「入社してみたがイメージと違った……」
「しっかり選んだのに、意外とブラックだった……」
就職活動では、以上のように実際働いてみたら予想していた環境や仕事内容と違った・ブラックだったなどといったことがよくあります。
そんな企業の中でも「ブラック企業が多い」と言われている運送会社。
もちろん運送会社や配属先によって一概にブラック企業と決めつけることはできませんが、もともと業界自体が抱えている問題や負担になる部分もあり、ブラックリスト入りされている企業も多いです。
今回はそんな運送会社にスポットを当てて「どの部分がブラックなのか?」「ブラックかどうか見極めるにはどうすればいいか?」を詳しくご紹介したいと思います。
運送会社がブラックと言われる労働時間について
まずは実際の労働時間についてです。
「拘束時間が長い」と悪評高いトラックドライバーの労働時間の実態と国の対策についてまとめてみました。
果たして本当に運送会社はブラックなのでしょうか?
データに基づいて見てみましょう。
拘束時間は13時間以上が3割いる
気になる運送会社の拘束時間ですが、こちらに関しては厚生労働省と国土交通省が共同で調査した結果がありますので見てみましょう。
参照元:トラック輸送状況の実態調査結果(全体版) - 国土交通省
参考までに、一般労働者の労働時間は労働基準法で1日8時間、1週間で40時間と定められています。
朝9時~夕方18時までの事務職などがそれに当たりますね。
これに加え、36協定を締結している場合は1週間では15時間まで、1ヶ月間では45時間までの残業時間が認められます。
そんな一般労働者と比べた場合、運送会社のドライバーの労働時間は凄まじい結果に感じますね。
最初に注目するべきは、一運行の拘束時間の最小のデータが「13時間以内」となっている点です。
そもそも運送会社のドライバーの場合には、36協定の適用がされないのです。
この時点で運送会社と他の業種とは拘束時間が明らかに多くなってしまうことが分かりますね。
一般職と比べてブラックと言っても過言では無いでしょう。
また、運送会社のドライバーの場合は1日の拘束時間は13時間以内が原則として決められており、延長する場合であっても16時間が限度となっています。
16時間の拘束時間があるとすると、朝9時から働きはじめて夜中25時に終業という形になります。
朝から働いて日付が変わるまで帰れないというのは、どう考えてもブラックですね……。
しかも、調査結果によると、そんな16時間の労働時間の限度を超える割合はなんと13%以上。
1割を超える方々が、法定の労働時間を違反していることとなります。
長距離運転を行う運送会社のドライバーは拘束時間が長いとは言え、法定を無視したような労働時間になるのはブラックな業界と言えますね。
また、調査結果の下部には「7日間のうち、休日がなかったドライバーの割合」も示されています。
その数も約1割という驚くべきデータです。
一週間働き続けて、休みが一日もない方が10人に1人はいる計算です。
友人に「俺、先週一日も休みなかったんだよー」と言えば、まず間違いなくブラック企業で働いてると認定されるでしょう。
厚生労働省も問題視している
労働時間・拘束時間だけ見ると明らかにブラック業界である運送会社。
もちろんこの状況は国単位で問題視されており、近年では厚生労働省でも対策を打ち出しています。
厚生労働省の労働基準局では、年代や国による労働時間の時間をデータとして比較しながら、中小企業の長時間労働に焦点を当てて資料をまとめています。
その中でも「1箇月の法定時間外労働の実績」としてまとめられている資料では、自動車の運転業務に携わる事業所の60時間を超える労働者の割合が最も多いという結果が出ています。
参照元:トラック業界における長時間労働の抑制に向けた取組について 厚生労働省労働基準局
さらに資料の後半では、調査の結果労働基準法・関連法に違反している事業所が3016ヶ所中2500ヶ所も存在することが示されています。
国から直接ブラックリスト入りされているのは、さすがに業界として問題ですね。
これではブラック企業と言うより、ただの違法・不法企業です。
参照元:トラック業界における長時間労働の抑制に向けた取組について 厚生労働省労働基準局
そんな労働基準法の違反理由は、7割以上が労働時間に関するもの。
調査対象の事業所のうち、8割が労働基準法違反をしており、その理由もほとんどが労働時間に関しているのです。
運送会社に就職した場合は、勤務時間は確実にブラックであることを承知の上で就職した方が良いかも知れませんね。
家でゆっくり休む時間も無さそうです。
政府は平成24年度から協議会を設置している
散々な調査結果が出たブラックな運送会社の労働時間ですが、良いニュースもあります。
厚生労働省では長時間労働を改善する取組みとして、平成24年度から「トラック運転者の労働条件改善事業」を行っています。
これは、本来企業各社に求められるはずの労働環境の改善において、運送会社に任せていても改善しなかったため、国主体で長時間労働を改善していこうという取組みです。
協議会では、発注者となる荷主の企業と下請け運送会社を含む運送事業者、両方をつなぎ合わせ、個別指導などを通して改善しようと取り組んでいます。
参照元:【事例紹介】トラック運転者労働条件改善事業 厚生労働省労働基準局
図のように具体的な対策を打ち出していくことで、少しずつブラック企業が多い運送会社の労働環境は改善しているようです。
労働基準局の調査によると平成16年~平成26年での一週間における労働時間が60時間以上の労働者の割合は、全体でおよそ4%(約170万人)ほど減少しているようです。
まだまだ先の話にはなりますが、ブラックと呼ばれる長時間労働の運送会社も徐々に環境が改善されるのかも知れません。
ブラックと言われる運送会社の給料事情について
驚くほど労働時間が長い運送会社。
この現状が改善しないのであれば、ブラック業界と呼ばれるのも仕方ないように感じます。
それでは労働時間が長い分、もらえるお給料は多いのでしょうか?
