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自動車整備士に必要な4つの国家資格を徹底解説

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車が好き、機械いじりが好き、という方にオススメな職業が自動車整備士です。自動車整備士の業界は慢性的な人手不足のため、未経験・無資格からでも就職しやすいです。

ただし、無資格で就職した場合、できる作業は限られているため、将来的には自動車整備士の資格を取得していきましょう。

本記事では、自動車整備士になるために必要な4つの国家資格の詳細、また試験の難易度や合格率などについて解説します。

自動車整備士は国家資格がないと就職に不利

自動車整備士は自動車の定期点検や、故障箇所の修理、部品交換など整備に関することを行います。

簡単な整備であれば資格は必要ありませんが、エンジンやブレーキ、サスペンションなどの分解を行うような細かい整備の場合、自動車整備士の資格が必要です。

基本的に自動車整備士を募集している企業は、国家資格の取得を必須としています。自動車整備士になるのであれば、まず資格を取得するところから始めましょう。

自動車整備士とは

自動車整備士とは、自動車やトラックなど車両の整備や修理、点検などを行う、国会資格を持った専門家です。車のエンジンやボディ、タイヤやブレーキなどあらゆる部分に精通しています。

自動車整備は別名「メカニック」とも呼ばれており、車の問題を解決するために必要な知識や技術を備えた自動車整備に関するプロです。

自動車整備士に向いている人の特徴

自動車整備士に向いている人の特徴は以下の通りです。

車が好き

車が好きな人は自動車整備士に向いています。車の性能やデザインだけでなく、構造や機械的な部分などに興味を持っているようなら、自ら学ぼうとする姿勢も持ち合わせているでしょう。

車は複雑な構造をしているため、細かいところまで理解するには時間が必要です。また、電気自動車や水素自動車など、車は年々進化しているので、時代に合わせて、自分自身の知識もアップデートしていかなければいけません。

その大変さを楽しいと思えるような車好きの人は自動車整備士に適任と言えます。

手先が器用

手先の器用さは自動車整備士にとって重要な要素の一つです。自動車は複雑な構造をしており、その中には小さな部品もたくさん使われています。

自動車整備士は細かい部品を扱い、機械的な作業を行うので、正確で細かい作業が求められます。

そのため、手先が器用な人は自動車整備士に向いていると言えるでしょう。

ただし、手先が不器用な人でも経験を積んでいけば、技術は上がっていくので、コツコツと努力をしていくことが大切です。

細かな汚れが気にならない

自動車整備士の作業はエンジンルームやホイールハウスなど、車両内部に手を入れたり、オイルを扱ったりするため、汚れが付きやすい仕事です。

細かい汚れが気になる潔癖症のような性格だと、自動車整備士の仕事は務まらないかもしれません。

しかし、キレイ好きな方でも汚れはつくものだと割り切れるようになれば、細かい汚れは次第に気にならなくなるでしょう。

体力に自信がある

自動車整備士は長時間立ち仕事をすることが多く、さらに車両の部品やタイヤなど重いものを持ち上げたり、移動させたりすることもあります。

また、車両の下部という狭い場所に潜り込んで作業を行うので、腰や膝に負担がかかってしまうことも多いです。

重労働な作業が多いため、体力に自信がない人にとって自動車整備士はキツイと感じるかもしれません。

自動車整備士の資格の種類

自動車整備士の資格は以下の4種類あります。

三級自動車整備士

三級自動車整備士とは、自動車整備士を目指す人の多くが最初に取る資格です。

三級自動車整備士は、「三級自動車ガソリン・エンジン整備士」「三級自動車ジーゼル・エンジン整備士」「三級シャシ整備士」「三級二輪自動車整備士」の4種類に分かれています。

三級シャシ整備士とは、自動車のエンジンやボディを覗いたシャシ部分の基本的な整備を行う自動車整備士を指します。

残りの3種類は名前の通り、ガソリンエンジンで動く自動車、ディーゼルエンジンで動く自動車、二輪自動車(原付バイクも含む)とそれぞれの自動車に特化して、基本的な整備を行うことが可能です。

エンジンやブレーキなどの分解作業を、三級自動車整備士単独で行うことは禁止されています。

二級自動車整備士

二級自動車整備士は、三級自動車整備士と同じように「二級自動車ガソリン自動車整備士」「二級自動車ジーゼル自動車整備士」「二級自動車シャシ整備士」「二級二輪自動車整備士」の4種類に分かれています。

