製造業には「食料品・自動車・電気機器・化学繊維」といったさまざまな業種があり、関連の求人が多くあります。
未経験からでも挑戦しやすく、需要が高く将来性もあることから、異業種からの転職者も少なくありません。
各業種で役立つ資格を保有していれば、有利に転職活動を進めやすくなります。
この記事を読んでいる人の中には、製造業への転職を検討しており資格取得に挑戦しようとしている人もいるのではないでしょうか。
今回は、製造業で役立つ資格について、ジャンル別で解説していきます。
【この記事のまとめ】 ・製造業で働く上での資格の必要性 ・製造業への転職で資格を取得する4つのメリット ・製造業全般で役立つ資格 ・機械系、化学系、食品系、医療系の製造業で役立つ資格 ・製造業の管理職で役立つ資格 ・製造業に役立つ資格の取得に関するよくある質問 |
製造業で働くうえで資格は必要?
さまざまな品物を製造する製造業では、専門的な知識やスキルが必須と言えます。
ただし、主な仕事内容には製造業務の他にも、品質管理や企画・開発、営業といった職種もあり、具体的な業務内容が異なります。
ここでは、製造業に転職する上で資格は必須となるのか、業界内の業種の内容も踏まえながら解説していきます。
技能職は必須ではない
製造業にはさまざまな職種があり「技能職・技術職」に分類されます。
製造業の技能職に転職する場合は、専門的な資格が必要とされない傾向です。
技能職とは、製品を実際に作る製造業務を行う職種のことで、部品の加工や組み立て、関連機械のオペレーターが該当します。
技能職の場合、製造作業が細かく工程分けされており、自分が担当する工程を繰り返しこなしていきます。
各工程にはマニュアルが用意されており、誰でもこなせるようになっているため、未経験者でも作業可能です。
そのため、基本的に転職時から必須となる資格は少ないと言えるでしょう。
ただし、高度な技術や知識を要する作業に関しては、関連の資格が必要です。
技術職は必須なことが多い
製造業における技術職とは、生産ライン全体を通して、非効率な部分の体制を改善していくことが主な仕事です。
主な仕事には「生産技術・設備保全・機械設計・制御設計」といったものがあります。
新たに発生した課題に対処しなければならず、マニュアルなどは存在しないため、専門的なスキルや経験が必須と言えるでしょう。
そのため、製造業の技術職に転職する場合には、関連する資格の保有が採用に大きく影響します。
ただし、技術職の求人全てが即戦力を求めているとは限らず、資格を保有していなければ、転職できないわけではありません。
資格には3種類ある
資格には「国家資格・民間資格・公的資格」の3種類があり、それぞれに違った特徴があります。
国家資格とは、国の法律で規定された資格で、難易度が高い一方で社会的な信用の高さが特徴と言えるでしょう。
民間資格は、民間企業や団体が独自の基準で試験を行っており、合格者の技術や知識を認定しています。
民間資格は、実際の仕事に役立つ仕事もあるものの、趣味系の資格が多いと言えるでしょう。
公的資格は、経産省や文科省といった官庁が認定する資格であり、地方自治体や公益法人が試験を実施しています。
社会的な信用もあり、民間資格と国家資格の間に位置している資格です。
製造業で資格を取得する4つのメリット
製造業に関する資格を取得すると、転職に有利になるのはもちろん、他にもメリットがあります。
・資格手当がつく
・専門スキルが身に付く
・昇給につながる
・転職に有利
資格手当の内容や社内での評価など、資格取得の各メリットについて解説していきます。
資格手当がつく
業務に従事する上で必須となるような資格の場合、資格手当が支給されます。
資格手当の種類や支給額は、企業によって異なるものの、毎月手当が支給されるため、収入を上げられます。
【資格手当の支給例】 ・危険物取扱者:3,000~10,000円・フォークリフト免許:2,000~10,000円・衛生管理者:1,000~3,000円・電気工事士:5,000~10,000円 |
資格手当制度は義務付けられていないため、必ず支給されるとは限らないものの、多くの企業で制度として設けられています。
