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トラック運転手は10年後に消滅?仕事が無くならない理由と今やるべきこと

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トラック運転手は10年後に消滅?仕事が無くならない理由と今やるべきこと

ECサイトの急成長や、コロナウイルス流行による生活スタイルの変化で荷物の取扱量は増加傾向にあり、現在トラック運転手が不足している状態です。

その一方で、最近では無人運転やドローンによる配送研究が進められており、現役のトラック運転手はもちろん今後運送業界への転職を考えている方にとっては将来を不安視する声もあります。

今回はトラック運送業界の現状や今後の展望などについて詳しく解説していきます。

トラック運転手の10年後:人手不足になる3つの原因

トラック運転手の10年後:人手不足になる3つの原因

2023年現在、コロナウイルスの大流行もあり、自宅から簡単に買い物ができるWeb通販はこれまで以上に身近な存在となりました。

また、最近ではECサイトなどが急成長し、企業はもちろん個人でも様々な商品を売ることが可能となり、年々関連荷物の取扱量が増加してきています。

このような中で今深刻な問題となっているのが「トラック運送業界の人手不足」です。

国土交通省が発表した物流を取り巻く現状では、国内における貨物輸送の手段としては、約半数を自動車(トラック)が占めており物流には欠かせない存在と言えます。

今後も物流産業はさらに成長し、荷物の取扱量は増加していくと予想されており、2027年には約96万人のドライバーが必要になると言われているほどです。

トラック運転手が不足している原因は主に3つあると言われています。

各原因について解説していきます。

参考:国土交通省・物流を取り巻く現状について

原因1:通販市場の急成長

上記でも説明した通り、通販による宅配便取扱個数は年々増加しています。

国土交通省が発表した、宅配便等取扱個数の調査によると下記のような内容で取扱量が推移していることがわかりました。

2005年:2,928(百万個)
2010年:3,220(百万個)
2015年:3,745(百万個)

参考:国土交通省・平成27年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法

このように宅配便の量が増えてきていることから、全国各地でドライバー不足が深刻化しています。

また、通販市場では『再配達の非効率性』も課題となっています。

実際に配達をしたものの、不在なため後から再度配達をしなければならないケースが多く発生しており労働生産性の低下に繋がっている現状です。

原因2:働き方改革の影響

トラック運送業界は、他の業界や職種と比べ労働時間が長いことが特徴であり『長時間の労働で肉体的に辛い』といったイメージを持たれがちです。

そこで近年、運送業界に関する法整備が進められ、各社でも労働環境に関する改善が行われたことにより、このようなイメージはなくなりつつあります。

その一方で、各社が法令順守の姿勢を強くしたことによる働きにくさも課題となっています。

ドライバーの労働時間は1日13時間以内に収めなければならず、例外があっても最大で16時間以内(月間293時間以内)を守らなければなりません。

また、仕事中は4時間ごとに30分の休憩を取る必要があり、守らなければ免許取り消しなどの処罰となります。

労働環境が改善したものの、ドライバー一人当たりの生産性が落ちたことは、ドライバー不足の原因にもなっているのが現状です。

原因3:トラック運転手の高齢化

国土交通省が発表した『トラック運転手の年齢構成等と労働環境』によると、40代~50代前半の中年層が占める割合は全体の44.3%となっています。

これは全産業の平均34.1%を大きく上回っており、トラック運送業界の高齢化が浮き彫りになっている状態です。

ここまでトラック運転手の高齢化が進んでいる原因としては『若年層の参入が少ない』ことがあります。

最近では改善されつつある過酷な労働環境や悪いイメージから、若年層でトラック運転手を目指す人が少ないのが現状です。

トラック運転手の10年後:2027年までに約24万人不足すると言われている

トラック運転手の10年後:2027年までに約24万人不足すると言われている

上記で説明した通り、トラック運送業界は運転手の高齢化が深刻化しており、近い将来多くの運転手が引退すると考えられているので、さらにトラック運転手不足が進むと予想されます。

