不動産業界

2025年問題が不動産業界に与える4つの影響

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不動産業界への転職を検討しているものの、2025年問題の悪影響はないのか気になっている人もいるでしょう。

実際に、2025年問題により不動産業界は大きな影響を受けると言われています。一方で、不動産業界に転職すると、享受できるメリットもあります。

本記事では、2025年が不動産業界に与える4つの影響を解説します。2025年問題によって不動産は暴落するのか、今から不動産業界に転職するメリットはあるのかについても解説するので、不動産業界への転職を検討中の方は参考にしてください。

そもそも2025年問題とは何か

不動産業界に転職をして、研修を受ける様子

2025年問題とは、団塊の世代と呼ばれる1947年~1949年生まれの人が75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費の負担増や人材不足が深刻化する問題です。

2025年には、65歳以上の高齢者が約3,500万人、うち認知症の高齢者が約320万人になると予測されています。高齢者や認知症患者が増えると、サポートに多くの費用や人材が必要です。

2025年問題について、次の3つの視点から解説します。

  • 団塊世代が後期高齢者に
  • 社会保障費が増加
  • 深刻な人材不足

団塊世代が後期高齢者に

1947年~1949年生まれは団塊の世代と呼ばれており、実に約800万人もいます。2025年の日本の人口は1億2,326万人になり、うち高齢者が3,677万人、後期高齢者は2,180万人にも上るようです。 日本国民のうち高齢者が約30%、後期高齢者に至っては約18%を占めると想定されています。

一方、労働力人口と言われる15歳~64歳までの人口は、7,170 万人になると予想されています。

労働力が減少すると、消費や生産が低下するのが一般的です。また、高齢者の医療や介護などの社会保障費が増大し、国の財政悪化も見込まれます。社会保障費については、後ほど詳細に解説します。

他にも、地方の人口が減少し、産業やサービスが維持できなくなるかもしれません。加えて、高齢者の孤立や貧困も深刻化します。さらに、高齢者を支えるために、若い世代の負担が重くなり、年金や税金などの分配問題が生じます。

参考:令和5年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)|内閣府

社会保障費が増加

社会保障費とは、年金・医療・介護・生活保護などの社会保障制度によって国が支出する費用です。2020年度は134.4兆円であった社会保障費が、2025年度には148.9兆円にまで増大する見込みです。

▼社会保障費の内訳 単位(兆)

2012年度2025年度
社会保障費 計109.5148.9
年金53.860.4
医療35.154.0
介護8.419.8
子ども・子育て4.85.6
その他7.49.0

社会保障費の内訳は年金に60.4兆円、医療に54兆円、介護に19.8兆円、子ども・子育てに5.6兆円、その他に9兆円であることから、社会保障費の大半が高齢者のためであると見て取れます。

また、2012年と2025年の社会保障費の内訳を比較すると、高齢者へ主に使用されているであろう医療ならびに介護の費用が大きく増えており、介護の費用に関しては倍以上です。

社会保障費の負担増は、働き手の税金や保険料の上昇や、国の借金の増加などに繋がります。

出典:社会保障に係る費用の将来推計の改定について|厚生労働省

深刻な人材不足

2025年問題は、深刻な人材不足を引き起こします。特に、医療・介護体制の維持が難しいです。

後期高齢者の増加に伴い、認知症患者も増えると見込まれています。認知症患者のサポートには、多くの人材が必要です。また、医師の時間外労働の上限規制も施行されるので、医療体制の維持は困難を極めるでしょう。

他にも、労働力人口の割合が急激に減るため、企業にとって採用活動は、ますます大変になります。政府は、少しでもダメージを緩和できるように、定年後再雇用やシルバー人材活用を推進しています。また、女性の社会進出を進める動きも人材不足を補う施策の一環です。

参考:今後の高齢化の進展 ~2025年の超高齢社会像~|厚生労働省

2025年問題によって不動産は大暴落するのか

不動産業界で追客する様子

2025年問題によって、一部では、不動産が大暴落するのではないかとの見解があるようです。しかし、実際、大方の予想では、不動産の大暴落は考えにくいと見込まれています。