資格手当が気になる場合には、求人票の福利厚生の詳細をチェックしてみましょう。
専門スキルが身に付く
資格を取得するためには、専門的な知識や技術について学ぶ必要があります。
普段の仕事では学べないような知識も幅広く身に付けられるため、工場内で行える仕事のレベルも上がります。
従事できる仕事のレベルが上がることで、さらに上位資格の取得も狙いやすくなるでしょう。
昇給につながる
資格を取得すれば、一定水準以上の知識やスキルがあることの証明になります。
また、資格取得までの努力も評価の対象となるため、昇給の額を上げることも可能です。
転職後、さまざまな資格を取得しながら成長を続ければ、昇格の可能性も上げられます。
転職に有利
業界内で重宝されるような資格を保有すると、今よりも待遇の良い会社への転職も有利に進められます。
製造業は中途採用の求人も多く、多くの企業が即戦力を必要としているため、資格取得には積極的にチャレンジすべきと言えるでしょう。
近年、業界内ではDX化を進める企業が増えてきており、関連の導入経験やスキルも需要が高まってきています。
関連記事:工場勤務の年収ランキング|年収アップに役立つ資格とは?
関連記事:製造業の年収ランキングを年代別・業種別・企業別に紹介
製造業全般で役立つ資格|6選
製造業には、さまざまな業種があり各工場での仕事内容は全く異なります。
そのため、志望する業種で求められる資格を理解することから始めましょう。
また、資格の中には転職前に取得できるものもあれば、実務経験が必要なキャリアアップ向けの資格もあります。
ここでは、製造業全般で役立つ6つの資格を紹介していきます。
クレーン運転士
クレーン運転士とは、クレーンを運転するための資格で、重い資材や出来上がった製品を持ち上げて積み込んだり、移動させたりします。
クレーン運転士には、あらゆる位置に荷物を移動させられる「移動式クレーン運転士」と荷物を持ち上げ水平移動させる「クレーン・デリック運転士」の2種類があります。
工場にもよるものの、製造業では工場内で重量物を移動させるのに必要なクレーン・デリック運転士の方が重宝されやすいと言えるでしょう。
工場内でのクレーン操作は、比較的規模の小さいものが多いため「特別教育(吊り上げ荷重5t未満)」を受講すれば業務に従事できます。
【クレーン運転士・特別教育の場合】
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 誰でも受講可能 |
資格取得にかかる時間 | 約2日 |
難易度 | 受講者全員に修了証が交付される |
フォークリフト運転技能者
フォークリフトは、工場内で重量物を運搬したり、トラックへの積み降ろしを行ったりするための車両です。
バランスを保ちやすく、トラックへの積み込みなどに向いている「カウンタバランスリフト」や、狭い場所での運転に適している「リーチフォークリフト」など、さまざまな種類があります。
運転する場合、1t未満の車両は「特別教育」1t以上の車両は「フォークリフト運転技能講習」を受講しなければなりません。
この2つの講座いずれかを受講すれば、フォークリフトの種類に関係なく運搬業務などに従事できます。
【フォークリフト運転技能講習の場合】
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 満18歳以上 |
資格取得にかかる時間 | 2~5日(取得済の運転免許による) |
難易度 | 受講者のほぼ全員が合格 |
フォークリフト特別教育であれば、約2日で修了証が交付されます。
玉掛技能者
玉掛技能者とは、クレーンで荷物を吊り上げる際に、荷物がバランスを崩さないように固縛を行う作業者のことです。
吊り上げるクレーンに関係なく、吊り上げの際には玉掛技能者の資格が必要です。
資格には、吊り上げ荷重1t以下の業務に必要な「玉掛け特別教育」と1t以上の荷重を扱う際に必要な「玉掛け技能講習」があります。
【玉掛け技能技能講習】
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 18歳以上 |
資格取得にかかる時間 | 約3日 |
難易度 | 約95% |
溶接技能者
