【車種別】トラック運転手の時給相場はいくら？給料アップの方法

トラック運転手は待機時間や配送距離の関係で拘束時間が長く、長距離運送の場合には数日がかりの運行も珍しくありません。

そのため「高収入であっても、時給換算すると低いかもしれない」と不安になる方もいるのではないでしょうか。

今回はトラック運転手の時給相場や給料の仕組み、賞与についてもわかりやすく解説します。

これからトラック運転手を目指す方はもちろん、既にトラック運転手としてキャリアアップを目指している方もぜひ参考にしてみてください。

【この記事で分かること】

・トラックサイズごとの運転手の時給

・時給が安いトラック運転手の特徴

・時給が高いトラック運転手の特徴

・トラック運転手になる場合に時給以外でチェックすべきこと

トラック運転手の時給相場が安いのは過去の話？

トラック運転手は拘束時間が長く、時給が低いと思われがちですが、最近では改善されつつあります。

国内のトラック運転手が不足しており、人材確保のために企業や国が労働環境を改善する取り組みを進めているからです。

その一つに「未払賃金」の請求期間延長があります。

未払いの残業代があった場合、これまでは賃金請求権の消滅時効期間が2年でしたが、当分の間は3年に伸びて、最終的には5年となる予定です。

これに応じて賃金台帳などの記録の保管期間も3年だったものが、将来的に5年へと切り替わります。

このような制度改正や各企業の労働環境を見直す働きもあり、待機時間を含めて働いた分に関しては、適切な時給が発生するようになってきています。

参考：厚生労働省｜未払賃金が請求できる期間などが延長されます～労働基準法の一部改正～

トラック運転手の時給相場に影響を与える給料の仕組み

トラック運転手の給料は「固定給(基本給)＋変動給」で支給されることが多く、運送会社の中には「みなし残業代」が含まれているケースもあります。

こちらでは固定給や変動給、みなし残業代について解説していきます。

固定給

固定給とは運転手が一定の時間や日数を働くことで、固定して受け取れる給与です。

トラック運転手以外の職業でも用いられており、欠勤や遅刻をしない限り毎月必ず貰える給与です。

変動給

変動給とは歩合給や諸手当のことです。

成果や出来高に対して発生する給料で、以下のような手当があります。

・住宅手当

・家族手当

・無事故手当

・皆勤手当

・残業手当

トラック運転手は他の職種と比べて変動給が多いことが特徴と言えるでしょう

みなし残業代

トラック運転手は個々で運転するため、仕事の性質上、何時まで働いていたのかを確認しにくい特徴があります。

このような職種では、あらかじめ1ヵ月当たりの労働時間を設定して残業代を含めて支給する、みなし残業の制度が採用されることが多いです。

みなし残業時間は企業ごとで決められており、給料に含まれているので残業代は発生しません。

ただし、決められたみなし残業時間を超えた分に関しては、別途残業代が支払われます。

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トラック運転手の時給相場

トラック運転手はいくらの月給や賞与を貰っているのか、時給がどれくらいなのかについて解説していきます。

こちらではトラックサイズごとの収入について見ていきましょう。

なお、トラック運転手の時給計算をする上での労働時間に関しては、厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」の情報を参考にしています。

【輸送・機械運転従事者】

所定内実労働時間数	171時間
超過実労働時間数	30時間

企業によって労働日数は異なるものの、今回は月に22日間の労働日があると仮定して、一日当たり約9（9.13）時間で数値を算出します。

参照元：厚生労働省｜賃金構造基本統計調査 ｜ 令和４年賃金構造基本統計調査（順次掲載予定） 一般労働者 都道府県別

小型トラック運転手の月給・賞与・時給

全日本トラック協会が公表した「2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」によると、小型トラック運転手の月給・賞与は以下の通りです。

