大型トラックの最大積載量は、何tトラックかによって異なります。
また、荷台の種類が何かによっても最大積載量は大きく変わるのです。
そこで、こちらでは大型トラックや中型・小型トラックの最大積載量や計算方法などを解説します。
大型トラックの最大積載量:目安は6.5t
トラックには大きく分けて大型・中型・小型の3種類が存在します。そこでまずは「大型」に分類されるトラックについて、その定義や寸法を確認していきましょう。
トラックの種類は、道路運送車両法の保安基準によって定められています。車両寸法や最大積載量、車両総重量に応じて分類するのです。
こちらの基準における大型トラックの定義は次の通りです。
寸法 | ||
全長12,000mm以内 | 全幅2,5000mm以内 |
全高3,800mm以内 |
最大積載量 |
||
6,500kg以上 |
||
車両総重量 |
||
11,000kg以上 |
以上の定義により、正式には高さ3.8メートル以上、幅2.5メートル以上、高さ12メートル以下でかつ最大積載量が6.5t以上、車両総重量が11t以上のものを大型トラックと呼称します。
また、トラックメーカーが自社の商品区分として独自に分けるケースもあります。
この分類方法では積載量が基準となることが多く、「大型トラック」と言った場合、基本的には10tトラック以上のサイズのことを指すと考えてよいでしょう。
大型トラックが活躍するのは、主に幹線での長距離輸送です。
長距離輸送では基本的に大量の荷物を一括で運びます。小型車を複数使うよりも大型トラック1台にまとめる方が効率的で、運送費を抑えることにも繋がるからです。
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大型トラックの最大積載量:荷台の種類
次に、荷台の種類別に見てきましょう。同じサイズのトラックでも、荷台の形状によって運べる荷物の量や種類が変わります。
平ボディーの最大積載量
最も一般的なものが「平ボディー」と呼ばれるタイプです。
平ボディーとは、荷台がフラットな板状になっているトラックのことを言います。
あおりと呼ばれる側板で左右と後方を囲まれており、あおりは金具を外せば倒すことが可能です。
荷台が平らで安定しているため、荷物の積み方を工夫すれば、大きなものや量の多いものでも積載できる特徴があります。
また、平ボディーは広く普及しているため、用途も多岐にわたります。土砂や建築資材、タンスやピアノといった家具、農作物や農機具など、非常に広範囲な種類の荷物を運搬できます。
なお、10tトラックの平ボディーの場合、荷台の寸法は全長が9,000mm程度、幅が2,400mm程度、高さが450mm程度です。
また、最大積載量は11t~15tの車両が多いです。
他のタイプのトラックと比べ、運搬料金が安くなる傾向にあります。
ウィング車の最大積載量
「箱車」と呼ばれるタイプのトラックがあります。
箱状の荷台を備えたトラックのことで、荷台後方の扉から荷物を出し入れする構造になっています。
しかし、扉が後方にあると、大型トラックでは奥まで荷物を積むのが大変です。
そこで開発されたのが、荷台の側面が開くウィング車です。
横から荷物の積み降ろしができるため、10tトラックなどの大型車でも、比較的手間をかけずに荷物を荷台たくさん積むことができます。
特に、フォークリフトを使ってパレットに載せた荷物を隙間なく積む際は、ウィング車が便利です。
なお、10tトラックのウィング車の場合、荷台寸法は全長が10,000mm程度、幅が2,500mm程度、高さが1,000mm程度となります。
最大積載量は2.5t~3.2t程度が多く、大型の場合は6.5t以上のものもあります。
ダンプの最大積載量
土砂や産業廃棄物の運搬に用いられるダンプもトラックの一種です。
ダンプの定義は、荷台を傾けて積荷を一度に下ろす機構を備えていることです。荷台は主に油圧シリンダの伸長によって可動します。
厳密に言うとダンプは、
- 荷台を後方へ傾けるリヤダンプ
- 左右の側面に傾けるサイドダンプ
- ピン等を組み替えることで左右と後方それぞれに傾ける方向を変えられる三転ダンプ
など、荷台の構造によってタイプが分かれています。
また、一般公道を走る普通ダンプトラックと、土木工事現場内などを走る作業用の重ダンプトラックとでも特徴が異なるなど、様々なバリエーションが存在するのです。
