近年では、1つの会社で長く働き続けるのではなく、身につけた知識やスキルを活かして転職することが一般的になりつつあります。20代など若い世代だけでなく、40代や50代で転職する人も珍しくありません。
ただし、転職市場では年齢が上がるほど即戦力が求められる傾向にあり、実践的なスキルや知識が欠かせません。40代未経験でものづくり業界へのキャリアチェンジを検討しており、本当に転職できるのか不安に感じている方もいるでしょう。
この記事では、40代未経験でものづくり業界へ転職できる理由や成功させるためのポイントなどについて分かりやすく解説します。
40代未経験でもものづくり業界でキャリアアップできる理由
結論から述べると、40代未経験の方でもものづくり業界への転職は可能です。その背景には、ものづくり業界の現状や特徴が大きく影響しています。その詳細は以下の通りです。
- ものづくり業界は人手不足が続いている
- ものづくり業界は学歴や経験がほとんど関係ない
- ものづくり業界には多くの職種がある
40代未経験でもなぜ転職可能なのか、3つの理由について解説します。
ものづくり業界は人手不足が続いている
ものづくり業界では、人手不足が続いており、今後さらに深刻化すると言われています。その理由は2つあります。
- 若手人材の参入が少ない
- 技術者の高齢化が進んでいる
ものづくり業界と聞くと「3K(汚い・きつい・危険)」というイメージが根強く、製造企業では労働環境の改善が積極的に進められています。しかしながら、他の産業と比べると若手人材の参入が少ないのが現状です。
技術者の高齢化も問題となっており、経済産業省が公表した「ものづくり人材の確保と育成」によると、製造業における65歳以上の就業者数の割合は、2002年時点で4.7%だったものが、2020年には8.8%まで上昇しています。
近い将来、高齢の就業者が退職することを踏まえると、さらに人手不足が深刻化すると予想されます。これを受けて製造企業では、40代未経験者でも積極的に採用する動きが強まっています。
出典:図 211-9 製造業における高齢就業者数(65 歳以上)の推移・ものづくり人材の確保と育成|経済産業省
ものづくり業界は学歴や経験がほとんど関係ない
ものづくり業界は、学歴や経験に特別な条件のない求人が多く、40代未経験でも挑戦できます。
特に製造業務は、実際の業務を通してスキルや知識を身につけていくのが一般的です。学歴や経験よりも、仕事に対する真摯な姿勢や取り組む意欲が重視されます。
また、多くの製造企業では未経験者向けの研修や資格取得支援を行っており、ものづくりに携わったことのない人でも、段階を踏んでスキルアップできる体制が整っています。
ものづくり業界には多くの職種がある
ものづくり業界には、さまざまな職種があり、未経験から挑戦できる仕事が豊富にあります。ものづくりに関する具体的な職種には、以下のものがあります。
- 製造オペレーター
- 品質管理
- 生産管理
- メンテナンス技術者
- 組立作業員
- 仕分け、検品作業員
中でも組立作業員や仕分け・検品作業員は、はじめから高度な専門スキルや知識を必要としないため、未経験者を歓迎する求人が多い傾向です。
組立作業員として経験を積むことで、将来的に製造オペレーターや品質管理職へのキャリアアップも可能です。
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40代の社会人経験が即戦力として認められるから
40代の社会人経験は、ものづくり業界で即戦力として高く評価されるポイントの1つです。これまで培ってきたコミュニケーション能力や問題解決能力は、職種や業界を問わず活躍できる汎用性の高いスキルです。
また、プロジェクトを円滑に進めるための調整力や、チームリーダーとしての統率力も多くのものづくり現場で需要が高いと言えます。
他業界での経験がこれまでにない新しい視点をもたらし、ものづくりの現場で革新が生まれやすいことも40代を採用する魅力と言えるでしょう。
スキル習得や資格取得でキャリアの幅を広げられるから
40代未経験でも、ものづくり業界ではスキルや資格の取得を通じて着実にキャリアを広げられます。
近年では製造業を中心に、労働環境や教育体制の改善が積極的に行われており、未経験者でも必要な技術を現場で習得しやすい環境が整っています。
機械保全技能士やフォークリフト免許といった資格を取得すれば、より専門的な業務に挑戦できるチャンスが広がるでしょう。
労働環境が改善され長期的に働ける条件が整っているから
ものづくり業界では、人材確保を目的とした労働環境の改善により、長期的に働きやすい条件が整っています。近年は、自動化や機械の進化により、体力に依存した作業が減り、未経験の40代でも無理なく働ける環境が整っています。
