、資格試験に関する違いを紹介します。資格試験の違いは大きく「受験資格」の違いと「試験内容」の違いに分けられます。両者を踏まえたうえで、資格取得の難易度についても触れています。
受験資格の違い
自動車整備士資格を取得する方法には「専門学校に通う」と「実務経験を積む」の2つがあります。それぞれの受験資格について、紹介していきます。
専門学校に通う場合
- 一級整備士養成課程を修了する場合:卒業すると、一級自動車整備士試験の受験資格獲得
- 二級整備士養成課程を修了する場合:卒業すると、二級自動車整備士試験の受験資格獲得
実務経験を積む場合
- 一級自動車整備士:二級自動車整備士試験に合格後、実務経験3年以上
- 二級自動車整備士:三級自動車整備士試験に合格後、実務経験1年半~3年
※二級自動車整備士に必要な実務経験年数が1年半〜3年なのは、卒業した学科によって年数が異なるためです。
- 自動車科の高校を卒業した場合:実務経験2年以上
- 大学で自動車や機械系の学科を卒業した場合:実務経験1年半
- その他の学科を卒業した場合:実務経験3年以上
試験内容の違い
一級自動車整備士試験の内容
一級自動車整備士試験は難易度が比較的高く、資格保有者が3%程度しかいない難関資格です。
また「一級大型自動車整備士」と「一級二輪自動車整備士」は、実は試験が実施されたことのない、保有者のいない資格です。自信のある人は初めての合格者を狙ってみても良いでしょう。
二級自動車整備士試験の内容
二級自動車整備士には、以下の4種類があります。
- 二級自動車シャシ整備士
- 二級ガソリン自動車整備士
- 二級ジーゼル自動車整備士
- 二級二輪自動車整備士
難易度の違い
試験内容、受験資格の両面を踏まえると、やはり二級自動車整備士試験の方が合格しやすいと言えます。特に事情がない限り、先に二級自動車整備士試験を受けるのがおすすめです。
一級自動車整備士と二級自動車整備士の取得方法
難易度としては大きな差がある一級自動車整備士と二級自動車整備士ですが、取得方法については共通している部分もあります。ここでは両資格の取得方法を紹介します。どちらも「実務経験を積んで受験する」方法と「自動車整備士学校に通って受験する」方法があります。
実務経験を積んで受験する
一級と二級の自動車整備士資格を取得するためには「受験する級よりも下級の資格を取得」しており「規定年数以上の実務経験を積んでいる」必要があります。
自動車整備士学校に通わず独学で受験する場合、一定年数以上の実務経験が必要です。今のスキルでできる仕事を着実にこなしつつ、独学することになるため、かなりハードルが高いと言えます。
自動車整備士になることを決めているのであれば、自動車整備士学校に通うことをおすすめします。実務経験が不要になり、実技試験が免除になるためです。
自動車整備士学校に通う
自動車に関する知識を身につけるために、自動車整備士学校に通うという手段もあります。自動車整備士学校で勉強する場合、実務経験が不要になったり実技試験が免除になったりします。整備士になるために必要な知識や技術を専門的に学べるため、独学よりも効率的だと言えるでしょう。
二級までなら2年、一級を取得したい場合は4年のコースで勉強することになります。大学や専門学校と同様、決して安くはない金額を支払うため、しっかりと覚悟をもって勉強することが大切です。
関連記事:無資格でも自動車整備士を目指せる?実務未経験で働く方法・求人の探し方
一級自動車整備士と二級自動車整備士の違いについてのまとめ
一級自動車整備士と二級自動車整備士は、業務範囲や難易度、給料に大きな違いがあります。
特に一級は、最新技術を扱う高度な知識が必要で、難易度が高いですが、その分キャリアアップや収入面でのメリットも期待できます。
逆に二級は、より一般的な整備業務に対応している資格で、取得しやすい点が魅力です。これらの違いを理解した上で、自分に合った資格を取得しましょう。
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