溶接技能者とは、さまざまな材料や方法で溶接を行う技術者のことです。
対象材料や溶接方法によって、以下のような種類があります。
・手溶接(アーク溶接、ガス溶接)
・半自動溶接
・ステンレス鋼溶接
・プラスチック溶接
この他にもさまざまな種類があり、未経験の場合にはガス溶接やアーク溶接の特別教育がおすすめです。
【ガス溶接の特別教育の場合】
資格の種類 | 公的資格 |
受験資格 | 18歳以上 |
資格取得にかかる時間 | 2日間 |
難易度 | ほぼ全員が合格 |
ちなみに、ガス溶接技能講習は、技能講習修了証明書が発行される国家資格です。
安全管理者
安全管理者とは、工場内の各作業場や設備、作業員の作業方法などに危険がないかのチェックを行い、必要に応じて安全防止策を講じる役割を担っています。
常時50人以上の作業員が働いている職場では、安全管理者の配置が義務付けられています。
資格の種類 | 厚生労働省の承認のみで国家資格ではない |
受験資格 | ・理科系等の正規の課程を修めた大学・高等専門学校を卒業後、2年以上の産業安全の実務※理科系統以外は4年以上 ・理科系等の正規の課程を修めた高等学校・中等教育学校を卒業後、4年以上の産業安全の実務※理科系統以外は6年以上 ・労働安全コンサルタントの資格保有者 |
資格取得にかかる時間 | ・安全管理者選任時研修の受講は1日ほど ・労働安全コンサルタント試験の合格には約70時間が必要 |
難易度 | ・安全管理者選任時研修は受験資格を満たしていれば、受講終了後に承認される ・労働安全コンサルタントの合格率は30%ほどで推移 |
CAD利用技術資格
CAD利用技術資格は、設計・製図システム「CAD」を用いて、建築や機械の設計を行うための資格です。
部品の加工や製造を行う工場ではCADが日常的に使用されており、設計図を作成したり、必要に応じて製図データの修正も行います。
一口にCADといっても「CAD利用技術者試験・Autodeskマスター・三次元設計能力検定試験」といった試験があります。
【3次元CAD利用技術者試験】
資格の種類 | 民間資格 |
受験資格 | 2級の場合は制限なし |
資格取得にかかる時間 | 60~70時間 |
難易度 | 合格率は50~60%で推移 |
機械系の製造業で役立つ資格|8選
機械系の製品を製造する企業でも、さまざまな資格が役立ちます。
ここでは、8つの資格について利用シーンや資格取得の詳細について解説していきます。
危険物取扱者
危険物取扱者とは、文字通り危険物を取り扱ったり、取扱いに立ち会ったりする際に必要となる資格です。
甲種・乙種・丙種の3種類があり、扱う危険物によってさらに細かく分類されています。
危険な作業の有無に関係なく、一定量以上の危険物を保管するような工場では、危険物取扱者の設置が義務付けられています。
そのため、危険物を取り扱うことの多い化学工場などで重宝されやすいと言えるでしょう。
工場で扱う危険物の種類などによるものの、始めて取得するのであれば「危険物取扱者・乙種4類」がおすすめです。
【危険物取扱者・乙種4類の場合】
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 誰でも受験可能 |
資格取得にかかる時間 | 50~60時間 |
難易度 | 合格率は30~40%で推移 |
衛生管理者
衛生管理者とは、作業環境の衛生管理や、作業者の健康管理、健康の保持や衛生教育などを行う役割を担っています。
常時50人以上の労働者が働く事業場では、必ず1人以上の衛生管理者を選任しなければなりません。
業種によって「第一種衛生管理者・第二種衛生管理者」に分けられており、工場勤務に関しては第一種衛生管理者の資格が必要です。
常時50人以上が働く事業場では、必ず選任しなければならず需要の高い資格と言えるでしょう。
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | ・大学や省庁大学校の卒業者は1年以上の労働衛生に関する実務経験 ・高等学校の場合は3年以上の労働衛生に関する実務経験 ・学歴に関係なく10年以上の労働衛生に関する実務経験がある者 |
