住まいや仕事で使用するあらゆる不動産を扱う不動産業界は、人々の生活と密接な関係にあります。
転職するうえで特別な条件がなく、未経験者でも挑戦しやすいことから転職先として人気です。
業界内にはさまざまな仕事があり、職種によって待遇や具体的な業務内容が異なります。
転職する際は、各職種の仕事内容や適性を理解した上で、自分に合う仕事に応募することが大切です。
今回は、不動産業界の仕事内容や特徴を中心に、分かりやすく解説していきます。
不動産業界:5つの仕事内容
ここでは、不動産業界の仕事内容について解説していきます。
業界内にある、主な仕事の種類は以下の通りです。
- 企画・開発
- 販売
- 売買仲介
- 賃貸仲介
- 不管理
各仕事の具体的な仕事内容について解説していきます。
企画・開発
不動産の企画・開発では、マンションや商業施設といった建物の開発を進めていきます。
デベロッパーがこれに該当しており、具体的な仕事内容は以下の通りです。
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土地の仕入れでは、条件の良い土地を探した上で土地の所有者と売買交渉を進めていきます。
理想の土地が手に入らなければ、何も進まないためプロジェクトの成否を左右する非常に重要な仕事と言えるでしょう。
土地を仕入れた後は、周辺の立地や市場動向などを踏まえながら、どのような不動産を開発していくのか検討していきます。
建設自体は、デベロッパーと密接な関係にある建設会社・ゼネコンが行います。
デベロッパーは、計画通りに建設が進んでいるかをチェックする施工管理が主な仕事です。
デベロッパーの場合は、建物の完成に向けて営業を行い、運用が開始すると建物の管理運用まで行います。
販売
不動産販売では、自社で建設した戸建住宅やマンションを販売します。
新築の場合は、住宅展示場での営業が多く、来場した人の要望をヒアリングしながら、最適なデザインや間取りを案内します。
売買仲介
不動産の売買仲介は、不動産を売りたい人と買いたい人をつなげる役割を担っています。
近年はネットでの集客も増えてきているものの、ルート営業や飛び込み営業が基本です。
反響営業ではないため、商談にまで進めるのが非常に難しいと言われており、営業職の中でも難易度が高いと言えるでしょう。
オフィスや戸建てだけでなく、建設用の土地も扱うことがあり、取引を有利に進めていくには、不動産に関する専門的な知識も必須です。
未経験者にはハードルが高いものの、扱う不動産が高額であるため、営業職の中でも特に高収入を目指しやすい魅力があります。
賃貸仲介
不動産の賃貸仲介は、賃貸物件の仲介業務を行います。
不動産業界内で営業マンが最も多い職種であり、売買物件ほど大きなお金が動かないため、比較的難易度は低いと言えます。
営業職にありがちなノルマなどが設定されていない会社もあり、未経験で不動産営業への転職を検討している方におすすめです。
営業方法に関しても、来店したお客様におすすめの物件を紹介する、反響営業が基本であるため、飛び込み営業はほぼありません。
管理
不動産管理の仕事は、オーナーの代わりに物件管理を行います。
住人が快適に住み続けられることは、入室率に大きく影響するため利益を大きく左右する重要な仕事です。
具体的な業務には、以下のような内容があります。
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クレーム対応の内容としては「お湯が出ない・クーラーが壊れた」といった内容の他に、住人同士のトラブルもあります。
設備の故障に関しては、提携している会社へ修理を依頼します。
入居者の募集や賃貸契約を代行するケースも珍しくありません。
この他で転職先として人気である職種に「不動産事務職」があります。
人事や経理といった一般的な事務職の他に、自社で運営するポータルサイトへの不動産情報の入力や各種契約書類の準備などを行います。
また、来店したお客様の初期対応も行い、必要に応じて来店理由などをヒアリングするのも不動産事務職の仕事です。
ただし、最後まで営業することはなく、途中で営業マンへと引き継ぎます。
仕事がある程度テンプレート化されており、残業も少ないことから女性の転職者が多い特徴があります。
関連記事:
・不動産の営業職がきついと言われる理由7選|ノルマや給料事情も
不動産業界で仕事するときの働き方
不動産業界における働き方は、お客様に合わせたものとなるため、個人消費者向けの不動産を扱う会社は土日出勤が基本です。
一方で、土地仕入れやオフィス賃貸といった企業を相手にする会社は土日が休みとなることがあります。
具体的な働き方は、職種によって異なりますが突出して残業が多かったり、休みが少なかったりするわけではありません。
ただし、営業職に関して顧客の急なスケジュール変更などに合わせる必要があり、サービス残業が多い傾向にあると言えるでしょう。
また、財務省が公表した「令和4年度・年次別法人企業統計調査」によると、不動産業界の売上は46兆2,682億円もあり、非常に大きな市場と言えます。
不動産業の法人数は毎年増加しており、令和3年の法人数は36万8,552社となりました。
この数は、全産業の12.8%を占めており、多くの人が不動産業界で働いていることが分かります。
参考:年次別法人企業統計調査(令和4年度)|財務省
参考:2023不動産業統計集(3月期改訂)|公益財団法人不動産流通推進センター
不動産業界の仕事内容と会社
