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建築士に独学で合格するのは無謀?独学で合格するための勉強方法を解説

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建築士の仕事中の様子

一級・二級の建築士試験の合格を目指している、あるいは受験を検討している人の中には、独学しようと考えている人も多いのではないでしょうか。

「独学で一級建築士に合格できるの?」

「独学したいけど、どんな風に勉強すればいいかわからない」

このような疑問や不安を抱いていることでしょう。

確かに、建築士試験は数ある資格試験の中でも特に難易度が高いです。全く知識がない状態から勉強を始めて、独学で合格するとなると膨大な時間がかかります。

そこで今回は、建築士試験に合格するのに必要な勉強時間や、効率よく独学するための勉強方法を紹介します。

建築士資格は独学で取得できる?

パソコンの画面を見る男性

建築士の資格を取得することは非常に難しいですが、独学でも合格はできます。国土交通省によると、令和5年の試験(一級建築士における学科の試験)結果は以下の通りです。合格率は16.2%と低く、最難関と言えるでしょう。

学科の試験
試 験 日令和5年7月23日(日)
試  験  会  場全国58会場
実 受 験 者 数28,118人
合  格  者  数4,562人
合 格 率16.2%

特に全く知識がない状態から勉強を始め、合格できるレベルになるには膨大な時間がかかります。そのため、計画的に勉強することが重要です。

出典:国土交通省

建築士試験に独学で合格するために必要な勉強時間は?

パソコンを使って勉強する女性

建築士試験は一級も二級も簡単に合格できるものではありません。特に現場経験がない初心者の場合、ゼロから知識を身につけていくことになりますから、勉強時間も多くなります。

何時間勉強したかは合格に直結する要因ではありませんが、勉強のモチベーションを維持するためにも、目安は知っておいた方が良いでしょう。

ここでは、建築士試験に合格するための勉強時間の目安を紹介します。

一級建築士の場合

ゼロから勉強を始めて一級建築士に合格するには、1,000〜1,500時間ほど必要と言われています。これは毎日3時間勉強したとしても1年はかかる計算になります。

ただし、すでに実務経験や建築に関する知識がある場合はもう少し短く、700〜1,000時間ほどでも合格すると言われています。

一級建築士はおよそ9割が不合格になる難関資格です。油断せず、しっかりと時間を確保して勉強するようにしましょう。特に学科試験は科目数も多いため、よりたくさんの時間を割くことが望ましいです。

二級建築士の場合

二級建築士の合格を目指す場合は一級建築士よりも少し短く、500〜700時間程度と言われています。実務経験で学んだことをもとに、まだわからないところを重点的に参考書や問題集などで勉強するのが良いでしょう。

関連記事:建築士試験に合格するための勉強時間は?一級建築士・二級建築士に合格するための勉強時間の目安を説明

建築士に独学で合格するための勉強方法5選

コピー機で印刷をかける人

建築士試験合格に必要な勉強時間がわかったところで、次は独学で合格するための勉強法を紹介します。主な勉強法は次の5つです。

  • 参考書を一通り勉強する
  • 過去問を解く
  • 問題集を解く
  • 法規を学ぶ
  • 製図試験の対策をする

1.参考書を一通り勉強する

独学で合格を目指すには、まずは参考書を一通り読み込んで基礎知識を身につけることが大切です。いきなり問題集や過去問を解いても思うように解けませんし、問題の解説だけでは断片的な知識しか得られません。

体系的に学べる参考書から勉強を始めることをおすすめします。

2.過去問を解く

参考書で基礎知識を身につけたら、過去問を解いて実践力をつけます。このとき、正解か不正解かだけを見ていては意味がありません。自分はなぜその答えを出したのか、どこが間違っていたのかをしっかりと考えながら解説を読むことが大切です。

似たような問題が出てきたときに、なんとなくではなく、自信をもって答えられるようにしておきましょう。

3.問題集を解く

参考書と過去問以外にもっと勉強したい人は、問題集を使うことをおすすめします。特に、苦手な科目がある人はその科目に特化した問題集を使って克服すると良いでしょう。

建築士試験は総合点だけでなく、各科目の点も合否に関わります。合格点に満たない科目が1つでもあると不合格になってしまいます。

参考書や過去問、問題集は何冊も買うのではなく、それぞれ良質なものを1冊用意し、繰り返し読んだり解いたりしましょう。

4.法規を学ぶ

試験では、建築に関する法規も出題されます。法規の試験では法令集を持ち込み、法令集の中から該当部分を探して回答できます。しかし、「ただ探すだけ」だと油断してはいけません。

法規試験にしっかり回答するためには、法令集の使い方を知り、試験本番でスムーズに使えるようになっている必要があります。

問題集や過去問などを使って、法令集を使う練習をしておきましょう。

5.製図試験の対策をする

建築士試験の勉強で最も難しいと言われているのが製図試験の対策です。実務経験の差が顕著に現れる分野ですが、最近は手書きで製図することが少なくなっているため、あまり経験のない人も多いでしょう。

まずは「制限時間内に書き終える」ことを目標に、標準回答などをみながらトレース(書き写し)しましょう。

時間内に描けるようになったら、問題集や過去問を使って、問題を解けるようになりましょう。

関連記事:建築士の資格は難易度が高い?1級と2級の5つの違いも紹介

建築士試験に独学で合格する3つのポイント

笑顔を見せる女性

独学で建築士試験に合格するのは簡単なことではありません。しかし、以下のポイントを押さえて勉強すれば、合格できる可能性も高まります。

  • テキストや過去問を理解できるまで繰り返し解く
  • 長期スパンのスケジュールを立てる
  • 本番と同じスケジュールで問題を解く

ここでは、建築士試験に独学で合格するための3つのポイントを紹介します。

テキストや過去問を理解するまで繰り返し解く

参考書は理解できるまで、過去問や問題集は解けるようになるまで、何度も繰り返し使いましょう。たくさんの参考書に手を付けるよりも、1冊の参考書を全て理解できるようになる方が大切です。

