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運行管理16時間超えた場合は休息が必要|労働時間の改善について

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運行管理で16時間超えた場合はどうなるの?対処法と特例について

運行管理で16時間を超える勤務をさせてしまった場合、どのように対処すればいいのか悩んでいませんか?

本記事では、長時間の運行管理に直面した際の、対処法と特例について詳しく解説しています。交通・運輸業の運行管理者の方や経営者の方は、参考にしてみてください。

この記事のまとめ

・運行管理で16時間超えた場合、業務を即座に停止する
・1日あたりの最長作業時間は16時間に制限されている
・毎日の運転は2日の平均で最大9時間に制限されている

運行管理16時間超えた場合:運転を停止し適切な休息が必要

運行管理16時間超えた場合:運転を停止し適切な休息が必要

運行管理者は、ドライバーが16時間を超えて運転する場合、即座に運転を停止し、適切な休息を取るよう指示しなければいけません。

ドライバーにとっての長時間運転は疲労を著しく増加させ、事故のリスクを高めます。また、ドライバーが16時間以上運転したことが確認された場合、企業側には警告や罰金が科される可能性があります。

厚生労働省の「トラック運転者の労働時間等の改善のための基準」によると、ドライバーの1日の作業は基本的に13時間、最長16時間までとされています。

16時間を超えて運転した場合、ドライバーの安全が脅かされるだけでなく、重大な交通事故につながるおそれがあります。

そのため、運行管理者はドライバーが16時間を超えないように、運行計画を立てるようにしましょう。

出典:厚生労働省の「トラック運転者の労働時間等の改善のための基準」

運行管理16時間超えた場合:運行管理における3つの考え方

運行管理16時間超えた場合:運行管理における3つの考え方

運行管理下での時間については、3つの考え方があります。

・1日の基準
・作業時間の二重計算
・計算開始日

1日の基準

ドライバーの1日の作業時間は、以下のように設定されています。

・1日の作業時間は原則として13時間以内※1)
・延長する場合でも最長16時間が上限※1)
・休息期間は継続8時間以上必要※1)

上記の基準はドライバーの健康と安全を確保し、法的要件に準拠するために重要です。運行管理者は基準を遵守し、ドライバーの安全を確保するようにしましょう。

作業時間の二重計算

運行管理下での作業時間に関する二重計算は、ドライバーの健康と安全に重大な影響をおよぼす問題であり適切な管理が必要です。

作業時間の二重計算は、ドライバーが1日のうち複数のシフトや業務に従事する際、同じ時間帯が複数回計上されることを指します。

二重計算が発生すると、実際の勤務時間よりも長い時間が記録され、ドライバーの過労や健康リスクを引き起こしかねません。

そのため、運行管理者の方は、労働基準法の規制を遵守するためにも、勤務時間と休息時間の適切な管理が求められるでしょう。

計算開始日

運行管理下での計算開始日に関する正確な把握は、法的な規制を遵守し、ドライバーの健康と安全を確保する上で必要不可欠です。

計算開始日を設けることにより、長時間勤務が必要なドライバーの方の健康と安全を確保できます。

そのため、運行管理者の方は、ドライバーの作業時間が16時間を超えないように以下のような運行計画を立てましょう。

・前日の運転状況や運転距離などを考慮する
・ドライバーに休息を適切に取らせる
・ドライバーの体調や疲労状況を把握しておく

また、運行管理者には、ドライバーの勤務時間や休息時間を適切に記録・管理する義務があります。記録・管理を適切におこなわなければ、労働基準法違反に問われる可能性もあるため注意が必要です。

出典:※1)厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善のための基準」

運行管理16時間超えた場合:勤務時間は1日あたり最長13時間が原則

運行管理16時間超えた場合:勤務時間は1日あたり最長13時間が原則

交通・運輸業のドライバーに関する勤務時間は、1日あたり最長13時間です。しかし、特定の条件下では、制限を最長16時間まで伸ばすことが可能です。

また、15時間を超えるのは1週間に2回までのため注意しておきましょう。また、作業時間が上限である16時間まで延長される場合、休息期間は最低でも8時間取らなくてはいけません。

運行管理者としては、ドライバーに対して作業時間が、1日16時間を超えないように運行計画を立てるようにしてみてください。

運行管理16時間超えた場合:1週間の作業時間は40時間が原則

運行管理16時間超えた場合:1週間の作業時間は40時間が原則

運行管理下では、1週間あたりの作業時間について、以下に気をつけておきましょう。

・1日は始業時刻から起算して24時間※1)
・作業時間が15時間を超える回数は1週間に2回まで※1)

