施工管理

【令和6年度版】電気工事施工管理技士に実務経験は必要?必要な年数や積む方法

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工事現場の人

電気工事施工管理技士の資格取得を目指しているものの、実務経験を満たしているか分からないという方もいるでしょう。また、そもそも必要なのか気になる方もいるかもしれません。

結論として、1次であれば実務経験なしでも受験できますが、二次は学歴や既に取得済みの資格に応じた経験を満たさなければなりません。ちなみに、実務年数は学歴や専攻学科によって変わります。

ただし、令和6年度より内容が改正されたため、これまで受験できなかった人でも挑戦できる可能性があります。

受験資格として定められている要件には細かい指定があるため、注意して確認しましょう。

今回は、電気工事施工管理技士の受験で満たす必要がある、実務経験の詳細について解説していきます。

この記事のまとめ
・実務経験では、工事内容や役職、業務内容に指定がある
・実務経験を計算する基準日の指定があり、工事が重複した際にはカウント方法に注意が必要
・令和6年度より受験資格が改正され、令和10年までであれば新旧どちらかの条件を満たせば受験できる

電気工事施工管理技士の受験に必要な実務経験について

会議をしている様子

電気工事施工管理技士の試験は、一次・二次検定に分かれており、それぞれに受験条件が定められています。

二次検定では実務経験を満たしていなければ受験できません。また実務経験の内容にも指定があるため、事前に理解して起きましょう。

ここでは、どのような工事内容や業務が実務経験として認められるのか、詳しく解説します。

実務経験として認められる工事内容

電気工事にはさまざまな種類がありますが、実務経験として認められる工事種別と内容は、以下の通りです。

工事種別主な工事の内容
発電設備の工事発電設備工事における発電機の据付・試運転・調整など
構内電気設備工事

※非常用電気設備の工事も含む

ダム、トンネル、その他建築物における以下の工事

自家用発電設備工事/受変電設備工事/計測機器の工事/LAN工事/航空灯設備工事/動力電源工事/避雷針工事

送配電線工事架線工事/架空送電線工事/電力ケーブル布設/地中送電線工事/接続工事など
変電設備工事変電設備工事における変電設備の据付・試運転・調整など
引込線工事変圧器から各施設までの電線を引き込む工事など
信号設備工事一般度の信号設備工事/交通情報の表示装置・制御装置工事など
照明設備工事街路灯工事/屋外照明設備工事/道路照明工事など
ネオン装置工事ネオン装置工事など
電車線工事鉄道における発電機工事/変電所工事/き電線工事/電車線工事/制御装置・鉄道信号装置/鉄道用高圧線工事など

上記内容における増改設を目的とした工事でも問題ありません。

実務経験として認められる役職

前述した電気工事に従事する立場にも指定があります。

従事した立場立場の詳細
施工管理工事の受注側として、工程・品質・安全などを管理した経験(現場施工を含む)
施工監督発注者側として、現場監督技術者などで工事監理した経験
設計監理設計者としての工事監理業務の経験

職業能力開発促進法で規定された職業訓練のうち、国土交通省の認定を受けた訓練を修了している場合、実務経験の期間として計算できます。

実務経験として認められない工事内容や業務

電気関連の工事であれば、何でも実務経験として認められるわけではありません。認められない、具体的な工事内容は以下の通りです。

・変圧器や発電機の設計、製造、据付、点検、保守、メンテナンス

・機器パーツ等の修理工事、点検、保守、メンテナンス

・電機、電器を扱うメーカーでの製造業務

・電話交換機設備、拡声設備、インターホン設備、災報知設備、などの通信設備工事
・電気通信工事として実施した以下の工事

電気通信機械設置工事/放送設備工事/情報制御設備工事/アンテナ設備工事など

・機械機器設置工事として実施した以下の工事

集塵機器設置工事/サイロ設置工事/内燃力発電設備工事など

・管工事として実施した以下の工事

ガス管配管工事/空気調和設備工事/冷暖房設備工事/水洗便所設備工事など

・消防施設工事として実施した以下の工事

漏電火災警報器設置工事/スプリンクラー設置工事/屋内消火栓設置工事など

・熱絶縁工事年て実施した以下の工事

冷凍冷蔵設備、冷暖房設備、燃料工学または動力設備、化学工業などの設備の熱絶縁工事など

・その他、建設業法における許可業種に分類される以下の工事

コンクリート工事/とび、大工工事/鉄筋工事/防水工事/さく井工事など

次に、認められない業務は以下の通りです。

・積算、設計、保守、維持、点検、メンテナンス、事務、営業などの業務

・工事着工前の設計者としての実施設計や基本設計のみの業務

・工事現場の積算、事務、営業などの業務

・教育機関、研究所、訓練所などにおける研究や教育、指導などの業務

・工事における雑用や単純な作業など

・据付調整を含まない、工場制作だけの工事や修理

・入社後の研修

・人材派遣による建設業務(ただし電気工事の施工管理業務は除く)