さらに教育制度やキャリア支援プログラムを導入する企業も多く、40代からでもスキルアップしながら長期的に働けるでしょう。
40代未経験からものづくり業界でキャリアアップするためのポイント
40代未経験者がものづくり業界で長く活躍し続けていくには、上手にキャリアアップしていく必要があります。技術者として成長するために、以下のポイントを意識してみましょう。
- 現場作業を通じて実践的な技術を習得する
- 業界特有の資格を取得して専門性を高める
- 最新の製造技術やトレンドを学び続ける
- 現場でのチームワーク力を磨く
- 製造プロセスの改善提案に積極的に参加する
- 生産性向上のための柔軟な思考を持つ
これらのポイントについて、ものづくり業界の特徴を交えながら解説します。
現場作業を通じて実践的な技術を習得する
40代未経験者が、ものづくり業界でキャリアアップをするためには、現場作業を通じての実践的な技術の習得が第一ステップとなります。機械の操作方法や品質を満たす部品の加工といったスキルを身につけていきましょう。
現場でスキルを身につけていく中で、効率化の提案などを通じて問題解決力やリーダーシップも習得できます。こうした技術や経験を積み重ねる中で、昇進や新しい職種への挑戦といったキャリアアップの道が開けるでしょう。
業界特有の資格を取得して専門性を高める
業界特有の資格を取得し、専門性を高めることも有効です。たとえば、機械保全技能士や溶接技能者といった資格は、特定の技術分野でのスキルを証明する資格であり、業務の幅を広げるだけでなく、昇進や給与アップにもつながる評価基準となります。
また、資格取得の課程で得られる知識は、現場での課題解決力を向上させ、周りからの信頼を得るきっかけにもなるでしょう。
資格取得を通じて、自分自身の現状を客観的に確認することもでき、キャリア形成の指針を明確にしやすくもなります。
最新の製造技術やトレンドを学び続ける
ものづくり業界でキャリアアップを図るには、最新の製造技術やトレンドを学び続ける姿勢も欠かせません。近年、製造現場ではAIやIoT、自動化技術などが積極的に導入されており、効率化や精度の向上が進んでいます。
これらの技術を理解し、活用できる人材は、業界内での需要が高まっています。自身のスキルや知識をアップデートすることにも繋がり、新しいプロジェクトや役割に挑戦できる可能性が広がります。
セミナーや研修への参加や、専門書を活用するなどして、ものづくり業界について継続的に学び続けましょう。
現場でのチームワーク力を磨く
製造現場でのチームワーク力を磨くことも、キャリアアップを目指す上で重要です。製造現場では作業員や技術者、管理者が連携し、効率よく高品質な製品を生み出す必要があります。品質管理や生産管理部門との連携も欠かせません。
その中で、自分の役割を理解し、他のメンバーと円滑にコミュニケーションを図る力が求められます。特に、未経験で現場に入った場合、積極的に意見交換を行い、現場の動きを把握する姿勢が信頼を得る鍵となります。
チームでの課題解決に取り組むことで、リーダーシップや調整力といったスキルも自然と身についていくでしょう。
製造プロセスの改善提案に積極的に参加する
ものづくり業界でキャリアアップを目指すには、製造プロセスの改善提案に積極的に参加することが大切です。現場には常に効率化やコスト削減、品質向上といった課題が存在し、これらに対して具体的な提案を行うことで、自身の価値を高められるでしょう。
未経験でも、現場での観察や基本的な技術の習得を通じて、改善点を見つけられます。また、提案の実現に向けて他のメンバーと協力する過程で、チーム内での信頼感が深まります。
こうした取り組みは、単なる作業員としての役割を超え、リーダーシップや問題解決の応力をアピールする機会にもなるでしょう。
生産性向上のための柔軟な思考を持つ
生産性向上のための柔軟な思考を持つことも、ものづくり業界でキャリアアップを目指す上で重要です。
現場では効率化やコスト削減、品質改善といった課題に直面することが多く、これらに対して、固定概念にとらわれない柔軟な発想が求められます。
新しい作業手順の提案やツールの導入に積極的に取り組むことで、業務効率を大幅に改善するアイデアを生み出せるようになるでしょう。
40代未経験からものづくり業界で転職を成功させるポイント
前述の通り、40代未経験での転職は20代や30代より採用される確率が低いと言えます。理想の製造企業へ転職するためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 40代ならではの経験を活かした転職理由を見つける
