食品製造の仕事は、材料の混ぜ合わせや材料カット、盛り付けなどを行います。
未経験でも挑戦しやすく人気の転職先の一つです。正社員はもちろん派遣社員やパートの求人もあり、食品製造業への転職を検討している人は少なくありません。
しかしながら、食品製造についてネット上で調べると「きつい」「やめとけ」といったネガティブな声も見受けられます。
「本当に未経験でもやっていけるのか、どんな人が向いているのか」と、不安や疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
この記事では食品製造業の仕事内容や適性を中心に分かりやすく解説していきます。
また、「きつい」と言われている理由や、平均年収も紹介していますので、転職を検討するうえで参考にしてみてください。
食品製造の主な仕事内容
食品製造工場では、コンビニや弁当で販売されるお弁当・パン・おにぎり・お菓子など、さまざまな食品が製造されています。
製調理に関する専門的な知識やスキルが必要と思われがちですが、基本的に難しい調理作業を任されることはありません。
大量の食品を製造する工場ではライン作業が用いられており、食材をカットしたり焼いたりと、簡単な作業ごとに分担されています。
近年は、機械が調理する工程が増えてきており、問題なく調理できているかを確認する作業がメインのようです。この他に、完成した食品を出荷するための仕分け作業や、包装作業が主な業務内容です。
関連記事:食品製造業ではどんな仕事をするの?仕事内容や魅力、給料など細かく解説!
関連記事:製造業とは?仕事内容・年収・技術職と技能職の違いを紹介
【製造食品別】仕事内容の特徴
食品製造業の仕事は、製造する食品によって業務の流れや特徴が異なります。辛い・楽しいと感じる内容も工場によって異なるため、自分に合った製造工場を見つけることが重要です。
ここでは製造食品別に、仕事内容にどのような特徴があるのか、解説していきます。
長く続けられそうか考えてみましょう。
弁当工場の仕事内容と特徴
弁当を製造する工場は「材料の下処理・調理・盛り付け」の3種類に作業が分類されており、手作業が多い傾向です。
複雑な作業はないものの、流れ作業で進めていくため一定のスピードと正確さが求められます。工場によっては24時間体制で製造しているため、シフト制で深夜に働くことも珍しくありません。
お弁当は水分量が多く温かいため、細菌などが増えやすいと言えます。そのため、他の食品と比べて衛生管理が特に厳しいことが特徴です。
働き方の特徴としては、ネイルや化粧を禁止している工場もあり、エアシャワーを受けるなど、さまざまな衛生対策が取られています。
パン工場の仕事内容と特徴
パン工場も生産ライン方式が一般的で「生地の混合・成形・発酵・焼成・包装」で作業が分類されます。
生地の混合工程では小麦粉の袋など重量物を多く扱うことから男性が配属されやすく、成形などを女性作業員が担当するケースが多いようです。
弁当工場と同様に難しい作業は基本的にありません。
ケーキやお菓子も一緒に製造している工場もあり、バレンタインやクリスマスといったイベントが近づくと忙しくなりやすいといった特徴があります。
飲料メーカー工場の仕事内容と特徴
飲料を製造する工場では「原材料の混ぜ合わせ・殺菌やろ過・充填や包装」といった工程がありますが、作業のほとんどは機械によって行われ自動化されています。
そのため、メイン業務は各工程の品質チェックとなり、包装ではラベリングやパッケージングを監視します。この他では定期的な機械のメンテナンスや保守作業を行う部署もあります。
冷凍食品工場の仕事内容と特徴
冷凍食品工場では「原料の選別や成形・材料の前処理・包装」といった作業を行います。原料の選別や前処理は手作業が多く、調理や包装は機械によって行われます。
食材や料理を凍結させる工程があり、マイナス15度以下に設定された室内での作業もあります。常に室内にいるわけではないものの、温度差により体調を崩しやすいため注意が必要です。
他の商品と比べて賞味期限が長く、工場内で保管され続けている商品が多いため、検品作業では賞味期限のチェックが厳しく行われます。
梱包作業や出荷作業の際に食品が解けてしまうと食材が傷む原因となるため、適確で素早い作業が求められます。
参考:職業情報提供サイトjobtag・冷凍加工食品製造|厚生労働省
食品製造の仕事が向いている人
未経験での転職に失敗しないためには、仕事の適性を理解しておくことが大切です。製造業務には他の職種にはない特殊な作業も多く、良くも悪くもクセのある職種と言えます。
食品製造の仕事に向いている人の特徴は以下の通りです。
- 繰り返し作業が得意な人
- 黙々と作業するのが好きな人
- 体力と集中力に自信がある人
なぜこのような人が向いているのか、食品製造の特徴も交えながら解説していきます。
繰り返し作業が得意な人
繰り返し作業や単純作業が得意な人は、食品製造業に向いていると言えます。製造工場では生産ライン方式が多く、材料の加工や盛り付け作業が細かく分業されています。
製造作業員は、自分が担当する作業をひたすら繰り返すこととなるため、単純作業が得意な人は向いていると言えるでしょう。