ただし、不動産の価格が大きく変動すると言われている地域があるので、次の3点で解説します。

  • 大暴落の可能性は高くない
  • 不動産価格の変動がありそうな都道府県
  • 立地適正化計画対象外地域も要注意

大暴落の可能性は高くない

国土交通省が2023年12月28日に公表した不動産価格では、コロナ禍以降、住宅総合・住宅地・戸建住宅・マンション(区分所有)のいずれも右肩上がりです。特に、マンションは2013年から、価格が急激に伸長しています。そのため、不動産価格の大暴落の可能性は低いと言えるでしょう。

しかし、人口減少による地方の過疎化や金融機関の住宅ローン引き上げの状況を踏まえると、不動産価格の右肩上がりがいつまで続くかわかりません。さらに、2025年問題に直面するので、不動産価格が下降傾向に入る可能性はあります。

参考:不動産価格指数|国土交通省

不動産価格の変動がありそうな都道府県

一般的に、高齢者が増える都道府県は、供給される不動産に対して需要が低いと見込まれています。つまり、高齢者の割合が特に高い次の都道府県は、不動産価格の変動があるかもしれません。

▼2020年 高齢者割合の高い上位5都道府県

  • 秋田県:37.5%
  • 高知県:35.5%
  • 山口県:34.6%
  • 島根県:34.2%
  • 徳島県:34.2%

秋田県が 37.5%と最も高齢者の割合が高く、次いで高知県が35.5%、山口県は34.6%と続きます。45道府県で高齢者の割合が25%以上です。一方、高齢者の割合が25%を超えていない地域は東京都と沖縄県のみです。

参考:令 和 2 年 国 勢 調 査|総務省

立地適正化計画対象外地域も要注意

立地適正化計画対象外地域は、不動産価格の下落に注意しなければなりません。理由は、立地適正化計画の制度に関係しています。

立地適正化計画とは、『コンパクトシティ+ネットワーク』のまちづくりを推進するために、施策や方針を練り込んだ計画です。都市計画法に基づいて市町村が作成し、都道府県が広域的な調整を行います。

『コンパクトシティ+ネットワーク』とは、居住や都市の生活を支える機能を公共交通の沿線や駅周辺に集約し、地域交通の再編と連携して、住みやすく、経済的にも持続可能な都市を目指す考え方です。

一方、立地適正化計画対象外地域とは、立地適正化計画に含まれない地域のことであり、公共施設や交通の整備が縮小されたり、不動産の価値が低下したりする可能性があります。

立地適正化計画対象外地域に住んでいる人や不動産を所有している人は、将来の生活環境や資産価値の変化に注意する必要があります。

参考:立地適正化計画作成の手引き|国土交通省

2025年問題が不動産業界に与える4つの影響

不動産業界への転職を考えている人

2025年問題が、不動産業界に与える影響は主に4つです。

  • 不動産の売却が増加
  • 空き家が増加
  • 買い手の減少による価値の下落
  • 都市部は例外の可能性

それぞれについて解説します。

不動産の売却が増加

2025年、団塊の世代が75歳を迎える頃から、相続不動産の売却が増えると見込まれています。相続不動産は築年数が古く、郊外にあるなどの理由で売却する事例が多く、市場では不動産の売却が増えるでしょう。

さらに、2024年から相続登記が義務化されました。相続登記が義務化された理由は、所有者不明の物件が多くあるためです。2025年問題に加えて、相続登記の義務化に伴い、相続不動産の売却がさらに増えると言われています。

空き家が増加

2018年時点の空き家は848万9,000戸あり、当時の空き家率は13.6%でした。空き家の数ならびに割合は、年々増加しています。また、事業用などではなく、長期間、誰も住んでいない空き家住宅349万戸のうち、101万戸が腐朽もしくは破損ありの不動産です。

