物流業界

トラック運転手の仕事はなくなる?運送業界の将来性を徹底解説

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日本の経済を支えている物流の中でも、空輸や海運に比べて圧倒的に取扱量が多いのが陸運です。

そんな陸運を支えるトラックの運転手は、物流に欠かせない存在と言えます。

ほぼ全ての業界において物流は欠かせない存在であり、機械の部品や材料、燃料や食品などあらゆるモノを全国各地へと輸送しています。

そんなトラック運転手という職業ですが、「配送技術の進歩により将来はなくなるのでは?」という噂もあります。

そこで今回は、トラック運転手や運送業界の将来性について詳しく解説していきます。

現役のドライバーはもちろん、これから運送業界に携わろうと考えている方は是非参考にしてみてください。

トラック運転手の仕事がなくなると言われる理由

こちらではまず、「トラック運転手の仕事がなくなる」と言われている理由について解説します。

技術革新による人員削減

トラック運転手という職業が「将来的になくなる」と言われている理由の一つが、「技術革新」によるものです。

特に「自動運転技術」はここ最近で大きな進歩を遂げており、課題はまだまだ残っているものの、少しずつ成果を上げてきています。

乗用車に関しては、完全に自動運転とはいかないものの、自動でのハンドル操作や自動駐車ができるようになりつつあります。

また、「ドローン」の進歩も近年凄まじいものがあります。

元々は、軍事や災害時に危険な場所などを撮影するためのものとして開発されたドローンですが、最近ではドローンを活用した配送の研究も進められています。

日本においては、高度150メートルまでであればドローンの飛行が認められており、もしこの高度内で荷物を配送できるようになれば、物流にとって大きな課題と言える交通渋滞の緩和が一気に進みます。

また、直線で進むことが可能となり、信号なども存在しないことから配送にかかる時間も大きく短縮できるでしょう。

その一方で、ドローンによる配送には現在多くの課題があると言われています。

例えば配送中にドローンに異常が起きた場合に関するもので、故障して落下した場合は自宅などの破損や人に接触した場合には、命にも関わる問題となります。

また、天候が急に悪化したりした場合にも同様に落下などのリスクが出てきてしまい、対策が必要です。

他にも、多くのドローンが配送を始めた場合、ドローン同士の衝突が起きたりする可能性がありますし、もしも配送システムにエラーが出たりして多くのドローンが配達中にストップしてしまった場合には多くの損害が出てしまいます。

そのため、ドローンでの配送が今後実際に行われる可能性は高いと言えますが、トラック運転手の職業がなくなることはは、少なくとも近い将来はないと言えるでしょう。

既に運送業界においてもAIの技術が導入されており、顧客管理や出荷管理、最適な輸送ルートの最適化などが簡単に行えるようになりました。

そのため、これまで以上に効率よく人数を抑えて業務を進められるようにはなってきているものの、人間の技術なしに様々な地域で配送業務を行うのは現時点で難しいと言えます。