黙々と作業するのが好きな人
生産ライン方式の工程では、割り当てられた作業を黙々とこなしていきます。衛生的な問題があるため、他の作業員と会話することは基本的にありません。
休憩時間を除き7〜8時間は、自分の作業だけに向き合うこととなります。そのため、周りと話しながら作業するのではなく、作業に没頭するのが得意な人は向いていると言えるでしょう。
体力と集中力に自信がある人
生産ライン方式での食品製造は、途中の工程でミスがあるとラインがストップしてしまい、全体に影響が出ます。
難しい作業はないものの、繰り返し作業を正確にこなしていかなければなりません。周りのスピードに合わせる必要もあります。
単純作業が続く中でも集中力を欠くことなく打ち込める人は、製造業に向いていると言えるでしょう。また、作業のほとんどは立ちっぱなしで行われるため、体力に自信がある人も向いていると言えます。
関連記事:製造業に向いている人の特徴6選|平均年収も紹介
関連記事:工場勤務に向いている人の特徴は?メリットや将来性も解説
食品製造の仕事が向いていない人
食品製造の仕事に向いていないのは、以下のような人です。
- 単純作業が苦手な人
- 接客や営業など人と話す仕事が好きな人
- 調理スキルや専門性を身に着けたい人
上記のような人がなぜ食品製造に向いていないのか、特徴ごとに解説していきます。
単純作業が苦手な人
食品製造業では生産ライン方式が一般的であり、繰り返し作業を黙々とこなすこととなります。単純作業が苦手で黙々と作業に打ち込むのが嫌い、といった人は製造業に向いていないと言えるでしょう。
単純作業の繰り返しで仕事に飽きてしまい別の仕事に転職する人も中にはいます。どうしても食品製造企業に転職したい場合は、品質管理や生産管理といった製造全体を管理する業務を選ぶようにしましょう。
管理部門であれば、繰り返し作業がなく周りと連携を取りながらの業務がメインとなります。
接客や営業など人と話す仕事が好きな人
接客や営業など、人と話したり周りと連携したりする仕事が好きな人は、食品製造業の仕事が辛く感じてしまう可能性があります。
食品製造業は繰り返し作業が多く、周りと会話する場面が比較的少ないです。仕事内容に大きな変化もないため、仕事に刺激を求めるような人も向いていない可能性があります。
どうしても食品製造企業に転職したい場合は、管理業務や営業職を希望するようにしましょう。
調理スキルや専門性を身に着けたい人
料理人としての高度なスキルや知識を身に着けたいような人も食品製造業は向いていないと言えます。
食品を作ることが仕事であるものの、業務の多くは機械によって行われ、単純な食材カットや盛り付けがメイン作業となるからです。
食品を大量に製造するためのノウハウなどは身に付くものの、高度な調理スキルは身に付きません。料理人として活躍したい場合は、個人店への転職をおすすめします。
食品製造がきついと言われる理由
食品製造についてネット上で調べると「きつい」「やめとけ」といったネガティブな声も見受けられます。具体的な理由には、以下のような内容がありました。
- 作業が単調で飽きやすい
- 立ちっぱなしで足腰の負担が大きい
- 工場によっては衛生面が整っていない
- 給料が安い
実際に食品製造の仕事に従事していた人の声も踏まえながら、4つの理由について解説していきます。
作業が単調で飽きやすい
多くの製造工場では生産ライン方式を導入しており、調理作業が細かく分業されています。作業員は、割り振られたカット作業や盛り付け作業をひたすら繰り返すだけであるため、仕事を覚えやすい一方で作業に飽きやすいとも言えます。
仕事に飽きたことがきっかけで他の仕事に転職する人も少なくありません。単純作業や繰り返し作業が苦手な人はきつく感じてしまう可能性が高いと言えるでしょう。
立ちっぱなしで足腰の負担が大きい
食品工場における製造業務のほとんどは立ち仕事です。所定の場所にとどまり同じ作業を繰り返すだけとなるため、足腰に負担がかかりやすいと言えます。
「盛り付け作業は中腰になりがちで腰痛になってしまい退職した」「周りのスピードに合わせる必要があり、ついつい無理をしてしまう」といった声もありました。
体力に自信のない場合は、座り仕事ができる工場を探してみましょう。
工場によっては衛生面が整っていない
食品工場の中には衛生面が整っていない職場もあります。調理場は比較的きれいにしてあるものの、廃棄する食材を管理する場所などは汚く臭いといったケースも珍しくありません。
「ゴキブリをたまに見かけるので生理的に無理になった」「とにかく臭いがきつい」といった声がありました。調味料や食材の匂いが混ざり、気持ち悪く感じる人も中にはいます。
職場環境が気になる場合は、企業の口コミサイトなどで事前に調べてみるようにしましょう。
給料が安い
全ての食品工場が当てはまるわけではないものの、食品製造は製造業の中でも収入が低いと言われています。特に未経験者でもできるような作業は時給が低めに設定してあります。
高収入を目指したい場合は、夜勤のある職場や福利厚生が充実している企業を選ぶようにしましょう。機械オペレーターなど、普段の業務で役立つ資格を取得することでも収入アップを目指せます。
