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建築士の難易度は?一級と二級との違いや受験資格も

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一級建築士と二級建築士の資格取得の難易度は高く合格率が低い理由

建築士試験は、法規や技術的な知識だけでなく、建築の美学、構造の安全性、そして環境への配慮といった、多岐にわたる側面を総合的に問われる試験です。

しかしながら、実際の建築士試験の難易度は、どれぐらいなのでしょうか。

本記事では、建築士の難易度と合格率、建築士以外の資格難易度と比較、一級建築士の合格率が低い理由などについて解説します。

一級建築士と二級建築士の難易度の違い

建築士の難易度と合格率について

まずは、建築士の難易度と合格率について解説します。

一級建築士の難易度・合格率

2019年から2023年までの一級建築士の合格率は以下の通りです。

学科試験

 受験者数合格者数合格率
2019年25,1325,72922.80%
2020年30,4096,29520.70%
2021年31,6964,83215.20%
2022年30,0076,28921.00%
2023年28,1184,56216.20%

設計製図

 受験者数合格者数合格率
2019年10,1513,57135.20%
2020年11,0353,79634.40%
2021年10,4993,76535.90%
2022年10,5093,47333.00%
2023年10,2383,40133.20%

総合

 合格率
2019年12.0%
2020年10.6%
2021年9.9%
2022年9.9%
2023年9.9%

一級建築士の資格の合格率は、例年10%です。受験者の9割が落ちるため、難易度はかなり高いと言えます。

一級建築士の試験に合格するためには、学科と設計製図の2つに合格しなければいけません。それぞれの科目の例年の合格率は、学科が15〜20%前後、設計製図が35%前後となります。

設計製図の方が合格率の数値が高くなっている理由は、学科に合格してから設計製図の試験を受けられるためです。

難易度の高い一級建築士の資格取得には、しっかりと勉強時間を確保し、試験の対策が必要です。

出典:試験結果|公益財団法人建築技術教育普及センター

二級建築士の難易度・合格率

2019年から2023年までの二級建築士の合格率は以下の通りです。

学科試験

 受験者数合格者数合格率
2019年19,3898,14342.00%
2020年18,2587,56541.40%
2021年19,5968,21941.90%
2022年18,8938,08842.80%
2023年17,8056,22735.00%

設計製図

 受験者数合格者数合格率
2019年10,8845,03746.30%
2020年11,2535,97953.10%
2021年11,4505,55948.60%
2022年10,7975,67052.50%
2023年9,9884,98549.9%

総合

 受験者数合格者数合格率
2019年22,7155,03722.20%
2020年22,6285,97926.40%
2021年23,5135,55923.60%
2022年22,6945,67025.00%
2023年22,3284,985 22.30%

二級建築士の資格の合格率は、例年25%前後です。二級建築士も一級建築士と同様に難易度は高いことが分かります。学科が40%前後、設計製図が50%前後の合格率です。

また、過去5年間の合格率と設計製図の試験の課題が「公益社団法人建築技術教育普及センター」のホームページに掲載されています。

一級建築士よりは試験範囲が狭いですが、学習が不十分だとは二級建築士の資格を取得するのは難しいでしょう。

出典:試験結果|公益財団法人建築技術教育普及センター

一級建築士の資格の難易度が高い理由

毎年、一級建築士の合格率はなぜ低いのか?どんな理由があるのでしょうか?

具体的な理由として次の2つが挙げられます。

  1. 仕事が忙しくて勉強に集中ができない
  2. 設計職以外の人も受験している

以下で詳しく説明していきます。

仕事が忙しくて勉強に集中ができない

一級建築士の合格率が低い理由の1つ目が、仕事が忙しくて勉強に集中ができないからです。

一級建築士を受験する人の多くは、すでに何かしらの職に就いていて、仕事が激務になりがちな建築・建設関係の人も少なくありません。

また、受験者の年齢は25歳から40歳までで全体の約6割以上を占め、働き盛りかつ残業も多い世代の受験率が高いという結果も出ています。

このような状況の中、1日約4時間ほどの学習時間を設けるのは至難の業で、自分なりに工夫したり、家族の協力を得たりしなければ合格は難しいでしょう。

なんとなく毎年受験するのではなく、「今年中に」や「何年内に合格する」などと、期間を区切って集中して勉強をすることで、モチベーションを保つことも必要です。

設計職以外の人も受験している

一級建築士の合格率が低い理由の2つ目は、設計職以外の人も受験しているという点です。

一級建築士の試験には、学科試験だけでなく設計製図試験もあります。

設計建設や構造建設など、普段から設計や製図に携わっている職業の人が一級建築士の試験を受験する割合は、毎年55%ほどです。

つまり、設計や製図に関わったことのない人たちが残り45%ほどを占めており、試験内容への不慣れが一級建築士の合格率が低い理由になっています。

出典:一級建築士 試験結果|公益財団法人建築技術教育普及センター

関連記事:建築士の資格は難易度が高い?1級と2級の5つの違いも紹介

一級建築士と二級建築士の難易度以外の違い

作業員が考え事をする様子

一級建築士と二級建築士には、試験範囲や受験資格、仕事内容、年収などにおいていくつかの違いがあります。ここでは、それぞれの違いについて解説します。

試験範囲の違い

一級建築士と二級建築士の学科試験には共通点もありますが、内容に違いが見られます。

一級建築士の試験では「環境・設備」が独立した科目として含まれており、より専門的な知識が求められます。

一方で、二級建築士は戸建て住宅を中心とした試験内容になっており、規模の大きい建築物に関する科目は含まれていません。

受験資格の違い

受験資格にも大きな違いがあります。一級建築士は、大学や短期大学、高等専門学校で建築に関する指定科目を履修した者、または二級建築士や建築設備士の資格保有者が受験可能です。