1週間を超える長時間勤務はドライバーの疲労を増大させ、事故のリスクを高めます。

また、法的な規定により一週間におけるドライバーの勤務時間は、上限が40時間に設定されています。これを超えると法違反となり罰則を受けてしまいます。

出典:※1)厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善のための基準」

運行管理16時間超えた場合:休日は「休息期間+24時間の連続した時間」

運行管理16時間超えた場合:休日は「休息期間+24時間の連続した時間」

交通・運輸業を経営している方は、雇用しているドライバーに対して以下のような休息を与える必要があります。

・休日は「休息期間+24時間の連続した時間」※1)
・休息期間は原則8時間以上⇒休日は8時間+24時間=32時間以上の連続した時間が必要※1)

業務が多忙でもドライバーに違法勤務させて、重大な交通事故を起こさせてしまっては本末転倒です。ドライバーに適切な休日を提供しワークライフバランスを整えた上で、業務指示してみてください。

出典:※1)厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善のための基準」

運行管理16時間超えた場合:連続運転時間について

運行管理16時間超えた場合:連続運転時間について

運送業務において、ドライバーの連続運転時間を厳格に管理し、適切な上限時間内に保つ必要があります。連続運転時間についての規則としては、以下のとおりです。

・連続運転時間は4時間が上限※1)
・運転4時間ごとに合計30分以上の休息等の運転の中断が必要※1)
・30分以上の休息等は分割可能(ただし1回10分以上)※1)

長時間の連続運転は、ドライバーの疲労を増大させ事故のリスクを高めます。適切な休息時間の確保や運転スケジュールの調整をおこない、連続運転についての管理をしてみてください。

出典:※1)厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善のための基準」

運行管理16時間超えた場合:1日の運転時間は2日平均で9時間まで

運行管理16時間超えた場合:1日の運転時間は2日平均で9時間まで

ドライバーの1日の運転時間は、2日平均で9時間※1)までが上限になります。1日に何時間も運転していると、ドライバーの疲労を増大させ、安全運転能力を低下させる可能性があります。

ある研究データによれば約17時間起きていると、血中アルコール濃度が0.052※2)であるのと同じ状態になるとも言われています。

1日の運転時間を正確に監視し、ドライバーの健康と安全を確保できるように管理していきましょう。

出典:※1)厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善のための基準」
出典:※2)Quicksmarts「運転者の疲労」

運行管理16時間超えた場合:1週間の運転時間は隔週平均で44時間

運行管理16時間超えた場合:1週間の運転時間は隔週平均で44時間

1週間の運転時間を適切に管理することは、ドライバーの疲労を防ぎ、事故のリスクを低減するために重要です。

1週間の運転時間は、隔週の平均で44時間※1)が上限となっています。以下のようなケースだと、隔週ごとの平均で44時間未満になるため問題ありません。

曜日 1週目 2週目 3週目 4週目 平均時間
9 9 8 9 9.0
9 9 8 9 8.7
9 9 8 9 8.7
9 9 8 9 8.7
9 9 8 10 9.0
合計時間 45 45 40 46 44.0

1週間の運転時間を超えないように、運行管理してみてください。

運行管理16時間超えた場合:時間外勤務と休日勤務について

運行管理16時間超えた場合:時間外勤務と休日勤務について

時間外勤務および休日勤務について守らなければいけない内容は、以下のとおりです。

・1ヶ月の作業時間(勤務時間+休息時間)293時間が上限
・労使協定があるときは1年のうち6ヶ月までは、1年間についての作業
・時間が3,516時間を超えない範囲で1ヶ月を320時間まで延長可能
・休日勤務は2週間に1回が上限

労働基準法では、週40時間(1日8時間)を法定勤務時間と決めています。時間外勤務は、この法定勤務時間を超えた勤務時間を指し、1ヶ月の作業時間が基本的に293時間を超えないように制限されています。

また、労使協定があれば、1年のうち6ヶ月は320時間まで作業時間を延長できますが、1年間の合計作業時間が3,516時間を超えてはいけません。

勤務時間を超えないように、社内の就業規則をしっかり作り込みしておきましょう。

運行管理16時間超えた場合:特例について

運行管理16時間超えた場合:特例について

運行管理下では、4つの特例が設けられています。

・休息時間を細分化する
・2人で乗務する
・隔日勤務をする
・フェリー乗船する

ひとつずつ見てみましょう。

休息時間を細分化する

運行管理では休息時間を区切り、取得することが許可されています。また、法規定により分割された休息期間は、それぞれ最低4時間以上で合計10時間必要です。

分割休息は基本的に2〜4週間の間、すべての勤務回数に対して半分の回数までに限られています。

例としてあげると、集荷作業が午前中に終了し、夜間に納品をおこなう必要がある場合、ドライバーは昼間に4時間以上の休息を取れます。

その後、夜間の勤務を終えたあとに残りの休息時間も取得可能です。交通・運輸業の方は、ドライバーの休息時間を細分化する際、法的な基準を遵守しドライバーの疲労回復を最優先に運行計画を立てましょう。