問題集や過去問も同じです。試験と同じスタイルで合格点を超えるまで、何度も解き直しましょう。

①問題を解く

②解答・解説を読んで理解する

③時間をあけてから再度問題を解く

④①~③を繰り返す

上記①〜④の流れで勉強を進めましょう。

長期スパンのスケジュールを立てる

独学で合格するには、何百時間もの勉強時間が必要です。試験当日から逆算して半年、1年前には勉強を始めなければいけないことになります。何か月もの間、無計画に勉強を進めるのはおすすめしません。

いつまでに、どのくらい進めるのか。あらかじめスケジュールを立てておくのが理想的です。もちろん、全てがスケジュール通りとはいかないので、都度調整して無理のない範囲で計画的に実行していきましょう。

モチベーションを維持したり効率的に勉強したりするためにも、スケジュールを立てておくことをおすすめします。

本番と同じスケジュールで問題を解く

問題集や過去問の問題がある程度解けるようになったら、試験当日と同じ制限時間で解いてみるのも良いでしょう。緊張感や時間配分、集中力など、本番の感覚を知っておくことが大切です。

このとき、できれば今まで解いたことのない問題に挑戦することをおすすめします。一度解いたことがある問題だと、答えを覚えている可能性があり、ただ「答えを暗記している」状態になってしまいます。

せっかく問題を解く実力はあるのに、集中力が続かなかったり制限時間内に解き終わらなかったりしたらもったいないです。今の自分は試験でどのくらいの点数を取れるのか、実力を知るためにも本番と同じ環境で解いてみましょう。

建築士試験に独学で合格するのに必要なもの

笑顔で仕事をする男性

建築士試験に合格するためにはもちろん勉強は必要ですが、それ以外にも大切なものが3つあります。

  • 受験資格
  • 時間
  • モチベーション

受験資格

建築士試験を受けたいと思ったら、まずは自分が受験資格を満たしているか、確認しましょう。せっかく勉強しても、受験資格がなければ受験できません。

一級建築士の場合

一級建築士試験の受験資格は、建築士法第14条において、建築に関する学歴又は資格等により定められています。

建築に関する学歴又は資格等

大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者

二級建築士

建築設備士

その他国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した者等)

引用:公益財団法人 建築技術教育普及センター

建築士資格を取りたい場合は、大学や高等専門学校に通うのが近道です。

二級建築士の場合

二級建築士試験・木造建築士試験の受験資格は、建築士法第15条において、建築に関する学歴又は資格等(以下「学歴要件」という。)に応じて、必要となる建築実務の経験年数(以下「実務経験要件」という。)が定められています。

建築に関する学歴又は資格等 実務経験年数(試験時)

大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者 最短0年

建築設備士 0年

その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等) 所定の年数以上

建築に関する学歴なし 7年以上

引用:公益財団法人 建築技術教育普及センター

学歴がなくても、実務経験が7年以上あれば二級建築士は受験できます。

時間

建築士は難関資格であり、特に独学で合格を目指す場合には膨大な勉強時間が必要になります。仕事をしながらの場合、自ら時間を作る必要があります。勉強時間に充てられる時間としては、例えば以下のようなものがあります。

  • 早朝
  • 通勤時間
  • 昼休み・休憩時間
  • 帰宅後

合格するまでは、工夫して時間を作るようにしましょう。

モチベーション

長期間勉強を続けるには「絶対に合格するんだ」という強い意志とモチベーションが必要です。そのためには、なぜ自分は建築士資格を取りたいのかを明確にしておくと良いでしょう。

また、1人で頑張り続けるのは大変なものです。家族や同僚など、周りの人に受験することを宣言してみるのもおすすめです。気が緩んできたときに喝を入れてくれるかもしれません。

関連記事:建築士の受験資格の条件は?合格基準や建築士に最短でなる方法を解説

建築士試験に独学で受験する場合によくある質問

作業着姿でOKサインを出している男性

一級建築士を独学で勉強するには何年かかりますか?

全く知識がない状態から一級建築士に合格するための勉強時間は1,000〜1,500時間ほどと言われています。毎日3時間ずつ勉強する場合で1年、5時間の場合でも半年以上はかかるとみておいた方が良いでしょう。

ただし、実務経験者やすでにある程度知識がある人はこの限りではありません。

二級建築士の勉強時間はどのくらいですか?

二級建築士の場合、一級建築士よりも少なく500〜700時間程度と言われています。

一級建築士と宅建士のどちらが難しいですか?

どちらが難しいかは一概には言えません。しかし一級建築士の方が受験資格がある、という点で難易度は高いと言えるでしょう。

また、合格率をみても宅建士は15〜18%であり、一級建築士は例年10%前後といわれていますから、宅建士の方が合格しやすいと考えられます。

ただし、どちらも簡単に合格できる試験ではありませんから、しっかり勉強して試験に臨みましょう。

まとめ

円形に並んだ人たち

独学で建築士試験合格を目指すのは可能ではありますが、至難の業です。長期にわたってモチベーションを維持しつつ勉強を続けるのは骨が折れます。

しかし、だからこそ実際に行動できる人が少なく、最後までやり遂げられる人が合格を手にできるのです。

今日紹介したことを参考に、あなたも独学で合格を勝ち取ってみてはいかがでしょうか。

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