資格取得にかかる時間 | 100~120時間 |
難易度 | 40%ほどで推移 |
電気工事士
電気工事士とは、住宅や工場などあらゆる建物の電気設備に関する工事を行うための資格です。
一般的な電気工事士の仕事内容には「電気配線工事・空調設備工事・受変電設備工事」といったものがあります。
一方で、工場勤務における電気工事士の仕事内容に関しては「工場内で稼働する機械や電気設備の点検」がメインとなります。
電気設備の設置や配線を行うのではなく、既に稼働している機械の故障を防ぐ役割を担う形です。
ちなみに、電気工事士には扱える電気工作物の規模によって第一種と第二種電気工事士があります。
【第二種電気工事士の場合】
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 誰でも受験可能 |
資格取得にかかる時間 | 180~200時間 |
難易度 | 筆記試験・技能試験ともに合格率は60%ほど |
機械保全技能士
機械保全技能士とは、工場内の機械設備のメンテナンスや点検業務を行うための資格です。
電気工事士と比べて、より機械のメンテナンスや点検に特化した資格となります。
工場内には、製造機械の他にも発電・配電設備などがあり、不具合によりストップしてしまうと、製造に大きく影響します。
近年はIoT・AI化が進む中で設備の構造も複雑化しているため、今後さらに需要が高まっていくと予想される資格の1つです。
機械保全技能士は、特急・1級・2級・3級に分かれています。
【機械保全技能士・3級の場合】
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 誰でも受験可能 |
資格取得にかかる時間 | 60~80時間 |
難易度 | 合格率は70%ほど |
機械加工技能士
機械加工技能士とは、金属などをフライス盤や旋盤、マシニングセンターといった専用機械で切削や研磨する、機械加工の技能を証明する資格です。
金属製品のパーツを作成するほとんどの工場には、これらの機械があるため、取得することでさまざまな工場で活躍できます。
機械加工技能士は、特急・1級・2級・3級と分かれており、試験では学科試験と実技試験が実施されます。
【機械加工技能士・3級の場合】
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 誰でも受験可能 |
資格取得にかかる時間 | 50~100時間 |
難易度 | 合格率は70%ほど |
電子機器組立技能士
電子機器組立技能士とは、さまざまな電子機器の組立や、修理に必要な知識や技術を証明するための資格です。
パソコンや携帯電話などを製造する工場で、活かせる資格です。
試験では、電子機器の構造だけでなく、組立て法や製図、安全衛生などの科目があり、実際に電子機器を組み立てる実技試験もあります。
電子機器組立技能士には、特急・1級・2級・3級があり、受験する級によって実務経験が必要です。
【電子機器組立技能士・3級の場合】
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 誰でも受験可能 |
資格取得にかかる時間 | 約3ヶ月間 |
難易度 | 合格率は60%ほど |
半導体製品製造技能士
半導体製品製造技能士とは、半導体製品の製造や生産設備に関する知識や技術があることを証明する資格です。
半導体は、普段の生活に欠かせないスマートフォン・パソコン・洗濯機・炊飯器などあらゆる家電に使用されています。
半導体の需要は世界中で高まっており、今後も下がらないと予想されていることから、将来性の高い資格の1つと言えるでしょう。
半導体製品製造技能士になれば、電子製品の製造や半導体を専門に製造する工場への転職で有利になります。
資格には特級・1級・2級があり、さらに集積回路チップ製造と集積回路組立てに分かれています。
【半導体製品製造技能士・2級の場合】
資格の種類 | 国家資格 |
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受験資格 | 半導体製造工場などで2年以上の実務経験 |
資格取得にかかる時間 | 80~120時間 |