不動産業界内には、主に5つの業種と会社が存在します。
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このように事業形態だけでなく、扱う物件の種類によっても会社の種類が分類されます。
ここでは、各会社の事業内容について解説していきます。
開発・販売会社
不動産を建てる土地を取得したうえで、マンションや商業施設、住宅などの建設を企画し販売まで行うのが「不動産開発・販売事業会社」です。
その中でも、特に大規模な開発を行うのが「不動産デベロッパー」で、街全体の開発を手掛けることも珍しくありません。
国内を代表する主な不動産デベロッパーには「三菱地所・三井不動産・住友不動産」などがあります。
業界内には3つの業種が存在すると解説しましたが、デベロッパーに関しては、その3つすべて1社でこなします。
賃貸事業会社
完成した賃貸マンションやオフィスビルなどを所有したうえで、企業や個人に貸し出すのが「不動産賃貸事業会社」です。
不動産開発や管理まですべてしている会社もあります。
管理事業会社
不動産管理事業会社は、不動産オーナーからの依頼を受け、不動産のメンテナンスや住人からの要望に対応します。
不動産賃貸事業会社が、不動産の売買や賃貸事業をメインとしているのに対し、不動産管理会社のメイン事業は不動産管理です。
そのため、不動産管理会社は宅地建物取引業者に該当せず、宅地建物取引士といった専門家を各事務所に配置する義務もありません。
流通事業会社
不動産流通事業会社は、不動産の買い手と売り手を仲介する役割を担っています。
不動産オーナーより依頼を受けることもあれば、新築マンションの販売を代行するケースも珍しくありません。
そのため、営業がメインであり不動産のプロとして、売買価格や条件などを調整しながら、契約をサポートします。
また、契約後には買い手に対するアフターフォローも仕事の1つです。
投資事業会社
不動産投資事業会社は、投資用の不動産を販売する会社です。
投資用不動産の購入を希望する人に対して、自社で扱う不動産の紹介や融資のサポート、収支計画の策定などを実施します。
各種手続きの代行も行っているため、不動産投資を考えている人にとっては必要不可欠な存在と言えるでしょう。
会社によって扱う不動産はさまざまで、マンション1棟を扱う会社もあれば、マンションの1室のみ扱うような会社もあります。
関連記事:不動産業界はやめとけ?ブラック企業とホワイト企業の見極め方も
不動産業界で仕事をおこなうメリット・デメリット
不動産業界の現状や各職種の仕事内容を解説してきましたが、他の業界にはない特徴もあり、従事するうえでメリットもあればデメリットもあります。
ここでは、不動産業界のメリット・デメリットの詳細について解説していきます。
適性も踏まえながら解説するので、転職を検討するうえで参考にしてみてください。
不動産業界で仕事するメリット
不動産業界には、さまざまな業種と職種が存在しますが、主なメリットとして以下のような内容があります。
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マンションの賃貸は新しい生活の始まりであり、戸建て住宅の購入は人生で一番大きな買い物です。
その後の人生にも大きく影響することであるため、不動産を紹介する仕事は責任が大きい一方で、大きなやりがいを感じやすいと言えます。
企画開発や不動産の契約業務には、専門的な知識が必須であるものの、未経験からでも挑戦できる求人も多くあります。
専門的な経歴や資格がなくても、応募しやすいことも魅力です。
営業職は、インセンティブ制が多く経験年数に関係なく契約金額次第で高収入も狙えます。
営業マンの中には、転職して間もないうちに年収1,000万円を超えるような人もいます。
人々の生活に密接な関係にあるため、知識やスキルを身に付ければ、長く活躍し続けられる業界と言えるでしょう。
不動産業界で仕事するデメリット
不動産業界で働く主なデメリットには、以下のような内容があります。
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不動産業界の中でも、転職先として人気の営業職は、ワークライフバランスが取りにくいと言えます。
契約まで進むためには、顧客に合わせて商談を進める必要があり、急に日程が変わることも珍しくありません。
顧客の仕事が終ってからでないと話せない場合は、夜遅くに商談へ向かう日もあります。
休みを予定していた日に商談がずれ込むようなケースもあり、仕事中心の生活になりがちと言えるでしょう。
また、不動産契約は非常に大きなお金が動くため、契約まで慎重に商談が進められます。
数ヵ月かけて話し合った結果、破談となることも珍しくなく、ノルマも達成しなければならないため、メンタル面の負担が大きいと言えるでしょう。
営業職は、歩合制で高収入を目指せる一方で、結果が出せなければベテラン社員であっても収入が下がります。
経験を積めば、ある程度安定して結果を出し続けられるものの、景気などの影響で急に業績が落ちる可能性もゼロではありません。
不動産の価値は、時代によって大きく変わっていくため、投資用不動産を扱うような会社では、常に動向について学び続ける必要があります。
不動産業界の仕事や転職に役立つ資格|3選
不動産営業は、未経験を歓迎する求人が多いものの、関係する資格やスキルがあった方が当然採用されやすくなります。