- 過去の経験から「ものづくり」で活かせる強みを見つけ出す
- ものづくり業界の最新技術やニーズを把握する
- 入社後のキャリアプランやスキル習得の計画を立てる
- 現場で活かせる実践的な資格やスキルを取得する
これらのポイントについて、詳しく解説します。
40代ならではの経験を活かした転職理由を見つける
若手人材にはない、40代ならではの経験を活かした転職理由や強みについて明確に答えられることは非常に重要です。「ものづくりに興味がある」といった一般的な内容では、自分らしさを強くアピールできません。
たとえば、「前職で培ったリーダーシップを活かし、製造現場でのチーム管理に貢献したい」や「営業職での折衝力を活かし、現場での円滑なコミュニケーションに役立てたい」など、具体的な経験やスキルを取り入れた理由を考えてみましょう。
過去の経験から「ものづくり」で活かせる強みを見つけ出す
製造に関する専門的なスキルや知識がなかったとしても、業務の中で活かせる強みがあれば採用の可能性を高められます。
たとえば、事務職でのデータ管理スキルやExcelなどのソフトウェア知識は、製造業における在庫管理や生産データの分析業務で役立ちます。
また、管理職経験のある方は、前職で培ったスケジュール管理やコスト管理の知識を、製造業務の生産計画や納期管理に活かせます。
ものづくり業界の最新技術やニーズを把握する
ものづくり業界の最新技術や、ニーズを把握しておくことで、仕事に対する熱意や積極性をアピールできます。
近年、製造業ではIoT(モノのインターネット化)やAIによる自動化・効率化が進められています。また、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の導入も行われており、ITスキルを持つ人材の需要が高まっている状況です。
この他では、環境保護や省エネのニーズも高まっており、エコ技術や持続可能な生産手法の理解も求められます。このような最新技術やニーズを理解しておくことで、仕事に対する熱意をアピールできるでしょう。
入社後のキャリアプランやスキル習得の計画を立てる
入社後のキャリアプランやスキルの習得について、具体的な計画を伝えることでも仕事に対する熱意をアピールできます。
どのような業務に携わりたいのか、将来的に活躍したい部門など、面接時に具体的に答えられるようにしておきましょう。
ものづくり業界では、資格取得がキャリアアップにつながりやすいため、取得したい資格を決めておくことでも具体的なビジョンを示せます。採用確率を上げられるだけでなく、自身の長期的なキャリア形成に役立つでしょう。
現場で活かせる実践的な資格やスキルを取得する
転職の前に、製造現場で活かせる実践的な資格やスキルを取得しておくことでも採用確率を高められます。製造業で役立つ資格は数多くあり、中には未経験者でも比較的取得しやすいものもあります。
- フォークリフト運転技能講習修了証:フォークリフトを使用した荷物の積み下ろしや運搬で役立つ
- 危険物取扱者(乙種4類):危険物を扱う際に必要な資格で、化学工場などで需要がある
- 機械保全技能士3級:生産設備の保全やメンテナンスに必要な資格。3級であれば独学でも取得しやすい
応募したい具体的な職種や業務内容を決めたうえで、役立つ資格を調べてみましょう。
関連記事:フォークリフトの種類一覧|必要な免許や講習も
関連記事:危険物取扱者の難易度は?資格の種類や勉強時間について
【男性におすすめ】40代から安定したキャリアプランを描けるものづくりの仕事4選
一口にものづくりと言っても、さまざまな業種や職種が存在し、仕事内容や特徴が異なります。40代未経験の男性におすすめの転職先には、以下の業種があります。
- 製造系(ライン作業、機械オペレーターなど)
- 建設系(建築士、電気工事士など)
- 職人系(大工、左官、内装工など)
- 自動車関連(製造、整備など)
これらの業種について、なぜ40代未経験の男性におすすめなのか解説します。
製造系(ライン作業、機械オペレーターなど)
製造系の仕事は、部品の組み立てや加工、製品の検品などを行うライン作業や、機械を操作して材料を加工するオペレーター業務が中心です。
ライン作業では、細かく工程が分けられており、比較的単純な作業が多いため、未経験者でも仕事を覚えやすい特徴があります。
24時間稼働している工場もあり、夜勤の仕事も多いため、深夜手当や残業手当で一定の収入を確保したい40代男性におすすめです。
関連記事:製造業の仕事内容とは|働くメリットと向いている人の特徴
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建設系(建築士、電気工事士など)