関連記事:工場勤務はきつい?向いている人の4つの特徴や仕事内容とは
関連記事:製造オペレーターの仕事内容は?扱う機械の種類や魅力
食品製造の年収
食品製造の仕事は、他の製造業と比べても収入が低い傾向にあるものの、全ての求人が安いわけではありません。令和5年度における食品製造関係の平均年収は、以下の通りです。
- 冷凍加工商品製造:341.8万円
- 食品技術者:554.3万円
製造業務に関する仕事は年収が低いものの、加工食品の企画開発や作業管理を行う食品技術者は平均年収が500万円を超えています。
作業員として経験を積んだり、関連資格を取得したりすることで、仕事の幅が広がり収入アップも目指せるでしょう。
出典:職業情報提供サイトjobtag・食品技術者|厚生労働省
出典:職業情報提供サイトjobtag・冷凍加工商品製造|厚生労働省
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実際にある食品製造の正社員求人
ここからは、実際にある食品製造の正社員求人を紹介します。
弊社が運営する求人サイト「クロスワーク」に掲載中の求人から例をみていきましょう。
【食品製造・求人例1】
主な業務内容 | 食品製造業務・製品の出荷や在庫管理 |
応募資格 | ~35歳まで 普通自動車運転免許必須(AT限定可) |
給与 | 18~25万円 |
勤務時間 | 8:00~17:30 |
休日 | 105日 |
福利厚生 | 復職制度・育児休業取得実績あり |
1つ目は九州エリアの求人で、ホテルや弁当店などを対象とした惣菜全般を製造する会社です。月の平均労働日数は21.6日でほとんど残業もないため、プライベートを充実させたい方におすすめの求人です。
24時間稼働していないため、日勤勤務のみとなります。
【食品製造・求人例2】
主な業務内容 | スーパー向け総菜の製造・出荷店舗ごとの仕分け作業 |
応募資格 | ~59歳 普通自動車運転免許あれば尚可 |
給与 | 24万2,840円~27万8,880円 |
勤務時間 | 7:00~16:00 8:00~17:00 |
休日 | 年間休日113日 |
福利厚生 | 退職金制度・育児休業取得実績あり |
2つ目は関東エリアの求人で、仕分け作業がメインとなります。未経験者でも応募可能でありながら、給与が高水準であり、固定残業代ありにする場合はさらに4~5万円ほどの残業代が追加されます。(月の平均残業時間30時間)
年間休日も少なくないため、プライベートを充実させたい方にもおすすめです。
【食品製造・求人例3】
主な業務内容 | パン製品の検品・仕分け作業 |
応募資格 | 18~59歳(経験不問) |
給与 | 18万5,000~23万9,840円 |
勤務時間 | ・6:00~15:00 ・18:00~3:00 |
休日 | 年間休日116日 |
福利厚生 | 退職印制度あり・各種保険完備 |
3つ目は中国エリアの求人で、大手パン製造企業の工場求人です。未経験者でも応募可能であり、女性社員も303名と多いため男性ばかりの職場に抵抗があるような人も安心です。
その他、indeedなどの求人を見ると年収400万円以上と高収入に力を入れた求人や、工場長候補社員として経験者を募集している求人がありました。
食品製造の経験を積むことで、将来的にはキャリアアップを目指した転職も可能です。
なお、弊社が運営する求人サイト「クロスワーク」では、食品製造業を含む、製造業の求人を数多く取り扱っています。勤務地・雇用形態・給与・こだわり条件など、細かく指定できるため、要望に合った求人が見つけられます。
また、「メーカーキャリア」という転職エージェントサービスでは、求職者様の希望条件に合う最適な求人のご紹介や履歴書作成のサポートなど、転職成功に向けた支援も行っています。
どちらも無料でご利用いただけます。食品製造以外の工場勤務求人も扱っていますので、転職活動の際にご利用ください。
>物流・建設・製造特化の求人サイト「クロスワーク(X Work)」はこちら
>製造業特化の転職エージェントサービス「メーカーキャリア」はこちら
食品製造の仕事内容や適性を理解したうえで就職や転職を検討しよう
食品製造では生産ライン方式が一般的で、転職するうえで高度な調理スキルや知識は必要ありません。主な業務内容には材料の混ぜ合わせ・材料カット・盛り付け・包装などがあります。
製造業務では、割り振られた作業を繰り返し行うため、単純作業が得意で黙々と仕事に打ち込めるような人が向いています。
一方で、人と話すのが好きで周りと協力しながら仕事をしたい人や、単純作業が苦手な人はきついと感じてしまう可能性があります。
製造する食品によっても働き方や仕事の流れが異なるため、自分に合った求人を見つけるようにしましょう。食品製造は他の製造業と比べて収入が低い傾向にあるものの、経験を積んでいくことで年収500万円以上も十分可能です。
食品製造の仕事内容や年収事情などを理解したうえで、転職を検討してみてはいかがでしょうか。
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