一方で、二級建築士は、高校卒業や7年の実務経験を積むことで受験資格を得ることができ、より幅広い層にチャンスが開かれています。

参考:出題科目、出題数等公益財団法人 建築技術教育普及センター

参考:受験資格|公益財団法人 建築技術教育普及センター

仕事内容の違い

一級建築士は、すべての建築物を設計・監理することができ、大規模な商業施設や公共施設、都市開発プロジェクトにも携わることが可能です。

これに対して、二級建築士は主に戸建て住宅や小規模な建築物を担当することが多く、仕事の範囲が限定されています。

そのため、一級建築士の方が広範な建築物に携われるという点で活躍の場が広いと言えます。

年収の違い

一級建築士の年収は、厚生労働省のデータによると約702万円であり、二級建築士と比べて高い水準にあります。

二級建築士の年収は、具体的な公的データがありませんが、新卒から20代半ばでは350~450万円程度が相場とされています。このように、一級建築士の方が年収面でも有利であることがわかります。

参考:賃金構造基本統計 調査令和元年以前 職種DB第1表|政府統計の総合窓口

関連記事:

建築士に高卒でなるには?取得条件や合格者の年齢傾向を解説

建築士・建築家・設計士の違いは?やりがいと仕事内容を詳しく解説

一級建築士と二級建築士の同時受験はさらに難易度アップ

難易度が高いと言われる一級建築士と二級建築士の同時受験について

一級建築士と二級建築士を同時に受験することはできるのでしょうか?

  • 同時受験は可能
  • 同時に合格するのは難しい

これが、制度上可能ではあるが、同時受験をする人が少ない理由です。この2点について、理由を詳しく説明していきます。

同時受験は可能

結論からいえば、一級建築士と二級建築士を同じ年に同時受験することは可能です

同時に受験するには、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業していることが条件となります。

最も危惧される日程の重複も、現在まで学科試験、設計製図試験ともに同じ日に開催されたことはないため、その可能性は小さいでしょう。

出典:令和2年から建築士試験の受験要項が変わり、新しい建築士制度がスタートします!|国土交通省

同時に合格するのは難しい

一級建築士と二級建築士を同時に受験することは可能とはいえ、同時に合格するのは難しいと言えます。

どちらも学科試験と設計製図試験とで構成されており、試験の範囲もほぼ同じですが、内容や基準(配点など)が異なるためです。

また、設計製図試験では、一級建築士が「図書館」といったような公共施設の課題に対し、二級建築士の課題は「専用住宅(木造)」など全く違った試験内容になります。

二級建築士の設計製図試験が終了後、一級建築士の試験まで1ヶ月ほどしかないため、試験の対策も早急に切り替えなければなりません。

さらに合格率も一級建築士と二級建築士とは異なり、一級建築士はかなりの狭き門になるため、受験対象をどちらかに絞る方が得策です。

出典:一級建築士試験について|公益財団法人建築技術教育普及センター
出典:二級建築士試験について|公益財団法人建築技術教育普及センター

関連記事:社会人から建築士になるには?学歴別に方法を解説

建築士以外の関連資格の難易度と比較

建築士以外の資格難易度と比較

次に、建築士以外の資格難易度と比較していきます。

一級建築士や二級建築士を受験する上で、資格を取得する難易度は最も気になるところです。

また、建築士以外の資格の難易度を知ることで、この二つの資格を取得するのにどれくらい経験や努力の必要があるのかなど、客観的に見ることができます。

ここでは、

  • 木造建築士
  • 宅建士
  • 土地家屋調査士

という、建築、住宅関係の資格の中で特に人気の資格をピックアップしてその難易度を比較していきます。

木造建築士

木造建築士とは、二階建までの木造に限った建築物の設計や工事管理などが行える資格です。

歴史的な建物や木造住宅に興味がある人におすすめの資格といえます。

毎年の合格率は、学科試験・製図試験ともに50%弱程度と、一級・二級建築士と比べると比較的取得しやすくなっています。

また、必要な勉強時間の目安は1日約1時間程ほどで、出題範囲の対策をきちんと取っていれば、仕事をしながらでも資格取得の目処を立てやすいでしょう。

資格合格率必要な勉強時間の目安
木造建築士17.2%約300〜400時間
二級建築士22.3%約500〜700時間
一級建築士9.9%約1,000〜1,500時間

