フォークリフトには、搬送や積み込み、倉庫内での蔵置作業を行うためのさまざまな種類が存在します。
これらは製造業や運送業など、さまざまな業界において必要不可欠な車両です。
一般的に、フォークリフトと聞くと前に2本の爪が出ている座席操作型を思い浮かべるかもしれませんが、実際には用途に応じた複数の種類が使用されているのです。
そこで今回は、フォークリフトの種類を中心に、必要な免許や業界での需要について詳しく解説していきます。
フォークリフトの種類
フォークリフトはトラックへの荷物の積み込みや倉庫内での搬送といった業務に使用されており、利用シーンに応じて以下のような種類が存在します。
・カウンターバランスフォークリフト
・サイドフォークリフト
・リーチフォークリフト
・ウォーキーフォークリフト
・オーダーピッキングトラック
・マルチディレクショナルフォークリフト
ここでは、各フォークリフトの特徴や利用シーンについて解説していきます。
カウンターバランスフォークリフト
出典:トヨタL&F
カウンターバランスフォークリフトは、日本で最もポピュラーな存在であり、運搬や積み込み、高所への荷物蔵置など何でもできることが特徴です。
前方で荷物をすくった際にバランスを保つため、後方に重りが備え付けられていることから、この名が付きました。
ハンドルと足元のペダルで運転操作を行い、ハンドル横のレバーで爪を操作します。
爪部分に関しては、幅や角度の調整だけでなく、高さの操作も可能です。
トラックへの積み込みなどがメインとなる「スタンダードマスト」とは別に、高い場所に荷物を蔵置しやすい「ハイマスト」の車両があります。
扱う荷物によって1t~10t以上の車両が存在します。
サイドフォークリフト
サイドフォークリフトは、名前の通り側面にリフトがついているタイプの車両です。
横から荷物をすくい搬送できるため、木材やパイプ、鋼材といった長尺物の運搬に特化したフォークリフトです。
長尺物を扱う製造業や林業などでの仕様が一般的です。
リーチフォークリフト
出典:トヨタL&F
リーチフォークリフトは、立って運転するタイプのフォークリフトです。
カウンタバランスフォークリフトと比べるとサイズがコンパクトであり、製造工場や物流倉庫といった屋内での作業に適していると言えるでしょう。
また、狭い場所でも操作しやすいように、爪を前後させられるようになっており、小回りが利くことが特徴です。
後方に重りがついていないため、1tを超えるような重量物の運搬は難しく、トラックへの積み込みなどには向いていません。
縦長であるため、急旋回による転倒などに注意が必要です。
ウォーキーフォークリフト
出典:トヨタL&F
ウォーキーフォークリフトは、運転者が歩いて操作する唯一の車両です。
日本ではかなり珍しいタイプであるものの、世界におけるウォーキーフォークリフトの使用率は全体の3割を占めています。
ボディサイズが小さいため、狭い場所での利用に適しています。
重量も軽いため、エレベーターに乗って移動することも可能です。
重量物のちょっとした移動に適している一方で、トラックへの積み込みや長距離の搬送には不向きと言えるでしょう。
オーダーピッキングトラック
出典:トヨタL&F
オーダーピッキングトラックとは、フォーク部分と運転席が一体になったタイプのフォークリフトです。
高所まで一緒に上がれるため、ラックに荷物を蔵置しやすく、高所の荷物を確認することもできます。
機種によっては、爪が180℃回転するため、両サイドにラックがあるような場合でも問題なく蔵置が可能です。
マルチディレクショナルフォークリフト
出典:トヨタL&F
マルチディレクショナルフォークリフトはリーチフォークリフトと見た目が似ていますが、動き方に違いがあります。
旋回して方向を変えるのが一般的なのに対し、マルチディレクショナルフォークリフトは旋回せずに、そのまま前後左右に動くこともできます。
そのため、旋回が難しいような狭い場所での活用に適しています。
関連記事:フォークリフトにはいくつも種類がある!それぞれの特徴や駆動方式、運転に必要な資格などを解説!
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・フォークリフトの仕事はきつい?作業内容や特徴を詳しく解説!
そもそもフォークリフトとは
そもそもフォークリフトとは何なのか、よくわからないという人もいるのではないでしょうか。
ここでは、フォークリフトの特徴や動力、乗務する上での注意点について解説していきます。
フォークリフトの特徴
フォークリフトは、荷物を積み込むためのフォークとそれを昇降させるマストが備わった荷役・運送用の車両です。
重量物の運搬はもちろん、持ち上げてトラックへの積み降ろしもできます。
バランスを崩さないように、後方にカウンターウエイトが備え付けられており、安心安全に荷物を扱える構造となっています。
フォークリフトの動力
フォークリフトの動力には、2つの種類があります。
・内燃機関式:ガソリンや天然ガスなどを燃料として動くエンジン車のことであり、排気ガスがでるため、屋外での使用が多い。 ・蓄電池式:車両に搭載されたバッテリーに溜めた電気でモーターを動かすタイプの車両。エンジン音がしないため、深夜や早朝の作業にも適している。 |
【最高速度の目安】
・リーチリフト:10km/h
・カウンターバランスフォークリフト:20km/h
・10t以上の大型フォークリフト:35km/h
速度が上がるほど危険度が増すため、多くの工場では最高速度を6~8km/hに制限しています。
労働災害に注意
さまざまなシチュエーションで活躍しているフォークリフトですが、車両サイズが大きく重量物を取り扱うため、安全面には注意が必要です。
フォークリフトが関係する労働災害は、毎年発生しており、具体的には以下のような内容があります。
・墜落や転落:道路の溝や傾斜でバランスを崩すなど ・挟まれや巻き込まれ:近くにいた作業員と接触し轢いてしまうなど ・激突され:壁やトラックなどにボディが激突してしまうなど |
死亡事故も多く、取り扱いにはフォークリフトの運転や荷役に関する専門的な知識が必須と言えます。
関連記事:
・リーチタイプフォークリフトの運転方法のコツとは?基本操作とうまく操作する方法を紹介!