関連記事:トラックの自動運転の実用化は難しい?開発状況とメリット

関連記事:トラック運転手は10年後に消滅している?物流業界の今後を解説

トラック運転手の仕事がすぐにはなくならない理由

自動運転技術やドローンによる配送の研究が進む中で、トラック運転手の仕事はすぐになくならないという意見も多くあります。

その具体的な理由について解説していきます。

技量が求められるのは運転だけではない

トラック運転手と言えば、荷物を目的地まで送り届けるのが仕事ですが、運転だけが仕事というわけではありません。

例えば、急なお客様側からの要望による配送計画の変更、業務の受注や配達時の荷物の積み降ろしなど、様々な業務があります。

配送計画の変更には、その日の天候や交通状況等とは別に、長年の運送経験から総合的に判断する技量が求められます。

また、荷物の積み込みに関しても、荷物の形状や配達順番、重さや個数などを全て考慮しながら行わなければなりません。

このように、機械による配送自体は代わりにできたとしても、各作業で発生する”複雑な判断”までを自動化するのは難しいと言えるでしょう。

個人宅への配送に関しても、狭い小道を通ったり、わかりにくい場所まで辿り着いたりするのは、まだまだ機械には難しい作業です。

この他にも、食品関連の配送業務の場合には、必要に応じて商品の補充や陳列を行わなければならないケースがあります。

時には、業務範囲外だとしても「今日は忙しそうだから手伝ってあげよう」と、善意からそれらの作業を手伝うこともあるのです。

こうした人間同士のつながりでバランスが取れている部分も多くあるため、これらを機械が全て代行するのは難しいと言えるでしょう。

科学技術の進歩と普及には時差がある

車両の自動運転技術やドローンによる空輸は、ここ数年で目覚ましい進歩を遂げています。

ですが、日々大量の荷物を迅速に配送する物流業界において、配送手段を丸ごと変更するのは容易ではありません。

仮に配送可能なシステムが完成したとしても、そこから実証実験がスタートし、出てきた課題について再度調整をおこなう必要があります。

そのため、普及するまでには今後かなりの時間が必要だと言えるでしょう。

ちなみに、自動運転に関する技術について、自動車エンジニア協会では5段階に分けています。

「5」が完全自動化のレベルですが、2023年現在ではまだ2~3付近だと言われています。

今後も無人配送などの検証と研究は進みますが、すぐに自動化されることはないでしょう。

運送業界は深刻なドライバー不足

運送業界が自動運転技術やAI技術を積極的に取り入れられようとする理由には、長年運送業界が抱える深刻な悩みが関係しています。

その課題が「ドライバー不足」です。

令和3年の11月に厚生労働省が発表した労働経済動向調査によると、各業界における人材の欠員率は下記の通りとなりました。

運輸業・郵便業:3.5%

宿泊・飲食業:3.5%

生活関連サービス:2.7%

医療・福祉:2.6%

産業系:2.3%

卸・小売業:1.7%

少子高齢化が進み人材不足が深刻と言われている医療・福祉業界を超えて、運輸業は3.5%とかなり高い数字となっています。

運送業界のドライバー不足の原因としては2つあります。

ドライバー不足の原因①:トラックドライバーの高齢化

まず一つ目の原因が、トラックドライバーの高齢化によるものです。

全産業平均が43.2歳であるのに対し、トラックドライバーの平均年齢は、大型トラック運転手では49.4歳、中小型トラックでは46.4歳と大きく上回っています。

そのため、近い将来多くのトラック運転手が引退し、さらにドライバー不足が深刻になると予想されているのです。

これほどまでに高齢化が進んでいる原因は、若手人材の参入が少ないことにあります。

「長時間労働」「きつくて低収入」などのネガティブなイメージが先行し、トラック運転手を希望する若手人材が少なくなってしまいました。

そのため、トラック運転手の仕事はすぐになくなるどころか、ますますニーズが上昇する可能性が高いです。

ドライバー不足の原因②:ネット通販業界の成長

ドライバー不足である原因2つ目が、ネット通販の浸透です。

新型コロナウイルス感染症の大流行により、国内における生活環境は大きく変わりました。

これまで近くのスーパーやデパートで買い物していたものでさえ、外出を控えてネット通販で購入する人が増加傾向にあります。

経済産業省の調査によれば、ネット通販市場の規模は2013年から2021年にかけて、約2倍にまで膨れ上がっています。

ただでさえ人手不足の状況で、配送ニーズが年々増えているため、やはりトラック運転手の仕事がすぐになくなる可能性は低いと言えるでしょう。

参考:経済産業省

関連記事:トラック運転手の人気がない理由とは?現役運転手の声も紹介

運送業界が抱える「2024年問題」

2024年問題とは、働き方改革の関連法の影響で、自動車運転の業務に対する年間の時間外労働が960時間に制限されることで発生する問題に関する総称です。

関連法は大企業が2019年4月、中小企業が2020年4月から施行されましたが、自動車運転の業務を含むいくつかの事業・業務に関しては、現実的に移行が困難とみなされ、2024年まで施行開始が猶予されました。

「年間960時間も時間外労働ができるなら、十分なのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、そもそも一般的な上限は年間720時間です。

年間960時間の時間外労働が許されるのは、あくまでも36協定の締結をした企業だけとなっています。

さらに、厚生労働省が2020年に運送業者の時間外労働を調査したところ、1日の時間外労働時間が「4時間超~7時間以下」と「7時間超」であると回答した人は、全体の18.3%となっています。

月に22日稼働すると仮定すると、全体の2割弱の運転手の時間外労働は、ゆうに年間960時間を超えてしまうのです。

つまり、働き方改革の影響で時間外労働が制限されることで、1人当たりの稼働時間が減り、人手不足が深刻化するのは火を見るより明らかと言えます。

このような理由からも、トラック運転手の仕事がすぐにはなくなることは非現実的であると言えるでしょう。

参考:「改善基準告示の見直しについて」(厚生労働省)

