電気工事士は、電気がある限り仕事が無くなることはないため将来性が高く、転職先として人気の仕事です。
しかし、「きつい・やめとけ」といった声も少なからずあります。
本記事では、電気工事士の離職率や辞めた理由、また、電気工事士という仕事のメリットなどについて解説します。
電気工事士を目指すうえで離職率やその理由などが気になる人は、ぜひ参考にしてください。
電気工事士の離職率は20~40%と高め
電気工事士の離職率は20%〜40%と高めに推移しています。
高卒の離職率は他の産業と同程度ですが、大卒の離職率は他の産業に比べて高い傾向があります。
その理由としては、勤務体系や現場環境が挙げられることが多いです。
次章では、電気工事士の離職率が高い理由を詳細に解説します。
出典:産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 第16回電力安全小委員会 資料5|経済産業省 産業保安グループ 電力安全課
電気工事士の離職率が高い理由
電気工事士の離職率が高い理由には、大きく分けて2つあります。
1つ目は、特異な勤務体系です。
電気工事士はもともとの休日数が少ないことに加え、休暇を取得したくても一般の人たちが長期休暇をとっている間は休みが取りにくいなどの理由があります。
家族がいる場合は、子供の行事や休みに合わせて休暇が取れないというジレンマに悩まされることも少なくないようです。
2つ目は、現場環境の悪さです。
電気工事を行う上で、粉塵が舞うような環境の良くない場所で長時間仕事をしなければならず、中には神経をすり減らすような危険な作業などもあります。
また、電気工事は屋外作業のため、トイレの問題や体調不良など身体に関する問題も常に付きまといます。
仕事に不慣れな若手作業員などにとっては、とても過酷な環境に感じられることも多いでしょう。
出典:産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 第16回電力安全小委員会 資料5|経済産業省 産業保安グループ 電力安全課
電気工事士は離職率が高くやめとけと言われている理由
電気工事士は離職率が高くやめとけと言われている理由がいくつかあります。
昔ながらの職人の世界がまだ残っている職場でもあるため、仕事の学び方や取り組み方、人間関係、給与などの面で若い人に敬遠されがちになるようです。
ここでは、よく聞かれる主な4つの理由について解説していきます。
力仕事が多く肉体労働がきつい
電気工事士の離職率が高くやめとけと言われている理由の1つ目は、力仕事が多く肉体労働がきついからです。
電気工事士は現場仕事のため、重い荷物や道具を持ち運んだり、暑い寒い中で長時間力のいる作業をしたりと、とにかく体が資本とも言える仕事の一つです。
若い時は気力で乗り越えられても、歳を取るにつれて足腰が辛くなってくることも多いでしょう。
仕事に限界を感じるのは体の調子が戻らなくなった時であるため、仕事の特徴的にも離職率が高くなると言えるかもしれません。
休みが少なく取りにくい
電気工事士の離職率が高くやめとけと言われている理由の2つ目は、休みが少なく取りにくいからです。
上の離職率が高い理由の項目でもお伝えしましたが、やはり休みが少なくかつ休暇を取る自由も少ないことが大きな要因となっています。
国民の生活に重要なインフラ事業を請け負っているという責任感の重さから、体調が悪かったり、家庭の大事な用事があったりしても、休みが取りにくいのです。
一人前になるまで収入が低い
電気工事士の離職率が高くやめとけと言われている理由の3つ目は、一人前になるまで収入が低いからです。
電気工事士に就職してはみたものの、高校や大学を同時に卒業した友人や、他の職人色の強い大工や建設業の人と比べて、自分の収入の低さにショックを受けることがあります。
たとえ給与に納得して入ったとしても、仕事量や肉体・精神面での疲労と比較した時の手取りの少なさに不満をおぼえることも多々あるようです。
普段の業務に励みながら、資格を取ったり昇給試験に合格したりするなど、将来の自分の姿に希望を持てるようなモチベーションが必要と言えるでしょう。
先輩職人からのパワハラがある
電気工事士の離職率が高くやめとけと言われている理由の4つ目は、先輩職人からのパワハラがあるからです。
昔ながらの職人かたぎの残る職場環境ということもあり、先輩後輩の上下関係が厳しい面があることは否めません。
また、若手の工事士からは、先輩のギャンブルや異性関係の話、飲酒の付き合いなどについていけない、または無理やり付き合わされるという悩みも挙がっています。
働き方改革などの方針により、こういった人間関係や職場環境の悩みも業界全体で取り組んで、少しずつ改善される動きも始まっています。
離職率の高い電気工事士を辞めたいと感じた場合の対処法
ここでは、離職率の高い電気工事士を辞めたいと感じた場合の対処法についてお伝えします。