基本的な部分は三級と同じですが、大きく異なるのはエンジンやブレーキなどの分解作業を行えるところです。

二級自動車整備士の資格を取得すれば、自動車整備に関するほとんどの業務を行うことができます。

一級自動車整備士

一級自動車整備士は2002年に新しく作られた資格で、自動車整備士の中では最上位の資格になります。

一般的に二級自動車整備士の資格を取得していれば、ほとんどの整備作業を行うことができるため、一級まで取得している人は多くありません。

しかし、一級自動車整備士を取得すると、ガソリンやディーゼル以外にもハイブリット車や電気自動車、水素自動車などあらゆる自動車の整備を行うことができます。

そのため、自動車に関する専門知識だけでなく、予防安全技術や法令知識など高度な知識が求められます。

さらに自動車整備工場で働く整備士を取りまとめたり、整備士を育てていったりすることもあるため、整備以外のスキルも必要です。

特殊整備士

特殊整備士とは、自動車整備において、特定のパーツについての専門的な知識や技術を持った整備士のことです。

特殊整備士は「自動車電気装置整備士」「自動車車体整備士」「自動車タイヤ整備士」の3種類あります。

一級・二級自動車整備士の資格があれば、ほとんどの整備を行うことができるため、一般的には二級自動車整備士や三級自動車整備士の資格を持っている人が、スキルアップのために取得する傾向にあります。

関連記事:大型トラックの整備士ってどんな仕事?仕事の流れ、給料、必要な資格を一挙公開!

自動車整備士資格を受験するための条件

自動車整備士の資格試験を受験するためには条件が必要です。最終学歴によって条件が異なるので、それぞれ紹介していきましょう。

高校や大学で機械科を卒業した場合

工業高校や大学の機械科に通っていた場合、卒業後6か月の実務経験を積むと三級自動車整備士の受験資格が得られます。

高校や大学で普通科を卒業した場合

高校や大学で機械科以外を専攻した場合、卒業後に1年間の実務経験を積むと三級自動車整備士の受験資格が得られます。

工業高校の自動車科を卒業した場合

工業高校で自動車科を専攻していれば、卒業後すぐに三級自動車整備士の受験が可能です。仮に試験に落ちた場合、または受験をしなかった場合でも2年間は実技試験が免除され、学科試験のみになります。

自動車整備士資格を受験するために必要な実務経験

自動車整備士の受験資格を得るために必要な実務経験を表にまとめました。

最終学歴三級自動車整備士二級自動車整備士一級自動車整備士特殊整備士
中学・高校・大学卒業1年以上3年以上3年以上2年以上
高校・大学で機械科を専攻後卒6か月以上2年以上3年以上1年6か月以上
工業高校(自動車科)を卒業なし2年以上3年以上1年6か月以上

※実務経験とは、ディーラーや整備工場、ガソリンスタンドなどで自動車整備に関する業務を行うことです

関連記事:無資格・未経験で整備士を始める3つの方法

自動車整備士資格の合格率と難易度

自動車整備士資格の試験がどれくらい難しいのかは気になるところです。それぞれの資格別に合格率から見ていきましょう。

試験の合格率は日本自動車整備振興会連合会の試験結果から算出した数値となります。

参考:試験結果(受験者及び合格者数等)|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会

三級自動車整備士の合格率は65%前後

三級自動車整備士の資格試験は学科試験と実技試験の二種類です。

学科試験は4肢択一のマークシート方式で全30問出題され、試験時間は60分となります。出題内容は車の構造や点検や修理などの整備に関する基礎知識、法規などです。

実技試験は簡単な基本工作や簡単な点検や修理、整備用試験機の取扱いなどの科目があり、試験時間は30分となります。

合格率は毎年推移するものの、おおよそ65%前後となっており、合格率だけ見ると二級よりも低いです。これは実務経験が少ないことや、働きながら独学で受験する人の割合が多いことが考えられます。

二級自動車整備士の合格率は90%台

二級自動車整備士の試験は学科試験と実技試験の二種類です。

学科試験は4肢択一のマークシート方式で、自動車シャシ整備士のみ出題数は30問で試験時間は60分、その他は全40問で試験時間は80分となります。出題内容は車の構造や点検や修理などの整備に関する一般知識、法規などです。