不動産営業に活かせる資格やスキルには、以下のようなものがあります。
- 宅地建物取引士
- 不動産鑑定士
- ファイナンシャルプランナー(FP技能士・AFP資格)
- 普通自動車第一種運転免許
中には、未経験から取得を目指せる資格もあるため、転職前の取得も検討してみてください。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、毎年20万人近くの人が挑戦する人気資格であり、受験に特別な条件がないことから誰でも挑戦できます。
不動産に関する専門的な知識のない人でも、安心して公正な不動産取引ができるようにサポートする役割を担っています。
不動産取引における「重要事項の説明および記名・押印」といった業務は宅建士でなければできません。
また、宅地建物取引業者の事務所では、従業員5人あたり1人の宅建士を配置しなければならない義務もあります。
宅建士の資格がいらない業務に就いたとしても、貴重な人材として重宝されます。
毎年2割に満たない人しか合格しておらず、取得難易度は低くないものの、誰でも挑戦できるため、これから転職予定の人にもおすすめです。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、資産としての価値もあるビルや建設用土地を調査したうえで、適切な価値を評価する存在です。
土地を鑑定する上で幅広い知識が必要であるものの、試験の挑戦自体は誰でもできます。
ただし、試験に合格するには不動産に関係するあらゆる法律を熟知している必要があり、例年の合格率は4%前後です。
未経験から取得を目指すには、多くの時間が必要であることから、不動産業界内でのキャリアアップにおすすめの資格と言えます。
ファイナンシャルプランナー(FP技能士・AFP資格)
ファイナンシャルプランナーは、ローンや税制、各種保険といったお金に基づくライフプランの構築をサポートする役割を担っています。
不動産取引では、住宅ローンを組むケースが多く、各種保険への加入もあるため、資格取得することでより多角的なアドバイスができるようになります。
はじめに受験することとなるファイナンシャルプランナー3級は、受験条件がなく合格率は80%を超えていますので、転職前でも取得しやすいと言えるでしょう。
関連記事:不動産業界で役立つ資格8選|宅建士と宅建業免許の違い
【ケース別】不動産業界の仕事のキャリアパス
不動産業界には、3つの業種があり数多くの仕事が存在します。
そのため、長く働き続ける場合は、将来的なキャリアプランについても考えておく必要があります。
具体的なキャリアプラン例は、以下の通りです。
- 【ケース1】同業界・他業界の営業職になる
- 【ケース2】マネジメント側に昇格する
- 【ケース3】独立開業する
各キャリアプランの詳細について、解説していきます。
【ケース1】同業界・他業界の営業職になる
最も多いキャリアプランは、同業界や他業界の営業職として活躍するプランです。
不動産業界で働きながら関連知識を身に付けられれば、より多角的な営業ができるようになります。
ライフプランや、不動産を運用するうえでの法律に関するアドバイスなど、あらゆる面でサポートできるようになれば、成約率も上がります。
また、営業職で経験を積み、違う業界で営業マンとして活躍することも十分可能です。
【ケース2】マネジメント側に昇格する
各種専門職で経験を積み、会社の管理職へと昇格するのも代表的なキャリアパスと言えるでしょう。
住宅販売や賃貸仲介を行う、営業所の店長や拠点長といった内容です。
営業職ではなくなるため、高収入を目指すことはできなくなるものの、収入が安定するだけでなく、ワークライフバランスも調整しやすくなる魅力があります。
【ケース3】独立開業する
不動産業界で経験を積み、不動産鑑定士や宅建士といった資格を取得すれば、独立開業することも可能です。
不動産業界の特徴でも解説した通り、関連の法人数は年々増加しています。
営業だけでなく経理すべて自分でこなさなければならなくなる一方で、経営が安定すれば、より高収入を目指せます。
不動産業界の仕事:最近の求人動向
前述した通り、不動産業界は新型コロナウイルス流行による影響を受けたものの、全体の需要は大きく落ちたわけではありません。
新築マンションの需要が下がっている一方で、リフォームを手掛ける会社や売買仲介会社の売り上げが上がっている状況です。
これは、古い物件をリノベーションした上で販売する事業の業績が好調であることが要因となっています。
そのため、不動産売買仲介会社やリフォーム事業を手掛ける会社の求人が増加傾向です。
一方で、新築マンションなどを扱う会社の求人は若干減ってきています。
その他の、不動産賃貸や土地活用会社などは、以前と比べて大きな変化はありません。
不動産業界の仕事に関する仕事のまとめ
不動産業界には3つの業種があり、職種によって仕事内容が全く異なります。
今回紹介した、主な職種の仕事内容や業界のメリット・デメリットを参考にしながら、自分に合った職種を探してみましょう。
また、各職種には適性もあるため、事前に具体的な業務内容や辛さも理解しておくことが大切です。
不動産業界は、これからも需要の高い状態が続くため、将来性の高い業界と言えるでしょう。
未経験からでも挑戦可能ですので、転職先の候補として検討してみてはいかがでしょうか。
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