求人雑誌などでよく見かけるお仕事に「倉庫内作業」という業務があります。その業務に従事するのが倉庫内作業員です。
ですが、倉庫内作業と聞けば、不衛生・激務・重い荷物などで腰を痛めるなど、悪い印象を持たれる方は数多くいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、倉庫内作業員の仕事内容、倉庫作業員の年収、倉庫作業員になるメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
倉庫作業員とは
厚生労働省によると、倉庫作業員の仕事内容は以下のように定義されています。
また、倉庫は主に「普通倉庫」「冷蔵倉庫」「水面倉庫(原木等)」の三種類に分けられており、貨物の品質、用途に応じて使い分けられています。
さらに、保管方法も「常温保管」「定温保管」「定湿保管」「冷蔵保管」などの種類があり、状況に応じて適切な保管が行われます。
出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag 倉庫作業員」
倉庫作業員の仕事内容
倉庫内作業は大きく分けて「ピッキング」「仕分け」「検品」「梱包」の4種類とされています。 これらは一般的に「軽作業」と呼ばれ、正社員よりはアルバイトやパートタイマーが担当することが多いです。
ここでは、それぞれの作業内容について解説します。
ピッキング
「ピッキング」とは、倉庫内に保管されている商品から、出荷伝票に記載された商品を取り集める作業です。
多くの場合、出荷伝票には商品番号や保管場所などの棚番などが記載されているため、ピッキングは比較的簡単な作業と言われています。
ですが、商品を誤ってピッキングしたり、出荷時間に間に合わなかったりすると、クライアントや消費者に多大な迷惑をかけてしまう恐れがあるため、作業時には長時間の注意力とスピードが問われます。
仕分け
「仕分け」とは、ピッキングした商品を出荷先別に分類する作業です。
ピッキング作業と同様に、正確さが問われます。
仕分けを間違えると貨物が正しい届け先に届かず、再出荷する羽目になります。そうなれば、効率・コストの両面で非常に大きなダメージとなるため、焦らず正確に作業することが求められます。
検品
「検品」とは、入出荷される商品の品番や数量が納品書の記載通りか、初期不良や破損はないかなどをチェックする作業です。
検品は入荷と出荷の2回行われることが多く、バーコードリーダーなどの機械で照合したり、目視でチェックしたりなど、方法は様々です。
この検品を怠れば、クライアントからのクレームに繋がりかねないため、倉庫作業員の業務の中でも、非常に重要な作業と言えます。
梱包
「梱包」とは、出荷する商品を緩衝材と共にダンボールに入れる作業です。配送中の破損・損傷を防ぐためにも、梱包は欠かせません。
また、梱包作業はダンボールを使用する方法が一般的ですが、ラップやプラスチックフィルムを用いて袋内の空気を取り除き、真空に近い状態で梱包する「真空梱包」という方法もあります。
関連記事:
・ピッキングとはどういった仕事?仕事内容や魅力、作業のコツを紹介!
・ピッキング作業とは?仕事内容や魅力、向いている人などを紹介!
倉庫作業員になるメリット・デメリット
EC(インターネットコマース)の普及で、倉庫作業員の需要はどんどん拡大しています。求人情報でも倉庫作業員の仕事をよく見かけますが、勤務する上ではどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
ここでは、倉庫作業員になるメリット・デメリットについて解説します。
倉庫作業員になるメリット
倉庫作業員として働く一番のメリットとしては、年齢や学歴、経験などの経歴面が問われることが少なく、就業時のハードルが低いことです。
倉庫作業員の選考では書類審査や1次面接、2次面接など複数過程を経ることなく、初回の面接で即決されるケースが多いです。
また企業にもよりますが、給料の日払いや週払いにも柔軟に対応してくれることや、コミュニケーション能力に自信がない方でもモクモクと仕事できることもメリットとしてあげられます。
倉庫作業員になるデメリット
倉庫作業員のデメリットとしては「体力勝負であること」があげられます。
倉庫内には重い荷物などもあるため、腰や肩に大きな負担がかかります。さらに、倉庫内に空調がない場合も多く、夏は蒸し暑く、冬はかなり寒くなり、予想以上に体力が奪われます。
また、扱う商品によっては、冷凍倉庫に頻繁に出入りする必要があるため、急激な温度変化で体調を崩しやすくなります。
仕事内容でも単純作業が多く慣れやすい分、注意力や集中力が低下して商品を破損させてしまうケースもあります。最悪の場合、破損した商品の買取を命じられることもあります。
倉庫作業員の雇用形態と待遇
実際に倉庫作業員として働く場合、アルバイトや派遣、正社員と様々な雇用形態があります。
ここでは、各雇用形態の待遇などを解説していきます。
アルバイト・派遣
まず、倉庫作業員の仕事で最も募集が多い雇用形態が、アルバイトや派遣です。
アルバイトや派遣には、以下のようなメリットがあります。
- シフトを柔軟に組みやすく、プライベートの時間もしっかり確保できる
- 責任の重い仕事が少なく、気軽に働きやすい
