トラックに積んだ荷物をロープで固定するには、安全な方法でおこなう必要があります。
そこで本記事では、輸送結びを含む3つの固定方法を紹介します。また、固定するのにおすすめのロープや、ロープ以外で固定する方法も紹介するので、参考にしてください。
トラックに積んだ荷物をロープで固定するなら輸送結び
いつもトラックを使っているけれど、ロープでの固定方法にあまり詳しくない……。
トラックを借りて自力で引っ越しをしたいけれど、ロープの使い方が分からない……。
輸送結びという結び方が良いと聞いたけど、結び方がよく分からない……。
今回はそんな皆さんのために、輸送結びを中心とした、トラックに積んだ荷物を固定するロープワークと、ロープの特徴をまとめました。
結び方を学べば安全に運べる
ロープワークとは、もやい結び・輸送結びなど、トラックの荷台に積んだ荷物を固定したり、キャンプやアウトドアで使ったりできる実用的なロープの結び方のことです。
用途に応じてたくさんのロープワークがありますが、このサイトではトラックの荷物をしっかりと固定できる結び方をご紹介します。
仕事効率が上がるロープワーク
ロープワークでは実用性に重きを置いており、トラックのドライバーの方やアウトドアを頻繁に行う方など、仕事で使う方向けの結び方が多いです。
まとめて結べたり、短時間で簡単に固定できたりとメリットも大きいので、ぜひこのサイトを使って練習してみてくださいね。
ほどきやすいのに緩まない方法
このサイトでご紹介する3つの結び方は、トラックのベテランドライバーなら皆使っているような基本的なものばかりです。
これらの結び方はどれもきちんと固定ができるため緩みにくく、しかも時間を掛けずサッとほどけるように工夫がされているため、ほどくのも簡単です。
例えば輸送結びは、トラックの荷物の固定に最適な結び方で、引っ張る力以上に結ぶことができます。
それでは、実際の結び方を見ていきましょう。
輸送結び
輸送結びは、滑車の原理を利用してより強く締め付けることに特化した結び方です。
輸送結びは荷物がたくさんある時にその真価を発揮します。
輸送結びを使えば、長いロープ一本でトラックの荷台全てを結ぶこともできます。
今回ご紹介する3つのロープワークの中で、輸送結びは最もオススメの結び方となります。
ただし、輸送結びは自分で引いた力以上に荷物をトラックに強く固定してしまい、力の加減を間違えると荷物や箱が破損してしまう可能性があります。
特にダンボールなどは一箇所に負荷がかかりすぎるとすぐに凹んだりしてしまう恐れがあります。
輸送結びを行う際は、荷物の破損を防ぐために毛布があると安心です。
また、家具などのように表面が固くない場合は毛布などで保護しても凹んでしまう恐れがあるので、専用の角あてを使ったり板を間に挟むことで凹んだりするのを防止することが可能です。
そして結び方全てにおいて共通する注意点となるのですが、ロープでの固定は部分的に縛る方法となるため、細かい荷物が多くある場合は少しの振動で動いてしまったりする可能性があります。
そのような場合はカバーをかけたり、周りを板で囲ってから固定するなどの対策をするとより安定して固定することができます。
輸送結びの結び方は以下の通りです。
途中まで(1~3まで)は南京結びと同じになります。
1 左手はトラックのフックに掛けた(またはダブルエイトフィギュアノットという結び方で結ぶ)固定端側を持ち、右手は動端側を持ち、両手にロープを持った状態で始めます。
2 右手側のロープを左手の手前に持ち、8の字を作ります。
3 8の字の下側の輪を左手で持ち、右手の上側の輪に通します。
4 3で出来た輪から左手を通し、右手の動端側のロープをたぐり寄せて引き、輪をもう一つ作ります。
5 4で出来た輪をフックに掛け、動端を引いて輸送結びの完成です。
輸送結びの注意点としては、
・輸送結びはロープの動端を引くとどんどん締め付けるようになりますので、引っ張り過ぎには要注意です!