関連記事:トラック運転手の末路とは?運送業が底辺とは言い切れない理由

トラック運転手という仕事への参入障壁

「そんなに人手不足なら、トラック運転手になろうとする人が増えて、逆に採用のハードルが上がるのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実際はそうでもありません。

なぜならトラック運転手には、最低限の免許や一定のスキルが求められるからです。そこでこちらでは、トラック運転手になる上での参入障壁について解説します。

免許制度の変更について

トラックを運転するのに欠かせないのが運転免許ですが、取得した年によって運転できる車両の幅が違います。

平成19年(2007年)6月2日までは普通運転免許を取得した場合、最大積載量5t未満のトラックであれば運転が可能でした。

しかし、平成19年6月2日から平成29年3月12日の期間中に自動車免許を取得した場合、最大積載量は3t未満となり、2tトラックまでしか運転できません。

また、上記の期間以降に取得した場合、ワゴン車などまでしか運転できなくなりました。

これらの制限を解除したり、新たな免許を取得するためには、教習所で教習を受けたり、深視力検査に合格したりする必要があります。

このように、運転免許の制度が改定されたことで、従来よりも若い世代がトラック運転手になるハードルが少々上がっている状況です。

高い運転技術と集中力が必要

トラックのサイズは小型~大型までありますが、いずれも普通乗用車に比べると大きく、ちょっとしたミスが大事故につながる恐れがあります。

そのため、高い運転技術と集中力がなければ、トラック運転手は務まりません。免許があれば誰でもできるわけではなく、個々に求めれるスキルの高さも参入障壁の1つと言えるでしょう。

逆に、「運転が得意」「集中力がある」という人にはかなり有利な職業と言えます。

将来を見据えてトラック運転手が今できること

ここまでお伝えしたように、ドローンや自動運転技術が発達しても、すぐにトラック運転手の仕事がなくなる可能性は低いと言えます。

しかし、一方で人材不足や2024年問題の煽りを受け、中小企業を中心に浮き沈みの激しい時代に突入していることは疑いようがないでしょう。

そこで、これからトラック運転手になろうとしている方や、現役のトラック運転手の方が将来に向けて何ができるのか?2つの取り組みについて解説します。

管理職に必要な資格を取得する

トラックの運送会社とは言っても、運転するだけが仕事ではなく、その先にはキャリアアップとして運行管理者などの業務を目指すことができます。

運行管理者とは、運送業における司令塔のような役割であり、車両の配車や乗務割の作成、安全教育など運行に関わる業務を行います。

トラック運転手の経験が必須とはなるものの、将来的に仕事の幅を広げるためには、これに関連した資格を取得しておくといいでしょう。

主な資格としては下記のような資格があります。

・運行管理者

・運行管理補助者

・整備管理者

・倉庫管理者

この他にも、運搬する貨物によっては運転免許以外の資格が必要となります。

ガソリンや化学物質を運搬する場合には「危険物取扱者」の資格が必要であり、高圧ガスの運搬や取り扱いには「高圧ガス製造保安責任者」の資格が必要です。

これらの資格を取得しておくことで、さらにドライバーとしてキャリアアップを目指しやすくなります。

また、管理者業務とは別に、さらに上の運転免許を取得することも大切です。

運転免許に関しては大型になるほど難易度が上がり、求められる技術も高くなる一方で、特に業界では重宝される傾向があります。

大型免許けん引免許を取得することで、転職先の幅が広がるだけでなく高収入を目指せるようになるでしょう。

資金力がある企業に転職する

運送業界を取り巻く環境は大きく変わりつつあり、特に2024年には労働環境が大きく変わります。

また、最近では世界情勢の影響で燃料高騰が進んでおり、コストが増えたことで経営が苦しくなる企業が増えています。

現に2022年の上半期の運輸・通信業の倒産件数は168件となっており、2021年上半期に比べると上昇傾向にあります。

しかし、だからと言ってトラック運転手の仕事がなくなるわけではありません。繰り返しお伝えしてきたように、トラック運転手の需要は年々高まっています。

だからこそ、長期的にトラック運転手の仕事を続けるためには、企業の寿命にも目を向けておく必要があります。

そういう意味で、企業の信頼性を測るために「資金力の有無」は重要な指標の1つと言えるでしょう。

今運送業界への転職を検討している方は、資本力がある企業か、資本力のある企業から受注している企業を中心に転職活動をすることをオススメします。

関連記事:トラックドライバーが不足している理由と現状

関連記事:トラックの自動運転の実用化は難しい?開発状況とメリット

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