建設系のものづくり職には、建築物の設計や施工管理を行う建築士や建物の電気設備を取り扱う電気工事士などがあります。
これらの職種は建物のインフラの維持に不可欠な存在であり、将来性の高い職種と言えるでしょう。専門的なスキルや知識が求められるため、転職直後は下積み期間が続くものの、国家資格を取得することで、収入アップが期待できます。
電気工事士に関しては、特別な受験資格がなく通信講座なども豊富にあるため、転職前に資格取得することも可能です。体力に自信のある40代男性におすすめです。
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職人系(大工、左官、内装工など)
職人系の仕事には、家などの骨組みを組む大工や、壁や床を塗りながら仕上げていく左官、室内の装飾や仕上げを担当する内装工があります。
高度な専門スキルと経験が求められるため、すぐに活躍できるわけではないものの、手に職をつければ長く働き続けられる仕事です。
また、職人として経験を積み上げていくことで、将来的に個人事業主として独立する選択肢もあります。手先が器用で細かい作業が得意な40代男性におすすめです。
関連記事:左官職人のなり方と仕事内容|使用する道具とやりがい
自動車関連(製造、整備など)
自動車関連の仕事には、自動車部品や車両本体の組み立てを行う製造職や、自動車の点検や修理を行う整備職があります。
自動車は人々の生活に欠かせない移動手段であり、将来的にも需要が見込める業種です。また、製造や設備に関する技術は、一度身につければ他の職場でも活かしやすい特徴があります。
ライン作業は未経験者でも挑戦しやすく、働きながらスキルや知識を身につけられます。ものづくりの中でも、車関連の仕事に興味がある40代男性におすすめです。
関連記事:自動車整備士になるには?未経験から始める方法|資格の種類や仕事内容
【女性におすすめ】40代から安定したキャリアプランを描けるものづくりの仕事4選
ものづくりと聞くと力仕事が多く、体力のある男性でなければ続けられないイメージがありますが、40代未経験の女性におすすめの仕事もあります。主な仕事は以下の通りです。
- 食品系(製造、包装、商品開発など)
- 服飾系(生産管理、スタイリストなど)
- IT・デジタル製造(Webデザイナー、ソフトウェア開発など)
- クリエイティブ業(工芸、アート制作、デザインなど)
未経験で転職した場合の仕事内容や各業種の特徴について解説します。
食品系(製造、包装、商品開発など)
食品系のものづくり職には、食品の製造や包装、さらには新商品の企画や開発などがあります。未経験で転職した場合、製造ラインでの材料カットや盛り付け作業、パッケージの包装などを行います。
作業が細かく分担されており、繰り返し作業となるため、未経験でも取り組みやすい職種と言えるでしょう。機械組み立てのように大きなパーツを持ち上げたり、重い機械を操作したりすることは基本的にありません。
スピード作業に慣れる必要があるものの、体力に自信のない女性でも長く続けやすい職種と言えるでしょう。
関連記事:食品製造業の仕事内容は?向いている人の特徴や年収について
服飾系(生産管理、スタイリストなど)
服飾業界には、アパレル商品の製造や品質を管理する生産管理や顧客に合わせてコーディネートを提案するスタイリストなど、幅広い職種があります。
未経験で転職した場合、商品の在庫管理や品質チェック、納期調整などが主な業務となります。スタイリストであれば、店舗での接客や要望に応じたコーディネートの提案が主な業務内容です。
経験よりもファッションに対するセンスが重視されやすく、おしゃれに興味がある人や、人と接するのが好きな人に向いていると言えるでしょう。
出典:棚卸、小売業・職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
IT・デジタル製造(Webデザイナー、ソフトウェア開発など)
IT・デジタル製造分野には、Webサイトのデザインを手掛けるWebデザイナーやアプリなどの開発を行うソフトウェア開発者などの職種があります。
未経験で転職した場合、デザインの基本スキルを学びながら、バナー制作や簡単なページデザインの制作を行います。ソフトウェア開発の場合は、プログラミングの基礎から学び、先輩社員のサポートや簡単な動作テストが主な業務です。
IT・デジタル製造分野は、リモートワークといった勤務体制もあり、ライフスタイルに合わせて働きやすい業種と言えます。
クリエイティブ業(工芸、アート制作、デザインなど)
クリエイティブ業には、陶芸や木工などの工芸、絵画や彫刻といったアート制作、広告や商品パッケージのデザインなどがあります。