難易度 | 合格率は50~60%ほど |
マイクロソルダリング(微細はんだ付)技術者
マイクロソルダリング技術者とは、はんだと呼ばれる合金を電熱で溶かし、接着剤のように使用しながら配線を行う技術者のことです。
微細はんだ付とも呼ばれており、あらゆる家電製品で活用されているだけでなく、飛行機や自動車といった乗り物にも欠かせない技術です。
電子機器の製造や組立工場で重宝される資格であり、電子機器の修理などにも知識を活かせます。
マイクロソルダリング技術者には「オペレーター・インスペクタ・実装工程技術者」など、工程や管理業務ごとに7つの種類があります。
【マイクロソルダリング技術者・オペレーターの場合】
資格の種類 | 民間資格 |
受験資格 | 18歳以上で実務経験が3ヶ月以上 |
資格取得にかかる時間 | データなし |
難易度 | 合格率は80%ほど |
化学系の製造業で役立つ資格|2選
石油製品や肥料、ゴム製品などを製造する化学系の製造業で活かせる資格としては、主に2つあります。
・有機溶剤作業主任者
・特定化学物質等作業主任者
各資格の概要や受験資格、難易度などについて解説していきます。
有機溶剤作業主任者
有機溶剤作業主任者とは、有機溶剤を安全に扱うための管理を行う役割を担っています。
有機溶剤とは、さまざまなものを溶かす性質があり、製造業では化学繊維やゴム、医薬品などの業種で多く使用されています。
有機溶剤は、製造業に欠かせない一方で、有毒な気体が発生するものもあり、安全に取り扱うには有機溶剤に関する知識が欠かせません。
「有機溶剤中毒予防規則」の対象となる職場では、有機溶剤作業主任者を選任する必要があり、化学系の製造業で需要の高い資格と言えます。
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 18歳以上 |
資格取得にかかる時間 | 2日間の講習を受講後、修了試験に合格すれば取得できる |
難易度 | 受講者の大半が合格している |
特定化学物質等作業主任者
特定化学物質等作業主任者とは、ガンなどを発症させる恐れのある特定化学物質を適切に取り扱う管理者のことです。
特定化学物質は第1類〜第3類に分類されており、物質を扱う作業者が汚染されないための措置が必要です。
特定化学物質等作業主任者は、安全保護具の使用状況や換気装置の点検などを行います。
特定化学物質を扱う現場での選任が義務付けられており、化学系の製造工場には欠かせない存在と言えるでしょう。
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 誰でも受講可能 |
資格取得にかかる時間 | 特定化学物質及び四アルキル鉛(しあるきるなまり)等作業主任者技能講習を2日間受講後、修了試験に合格すれば取得できる |
難易度 | 受講者の大半が合格している |
食品系の製造業で役立つ資格|4選
食品や飲料の製造工場で役立つ資格には、以下のようなものがあります。
・管理栄養士
・食品衛生責任者
・食品衛生管理者
・QC検定
どのような作業に活かせる資格なのか、資格取得の難易度などについて解説していきます。
管理栄養士
管理栄養士は、栄養に関する知識を用いて栄養の管理や指導を行います。
病院や福祉施設、給食施設といったさまざまな場所で活躍できる、需要の高い資格です。
食品系の製造業に従事する場合には、商品開発やその品質管理が主な仕事です。
また、栄養面に関する問い合わせも多いため、顧客対応を行うこともあります。
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 下記のいずれかを満たせば受験可能 ・栄養士免許を取得していること ・栄養士養成施設の卒業後、栄養士として1~3年の実務経験※栄養士養成施設の就業年数で実務経験が異なる |
資格取得にかかる時間 | 200~300時間 |
難易度 | 合格率は50~60%ほど |
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、食品衛生法に定められた食品を扱う施設にて、衛生管理を行う人のことです。
