外国人観光客の訪日が増えたことで、都市部や観光地を中心に交通機関の混雑が問題となっています。
この影響で運転手1人あたりの負担が増えてきており、連日の残業や休みの日の出勤が常態化しているケースも珍しくありません。
一方で、運送業界の長時間労働に対する取り締まりは年々強化されてきており、「休日は32時間以上と決められている」など、休日や運転時間に関するルールが気になるという方もいるのではないでしょうか。
今回は、バス運転手の休日に関するルールを中心に、分かりやすく解説していきます。
【この記事で分かること】 ・バス運転手の休みについて ・バス運転手の働き方で変わること ・バス運転手の休憩で変わること ・バス運転手の働き方に関するよくある問い合わせ |
バス運転手の休日は32時間以上が変更になる
バス運転手の働き方に関しては、法律で細かく定められており、休みの考え方は以下の内容となります。
休みの日=仕事が終って体を休める時間(8時間)+休み(24時間)
忙しさや会社の事情に関係なく、休を休める時間と休み(24時間)は別で考えなければなりません。
そのため、勤務が終わってから24時間の休む時間を与えるだけでは違法です。
この考えでいくと、32時間が最低必要でありましたが、2024年4月からルール変更となり33時間以上となりました。
今後は、以下のような考えで理解しておくようにしましょう。
休みの日=仕事が終って体を休める時間(9時間)+休み(24時間)
休みが24時間であることに変わりはないものの、勤務終了後の体を休める時間を最低でも9時間以上にしなければならなくなります。
そのため、令和6年4月以降に32時間しか休む時間を与えなかった場合、休みをとったことにはなりません。
出典:バス運転者の労働時間等の改善基準のポイント|厚生労働省
バス運転手の休日が32時間以上でなくなること以外の変更点
令和6年4月より労働に関するルールが変更されたので、バス業界もこれに該当します。
働き方が変わる項目は、以下の通りです。
・休みの取扱い
・休みの日の出勤
・新しいルールが適用されない業務
ここでは、新しく適用されるルールについて、項目ごとに解説していきます。
休みの取扱い
休みの取扱いは前述した通り、バス運転手の休日は「休をやすめる時間+休み」という考え方です。
ルール変更により、2024年4月以降は休まなければならない時間が8時間ではなく9時間となりました。
そのため、仕事が終って33時間の休憩を与えなければ、休みをとったことにはなりません。
休みの日の出勤
休みの日の出勤に関しては、従来のルールから変更されていません。
令和6年4月からも「休みの日の出勤は2週間に1回が限度」です。
また、1ヶ月の中で労働をお願いできる時間を超える際は、2週間に1回のペースでも休日出勤は認められません。
新しいルールが適用されない業務
令和6年4月からのルール変更では「休みの日の取扱いと休みの日の出勤」に対して適用とならない業務が新たに新設されました。
具体的な業務としては「災害に関する業務」があります。
地震などが起きた際に、緊急通行車両としてその地域を通行する業務に関しては、休みや休日の出勤に関するルールが適用されません。
ちなみに、このルールはタクシー事業にも追加されました。
バス運転手の休憩時間に関する2つの基本事項
ここまで仕事が終ってからの体を休める時間について解説してきましたが、勤務中の休憩に関してもルールが定められています。
・拘束時間
・休息期間
2つのルールについて見ていきましょう。
拘束時間
拘束時間とは、仕事を始めてから終るまでの時間を指し、運転だけでなくバスの点検やお昼の休憩時間もこれに含まれます。
1業務で拘束できる時間は、基本的に13時間以内で、残業をお願いする場合も15時間を超えてはいけません。
ちなみに、14時間を超えていいのは7日間で3回までと決められています。
休憩時間
バス運転手の体を休める時間は、4時間の運転に対して30分以上と決まっています。
遅延状況や自身の体調に関係なく、4時間の運転に対して必ず30分の休憩を取らなくてはいけません。
ちなみに、休憩は10分以上まとめてとることになっており、15分×2回といった感じで分割も可能です。
バス運転手に関する運転時間の限度について