大きく分けて、仕事自体がきつくて辞めたい場合と、会社に不満があって辞めたい場合とがあります。
それぞれについて、どのような選択肢があるのか解説します。
仕事内容がきつくて辞めたい場合
仕事内容がきつくて辞めたい場合は、「電気工事士と全く異なる職種に転職する」「電気工事士に関係する職種に転職する」という2つの選択肢があります。
電気工事士と全く関係のない職種に転職した場合、フレッシュな気持ちで一から仕事に取り組めるメリットもありますが、全くのゼロからの出発で給与も下がってしまうというデメリットがあります。
電気工事士に関連する仕事に転職する場合は、電気工事士の経験や知識、資格などを活かしやすいため、給料も大差なく、ともすればキャリアアップして責任ある立場となれるかもしれません。
電気工事士の経験を活かした転職先としては、ビル設備管理やサービスエンジニア、また、公務員などもあります。
関連記事:サービスエンジニアとは機械製品を保守する仕事|必要な能力8選
関連記事:サービスエンジニアは未経験でもなれる?転職する方法、向いている人の特徴
会社に不満があり辞めたい場合
会社に不満があり辞めたい場合は、他の電気工事の会社への転職がおすすめです。
会社に不満がある場合は、ぐっと我慢し続けるか、自分の要望を会社に伝えるかですが、1人の力で会社の環境やシステムを変えるのは不可能です。
また、自分の要望を会社に上げ続けても、周りの人間関係や昇格などの面で、居心地の悪い状況になることもあります。
これまでの経験を強みに、ライバル会社への転職という選択肢が、自分の仕事へのやる気に火をつけるきっかけになるかもしれません。
職率とは別で参考にするべき電気工事士のメリット
次に、離職とは別で参考にするべき電気工事士のメリットについて、お伝えしていきます。
電気工事士の仕事や職場環境について、離職に繋がるマイナス面を書いてきましたが、電気工事士の仕事自体は社会に必要な仕事です。
電気工事士のメリットについて、ここでは3つ紹介していきます。
手に職を身に着けられて長く活躍し続けられる
電気工事士のメリットの1つ目は、手に職を身につけられて長く活躍し続けられることです。
電気工事士の経験値と資格は、一生モノです。
電気工事士の資格は国家資格ですので、日本中どこにいても通用します。
定年もなく、求人数も多い職業ですので、一度身につければ安定して仕事を得ることができます。
需要が高く将来性がある
電気工事士のメリット2つ目は、需要が高く将来性があることです。
電気の工事は無くなることはありませんので、仕事自体の将来性や需要の減少などを心配する必要のあまりない稀な仕事といえます。
最近は、オール電化や太陽光発電などの増加により、ますますその需要は高まっています。
本業としてはもちろん、副業として週末のみなど、経験値と資格がものを言う仕事の分、働き方も工夫ができる仕事です。
経験を積めば独立も可能
電気工事士のメリット3つ目は、経験を積めば独立も可能であることです。
会社に入社当時は給与も低く、休みもなく、過酷な環境での仕事でもあり、長く続けていくことはなかなか困難とも思えます。
しかし、続けた努力と経験は決して無駄にはなりませんし、その延長上に個人事業主としての独立や起業という道が広がっています。
電気工事士の離職率や仕事に関するよくある質問
最後に、電気工事士の離職率や仕事に関するよくある質問をご紹介していきます。
電気工事士として一人前になるには何年かかる?
電気工事士として一人前になるには、一般的に3〜5年かかると言われています。
個人差はありますが、他の仕事と比べてみても決して長いということもなく、30歳以降に始めても十分に経験が積める仕事です。
電気工事士の年収は?
電気工事士の年収は、全国平均で約550万円です。
電気工事士の平均年齢が42歳のため、40歳前後の他の仕事の年収と比較しても低いということはありません。
管理職が多くなる50代中ごろで、平均年収は680万円ほどになります。
また、電気工事士は一人前になるのに3〜5年かかりますが、就職したての18歳ぐらいから20代前半ごろまでの平均年収は300万円ほどという結果が出ています。
関連記事:電気工事士の年収を年代別・資格別・学歴別・経験年数別に解説
電気工事士の離職率や魅力を参考にしながら就職を検討してみよう
今回は、電気工事士の離職率の高さとその理由などについて紹介してきました。
電気工事士の離職率は、業界特有の課題や労働環境に大きく影響を受けています。
肉体的な負担や長時間労働、現場での安全リスクが主な要因となり、若年層の離職が特に目立っています。
しかし、技術者の需要が高まる中で、待遇改善や労働条件の見直しが進んでいる企業も増えているのも事実です。
本記事を参考に、電気工事士への就職・転職を検討してみてください。
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