ボストンコンサルティンググループが公表した調査結果によると、物流の取扱量増加などにより2027年には96万人のドライバーが必要となると予測しています。

一方で、その頃にはトラック運転手の数は72万人まで減少していると推測しています。

国内では24万人のドライバー不足となってしまい、このままでは生活に大きな支障が出てしまうかもしれません。

現在自転車による配達や再配達の効率化など、あらゆる対策が施されていますが、それでもドライバー不足を完全に解消するのは難しいと言えます。

トラック運転手の10年後:期待される2つの科学技術

トラック運転手の10年後:期待される2つの科学技術

国内の物流取扱量の増加と運転手不足への対策として、現在運送業界では様々な科学技術の研究が進められています。

ここでは将来的に活用されるかもしれない新しい技術を紹介していきます。

無人トラック

2023年現在、自動車業界では自動運転の技術が徐々に取り入れられており、限られた条件の中ではあるものの、実際の運転で活用されています。

そのような中で、三井物産では無人運転の大型トラックによる物流事業が計画されており、将来訪れると言われている深刻なドライバー不足の解決策の一つとして注目が集まっています。

人工知能開発を行う、プリファードネットワークスと共同でレベル4のシステム開発を現在進めており、2023年の3月までに大型トラックに切り替えた実験へと移る予定です。

一般車両の割り込みや急な路面状況の変化など、あらゆる状況に対応する必要があるものの、将来的に無人配送が実現すれば運転手不足の解消につながると言えるでしょう。

関連記事:トラックの自動運転の実用化は難しい?開発状況とメリット

ドローン配達

近年ドローンを活かしたサービスが急成長しており、この技術を運送業界でも取り入れる取り組みが進められています。

その一つとして注目を集めているのが楽天株式会社が取り組んでいる『そら楽』です。

再配達の非効率性や労働力不足、交通渋滞などの解消が目的となっており、完全自律飛行ドローンによる物流サービスの導入に向けた研究が進められています。

具体的なそら楽のサービスフローは下記の通りです。

ステップ1.注文:そら楽専用のショッピングアプリを開発し、スマホから注文。ここでは注文した商品やその個数によって重量が自動で計算。

ステップ2 .注文受付と梱包:注文を受け付け商品梱包の開始

ステップ3.安全確認:ドローンが発進する上空や受取所周辺の風速を常時観測。受取所近辺に人を確認した場合には遠隔操作による音声アナウンスで注意喚起の実施。

ステップ4.ドローンによる配送:梱包されたボックスをドローンに搭載し、離陸ボタンで配送開始。

ステップ5.商品受取:ユーザーは配送状況の確認が可能であり、指定された場所への商品配送が完了。

このドローン技術を活かした配送は、トラック運転手不足の解消だけではなく、陸運が困難な災害発生地域への支援などへの導入も期待されています。

ドローン技術を活かしたこのような取り組みは、大手企業だけではなく国策としても積極的に進められており、国土交通省では『ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン』の策定など様々なビジネスモデル検討会が開かれています。