実務経験年数を計算するときの基準日

実務経験年数を計算する際の基準日にも指定があります。基準日は、試験によって変わり「令和〇年〇月〇日で計算してください」と指定されます。

指定された期日で、所定の実務経験年数を満たせない場合に限り、試験日の前日までに予定される実務経験年数を記入します。ただし、試験日前日に特定できない工事は記載できません。

受験資格を満たしていないにもかかわらず、自己申告しないまま受験した場合、以降の試験が受けられなくなるなどの措置が取られます。実務経験を証明する企業も処罰の対象となるため、注意しましょう。

実務経験年数を計算するときの注意事項

実務経験年数を計算する際によくあるのが「工事期間の重複」です。

工事が重複した場合のカウント方法
・〇〇ビルの電気設備改修工事:1月~7月まで実施
・新築マンションの電気設備工事:5月~12月まで実施5~7月が被っているが重複してカウントできないため、上記期間の実務経験は12ヵ月となる

また、検定種目の異なる工事で重複している場合、各工事に従事していた割合に応じて重複しないように換算します。

判断が難しい場合は、試験実施期間である建設業振興基金に相談しましょう。

実務経験証明書を書くときの注意点

実務経験証明書を作成する際によくあるミスが、以下の2つです。

・複数の工事に従事しており、期間が重複していたことによるカウントミス

・実務経験にならない工事のカウント

ここまで、実務経験に含められる電気工事や業務内容について解説してきましたが、自分では判断できないような業務もあります。

分からないことがある場合は、自分で判断せずに必ず試験実施機関に相談しましょう。受験後に記載ミスが発覚した場合、試験自体は合格していたとしても、取り消しになる可能性があります。

ちなみに、実務経験は学歴や専攻学科によって変わります。国内ではなく国外の学校を卒業している場合は、以下の内容で申請しましょう。

最終学歴申請時に該当する受験資格
国外の大学などを卒業し、学士に相当する学位を授与している場合大学卒業で実務経験は1年6ヵ月以上
国外における正規の学校教育で12年の課程を修了している場合高校卒業で実務経験は4年6ヵ月以上

実務経験に関するルールは、変更となる可能性があるため、必ず申請前に建設業振興基金の案内をチェックしましょう。

令和6年から新しくなる受験条件

女性社員がデスクワークする様子

電気工事施工管理技士の受験資格は、令和6年度より変更されます。経過措置として令和10年までであれば、変更前の受験資格に適用している人も受験可能です。

ここでは、新しくなった受験資格と変更前の受験資格について解説します。

令和6年度からの1級電気施工管理技士試験に挑戦できる条件

令和6年度の試験より適用される、新しい条件は以下の通りです。

一次試験試験が実施される年に満19歳以上であること
二次試験
区分1
1級試験の一次試験合格者
・所定の実務経験が5年以上
・特定実務経験1年以上を含む実務経験が3年以上
・監理技術者補佐としての実務経験が1年以上 のいずれか
二次試験
区分2
1級試験の一次試験および2級試験に受かった人
・2級試験に合格後、所定の実務経験が5年以上
・2級試験に合格後、特定実務経験1年を含む実務経験が3年以上
二次試験
区分3
1級の一次試験を受験予定および2級試験に受かった人
・2級試験に合格後、所定の実務経験が5年以上
・2級試験に合格後、特定実務経験1年を含む実務経験が3年以上
二次試験
区分4
1級一次試験合格および第一種電気工事士取得者
・第一種電気工事士取得後、実務経験が5年以上
・第一種電気工事士取得後、特定実務経験を1年含む実務経験が3年以上
二次試験
区分5
【1級一次試験を受験予定で第一種電気工事士取得者】
・第一種電気工事士取得後、実務経験が5年以上
・第一種電気工事士取得後、特定実務経験を1年含む実務経験が3年以上

特定実務経験とは、請負金額が4,500万円(建築一式工事では7,000万円)以上の建設工事で、主任技術者・監理技術者の指導のもと、主任技術者か監理技術者として行った施工管理の経験のことです。