実技試験は基本工作から点検や分解、組み立てなどの完成検査、一般的な修理工程などの科目があり、試験時間は30分となります。

二級自動車整備士の合格率は例年90%以上と、非常に高いです。これは自動車整備士学校で十分な教育を受けたのちに、受験している人が多い傾向にあるためと考えられます。

一級自動車整備士の合格率が30%台

一級自動車整備士の資格試験は学科試験と口述試験の二種類です。出題内容は車の構造や点検や修理などの整備に関する基礎知識、法規などです。

一級自動車整備士の学科試験は二級と同様の科目がありますが、整備用機械に関する基礎知識が問われるほか、二級と違い、ガソリンやジーゼルなどの種別がないため、幅広い知識を有している必要があります。

試験は4肢択一のマークシート方式で出題数は50問、試験時間は100分です。

口述試験とは、試験官が紛するお客様と会話するシチュエーションの中で、受け答えの仕方を採点されます。

具体的には「不具合を訴えるお客様の質問に対する回答」「点検や整備記録簿の作業内容の説明」「法律に関する質問の受け答え」などです。

学科試験は幅広い知識が必要なことから合格率は30%台と低い傾向にありますが、口述試験は90%以上と高い合格率です。これは、一級自動車整備士の受験者は日頃の業務でお客様と接する機会が多いからと考えられます。

特殊自動車整備士の合格率は70%前後

特殊自動車整備士の資格試験は学科試験と実技試験の二種類です。

学科試験は構造や機能、点検や修理に関する基礎的な知識が問われます。4肢択一のマークシート方式で出題数は40問、試験時間は80分です。

実技は基本工作や点検、分解、組み立てなどの完成検査及び修理などの科目で試験が行われ、試験時間は30分となります。

学科・実技ともに基礎的な知識を有していれば、難易度はそれほど高くありません。合格率は毎年電気装置は70%前後、車体は90%前後と高い合格率となっています。

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自動車整備士の資格を取る3つの方法

自動車整備士の資格を取得する方法は主に下記の3通りです。

⑴専門学校に通う

最初に紹介するのは自動車整備士の専門学校に通う方法です。この方法は自動車整備士の取得を目指す人の中でも特に選ばれている方法です。

一級を目指すコースから三級を目指すコースまで、目的によって選択することができます。

ただし、コースによって入学資格や修了までの期間は異なります。

コース入学資格修了までの期間
三級自動車整備士中学卒業以上1年以上
二級自動車整備士高校卒業以上2年以上
一級自動車整備士高校卒業以上4年以上
一級自動車整備士二級ガソリン自動車整備士または二級ジーゼル自動車整備士を取得している者3年以上
一級自動車整備士二級ガソリン自動車整備士及び二級ジーゼル自動車整備士を取得している者2年以上

⑵自動車整備技術講習を受ける

自動車整備技術講習とは、整備工場やディーラーなどで働いている人を対象とした、自動車整備士を要請するための技術講習です。

講習は全国各地にある国土交通大臣の指定を受けた施設で行われており、毎年4月~9月の第一期と、10月~翌年3月の第二期の年2回講習があります。

平日昼間のほか、働きながら学べるように平日夜間や日曜昼間に開催するコースもあります。

講習期間は以下の通りです。

資格講習期間
三級自動車整備士6か月
二級自動車整備士6か月
一級自動車整備士1年6か月以内(二級ガソリン自動車整備士またはジーゼル自動車整備士を取得している者)
一級自動車整備士1年以内(二級ガソリン自動車整備士及び二級ジーゼル自動車整備士を取得している者)

なお講習を修了すると、以後2年間は実技試験が免除されます。

⑶実務経験を積んで三級を取得する

中卒以上の学歴があれば、専門学校や講習を受けなくとも実務経験を積むことで三級自動車整備士の受験資格を取得できます。民間の整備工場などに就職し、1年以上経験があれば受験できます。

ただし、実務経験のみの場合は実技試験の免除がなく、学科試験、実技試験両方に合格する必要があることを覚えておきましょう。

申込みから資格取得までの流れ

自動車整備士の資格試験を受け、資格を取得するまでにはさまざまな工程を踏む必要があります。詳しく紹介していきましょう。

⑴検定試験または自動車整備振興会に申し込む

自動車整備士の資格を取得するための方法は2種類あります。

1つ目は国土交通省が行う自動車整備士技能検定試験です。2つ目は日本自動車整備振興会が行っている、自動車整備技能登録試験を受験する方法です。

どちらでもいいのですが、国土交通省の行う検定試験は試験内容が非常に難しいとされており、近年は登録試験を選ぶ人が多い傾向になっています。

⑵自動車整備士技能検定を受講する

検定試験または登録試験を受けます。検定試験は年に1回、登録試験は年に2回実施されています。

⑶自動車整備振興会で申請手続きをする

それぞれの試験に合格した場合、自動車整備振興会で手続きを行います。申請時には以下のものを用意しておく必要があります。

・検定申請書

・学科試験合格書もしくは合格通知のハガキ

・技能講習修了証書もしくは養成施設卒業証書

・二級自動車整備士の合格証書(一級を受験した場合)