フォークリフトを操作するために必要な免許や講習
前述した通り、フォークリフト業務には危険が伴い、過去には死亡事故も多く発生しています。
そのため、誰でも簡単に乗れるわけではなく、サイズによって定められた講習を受けた上で、試験に合格しなければなりません。
仮に無免許で運転をした場合、運転者と使用者(会社)は「50万円以下の罰金か6ヶ月以下の懲役」が科されます。
ここでは、フォークリフトを扱う上で必要な免許について解説していきます。
フォークリフト運転技能講習
1t以上のフォークリフトを扱う場合には「フォークリフト運転技能講習」を受講しなければなりません。
重機を専門とした教習所などで受講可能であり、学科と実技に分けて学んでいきます。
最後に実施される試験の合格率は約99%であり、真面目に講習を受けていれば落ちることはありません。
取得にかかる日数は、保有資格などにもよるものの、2~5日ほどです。
受講費用に関しては、2~4万円となっており、保有資格によって異なります。
フォークリフト運転特別教育
1t未満のフォークリフトを扱う場合には「フォークリフト運転特別教育」の受講が必要です。
運転技能講習と同様に、実技と学科に分けて講習が行われ、2日程で受講できます。
費用に関しては15,000~20,000円が相場です。
特殊自動車免許
運転技能講習や特別教育を受講すれば、フォークリフトを運転できるようになりますが、乗務できるのは敷地内だけになります。
フォークリフトで公道を走るには、別で「特殊自動車免許」が必要です。
フォークリフトのサイズによって、大型特殊免許と小型特殊免許に分かれています。
大型特殊免許を取得するには、自動車運転免許を取得している必要があります。
教育訓練給付金制度の利用も検討する
フォークリフト資格を取得する場合「教育訓練給付制度」が利用可能です。
労働者のキャリア形成や能力開発を支援する制度であり、以下の条件を満たしていれば支給してもらえます。
・在職中の場合:雇用保険の被保険者期間が3年以上 ・離職中の場合:退職してから受講開始までが1年以内であり、以前の会社で被保険者期間が3年以上 |
条件を満たしているかは、ハローワークで調べられます。
給付金に関しては、資格取得に掛かる費用の2割までが給付の対象です。
関連記事:
・フォークリフト免許について丸ごと解説!免許の種類、取得方法や費用、無免許で運転した場合など一挙解説します!
・フォークリフト免許の種類は何種類?免許の取り方4ステップも合わせて紹介
・フォークリフトの運転技能講習の内容とは?免除になる科目も紹介
フォークリフトの免許を活かして働ける業種・職種
フォークリフトの免許は、以下のようにさまざまな業界で活かすことが可能です。
製造業
工場での材料の運搬や製品の出荷が主な業務です。特に自動車製造や食品加工業界では、重い材料や製品をフォークリフトで効率的に移動させます。
物流・倉庫業
物流センターや倉庫では、フォークリフトで商品を棚に蔵置し、出荷準備をする作業が多く発生します。特に配送センターなどでは、短時間で大量の商品を移動するため、免許を持つ人材が重宝されます。
建材業
セメントやブロックなどの重たい建材を運搬する場面が多く、建材業でフォークリフトは不可欠です。
鉄骨・鉄鋼業
重量物を扱うため、フォークリフトでの運搬が日常的におこなわれます。精密さが求められる作業もあり、経験豊富なフォークリフトオペレーターが求められます。
建築・土木業
工事現場でもフォークリフトはよく利用されており、特に大規模なプロジェクトでは資材の運搬に役立ちます。現場で迅速かつ安全に作業を進めるために重要な役割を果たします。
解体業
建物や構造物の解体現場では、廃材の処理や運搬にフォークリフトを使用することが多く、特に廃棄物を安全に移動させるためのスキルが求められます。
造園・石材業
重い石材や植木の運搬にフォークリフトが使われます。特に造園業では、繊細な作業も含まれるため、技術のあるフォークリフト運転者が重宝されます。
産業廃棄物処理業
廃棄物の積み込みや運搬にフォークリフトが使われ、現場での効率的な処理をサポートします。大量の廃棄物を扱う企業では、フォークリフトのスキルは大きな強みになります。
このように、業種や職場によって運転するフォークリフトの種類は異なるものの、免許があれば転職の際に重宝されやすいと言えます。
フォークリフトの種類についてのまとめ
フォークリフトは、荷物の運搬や積み込み、蔵置などで使用される車両で、用途によってさまざまな種類があります。
乗務するには、車両サイズによって「特別教育・運転技能講習」の受講が必要です。
2~5日間ほどで取得できるため、今後転職を検討している場合は、講習の受講を検討してみてはいかがでしょうか。
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