区分1の監理技術者補佐とは、建設業法で定める監理技術者を補佐する人のことを指します。

令和6年度からの2級電気施工管理技士試験に挑戦できる条件

令和6年度の試験より適用される、2級試験の新しい受験資格は以下の通りです。

一次試験試験が実施される年度に満17歳以上であること
二次試験
区分1
2級試験の一次検定に受かっており、実務経験が3年以上
二次試験
区分2
1級試験の一次検定受かっており、実務経験が1年以上
二次試験
区分3
電気工事士、電気主任技術者試験に合格後、実務経験が1年以上

※電気施工管理技士試験の一次試験に合格していること

参考:電気工事施工管理技術検定のご案内|一般財団法人 建設業振興基金

令和5年度以前の電気工事施工管理技士試験に挑戦できる条件

デスクワークをこなす様子

前述したとおり、令和10年度までの試験であれば経過措置として、改正前の受験資格に該当している人も受験できます。

自分が該当する区分をチェックしたうえで、実務経験を計算してみてください。

令和5年度以前の1級電気施工管理技士試験に挑戦できる条件

改正前の1級電気施工管理技士試験・受験資格は、以下の通りです。

学歴・保有資格実務経験
大学および専門学校の高度専門士・指定学科を専攻:3年以上
・指定学科以外:4年6ヵ月以上
短期大学・5年制の高等専門学校・専門学校の専門士・指定学科を専攻:5年以上
・指定学科以外:7年6ヵ月以上
高校・中学校・専門学校の専門課程・指定学科を専攻:10年以上
・指定学科以外:11年6ヵ月以上
その他通算15年以上
電気主任技術者の免状を交付してもらっている
※種類の指定なし
通算6年以上
第一種電気工事士の免状を交付してもらっている実務経験の指定なし
2級電気工事施工管理技士の合格者合格後に5年以上
2級電気工事施工管理技士の合格者
※短期大学・5年制の高等専門学校・専門学校の専門士
卒業後に9年以上の実務経験でも受験可能
2級電気工事施工管理技士の合格者
※高校・中学校・専門学校の専門課程
卒業後に10年6ヵ月以上の実務経験でも受験可能
2級電気工事施工管理技士の合格者
※その他の学歴
通算で14年以上の実務経験でも受験可能

上記実務経験には、指導監督的実務経験が1年以上含まれていなければなりません。専任の主任技術者を1年以上経験している場合、実務経験が短縮されるケースがあります。

一次検定の受験資格は、新しい条件と同じく試験実施年度で満19歳以上であれば問題ありません。

令和5年度以前の2級電気施工管理技士試験に挑戦できる条件

次に2級電気工事施工管理技士の改正前の受験資格を紹介します。

学歴・保有資格実務経験
大学および専門学校の高度専門士・指定学科を専攻:1年以上
・指定学科以外:1年6ヵ月以上
短期大学・5年制の高等専門学校・専門学校の専門士・指定学科を専攻:2年以上
・指定学科以外:3年以上
高校・中学校・専門学校の専門課程・指定学科を専攻:3年以上
・指定学科以外:4年6ヵ月以上
その他通算8年以上
電気主任技術者の免状を交付してもらっている
※種類の指定なし
通算1年以上
第一種電気工事士の免状を交付してもらっている実務経験の指定なし
第二種電気工事士の免状を交付してもらっている通算1年以上

電気工事施工管理技士の実務経験に関してよくある質問

スマホを操作する様子

最後は電気工事施工管理技士の実務経験に関する、2つのよくある質問に答えていきます。

受験申請前に理解しておくようにしましょう。

電気工事施工管理技士は実務経験なしでも受検できる?

電気工事施工管理技士の試験は、1次検定であれば実務経験なしでも受験できます。二次検定に関しては、学歴や既に取得済みの資格に応じた経験を満たさなければなりません。

ただし、令和10年度の試験までであれば、第一種電気工事士の免状交付を受けている人のみ実務経験なしで挑戦できます。

試験に挑戦する際に実務経験の虚偽申告をするとどうなる?

受験条件として定められている実務経験で虚偽申告した場合、以下のような罰則を受けなければなりません。

・3年間の受験資格取り消し
・合格の取り消し
・所属する企業名を公表するか営業停止
・資格を使用して取得した建設業許可の取り消し

受験者だけでなく、実務経験を証明した企業も罰則の対象となるため、虚偽の申告は絶対にやめましょう。過去には立ち入り検査や内部告発により、虚偽申告が発覚した事例があります。

電気工事施工管理技士の実務経験についてのまとめ

作業員が遠くを見つめている様子

電気工事施工管理技士試験の受験資格として定められている実務経験では、工事内容・役職・業務内容などに細かい指定があります。

実務経験年数の算出に関しても、基準日の指定があり算出方法にも指定があるため、今回紹介した内容を守り証明書類を作成してきましょう。

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