2人で乗務する

運行管理において、特定の条件下では2人での乗務が許可されています。長距離運転や緊急の業務要求に対応するための、柔軟な対策です。

2人での乗務はドライバーの疲労を分散させ、安全運転を確保が可能です。そのため、1人のドライバーが運転に集中し、もう1人が休息を取れます。

とくに長時間の運転や夜間運転においての2人体制は、ドライバーの疲労回避と安全性の向上が期待できるでしょう。

ただし、ドライバーの人数がとられるため、計画的な運行計画をしなければ人手不足になるおそれがあります。計画的な人員配置を考えてみてください。

隔日勤務をする

運行管理では、特定の状況下で隔日勤務の特例が認められています。2日間での作業時間を特定の条件下で調整し、安全かつ効率的な運行を可能にするための措置です。

隔日勤務において、2日間での作業時間を21時間にできますが、勤務終了後に継続して20時間以上の休息が必要です。

また、施設を利用した夜間4時間以上の仮眠をとる場合は、2週間で3回まで作業時間を24時間にできます。ドライバーの疲労を軽減し、安全運転を確保するための措置です。

タクシー業界では一般的な隔日勤務になりますが、トラック業界では必要性にもとづいて実施されます。

隔日勤務を採用する際には、ドライバーの休息時間の確保と安全運転の維持に重点を置く必要があります。適切な運行計画とドライバーの健康管理をしてみてください。

フェリー乗船する

運行管理においてフェリー乗船時の時間は、休息期間として考慮されます。ドライバーがフェリーに乗船している間、運転業務から一時的に離れるため、この時間を休息として認める特例があるようです。

そのため、勤務途中でフェリーに乗船した場合、乗船時間は休息期間として扱われ、ドライバーの休息時間の計算にフェリー乗船時間を引くことが可能になります。

ただし、差し引かれた休息期間がフェリー下船時刻から勤務終了までの時間の半分未満にならないように注意しておきましょう。

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運行管理16時間超えた場合についてよくある質問

運行管理16時間超えた場合についてよくある質問

運行管理に関するよくある質問は、以下の3つです。

・長距離トラックは2日連続で運行できますか?
・運行管理下での重複時間とは何ですか?
・連続運転時間がどのくらいだと違反になりますか?

それぞれ解説します。

長距離トラックは2日連続で運行できますか?

長距離トラックは、基本的に1日13時間以内、2日連続で運行はできません。ドライバーの運転時間は通常、1日13時間以内と設定されています。

また、2日続けて運転をおこなう際、1日あたりの運転時間は13時間以内としなければいけません。

長距離輸送の場合、1日で運ぶ距離が長くなるため、運転時間を延長したくなる場面もあるでしょうが、ドライバーの安全確保と法律の遵守を最優先に考えましょう。

運行管理下での重複時間とは何ですか?

運行管理下での重複時間は、ドライバーが同じ1日に複数の業務をおこなう場合に発生する勤務時間の合計です。

重複時間の正確な把握は、ドライバーの勤務時間の適切な管理と過労防止のために重要です。重複時間が長くなりすぎるとドライバーの疲労が増加し、事故リスクが高まります。

勤怠管理を正確にするためにも、運行管理システムを取り入れて、適切な勤務時間の管理も検討してみてください。

連続運転時間がどのくらいだと違反になりますか? ​​

連続運転時間が一定の上限を超えると違反になります。一般的な基準としては、以下のとおりです。

・4時間を超える連続運転は禁止されている
・1日における運転の最長時間は9時間と決まっている
・特例適用の場合、連続運転時間の延長が一部認められる

交通・運輸業の方は、ドライバーが法律や規制を遵守しているか確認し、適切な休息や勤務スケジュールの管理を徹底しましょう。

運行管理16時間超えた場合に関するまとめ

運行管理16時間超えた場合に関するまとめ

運行管理者は、ドライバーが16時間を超える業務をおこなう場合、法的制限に従い運転を停止し、休息を取得させなければいけません。

運行管理で悩んでいる交通・運輸業の経営者の方は、本記事を参考にして問題を未然に防ぐようにしてみてください。

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この記事を書いたライター

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高坂 勇介

工業高校で電気技術・機械制御・自動車工学を専攻。卒業後、複数業種を経験したのち、大手プラントメーカーで非破壊検査、造船メーカーで品質・工程管理に従事。物流業者への発注業務も多数経験。現在は製造・建設業界で培った12年の知識と経験を活かし、転職専門ライターとして活動中。

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