出典:試験結果|公益財団法人建築技術教育普及センター

宅建士

宅建士とは「宅地建物取引士」のことで、不動産取引の専門家の資格で、全国的に受験者数が多いのも特徴の一つです。

取得すると、不動産業界への就職や転職を有利に進められたり、不動産契約の際に重要事項の説明を独占して行えたりするなどの利点があります。

必要な勉強時間の目安は二級建築士よりも少ないですが、それでも毎年の合格率の低さが目立ちます。

これは一つに、受験するための条件が特になく、全国誰でも受けることが可能なため、受験者数が20万人以上と桁違いに多いことが理由にあります。

資格合格率必要な勉強時間の目安
宅建士17.2%約200〜300時間
二級建築士22.3%約500〜700時間
一級建築士9.9%約1,000〜1,500時間

出典:令和5年度宅地建物取引士資格試験結果の概要|不動産適正取引推進機構

土地家屋調査士

土地家屋調査士とは、不動産の状況を登記簿に記載するために、土地や家屋に関する調査を行う専門家です。

試験内容は不動産登記法や民法、計算や作図などもあり、かなり難易度の高い試験となっています。

必要な勉強時間を見ても、一級建築士とさほど変わらない努力を必要とし、狭き門の資格といっても過言ではありません。

受験に際しての条件はなく、学歴など関係なく誰でも受けられる国家資格です。

資格合格率必要な勉強時間の目安
土地家屋調査士9.62%約1,000〜1,500時間
二級建築士22.3%約500〜700時間
一級建築士9.9%約1,000〜1,500時間

出典:令和4年度土地家屋調査士試験の最終結果について|法務省

一級建築士と二級建築士の難易度についてよくある質問

建築士資格の難易度についてよくある質問

それでは最後に、建築士以外の難易度についてよくある質問をまとめました。

  • 一級建築士と宅建士はどちらが難しいですか?
  • 一級建築士は何人に一人いますか?
  • 建築の資格で一番難しいのは?
  • 二級建築士から一級建築士になると、どのようなメリットがありますか?

建築の分野でも特に難しいとされる一級建築士を基準に、その難易度を知りたいという人が多いようです。

以下、この3つについて詳しく紹介していきます。

一級建築士と宅建士はどちらが難しいですか?

一級建築士と宅建士は、一級建築士のほうが格段に難しいです。

単純に合格率だけを見れば宅建士も17%程度と高くはない数字ですが、これには受験資格の条件がないため、受験者数が毎年20万人以上という驚異的な多さになるという理由があります。

一方、一級建築士の試験を受講するためには、大学などで専門の必須科目を修めておかねばなりません。

目安となる勉強時間を見ても、一級建築士の場合は1000時間以上で、宅建士は300時間程度と、試験の範囲や内容の分量も一級建築士の方が相当に難しくなります。

一級建築士は何人に一人いますか?

令和4年時点での建築士の登録人数は1,171,334人で、一級建築士は約370,000人と3割ほどを占めています。

建築士として登録・活動しているのは、二級建築士の方が圧倒的に多いという結果です。

また、日本の成人人口は約7,400人で、そのうち20歳から70歳の人口は4,600人ほどですので、大まかな労働者のうち一級建築士の占める割合は0.008%ほどになります。

人口比で見ても、一級建築士の資格を有している人はかなり少ないと言えます。

出典:建築士登録状況(令和4年4月1日時点)|国土交通省

建築の資格で一番難しいのは?

建築の資格で一番難しいのは、試験内容や勉強時間などから見ても一級建築士です。

一級建築士の試験を受けるためには、まず大学などの教育機関で専門の履修を行う必要があり、2年以上の実務も経験しなければなりません。

加えて、毎年の合格率が10%程度と低水準で、仕事をしながら膨大な項目の受験勉強を行わなければならないのも、取得を困難にさせる要因となっています。

また、一級建築士と並んで、建築の資格で一番難しいと評価されるものに、建築物の衛生・空調・電気などの設備を設計する建築設備士もあります。

二級建築士から一級建築士になると、どのようなメリットがありますか?

二級建築士から一級建築士になるメリットは、まず仕事の幅が広がる点です。

二級建築士は設計できる建物に制限がありますが、一級建築士は大型建築物にも携わることができ、より多様なプロジェクトに関わることが可能です。

さらに、キャリアアップに繋がり、ゼネコンや官公庁など活躍の場が広がり、年収の向上も期待できます。

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一級建築士と二級建築士の難易度についてのまとめ

建築士資格の難易度に関するまとめ

今回は、一級建築士と二級建築士の難易度や合格率、他の資格との難易度の比較などをお伝えしてきました。

特に一級建築士は、二級建築士に比べて半分以下の人数しか取得できないほどの狭き門でもあります。

また、建築士は、宅建士や土地家屋調査士などの建築関係の他の資格と比べてみても、受験資格に細かな条件があり、十分な勉強時間を確保しなければなりません。

一級建築士や二級建築士の資格取得を考えている方は、本記事を参考にして、ぜひ建築士の試験を受験してみてください。

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