基本的には最大積載量6.5t以上のものが大型ダンプとして扱われます。
なお、大型ダンプの荷台の寸法は、長さが5,100mm前後、幅が2,200mm前後、高さが520mm前後となっています。
冷凍・冷蔵車の最大積載量
生鮮食品や冷凍食品、肉、魚介類、アイスクリームや氷などを運ぶためには、荷台が常温であってはいけません。
荷物を冷えた状態に保っておくためには、荷室に温度調節装置が必要です。
このように、荷室内に冷蔵装置や冷凍装置を備えたトラックのことを冷蔵車・冷凍車と呼びます。
積荷の種類によって、荷室内の温度を調節できるのが特徴です。
なお、10tトラックの冷凍・冷蔵車の荷台寸法は、長さが12,000mm前後、幅が2,500mm前後、高さが500mm前後となっています。
最大積載量は、大型だと6.5t以上のものもあります。
冷却設備がついている分、通常のトラックと比べて導入時の料金が高くなりがちなので、その点には注意が必要です。
大型トラックの最大積載量:求め方について
大型トラックの最大積載量を求めるには、「車両重量」、「車両総重量」、「全乗員重量(定員×55kg)」の3つの情報が必要です。計算方法は以下となります。
最大積載量 = 車両総重量 - 車両重量 - 全乗員重量
まず「車両総重量」の定義は、乗用車と貨物車とで異なります。
乗用車の場合、乗車定員が全員乗車している状態をいい、貨物車の場合、荷物が最大積載量まで積まれた状態をいいます。
なお、大型トラックの車両総重量のおおよその目安は、20t〜25tです。
次に「車両重量」とは、満タンにガソリンを入れた状態で、その重さにエンジンオイルやバッテリー、冷却水、架装(かそう)などを足した重さをいいます。
人が乗ってすぐに運転ができる重さが基準であるため、乗員の重さを含まない点がポイントです。
最後に「全乗員重量」とは、定員×55kgで計算された重さを指します。定員が5人であれば、5×55kg=275kgが全乗員重量です。
以上、車両重量、車両総重量、全乗員重量の3つの情報を得ることで、最大積載量を求められます。
なお、最大積載量の求め方に関して、あわせて押さえておきたいのが「軸重」と「輪荷重」についてです。
軸重は、1本の車軸にかかる重さのことで、10tを超えてはいけないと道路法で決められています。
輪荷重は、1つの車輪にかかる重さのことで、こちらは5tを超えてはいけないと同様に決められているのです。
つまり、最大積載量が基準をクリアしていても、軸重や輪荷重が基準を超えていると法律違反となります。
大型トラックの積載量:中型トラック(4tトラック)の場合
次に、中型に分類されるトラックについて見ていきましょう。
中型トラックの中でも広く普及している4t車を例に紹介します。
4tトラック
中型トラックの代表とも言えるサイズが4tトラックです。
まず注意したいのは、「4tトラック」はあくまでも総称であることです。
最大積載量はちょうど4tではなく5t未満が基本であり、厳密には車種によって変わります。
また、車両総重量は8t未満です。
4tトラックは中型ですので、小型と大型の良いとこどりのような特徴があります。
ある程度たくさんの荷量を積載でき、かつ10tトラックのような大型よりも小回りが利きます。
そのため、コンビニやスーパーのルート配送のような、いくつかの目的地を回る仕事に用いられるケースが多いです。
なお、中型トラックの寸法は、全長が12,000mm以内、全幅2,500mm以内、全高3,800mm以内です。
小型トラックとは寸法が異なり、大型トラックとは最大積載量や車両総重量が異なります。
また、荷台寸法は平ボディーで長さ6,400mm前後、幅2,150mm前後、高さ2,200mm前後となっています。
大型トラックの積載量:小型トラック(2tトラック)の場合
次に、小型に分類されるトラックについて見ていきましょう。
小型トラックの代表的なサイズである2t車の用途やサイズ、荷台寸法を紹介します。
2tトラック
まずは2tトラックについて説明します。
2tトラックとは、最大積載量2t~2.9tの小型トラックのことです。最大積載量が2t台なので、2tトラックと呼ばれています。車両総重量は最大5tほどあります。