バス運転手には、路線バス・観光バス・高速バス・送迎バスといった業務があり、それぞれで業務のペースや働く時間などが異なります。
長時間の運転は、体力的な負担が大きいため運転時間に関しても、以下の項目でルールが定められています。
・1日の運転時間
・1週間の運転時間
・連続運転時間
忙しさや人手不足は理由として認められず、全ての事業者が遵守しなければならない内容です。
1日の運転時間
1業務で働いてもらえる時間は長くとも15時間以内と解説しましたが、それとは別に1日の運転時間にもルールが定められています。
「2勤務の平均が1勤務あたり9時間以内」という内容です。
計算は特定日の前の日と次の日で算出し、いずれかが9時間以内であれば問題ありません。
前の日の運転時間 | 特定日の運転時間 | 次の日の運転時間 | |
8時間 | 9時間 | 10時間 | 特定日と前日の平均が9時間以内なのでOK |
11時間 | 8時間 | 10時間 | 特定日と翌日の平均が9時間なのでOK |
10時間 | 9時間 | 10時間 | 特定日前後共に平均が9時間を超えるためNG |
1週間の運転時間
1週間で働く時間は、各週で平均を算出し1週間あたり40時間以内であれば、問題ありません。
また、52週の中で16週までであれば、1週間の働く時間の平均を44時間まで伸ばせます。
ただし、52週で働いた時間が2,080時間を超えない範囲で調整しなければなりません。
連続運転時間
運行中に継続して運転できる時間は、4時間が限度でありそれ以上運転する場合は、必ず体を休めなければいけません。
このルールは、運行内容や遅延などに関係なく定められたルールです。
関連記事:バス運転手の連続勤務日数は13日まで|上限を守る3つの対策
「バス運転手の休日は32時間以上」に関連してよくある質問
最後は、バス運転手の休みや働き方に関する、5つのよくある質問について答えていきます。
・バス運転手の休息時間が9時間になるのはいつからですか?
・貸切バスの連続運転時間は?
・貸し切りバスだと何時間まで休憩できますか?
・ツーマン運行の連続運転時間は?
・路線バスの運転手の連続運転時間は?
普段の運行ルールを見直す上で役立つないようですので、ぜひ参考にしてみてください。
バス運転手の休息時間が9時間になるのはいつからですか?
2024年4月からバス運転手の休息時間が9時間に変わっています。
貸切バスの連続運転時間は?
貸切バスの運転時間は、原則最大2時間までであり、必ず15分以上の休憩をとらなければなりません。
ただし、高速道路などはどこでも休憩できるわけではないため、2時間を少しでも超えた時点で違法になるわけではありません。
貸し切りバスだと何時間まで休憩できますか?
貸切バスの休憩時間は、前述した通り2時間おきに15分以上の休憩をとらなければなりません。
休憩時間に上限はなく、それ以上に休める時間があれば休憩しても問題ありません。
また、宿泊を要する仕事の場合、その日の業務が終わり次の日の業務を開始するまで最低9時間の休息をとらなければなりません。
ツーマン運行の連続運転時間は?
運転手2人でこなす運行でも、運転手が連続で運転できる時間は4時間までです。
都度交代する必要はありませんが、必ず10分以上の休憩をとらなければなりません。
ちなみに運転手2人でこなす運行であれば、働ける時間を20時間まで延ばせます。
また、休息時間も4時間まで短縮できるようになっており、お互いで調整しながら運行します。
路線バスの運転手の連続運転時間は?
路線バス運転手も、連続で運転できる時間は最長で4時間までです。
運行に遅れが出ており、次の乗務を急がなければならないようなケースも必ず4時間運転した後には30分以上の休憩をとらなければなりません。
関連記事:
「バス運転手の休日は32時間以上」についてのまとめ
バス運転手の休日は、勤務後の休憩時間も別で9時間以上とる必要があるため、勤務が終ってから次の勤務まで32時間以上はあけなければなりません。
休む日以外にも2024年4月からは、バス運転手の働き方が大きく変わりました。
これまでの運行では違法になってしまう可能性もあるため、自社の事業内容と照らし合わせながら抵触する部分がないかチェックしておくようにしましょう。
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