	平均月給	平均賞与
男性	314,600円	592,800円
女性	254,500円	308,400円

※平均賞与は「賃金+賞与」から計算

平均賃金から計算した小型トラック運転手の平均日当と平均時給は以下の通りです。

	平均日当	平均時給
男性	14,300円	1,588円
女性	11,568円	1,285円

※労働日数22日、労働時間9時間で計算

参照：公益社団法人｜全日本トラック協会｜2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態

準中型トラック運転手の月給・賞与・時給

次に準中型トラック運転手の月給・賞与・時給を紹介していきます。

	平均月給	平均賞与
男性	338,000円	601,200円
女性	261,300円	290,400円

※平均賞与は「賃金+賞与」から計算

平均賃金から計算した小型トラック運転手の平均日当と平均時給は以下の通りです。

	平均日当	平均時給
男性	15,364円	1,707円
女性	1,877円	1,467円

参照：公益社団法人｜全日本トラック協会｜2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態

中型トラック運転手の月給・賞与・時給

次に中型トラック運転手の月給・賞与・時給を紹介していきます。

	平均月給	平均賞与
男性	307,000円	386,400円
女性	278,100円	316,800円

※平均賞与は「賃金+賞与」から計算

平均賃金から計算した小型トラック運転手の平均日当と平均時給は以下の通りです。

	平均日当	平均時給
男性	13,955円	1,551円
女性	12,641円	1,405円

参照：公益社団法人｜全日本トラック協会｜2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態

関連記事：4tトラック運転手の給料と仕事内容は？手取り額も公開

大型トラック運転手の月給・賞与・時給

次に大型トラック運転手の月給・賞与・時給を紹介していきます。

	平均月給	平均賞与
男性	368,900円	499,200円
女性	337,000円	368,400円

※平均賞与は「賃金+賞与」から計算

平均賃金から計算した小型トラック運転手の平均日当と平均時給は以下の通りです。

	平均日当	平均時給
男性	16,768円	1,863円
女性	15,318円	1,702円

参照：公益社団法人｜全日本トラック協会｜2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態

関連記事：大型トラック運転手の給料の実態とは？今がチャンスである理由

トレーラー運転手の月給・賞与・時給

次にタンクローリーやコンテナ車などを運転する、トレーラー運転手の月給・賞与・時給を紹介していきます。

	平均月給	平均賞与
男性	386,900円	592,800円
女性	354,400円	411,600円

※平均賞与は「賃金+賞与」から計算

平均賃金から計算した小型トラック運転手の平均日当と平均時給は以下の通りです。

	平均日当	平均時給
男性	17,586円	1,954円
女性	16,109円	1,790円

トラックサイズが大きくなるほど時給は高くなる傾向があります。

特にトレーラー運転手は、けん引免許も必要となるため高収入を目指しやすいでしょう。

女性トラック運転手の収入が低い理由は、子育てや家事で労働時間が短くなったり、一度退職して勤続年数が短くなったりすることが考えられます。