未経験で転職した場合、工房やアトリエでのアシスタント業務をこなしながら、基本的な技術の習得からスタートします。工芸は、制作サポートや作品の仕上げ作業などがメイン業務です。
クリエイティブ業は、知識や経験よりも感性やセンスが重視されやすく、未経験からでも情熱を持って取り組みやすい仕事と言えるでしょう。経験を積み上げていくことで、将来的にフリーランスとしても活躍可能です。
ものづくり業界で40代未経験者におすすめの求人を選ぶ6つのポイント
業種や職種は同じでも、企業によって待遇や職場の雰囲気、キャリアアップの可能性が異なります。キャリアチェンジで失敗しないためにも、転職する際には、以下のポイントを意識して求人を選びましょう。
- 経営方針や事業内容
- 企業規模や今後の成長性
- 労働環境や社風、雰囲気
- 待遇や福利厚生
- 身につくスキル
- 自身の経験やスキルがマッチしているか
40代未経験で転職する場合、どのような求人を選べばよいのか、各ポイントについて解説します。
経営方針や事業内容
40代未経験者が安心して働ける職場を選ぶには、企業の経営方針や事業内容について理解することが大切です。
従業員を大切にする姿勢や、教育に力を入れている方針がある企業は、未経験者でも成長しやすいと推測できます。
また、事業内容に関しては、安定した需要が見込める製造分野や成長が期待される新しい技術に携わる事業を展開している企業は、キャリア形成しやすいと言えるでしょう。具体的には、IT・デジタル製造や再生エネルギー関連の分野などがあります。
企業規模や今後の成長性
企業規模や今後の成長性も、転職先を検討するうえで重要です。大手企業は研修制度や福利厚生が充実している傾向で、未経験者でも安心してスキルを学べる環境が整っています。
また、大手企業は大規模なプロジェクトを扱うことが多く、多様な職種に携われるため、さまざまな経験を積みながらキャリアアップを目指せます。
中小企業に関しては、技術革新に積極的な企業や、ニッチ市場で需要を確立している企業がねらい目と言えるでしょう。中小企業は、一人あたりの役割が幅広く、未経験でも早い段階から実践的なスキルを身につけやすい特徴もあります。
労働環境や社風、雰囲気
企業の労働環境や社風、職場の雰囲気は、長期的に働けるかどうかを判断するうえで重要です。未経験で転職する場合、丁寧な教育やサポート体制が整った環境が必要不可欠です。
また、質問や相談を気軽にできる雰囲気であるかどうかも、成長スピードに影響します。
企業のホームページで労働環境の改善などに取り組んでるか、リサーチしてみましょう。企業の口コミサイトで、職場の雰囲気などを調べるのも有効です。
待遇や福利厚生
会社の待遇や福利厚生も求人を選ぶ際にチェックすべきポイントです。多くの人が給与に注目しますが、福利厚生の内容も重要です。
キャリアアップを目指せる教育制度や資格手当、退職金制度の有無など、自分のキャリアプランを安定させられる福利厚生があるか確認しましょう。
家族手当や住宅手当などがあれば、未経験者でも一定の収入を確保しやすくなります。待遇面については、口コミサイトを活用して確認してみましょう。
身につくスキル
ものづくり業界へ転職する場合は、働きながら身につけられるスキルもチェックしましょう。企業によって一つの業務に特化していたり、製造だけでなく品質管理や商品開発など、さまざまな部署で活躍できる可能性があります。
会社内でどのような業務に携われるのか、将来的に就きたい部署があるか確認してみましょう。資格取得支援制度や研修制度が充実していると、早くスキルを身につけられます。
自身の経験やスキルがマッチしているか
自身の経験やスキルが、その職場で求められている内容とマッチしているかも重要です。特に40代未経験での転職では、これまでの社会人経験で培ったスキルや知識が活かせるかどうかが、転職の成功に大きく影響します。
職種や業種だけでなく、企業がどのような人材を求めているのか調べたうえで、自分との相性を判断しましょう。
40代未経験からものづくり業界に転職したときのキャリアパス
ものづくり業界で長く働く予定であるものの、将来的なキャリアパスのイメージが湧かないという方もいるでしょう。未経験でものづくり業界に転職した後のキャリアパスは、以下の通りです。
- 業務経験を積み実力をつける
- 正社員やリーダーを目指し役職につく
- スペシャリストやゼネラリストを目指す
- 管理職を目指す
各キャリアパスの詳細について解説します。
業務経験を積み実力をつける
40代未経験でものづくり業界に転職した場合、まずは現場での基本的な業務経験を積み、実力をつけていきます。製造業務の場合は、製造ラインでの組み立てや加工、検品作業がこれに該当します。