食品取扱施設では、食品衛生者の設置が義務付けられています。
手洗いや清掃といった衛生管理や、スタッフの健康管理、食材の保管方法などのチェックを行います。
資格を取得するには「食品衛生責任者養成講習会」の受講後に、修了試験に合格しなければなりません。
資格の種類 | 公的資格 |
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受験資格 | 誰でも受講可能 |
資格取得にかかる時間 | 1日 |
難易度 | 受講者の大半が合格している |
食品衛生管理者
食品衛生管理者とは、食品衛生法で定められた食品の製造や加工を行う施設で、衛生面を管理する人のことです。
食料品の製造工程で衛生管理を行い、食中毒などを防止するのが主な業務です。
食品衛生責任者が、食に関する全ての施設で設置しなければならないのに対し、食品衛生管理者は、食肉・魚・牛乳などを扱う施設のみでの配置が義務付けられています。
食品衛生管理者になるには、経歴によって条件があります。
関連の学校を卒業していない場合には「食品衛生管理者登録講習会」を受講しなければなりません。
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 食品などの製造や加工の衛生管理業務で3年以上の実務経験 |
資格取得にかかる時間 | 食品衛生管理者登録講習会の受講日程は約1ヶ月ほど |
難易度 | 受講者の大半が合格している |
QC検定
QC検定とは、製造業における品質管理で、必要な知識を評価するための試験です。
品質管理業務は、食品系に限らず全ての製造業種にあるため、品質管理の仕事に応募する際に役立つ資格です。
QC検定には1~4級があり、これから製造業で働く人は、入門編となる4級からの挑戦をおすすめします。
【QC検定・4級の場合】
資格の種類 | 民間資格 |
受験資格 | 誰でも受験可能 |
資格取得にかかる時間 | 30~40時間 |
難易度 | 合格率は80~90%ほど |
医薬品系の製造業で役立つ資格|3選
医薬品系の製造業で役立つ資格には、以下のようなものがあります。
・薬剤師
・MR認定資格
どのような業務に活かせるのか、取得方法や難易度も踏まえながら解説していきます。
薬剤師
薬剤師とは、調剤や服薬の指導などを行う薬のスペシャリストです。
薬局や介護施設だけでなく、医薬品メーカーでも活躍できます。
医薬品の製造メーカーでは、工場の品質管理や製造方法の検証、製造の許可申請といった業務をこなします。
誰でも簡単に取得できる資格ではなく、難易度も高い一方で、取得できればさまざまな業界で活躍可能です。
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 6年制の薬学課程を修めて卒業していること |
資格取得にかかる時間 | 2,000~2,500時間 |
難易度 | 合格率は60~70%ほど |
MR認定資格
MR認定資格とは、MR(医薬情報担当者)としての知識を証明するための資格です。
MRは医師や薬剤師に対して、医薬品の有効性や安全性の情報を提供する役割を担っており、医療業界には欠かせない存在と言えます。
仕事をこなす上で必須となる資格はないものの、多くの医薬品メーカーではMR認定資格の取得を義務付けています。
資格の種類 | 民間資格 |
受験資格 | ・MR認定センターの登録企業に在籍していない場合は、認定センターで基礎教育(200時間)を受講する ・MR認定証を交付してもらうためには、試験に合格後、導入教育(150時間)を終了し、MR経験を6ヶ月以上積む必要がある |
資格取得にかかる時間 | 500~700時間 |
難易度 | 合格率は80%ほど |
危険物取扱者
製造業でも触れましたが、製薬工場でもさまざまな薬品を取り扱うことが多く、役立てられる資格となります。
また、顧客に危険物に関する説明が必要なケースもあります。
製薬メーカーで役立つ危険物取扱者の種類は、工場によって異なるため、まずは乙種・4類の取得から目指すのがおすすめです。
製造業の管理職で役立つ資格|3選
製造業の管理職に従事する際に役立つ資格には、以下のようなものがあります。