・三級自動車整備士の合格証書(二級を受験した場合)

・自分の住所を書いたはがき

・申請料金

・印鑑

申請手続きの期限は合格後2年間です。期限が過ぎると再度試験を受けなければならなくなるので注意しましょう。

必要な書類等は各都道府県によって異なります。詳しく知りたい方は各都道府県の自動車整備振興会のHPを確認するか、電話で問い合わせてください。

⑷合格証明書を国土交通省から受け取る

申請手続きが無事完了すれば、後日国土交通省から合格証明書が届きます。

自動車整備士に関してよくある質問

最後に自動車整備士に関するよくある質問をまとめました。

なぜ整備士は給料が安いのですか?

職業情報提供サイトjobtagによると、令和4年の自動車整備士の平均年収は469.3万円でした。

出典:自動車整備士|職業情報提供サイトjobtag

国税庁の平均給与に関する統計情報によると、令和3年の全産業における平均年収は443万円でした。

参考:令和3年分民間給与実態統計調査ー調査結果報告ー|国税庁

これだけを見ると自動車整備士の平均年収は全体よりも少し高い結果です。ただし、自動車整備士は男性が多い傾向にあります。全産業の男性平均年収と比較すると545万円であるため、それと比較すると低い結果となりました。

自動車整備士の給料が安いとされるのは利益率の低さが原因だと言われています。整備士の主な仕事は車検や点検ですが、これらは利益率が低いので、給料も安くなります。

しかし、最近では自動車整備士の人手が不足しているため、待遇を上げて人を集める会社が増えてきています。今後、人材不足は続くと予想されているため、給料の上昇傾向は続くでしょう。

自動車整備士に関連する他の資格はありますか?

自動車整備士に関連した資格は以下のようなものがあります。

自動車検査員:自動車の安全性や排気ガス、騒音などを検査して、法律や基準に適合しているか判断するために必要な資格です。自動車整備士と合わせて取得すると仕事の幅が広がるほか、資格手当がつく場合もあります。

メーカー独自の資格制度:ディーラーの中には会社内で独自の資格制度を設けているところがあります。

たとえばトヨタが行っている独自の資格に、トヨタ技術検定というものがあります。通常4級からスタートし、最高で1級まであります。

1級に合格すればワッペンが渡され、整備士が着用するツナギの肩口につけることができるので、他の人からも判別できるようになっています。

自動車整備士資格は働きながら取得できますか?

結論から言えば取得できます。自動車整備士は無資格・未経験でも始められる仕事です。対応できる仕事は限られますが、実務を通して、学ぶことができます。

無資格の方は先に就業先を見つけてから資格取得を検討しても良いでしょう。

三級自動車整備士には何ができますか?

三級自動車整備士は自動車の基本的な整備を行うことができます。エンジンオイルやギアオイル、タイヤの交換などは単独で行っても問題ありません。

しかし、エンジンやサスペンション、ブレーキなどの分解作業は単独で行うことができません。二級以上の自動車整備士の指示に従いながら、整備を行うことはできます。

関連記事:無資格・未経験で整備士を始める3つの方法

関連記事:【40代・50代】整備士は何歳まで働ける?年齢ごとの転職・就職を考える

まとめ

二級自動車整備士の資格を取得できれば、おおよその整備をできるようになるため、ぜひ取得を目指していきましょう。合格率は最も高いので、経験を積んでいけば取得は難しくないかもしません。

キャリアアップも望む場合は、一級自動車整備士の取得も目指していきましょう。一級は最も合格率は低いですが、取得できれば昇進・昇格できる可能性が上がります。

自動車整備士の仕事に興味がある方はコツコツ経験を重ねていき、一流の自動車整備士を目指してはどうでしょうか。

関連記事:【自動車整備士の転職成功者にインタビュー】整備士キャリアはどんなサービス?大手転職エージェントとの違いや特徴を紹介します!

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