参考:ドローン物流サービスの実例と今後の展望

トラック運転手の10年後:仕事が無くならない2つの理由

トラック運転手の10年後:仕事が無くならない2つの理由

トラック運転手不足を解消する『無人トラックによる配送』や『ドローン技術を活かした配送』について解説してきました。

研究が進めば配送への導入が進み、より効率的な運用が可能となります。

その一方で、このような技術の導入が進められた場合『トラック運転手自体が必要なくなるのでは?』といった意見も出てきています。

現時点でこのような予測が当たることはないと考えられています。

ここからは、トラック運転手の仕事が10年後になくなってしまう可能性が低い理由について解説していきます。

無人トラックが運べる区間には限界があるから

トラックによる配送では、高速道路はもちろん一般道路も頻繁に走行します。

高速道路は標識が少なく走行環境も整っているため、無人トラックによる配送が行いやすい一方で、一般道路となるとそうはいきません。

道路の狭さや路面状況は様々で、細かい運転制限がある箇所もあり、すぐそばを原付バイクや自転車も走行しています。

場所によってはそれまでになかった街路樹が伸びてきていたりと、運転には細かい気配りが必要です。

このような場所までセンサーで感知し、正確な運転をするのはまだまだ先の話と言えるでしょう。

ドローンの実用化には課題が多く残っているから

渋滞を避け、無人での配送が可能なドローンですが、研究が進む一方で課題も多く残っています。

まず一つ目の課題が『安全に対する法整備』です。

高速で飛行するドローンは、万が一故障して落下した場合に人や車などへ墜落してしまう恐れがあり、いつでもどこでも自由に行き来できるわけではありません。

特に雨や雪が降っていたり強風である場合には危険が伴います。

2つ目の課題は『重量物の運搬』です。

現在、産業用ドローンで運べる総重量は5キロ前後と言われています。

そのため軽いものしか運ぶことができず、一度に各配達先へ複数の荷物を届けるのは現段階で達成できていません。

限られた区間で行き来はできても、荷物を混載し配達したり、重い荷物を運べるようになるにはまだまだ時間が必要と言えます。

関連記事:大型トラック運転手の給料の実態とは?今がチャンスである理由

トラック運転手が10年後に備えて今やるべきこと

トラック運転手が10年後に備えて今やるべきこと

トラック運送業界は、労働環境の改善や法改正が進み、働き方が大きく変わり始めています。

ここまで解説してきた通り、無人運転やドローンによる運搬の研究も進む中で、10年後に向けトラック運転手はどのようなことができるのでしょうか。

ここではトラック運転手が将来に向けて今できることを解説していきます。

将来性のある運送会社への転職

2023年現在、世界情勢などの影響で燃料費の高騰が問題となっています。

適正な運営をしてこなかった運送会社は、利益を出すのが難しく運転手の収入が下がったり、倒産に追い込まれたりするケースも珍しくありません。

運送業界で既に働いている現役トラック運転手の方はもちろん、これから転職しようとしている場合には、

このような変動に耐えられる経済的な体力がある運送会社への転職を意識する必要があります。

他にも賃金の見直しや労働環境の改善に積極的である運送会社が理想と言えます。

トラック運転手の10年後についてよくある質問

トラック運転手の10年後についてよくある質問

これから運送業界への転職を検討している場合、年収や将来性について気になったり不安に感じるのは当たり前です。

また、現役の運転手である場合は今の収入が周りと比べて、どうなのかも気になるのではないでしょうか。

ここではトラック運転手に関するよくある質問について解説していきます。

トラック運転手の平均年収はいくらですか?

厚生労働省が調査した、『令和3年賃金構造基本統計』の結果によると運輸業・郵便業、全年齢の平均賃金は278,500円となっています。

企業によってはこれに賞与が加わるため、年間50万円の賞与があったと仮定すると平均年収は約330万円~380万円ほどと予想されます。

関連記事:トラック運転手は年収1,000万稼げる?給与の実態、現場の声も

参考:厚生労働省・令和3年賃金構造基本統計

大型トラック運転手の平均年収はいくらですか?

上記で解説した通り、運輸業における全年齢の平均年収は330万円~380万円と予想できます。

ただし、トラック運転手は車両が大きくなるほど収入が上がる傾向にあり、大型トラックの運行は比較的長距離になることも多いので年収も高めとなります。

国土交通省が公表している『自動車運転業務の現状』によると、平成28年における大型トラック運転手の平均年収は447万円となっています。

運搬する荷物が危険物であったり、さらに高度な運転技術が必要となるけん引トラックである場合、手当などがつくのでさらに高収入を目指すことも可能です。

参考:国土交通省・自動車運転業務の現状

2024年問題とは何のことですか?

運送業界では今『2024年問題』への対策が進められています。

2024年問題とは、自動車運転業務における年間時間外労働時間の上限が、960時間に制限されることで起こる問題の総称です。

ECサイトの急成長などにより荷物の取扱量が増える中で、トラック運転手の労働環境を良くする狙いがあります。

その一方で、一日に運べる荷物の量が減ってしまうため運転手の収入減につながる可能性が懸念されています。

運賃を上げることで収益の確保は可能なのですが、依頼主による運送業者の変更リスクがあり、価格交渉が難しいのが現状です。

中には望んで長時間労働を行っているドライバーもいるため、2024年問題は企業はもちろん各運転手にとっても大きな問題と言えます。

関連記事:トラック運転手はやめとけと言われる理由|離職率や注意点も紹介

トラック運転手の10年後に関するまとめ

トラック運転手の10年後に関するまとめ

今回はトラック運転手の10年後について解説してきました。

人々の生活スタイルの変化による荷物量増加や、運転手の高齢化によりトラック運転手は不足すると予想されています。

そのため、今後もトラック運転手のニーズは拡大すると言えるでしょう。

課題の解決策として、トラックの無人運転化やドローンによる運搬の研究が進められていますが、開発途中でありまだまだ課題が山積しているため、10年後にトラック運転手の仕事がなくなるといったことは考えにくいと言えます。

現役のトラック運転手はもちろん、これから転職を考えている方も今後十分に活躍が可能です。

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この記事を書いたライター

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高坂 勇介

工業高校で電気技術・機械制御・自動車工学を専攻。卒業後、複数業種を経験したのち、大手プラントメーカーで非破壊検査、造船メーカーで品質・工程管理に従事。物流業者への発注業務も多数経験。現在は製造・建設業界で培った12年の知識と経験を活かし、転職専門ライターとして活動中。

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