また、空き家取得の理由のうち約55%が相続であるため、2025年問題による空き家増加は必然的だと言えるでしょう。

今後、空き家は、ますます増えると言われています。空き家が増加すると、市場での供給が過多となり、不動産価格が下落する恐れがあります。

参考: 平成 30 年住宅・土地統計調査|総 務 省 統 計 局

参考:空き家政策の現状と課題及び 検討の方向性|国土交通省

買い手の減少による価値の下落

相続不動産などの空き家住宅の売却が増える一方で、現役世代の減少により、不動産買い手が減少するでしょう。一般的に、新たに住宅購入を検討する30代以下の人口は年々減少しています。

グラフは年齢別の人口を表しています。

出典:年齢別人口(都道府県別)【総計】|総務省

また、2025年問題に加えて、2022年には、生産緑地に指定された農地の税が引き上げられました。したがって、これまで生産緑地だった土地が売却される傾向にあります。

不動産の需要と供給のバランスを踏まえると、不動産価格が下落すると懸念されています。

都市部は例外の可能性

地方を中心に不動産価格の下落が想定されていますが、一方で、都市部では人口減少の影響が小さく、高齢者や外国人などの住宅需要が高まるかもしれません。

また、2025年には大阪万博が開催されるため、不動産市況が活性化すると予測されています。さらに、立地適正化計画の推進により、自治体が推奨する居住エリアの不動産価値が上がると見込まれています。

不動産業界に転職するメリット

若くして成果を出す不動産営業マン

不動産業界に転職するメリットは大きく分けて次の4つです。

  • 若いうちから成果が出やすい
  • 規模が大きいためやりがいがある
  • 日常生活に役立つ知識が増える
  • 年齢や資格に左右されない

それぞれについて解説します。

若いうちから成果が出やすい

不動産業界は成果主義の業界だと言われています。そのため、不動産業界は比較的若いうちから成果を上げやすい業界のひとつです。

また、研修期間が終わると、年功序列もなく実績で評価される傾向にあるため、若いうちから昇給や昇進のチャンスがあります。若いうちから責任のある立場を積むことで、成長ややりがいにも繋げられるでしょう。

不動産業界は若くても、自分の努力次第で高収入が望めます。

規模が大きいためやりがいがある

不動産業界は、一般的に、大規模なプロジェクトや大口の取引が行われるので、やりがいを感じやすいです。たとえば、大規模な不動産開発プロジェクトに参画できれば、自分の仕事が都市の発展や社会インフラの向上に寄与している実感を味わえるでしょう。

不動産の開発や販売は社会的にも影響力が大きく、自分の仕事が形に残り、達成感もあるでしょう。

日常生活に役立つ知識が増える

不動産業界で働くには、不動産の市場動向や法律、金融などに関する知識が不可欠です。不動産に関する業務を通して、住宅の購入や投資物件の取得など、個人の資産形成にも関連する知識も身に付きます。

自分が住宅購入や資産形成を検討する際などに役立つでしょう。

年齢や資格に左右されない

不動産業界は、年齢や資格に関係なく活躍できるチャンスがあります。一定の資格や経験が求められる場合もありますが、実力や実績以上に求められることはないでしょう。他の職種に比べて、フレキシブルにキャリアを構築できると言えます。

また、不動産業界に必要な資格は多くありませんが、取得すれば自分のスキルや信頼性が高まります。

2025年問題が不動産業界に与える影響についてのまとめ

不動産業界へ転職を検討している人

今回は、2025年問題が不動産業界に与える影響について解説しました。

2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上になり、社会保障費の負担増や人材不足が深刻化する問題です。

2025年問題により不動産が大暴落する可能性は低いですが、さまざまな影響は受けると言われています。不動産の売却や空き家が増加する一方、買い手の減少による不動産価値の下落が進む可能性は高いです。

今後、さまざまな影響を受けるであろう不動産業界ですが、転職に関しては成果主義のため、若いうちから高い評価を受けれる可能性があります。

不動産業界へ転職を検討している人は、2025年問題で受ける影響やメリットを踏まえて判断してはいかがでしょうか。

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