また、アルバイトや派遣の従業員は未経験の方が多いため、仕事についていけず、周囲に取り残されて焦操感に駆られることもほとんどありません。
正社員
正社員の場合、アルバイトや派遣の作業員をまとめるリーダー的なポジションといった、責任の重い役割を与えられることになります。
もちろん、責任が重い分、給与や待遇面はアルバイトやパートよりも整えられています。ただし、給与や待遇は会社ごとに異なるため、場合によっては「アルバイトや派遣のほうが稼げる」ということにもなりかねません。
そのため、正社員としての採用を打診されたとしても、給与面や待遇面について事前にしっかり確認してから決めるべきです。
倉庫内の労働環境
続いて、倉庫作業員の労働環境について解説します。
原則として倉庫作業員は倉庫の中で働きます。冷暖房完備の倉庫もありますが、割合としては空調設備がない倉庫の方が多く、他の職業以上に日頃の体調管理に気を配らなければなりません。
また、勤務する会社が取り扱う商品によって、倉庫内の労働環境も大きく変わります。例えば、冷凍食品などを取り扱う会社であれば、倉庫は冷凍倉庫になります。
そのため、倉庫作業員になる場合は面接時に倉庫を見学するなど、自分の目でしっかりと労働環境をチェックしておきましょう。
都道府県 | 年収 |
北海道 | 370万円 |
青森 | 330万8,000円 |
秋田 | 339万9,000円 |
岩手 | 358万円 |
宮城 | 344万2,000円 |
福島 | 377万1,000円 |
山形 | 372万3,000円 |
茨城 | 379万3,000円 |
群馬 | 377万9,000円 |
栃木 | 367万5,000円 |
埼玉 | 379万3,000円 |
千葉 | 366万3,000円 |
東京 | 395万円 |
神奈川 | 414万円 |
山梨 | 348万5,000円 |
長野 | 379万9,000円 |
福井 | 383万8,000円 |
石川 | 397万8,000円 |
富山 | 345万8,000円 |
新潟 | 338万円 |
岐阜 | 390万3,000円 |
静岡 | 403万4,000円 |
愛知 | 391万4,000円 |
三重 | 407万3,000円 |
奈良 | 392万8,000円 |
京都 | 413万3,000円 |
滋賀 | 383万4,000円 |
大阪 | 360万9,000円 |
和歌山 | 374万6,000円 |
兵庫 | 435万円 |
岡山 | 339万1,000円 |
広島 | 413万6,000円 |
島根 | 357万1,000円 |
鳥取 | 354万7,000円 |
山口 | 430万8,000円 |
香川 | 414万9,000円 |
徳島 | 370万4,000円 |
愛媛 | 348万1,000円 |
高知 | 346万8,000円 |
福岡 | 412万3,000円 |
長崎 | 337万5,000円 |
佐賀 | 323万6,000円 |
熊本 | 367万3,000円 |
大分 | 360万7,000円 |
鹿児島 | 300万7,000円 |
宮崎 | 369万6,000円 |
沖縄 | 348万4,000円 |
全国平均 | 380万1,000円 |
全国平均は380万1,000円となっており、最高は兵庫県の435万円、最低は鹿児島県の300万7,000円です。
出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag 倉庫作業員」
倉庫作業員のオススメの資格
倉庫作業員としてスキルアップしていきたいのであれば、資格取得がオススメです。給与面でプラスになることはもちろんですが、転職時にも非常に役立ちます。
ここでは、倉庫作業員のオススメの資格を3つご紹介します。
倉庫管理主任者
倉庫作業員に取得をオススメする資格の1つ目は、倉庫管理主任者です。
倉庫管理主任者とは、倉庫を適切に管理するための知識・能力を有することを認定された者です。倉庫業者は、倉庫ごとに一人の倉庫管理主任者を置かなければならないと倉庫業法で定められているため、倉庫作業員としてスキルアップを目指すのであれば、必須の資格と言えます。
倉庫管理主任者の資格は実務経験と講習受講で取得できます。
出典:国土交通省「倉庫業法」
フォークリフト運転技能者
倉庫作業員に取得をオススメする資格の2つ目は、フォークリフト運転技能者です。
倉庫作業員として欠かせないのがフォークリフト運転技能者の資格です。フォークリフト運転技能者は主に荷物のを運搬やしたり、荷物の積み上げ・や積み下ろしを行います。
昨今のEC普及による物流需要の増加でフォークリフトの需要もかなり高まっており、会社によっては資格取得を支援する制度があるため、取得を検討する価値は充分にあります。
自動車免許
倉庫作業員に取得をオススメする資格の3つ目は、自動車免許です。
自動車免許は、倉庫作業員の仕事をするかどうかに関わらず取得しておきたい資格でもあります。
倉庫作業員の仕事に特化した資格ではありませんが、倉庫作業員は作業時に運転をすることが多く「自動車免許は持っていて当たり前」と考えられているため、正社員として倉庫作業員を目指すのであれば必ず取得しておくべき資格と言えます。
関連記事:倉庫管理者の仕事内容と年収とは?なるにはどんな資格がいる?