・簿記検定
・中小企業診断士
・MBA
各資格がどのような業務で活かせるのか、資格の取得方法や難易度について解説していきます。
簿記検定
簿記検定とは、会社のお金の流れを帳簿に記録するための知識を証明できる資格です。
製造業向けに「工業簿記」があり、製品の製造過程における原価計算や会計処理に関する知識が身に付けられます。
収益を最大化する上で必要不可欠なスキルであり、製造業で管理職として働く際に役立てられます。
簿記検定には1級・2級・3級・初級とありますが、工業簿記が出題範囲に含まれるのは2級からとなります。
簿記に関しての知識がない場合には、初級から学習を始めていきましょう。
【簿記検定・初級の場合】
資格の種類 | 公的資格 |
受験資格 | 誰でも受験可能 |
資格取得にかかる時間 | 50~70時間 |
難易度 | 合格率は60%ほど |
中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営に関する課題を解決するための知識を証明するための資格です。
経営状態を分析した上で、企業の課題を明確にしながら解決に向けた案を提案していきます。
工場の生産性向上や品質向上ではなく、企業の経営に関わるような役職の人向けの資格と言えるでしょう。
金融機関からの融資を受ける際に必要な「経営改善計画書」や、産業廃棄物許可申請に必要な「経営診断書」などの作成もできます。
資格の種類 | 国家資格 |
受験資格 | 誰でも受験可能 |
資格取得にかかる時間 | 800~1,000時間 |
難易度 | 合格率は4%ほど |
MBA
MBAとは、経営学の大学院修士課程を修了することで授与される学位であり、資格ではありません。
そのため、MBAを取得するには経営学を学べる大学院に通わなければなりません。
既に社会人として働いている場合、最初から取得を目指すのはかなり難しいため、経営に関する資格を取得したい場合には、中小企業診断士をおすすめします。
ただし、中小企業診断士も取得難易度は非常に高いため、働きながら資格取得を目指すのが一般的です。
関連記事:製造業の平均年収は他の業界より低い?年収を上げる方法も解説
製造業の資格に関してよくある質問
最後は、製造業に関係する資格について、3つのよくある質問に答えていきます。
・資格を取得するための受験資格は必要ですか?
・製造業の資格は独学でも資格取得できますか?
・資格は働きながら取得できますか?
資格取得に関する受験資格や働きながらの資格取得に関する内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
資格を取得するための受験資格は必要ですか?
受験資格は、取得する資格によって異なります。
誰でも受験可能な資格もあれば、年齢制限や実務経験、学歴に指定のある資格もあります。
また、初級には受験資格がなかった場合も、上位級から条件が定められる資格もあるため、開催施設の情報を確認するようにしましょう。
製造業の資格は独学でも資格取得できますか?
難易度の低い資格であれば、独学でも取得可能です。
ただし、出題範囲が広い資格や、試験に実技試験があるような場合には、なるべく通信講座の利用をおすすめします。
前述した通り、学歴や実務経験が必要な資格もあるため、独学で合格できる資格でも受験条件を調べるようにしましょう。
資格は働きながら取得できますか?
資格取得は、働きながらでも十分取得可能です。
学校に通うのは大変であるため、通信講座の利用をおすすめします。
無理のない勉強計画を立てた上で、資格取得を目指しましょう。
関連記事:工場勤務に役立つ国家資格10選|取得のメリットも解説
製造業の資格についてのまとめ
製造業の仕事にはさまざまな種類があり、業種や職種によって活かせる資格は異なります。
転職前でも気軽に挑戦できる資格もあれば、働きながら実務経験を積まなければならない、キャリアアップ向けの資格もあります。
製造業に転職したあとのキャリアプランも考えた上で、挑戦する資格を決めていきましょう。
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