最大積載量の少なさからわかるように、2tトラックは車体がそもそも小さいため、一度に多くの荷物を積載できません。
しかし、そのぶん小回りがきくため、長距離よりも近距離の輸送に向いており、地場の配送などで活躍します。
また、準中型以上の免許があれば運転できる点も2tトラックのメリットです。
「大型免許を取得するのはハードルが高い」という新人や初心者でも乗務しやすいため、運送会社にとっても2tトラックは重宝する存在と言えるでしょう。
なお、小型トラックの寸法は全長4,700mm以内、全幅1,700mm以内、全高2,000mm以内と定められています。当然、2tトラックもこの範囲内に収まります。
荷台寸法に関しては、平ボディーの場合長さが3,150mm前後、幅が1,800mm前後、高さが2,200mm前後です。
大型トラックの積載量:過積載をした際の罰則について
過積載とは、貨物用の車両に規定の積載量を超えた貨物を積んで運転する法律違反行為を指します。
こちらでは、過積載の割合ごとにどのような罰則があるのか紹介します。
5割未満の場合の罰則
過積載の割合が5割未満の場合は、2点の違反点数となり、3万円の罰金が課されます。
さらに、同時に飲酒運転をしていた場合の違反点数は14点です。
5割以上10割未満の場合の罰則
過積載の割合が5割以上10割未満の場合、3点の違反点数となり、4万円の罰金が課されます。
さらに、同時に飲酒運転をしていた場合の違反点数は15点であり、即座に免許取り消しとなります。
10割以上の場合の罰則
過積載の割合が10割を超えた場合、6点の違反点数となります。
罰則は6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金です。
さらに、同時に飲酒運転をしていた場合の違反点数は16点であり、即座に免許取り消しとなります。
なお、過積載を繰り返しおこなうと、訴訟されて100万円以上の罰金が科される可能性があるので、注意が必要です。
大型トラックの最大積載量を減らす方法
大型トラックの最大積載量は、実は車両のカスタマイズ次第で減らすことが可能です。
最大積載量を減らすメリットは、自動車税が低くなったり、自賠責保険の料金が2tごとに安くなったりなどです。
実際に最大積載量を減らす方法としては、重いパーツを車両に装着して車両重量を増やす方法があります。
車両重量が増えれば、その分最大積載量が減るので、最大積載量が基準となって決まる自動車税や保険料が安くなるのです。
ただし、車両重量を増やす際は輪荷重が1つのタイヤに対して5tを超えないように注意が必要です。
輪荷重が5tを超えそうな場合は、最大積載量を再度調整する必要があります。
関連記事:増トントラックがまるわかり!種類や規格、必要資格やメリットなどあらゆる情報を紹介します
大型トラックの積載量:トラックメーカーの歴史と売れ筋車両
10tトラックに代表される大型車は、メーカーによって様々な車種があります。
どのようなメーカーが大型トラックを生産・販売しているのかを紹介します。
三菱ふそう
三菱ふそうトラック・バス株式会社は、その社名のとおりトラックやバスといった商用車の製造のほか、産業用エンジンを生産していることでも知られています。
そして、そんな三菱ふそうが展開している大型トラックのブランドが「スーパーグレート」です。
三菱ふそうが三菱自動車工業から独立する以前より販売されている車種で、モデルチェンジを繰り返し、現在まで続いてきました。
精度を向上させた自動ブレーキや事故の予防をアシストする各種のシステム、前方車に合わせて自動停止・自動発信する運転アシスト機能など、先進的な安全機能を搭載しています。
車両寸法(2020年12月25日現在)
全長(m) 全幅(m) 全高(m) カーゴ 11.9 2.49 2.975 ダンプ/ミキサー 7.67〜7.77 2.49 3.18〜3.4 ウィング 11.9 2.49 2.865〜3.255 トラクタ 5.685 2.49 3.265〜3.8
荷台寸法(2020年12月25日現在)
長さ(m) 幅(m) 高さ(m) カーゴ 9.45〜10.03 2.34 0.45 ダンプ/ミキサー 5.1〜5.3 2.2 0.49〜0.54 ウィング 9.45〜10.03 2.34 0.54 トラクタ - - -
日野