倉庫作業員に向いている人の特徴
倉庫作業員の仕事は以下のような方に向いています。
- コツコツ作業するのが好き
- 単純作業の繰り返しでも辛く感じない
- ある程度体力がある
- 責任感が強い
- 集中力がある
これらの特徴に当てはまり、現在求職中の方は、倉庫作業員への就職を検討してみてもいいかもしれません。
倉庫作業員に求められる能力やスキル
倉庫作業員として求められる能力やスキルはいくつかありますが、ここでは2つ紹介します。
最低限の体力
倉庫作業員に求められる能力やスキルの1つ目は、最低限の体力です。
倉庫作業には重い荷物を運ばなければならない機会が多々あります。そのため、荷物を運ぶたびに疲れて休憩しているような、最低限の体力がない人だと仕事になりません。
アスリートまでとは言いませんが、力に自信がなく身体の線が細い方の場合、倉庫作業員として長期間働くのは厳しいでしょう。
高い集中力
倉庫作業員に求められる能力やスキルの2つ目は、高い集中力です。
単純作業が中心のため、倉庫作業員の仕事でミスは発生しやすいとされていますが、高い集中力があればミスを未然に防ぐことができます。
倉庫作業員の仕事では、一つの工程でミスが生じると倉庫内全体の作業に影響してしまいますが、そのことでプレッシャーを感じすぎるとかえってミスをしてしまうこともあります。
そのため、倉庫作業員の仕事では特別意識をしなくても高い集中力を保てる人に向いていると言えるでしょう。
倉庫作業員はAIやロボットに仕事を奪われるのか
近年、AIやロボットの技術は目まぐるしく進歩しており「近い将来、単純作業の仕事はAIやロボットに奪われる」と言われています。
そのため、単純作業中心の倉庫作業員の仕事も「AIに奪われる可能性が高い」とされています。
では、本当に倉庫作業員の仕事はAIやロボットに奪われてしまうのでしょうか。
物流業界におけるAIやロボットの活用実態
ECの普及により、物流業界は現在も成長を続けています。ですが、各企業ともに人手不足に悩まされており、根本的な問題解決は困難を極めています。
そんな中、物流業界ではAIやロボットを導入することで、慢性的な人手不足解消と作業の効率化を図っています。実際にAIやロボットを活用することで、効果が出ている企業もあります。
しかし、AIやロボットの導入が進んでいる企業はまだまだ少なく、人手不足に喘いでいる企業が大半です。
完全無人化には時間がかかる可能性
物流業界が完全無人化すれば、作業員の負担は大きく減るかも知れませんが、現状はそう簡単ではありません。
例えば、倉庫内作業のピッキングでも、一つの商品を正確にピッキングすることは現在のロボットの性能でも可能です。
しかし、複数種類の商品に対して柔軟に対応することは現在の技術では難しいとされています。
また、特に問題視されているのは、配送です。商品を無人で配送することは現在の技術では難しく、人による輸送が必要となっています。
そのため、倉庫作業が完全無人化になる未来は、今のところまだまだ先になりそうです。
倉庫作業員に関してよくある質問
ここからは、倉庫作業員の仕事に関してよくある質問に回答していきます。
物流倉庫で女性が活躍することはできる?
倉庫作業員の仕事は女性でも活躍できます。
前述の通り、倉庫作業員の仕事の多くは軽作業であるため、女性でも業務をこなすことは可能です。
ただし、長時間・長期間の作業になるとどうしても体力が必要となるため、体力に自信がない方には倉庫作業員の仕事はおすすめできません。
勤務時間の短いアルバイトやパートとしてであれば、誰でも問題なく働ける仕事と言えます。
倉庫業の職業分類は?
倉庫作業員の職業は、前述の「ピッキング」「仕分け」「検品」「梱包」の他にも、商品を輸送するドライバーなどもあります。
ピッキング作業のコツは?
ピッキングのコツはまず配置を覚えることです。最初はどの棚にどの商品があるかわからないので、しっかりとメモを取って、全体的な配置を把握することが重要です。
次に集中力を高めることです。効率よく業務をこなせても、ミスだらけでは意味がありません。単純作業の多いピッキング作業ですが、常に集中力を切らさないようにしましょう。
また、休憩時間は水分補給をし、しっかり休むということも忘れてはなりません。
関連記事:仕分け作業とは?仕事内容や魅力、効率よく作業をするコツを紹介!
倉庫作業員についてのまとめ
今回は倉庫作業員の仕事について解説しました。
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