・輸送結びではロープの端が余りやすいため、余った部分の処理の仕方も覚えておくと良いです。
・壊れやすい荷物を輸送結びで結ぶ時は細心の注意が必要なため、南京結びと使い分けられる方が良いです。
関連記事:トラックのロープの種類はいくつ?【全種類まとめ・保存版】
輸送結び以外の結び方
もやい結び
もやい結びは、キャンプやアウトドア、日常生活などでも使用される、万能のロープワークです。
素早く結ぶことができ、さらには強度も強い結び方のため「結び目の王(キングオブノット)」とまで呼ばれることまであります。
もやい結びという名前は、元々船を繋ぎ止める(もやう)ために使用していたことから付けられました。
もちろん、トラックの荷物を固定する時にもよく使われます。
結び方は以下の通りです。
1 まず、ロープに小さな輪を作ります。
2 作った輪の部分に、片方のロープの端を通します。
3 2で通したロープを固定してある側のロープの下をくぐらせます。
4 1で作った小さな輪に、くぐらせた3のロープを2とは逆方向に通します。
もやい結びはトラックの荷物の固定に最適なだけでなく、テントを張る時やクライミングなどのアウトドア、ものを吊るす時などにも使うことができます。
大きな荷物の固定も可能ということがあるのですが、強い固定力を発揮できるのはロープに対してまっすぐ負荷がかかっていることが条件です。
結び目の構造が簡単なため、負荷の方向が横などにずれたりすると固定力が弱まったり緩む可能性があります。
荷物の形がバラバラでちょっとした振動で動いたりする可能性がある場合などに関しては、途中で緩む可能性があるため注意しましょう。
南京結び
続いて南京結びをご紹介します。
南京結びは、別名万力結びとも呼ばれ、力をそれほど使わずに荷物を固定することのできるロープワークです。
後述する輸送結びとも似た結び方で、トラックの荷物を固定する時によく使います。
結び方は以下の通りです。
- 左手は荷台のフックに掛けた固定端側を持ち、右手は動端側を持ち、両手にロープを持った状態で始めます。
- 右手側のロープを左手の手前に持ち、8の字を作ります。
- 8の字の下側の輪を左手で持ち、右手の上側の輪に通します。
- 3で通した輪の下側を左手で持ち、手首を返してひねります
- 4でひねって出来た輪に、右手の動端を通してもう一つ輪を作ります。
- 5で出来た輪をフックに掛け、動端を引いて完成です。
強く結ぶポイントしては、
・最後に強く締め付けられるように上の方で結ぶ
・ロープをねじりながらトラックのフックに掛ける(ただし、ほどくのが大変になります)
・柔らかいロープを使う
などがあります。
南京結びはしっかり荷物を固定することが可能なのですが、結び方が間違っていたりするとすぐに緩んでします可能性があります。
何度か練習してみて緩んだりしていないかチェックをしましょう。
また、振動により荷物が動いてしまうことにより強く固定することができなくなってしまう恐れがあるので、長距離の移動である場合は途中に休憩を入れて緩んでいたりしないかをチェックすることが大切です。
力はそれほどいらないので、輸送結びと同様で女性にもオススメの結び方です。
輸送結びに向いているロープ4選
次に、荷造りに使うロープの種類をご紹介します。
ロープの素材によって、伸び縮みしやすいもの、防水性があるものなど特徴があります。
用途や状況に応じて、最適なロープを選べるようにしておきたいですね。
トラックのロープの種類はいくつ?【全種類まとめ・保存版】
ビニロンロープ
ビニロンロープは、トラックの荷物の固定に最も使われているロープです。
耐久性や耐候性に優れ、扱いやすいのが特徴です。
雨にも問題なく耐えられる為、これさえ買っておけば間違いないでしょう。
リキロンロープ
リキロンロープは、ポリエチレン素材の糸(オレンジ色)とポリエステル の糸(白い糸)を混ぜて作られたロープです。
軽量性に優れているのが特徴で、何度も積み下ろし・固定作業が必要な場合に最適です。
マニラロープ
マニラロープは、天然の素材である麻を使った茶色がかった色のロープです。
別名で麻ロープとも呼ばれます。
自然素材を使っているためしなやかで静電気が発生しづらく、精密機器などを運ぶ際に使われます。
また、植物など園芸品の荷物にも使われることが多いです。
ポリプロピレンロープ
ポリプロピレンロープは、文字通りポリプロピレンという合成繊維素材で作られた軽量のロープです。
水を吸わないため、雨の日や濡れている荷物を運ぶ際に使うことが出来ます。
また、漁業などでもよく利用されています。
関連記事:トラックドライバーの腰痛対策8選 痛みを和らげるコツ
ロープを使わない輸送結び以外の固定方法
引っ越しなどで軽トラを使用して家具などを輸送する場合、今回紹介した結び方などはとても有効なのですが、初めての場合上手く結べなかったりする可能性もあります。
軽トラは屋根がなく、あおり部分も低いため、高く荷物を積んだりした場合に途中でロープが緩んでしまうと、荷崩れを起こして家具などが破損する可能性があるのです。
それだけではなく、最悪の場合、トラックから落下して後続車と接触する可能性もあります。
何度かチャレンジしてみて上手く固定できないと感じた場合は、上から被せて固定するタイプのカバーを利用するようにしましょう。
また高価なものを運んだりする場合、リスクも高いため無理をせずプロに依頼するという方法もあります。
輸送結びについてのまとめ
いかがでしたか?
このサイトでは、トラックの荷物を固定する時に使うロープの結び方や、用途に合ったロープの素材についてご紹介しました。
輸送結びを完璧に覚え、そして他のロープワークもしっかりとマスターして、どんな荷物でも簡単に固定できるようにしましょう!
また、最後にアウトドアなどでも使えるロープワークをご紹介します。
もし興味があればチェックしてみてくださいね。
アウトドアやスポーツや防災にも有効なロープワーク
それでは、最後にアウトドアやスポーツや防災にも有効なロープワーク、本結びをご紹介します。
本結びはロープの端同士を結ぶロープワークで、雑誌の束を縛る時や救急時に止血する時、また弁当箱の風呂敷などを結ぶ時など、様々な場面で使うことが出来ます。
結び方は以下の通りです。
1 2本のロープの端をひと結びする。
2 1とは逆の向きでロープの端を絡め、ひと結びする。
3 結び目を強く引っ張る。
固結びの絡め方を少し変えただけなので、簡単な結び方ですね。
トラックの荷台の固定には使えませんが、短時間で結べますので、急いで物を縛りたい時や応急処置の際に活躍しそうです。
何度か練習して覚えておけば、災害の時にもサッと使えて便利ですね。
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