大手商用車メーカーとして知られているのが日野自動車です。
「ヒノノニトン」というCM内でのフレーズが有名ですが、2t車だけではなく大型トラックも製造しています。
日野自動車が製造・販売する大型トラックは「プロフィア」という車種です。
以前販売されていた「スーパードルフィン」をフルモデルチェンジすることで誕生したトラックで、最新モデルには新型のトランスミッションを搭載するなど、ドライバーにとって使いやすい仕様となっています。
出所:日野自動車ホームページ
車両寸法(2020年12月25日現在)
全長 全幅 全高 カーゴ 10.35〜11.99 2.49 3.115〜3.15 ダンプ/ミキサー 7.62〜9.32 2.49 3.3〜3.4 冷凍車 11.9〜11.995 2.49 2.99〜3.785 トラクタ 5.485〜6.085 2.49 3.4〜3.67
荷台寸法(2020年12月25日現在)
長さ 幅 高さ カーゴ 7.9〜9.6 2.39 0.58 ダンプ/ミキサー 5.1〜6.5 2.2 0.48〜0.52 冷凍車 9.41〜9.97 2.275〜2.41 2.27〜2.61 トラクタ - - -
UDトラックス
UDトラックスは大型車を専門とするメーカーで、スウェーデンに本拠を置くボルボ・グループの子会社です。
多国籍企業の系列会社であり、日本国内だけでなく世界60カ国以上にトラックの販売網を持っています。
そんなUDトラックスが製造・販売している大型トラックが「クオン」です。
衝突の際にドライバーの膝を保護するニーエアバックが採用されていることが特徴です。
また、重量車燃費基準をクリアしている台数が多いことも評価されています。燃費性能のよいトラックであると言えるでしょう。
出所:UDトラックス商品ページ
車両寸法(2020年12月25日現在)
全長 全幅 全高 カーゴ 9.55〜11.99 2.49 2.91〜3.255 ダンプ 7.56〜9.14 2.49 3.3 ミキサー 7.925〜8.015 2.49 3.69〜3.715 トラクタ 5.62〜7.17 2.49 2.9〜2.965
荷台寸法(2020年12月25日現在)
長さ 幅 高さ カーゴ 7.2〜9.6 2.33 0.45 ダンプ 4.8〜5.1 2.2 0.46〜0.5 ミキサー - - - トラクタ - - -
いすゞ GIGA
いすゞ自動車は、1930年代から四輪自動車を製造しているメーカーです。
自動車用や船舶用、産業用のディーゼルエンジン技術を得意としています。
そして、いすゞ自動車が製造・販売している大型トラックが「ギガ」です。
20年以上の歴史をもつブランドで、その安全性能や環境性能の高さから、現在でも愛用しているドライバーが多く存在します。
出所:いすゞ自動車商品ページ
ギガの10tトラックの車両寸法は、全長が7,860mm、幅2,190mm、全高3,460mmです。
荷台寸法(2020年1月15日現在)
長さ 幅 高さ カーゴ 9335〜10020 2410 2500〜2655 ダンプ 5050〜6500 2200 450〜540 出所:いすゞ-製品カタログ
大型トラックの値段・価格相場を知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
関連記事:大型トラックの値段の相場を徹底比較(新車/中古・ローン/リース)
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大型トラックの最大積載量についてのまとめ
大型トラックといっても一口に語れるものではなく、メーカーごとに様々な車種があります。
また、同じ車種であっても荷台の形式によって複数のバリエーションがあるのです。
そして、異なる特徴の中でもトラック運転手が特に押さえておきたいのが、今回お伝えした「積載量」になります。
トラックを安全に運転するためには、各トラックの積載量や寸法をしっかりと理解し、取り扱う荷物に適した車種と荷台を選ぶことが大切です。
これからトラック運転手になる方はぜひ覚えておいてください。
関連記事:トラックの種類とサイズの一覧|大型・中型・小型はどう違う?サイズと寸法を解説
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