参照：公益社団法人｜全日本トラック協会｜2021年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態

アルバイト・パートのトラック運転手の時給相場

厚生労働省の「令和４年賃金構造基本統計調査」によると、アルバイト・パートのトラック運転手の時給相場は以下の通りです。

【営業用貨物自動車運転者】

1日の労働時間	5.7時間
平均時給	1,285円
年間賞与	26,400円

【営業用大型貨物自動車運転者】

1日の労働時間	6.2時間
平均時給	1,492円
年間賞与	93,300円

アルバイト・パートのトラック運転手は、正規雇用のトラック運転手と比べて時給や賞与が低くなります。

理由は、住宅手当や家族手当などの変動給が少ないことが考えられます。

参照：厚生労働省｜賃金構造基本統計調査 ｜令和４年賃金構造基本統計調査（順次掲載予定） 短時間労働者 職種

関連記事：トラック運転手の給料は？サイズ別や年代別に細かく紹介

時給が相場より安いトラック運転手の特徴

ここまでトラック運転手の時給について解説してきました。

全体の数値は決して低くありませんが、中には平均よりも時給が安いトラック運転手も少なからずいます。

時給が安いトラック運転手にはどのような特徴があるのか解説します。

走行距離が短い

トラック運送の運賃は輸送距離や積載量によって決定するため、走行距離が短くなるほど運賃が低くなる傾向があります。

また走行距離が短いほどサイズの小さいトラックが使用されることが多く、比較的取得しやすい免許で運転できるため、時給も安くなりやすいと言えるでしょう。

大型の免許がない

トラックのサイズが大きくなるほど、高度な運転技術が必要となるため、時給も上がりやすくなります。

また、大型車両になるほど長距離配送が増える傾向にあるため、一度の運行でも稼ぎやすい特徴があります。

トレーラー運転手の場合は大型免許の他にけん引免許が必要であり、運搬物によって危険物取扱者や大型特殊免許も必要です。

このようにトラックのサイズが大きくなったり、運行する上で必要な資格が増えたりするほど、時給は高くなる傾向があります。

残業代が出ない

他のトラック運転手と同じくらい働いているのに、明らかに収入（時給）が低い場合には適切な残業代が支払われていない可能性があります。

トラック運転手の残業代が未払いとなる主なケースは以下の通りです。

・「歩合制だから労働時間は関係ない」と言われている

・「荷待ち時間は何もしていないから残業ではない」と言われている

・「みなし残業制だから」と言われている

これらに当てはまるトラック運転手は、未払いの残業代がある可能性があります。

【歩合制の残業代について】

歩合制の場合、成果に対して報酬が支払われているため、働いた時間は関係ないと思われがちですが、そんなことはありません。

歩合制でも法定労働時間である1日8時間以上や、週40時間を超えた労働時間については残業代が発生します。

ただし、歩合給の一部を割増運賃の代替手当として支払っているなどのケースもあります。

【荷待ち時間について】

トラック運転手は荷主の都合によって荷待ちになったり、荷降ろし待ちになったりすることがあります。

待っている間は、仕事中とはいえトラックの中で待機しているだけなので、働いていないとみなされるケースがあります。

しかし、休憩時間とは原則として労働から完全に解放されている時間のことです。つまり、いつでも荷物の積み降ろしができる状態で待機するのは、厳密には休憩ではありません。