1〜3年程度かけてスキルや知識を身につけた後は、関連資格の取得を目指すのが一般的です。資格取得後は、より専門的なスキルを必要とする業務に携わっていきます。
正社員やリーダーを目指し役職につく
現場での経験を積んだ後は、非正規雇用の場合は正社員を目指します。正社員登用のタイミングは企業によって異なりますが、1〜3年程度の勤務期間が目安です。
既に正社員として働いている場合は、チームリーダーを目指しましょう。リーダー職には、製造の専門スキルだけでなく、他のスタッフをまとめるためのコミュニケーション力や、進捗管理などのマネジメント力が求められます。
リーダーシップ研修や関連資格の取得により、役職に就きやすくなります。
スペシャリストやゼネラリストを目指す
1つの業務で専門的な知識とスキルを身につけ、リーダー職を経験した後は、スペシャリストかゼネラリストを目指す選択肢があります。
スペシャリストを目指す場合は、特定の技術や工程に集中し、より専門的なスキルや知識を深めながら、上位資格の取得を目指します。
ゼネラリストを目指す場合は、それまでの業務とは異なる分野にチャレンジしましょう。幅広くスキルや知識を身につけていくことで、製造工程全体を見渡せるようになります。
管理職を目指す
スペシャリストやゼネラリストとしての経験を積んだ後は、管理職を目指していきます。管理職では、現場を統括し生産計画の立案や品質・安全管理、チームの進捗管理といった役割を担います。
スペシャリストの場合は、深い専門知識を活かした技術的なサポートがメインの管理職となり、ゼネラリストであれば、幅広い業務理解を活かして部門全体を総合的に管理できるのが強みです。
スペシャリストやゼネラリストとして経験を積んだ後に、キャリアアップを目指して別の企業へ転職する選択肢もあります。
関連記事:機械製造業とはどんな業界?仕事内容や将来性は?日本の大手メーカーについて
40代未経験者のものづくり業界への転職に関するよくある質問
ここまで40代未経験でのものづくり業界への転職について解説してきましたが、40代の転職事情についてさらに詳しく知りたいという方もいるでしょう。
最後に、40代未経験者の転職に関する4つのよくある質問に答えていきます。
40代の転職は何回まで?
リクナビNEXTが行った、転職回数による採用の実態に関する調査によると「転職歴は何回目くらいから気になりますか?」というアンケートを採用担当者に実施した結果、以下の内容となりました。
- 1回:2%
- 2回:8%
- 3回:40%
- 4回:16%
- 5回:12%
この結果から、3回以上転職していると、転職理由や各企業で働いていた期間について質問されやすいと言えるでしょう。
面接の際には、転職理由について明確に答えられるように準備しておく必要があります。
40代のエンジニアが転職する理由は?
40代エンジニアの主な転職理由には「職場の意向と異なり、管理職ではなく実務側で働きたい」や「年収が上がらない」といった声があります。
40代は一定の社会人経験を積み、今後のキャリアを見直す最適な時期と言えます。
ただし、必ずしも転職が成功するとは限らないため、自身の市場価値などを認識したうえで、慎重にキャリアチェンジを検討してみましょう。
50代で転職するには何ヶ月かかる?
一般的に50代の転職には半年ほどかかると言われています。ただし、それまでの経験が大きく影響するため、早い人は1ヶ月程度で転職先が決まるケースも珍しくありません。
転職経験がなく、上手く転職活動を進める自信がない場合は、各種サポートを受けられる転職エージェントの活用をおすすめします。
H3職人は何歳まで働ける?
職人には基本的に年齢制限がなく、各企業が定めた定年年齢と、その後の継続雇用年齢まで働けます。
個人事業主として働いている場合は、体力や技術が続く限り働き続けられます。そのため、70歳を超えて働き続ける方も珍しくありません。
40代未経験でもキャリアプランを明確にしてキャリアアップを目指そう
ものづくり業界は人材不足が続いており、未経験者を歓迎する求人が多い傾向です。近年では未経験者でも安心して働けるよう、教育制度や資格取得支援制度を設ける企業も増えてきており、40代でも転職しやすい環境が整いつつあります。
ただし、若手応募者に比べて教育に時間をかける余裕がないため、培ってきた社会人経験やスキル、仕事に対する熱意をアピールできるかが転職成功のポイントとなります。
本記事で紹介した、転職のポイントやおすすめの職種を参考に、転職を検討してみましょう。
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