これは荷主からの依頼だけでなく、会社からの連絡を待っていて待機している場合も同様です。

このようなケースで1日の労働時間が8時間を超えた場合には残業代が発生します。

【みなし残業制について】

みなし残業に関しても、決められた残業代を超える労働があった場合には、別で残業代を支払う必要があります。

中には「みなし残業代が何時間分なのかわからない」という人もいるかもしれませんが、これはみなし残業制の導入ルールに違反している可能性があります。

みなし残業制を導入する場合、通常の賃金とみなし残業代の金額が明確に区別されていなければならないからです。

会社がみなし残業制で明らかに給料が見合っていないと感じた場合、一度弁護士に相談してみましょう。

時給が相場より高いトラック運転手の特徴

時給が低いトラック運転手がいる一方で、平均よりも時給が高い運転手もいます。

そこで、こちらでは時給が高いトラック運転手の特徴について解説します。

大型トラックで長距離走行を担当している

大型トラックは比較的長距離配送が多く、数日かけての運行も珍しくありません。

途中で夜間や早朝に運転したり、トラックで寝泊りしたりと勤務状態が特殊であるため、さまざまな手当が付きやすくなります。

また、高度な運転技術が求められることから大型サイズの運転免許になるほど、資格手当が高くなる傾向があります。

新しい免許や資格の取得に積極的

トラックのサイズに関係なく、業務に関連する資格を取得することで時給が上がりやすくなります。

たとえば、ガソリンなどの危険物を取り扱う場合には「危険物取扱者」の資格が必要です。

この他にもパレット貨物の積み降ろしでは、フォークリフトが必須となります。

国家資格である危険物取扱者やフォークリフトの技能講習を受ければ、仕事の幅が広がり、収入が上がりやすくなるでしょう。

運転免許に関しては、けん引免許や大型特殊免許を取得すればトレーラーを運転できるようになり、資格手当や運行手当で収入が上がりやすくなります。

トラック運転手になるなら時給相場以外にチェックしたいこと

トラック運転手として働く上で収入（時給）はとても大切ですが、それ以外にも働く会社を決める上で意識すべきポイントがあります。

・職種

・福利厚生

・求人の掲載頻度

・取引先

以上の4つのポイントを意識すれば、就職や転職で失敗するリスクを抑えられます。

職種

トラック運転手は取り扱う荷物や配送距離によって複数の職種に分類できます。

【長距離配送】

長距離配送では1日かけて配送先へと向かうこともあり、寝泊りはトラックの中でおこないます。

戻りに関しても、別の荷物を積み込んで帰ってきて降ろす流れとなり、数日がかりの運行となります。

他の職種と比べて高収入である一方、なかなか家に帰れず予定を立てにくいので注意が必要です。

【ルート配送】

配送ルートや配達する荷物が決まっており、指定された時間に配送先へ配達をおこないます。

運転するトラックは準中型・中型サイズで、主な配送先はコンビニ・ドラッグストア・自動車メーカなどです。

地理に詳しくなくても道を覚えやすく、業務内容も比較的慣れやすい一方で、飽きやすいといった声もあります。

また、配送先によっては早朝や深夜勤務が発生することもあるでしょう。

【宅配便】

小型・中型トラックで個人や会社に向けて荷物の配達や集荷をおこなう業務です。

毎回行き先が異なり地理に詳しくなる必要があり、数十件の配達を行うために最適なルートや積み方を考えなければなりません。

車両サイズによっては普通免許でも勤務可能です。

【引越し便】

引越しは新しい引越し先まで家具や家電を配送するのが仕事です。

運転するトラックは中型〜大型であり、運転以外にも家具や食器を梱包して部屋から運び出す作業もおこないます。

1人ではなく複数人で仕事を進めることが多いでしょう。

福利厚生

福利厚生では手当の種類と社会保険をチェックしましょう。

健康保険や雇用保険、厚生年金保険はもちろん、労災保険や介護保険など、将来的に必要となる保険に加入しているかを確認します。

手当に関しては付けば付くほど収入も増え、何かあった時に助かるので、内容を確認しておきましょう。

・住宅手当

・家族手当

・通勤手当

・無事故手当

・皆勤手当

・育児休暇

・介護休暇

このような手当の有無で収入に大きな差が出ます。

求人の掲載頻度

求人を繰り返し掲載している運送会社にも注意が必要です。

待遇が良い運送会社は辞める人が少なく、求人を出す必要がない一方で、待遇が良くないと常に人手不足であり、求人を頻繁に出す必要があるからです。

求人の掲載頻度が高い会社は、仕事がきつく給料が低い可能性があるので、必ず口コミや評判をチェックするようにしましょう。

取引先

どのような会社と取引しているかで、運ぶ荷物や取引先をチェックできます。

また、運ぶ荷物や業種によって配送時間やトラックのサイズ、仕事内容も想像しやすくなります。

自分の求める仕事内容とマッチしているか、答え合わせをしてから応募するといいでしょう。

トラック運転手の時給相場についてのまとめ

一般的に、「拘束時間が長くて時給相場が低い」と思われがちなトラック運転手ですが、決してそのようなことはありません。

車両サイズが大きなトラック運転手や、資格手当がつきやすい正社員のトラック運転手は、比較的時給が高い傾向があります。

逆に、小型・中型のトラック運転手や、手当が付きにくいアルバイトやパートのトラック運転手は時給が低くなりがちです。

なお、車両のサイズにかかわらず、「長時間働いているのに時給が割に合わない」と感じている場合には、適切に残業代が支払われていない可能性があります。

社内での解決が難しい場合は、弁護士に相談してみるといいでしょう。

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