次に、運送会社の給与について見てみましょう。
労働時間は長いのに給料は安い傾向がある
「労働時間がブラックと言われるほど長いなら、給料も良いはずだ」と思ったアナタ。
その考えはどうやら甘いようです。
国土交通省の調査では「トラックドライバーの年間所得額は、全産業平均と比較して、大型トラック運転者で約1割低く、中小型トラック運転者で約2割低い」ことが発表されています。
長時間の拘束に加えて給料も安いとなってはブラック過ぎて、とてもでは無いですが働く気が起きません。
改正労働基準法により今後は増加する
しかしこちらも改正労働基準法により、時間外労働に対しての賃金を増やすように法令で定められました。
上の図での中小企業が引き上げの内容となります。
これまでは大企業に限定して、時間外労働の割増賃金率が50%に設定されていました。
しかし、今後は中小企業も50%に引き上げられることが定まっており、対応できていない企業は指導の対象となるようです。
そのため、運送会社の給料面に関しても、徐々に環境が良くなっていくことが予想されます。
ブラックと言われる運送会社の労働災害について
運送会社のブラックな面に関して、労働災害保険の支給状況も残念ながら業界でもトップクラスです。
参照元:別添資料1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況 厚生労働省
上図は「脳・心臓疾患」に限定した脳・心臓疾患の業種別請求、決定及び支給決定件数の表です。
見てみると運輸業・郵便業の請求件数が平成28年・平成29年ともにずば抜けて多いことが分かります。
2番目に多いのは宿泊業・飲食サービス業ですが、その倍以上の数になっていることから、運送会社がいかに過酷でブラックな労働環境かが分かります。
同様に精神障害に関する労災補償状況もワースト3に入るなど、運送会社が精神的にも苦痛を受けやすい環境であることも示されています。
健康的に働き続けることが難しい労働環境が変わらないと、ブラック企業から脱却するのは難しそうですね。
関連記事:運送会社の給与トップ5を大公開!高収入会社への転職方法と注意点とは?
ブラックな運送会社に転職してしまった場合の体に与える影響
これまで、運送会社の労働環境の実態についてまとめてきました。
現時点でもう「ブラック企業」と言っても差し支えないくらいの状況を見て取ることができましたが、そんなブラック企業が一体労働者にどんな影響を与えるのか、考えてみました。
身体面への影響
ブラック企業での仕事で最も問題なのが「長時間に渡る労働時間」でしょう。
一般職と比べてブラックな運送会社は明らかに労働時間が長く、また残業時間も他とは比べ物にならないほど長くなってしまっています。
毎日家に帰ってからの休息時間が短いということは、そのまま身体面、すなわち健康にも悪影響を与えてしまうでしょう。
また人手不足や様々な理由からブラックな運送会社では一週間に休日が無いということもあります。
どんなに体力のある労働者でも、一日も休まずに一週間働き続けるのは自殺行為のように思えますね。
無理なく健康的に働き続けるためにも、長時間の労働時間はなるべく避けたいところです。
精神面への影響
そういったブラック企業での長時間の労働は、精神面への悪影響も考えられます。
先に述べたとおり、運送会社での精神障害による労災補償状況はワースト3の数になっています。
ゆっくり休息したり気分転換したりする時間が他よりも短い運送会社は精神的にもかなりブラックで過酷な環境といっても良いでしょう。
関連記事:いい運送会社の選び方とは?大手運送会社やサイズ別トラックドライバーの収入などを紹介
運送会社にブラック企業が多いと言われる理由
それでは、どうして運送会社にブラック企業が多くなってしまうのでしょうか?
それには、3つの理由があります。
- 荷主や元請けの都合で拘束時間が長くなるため
- 人手不足で休日や休憩時間が安定して確保できないため
- きちんと労働時間に応じた給料を設定できていないため
1つ目の「荷主や元請けの都合などで拘束時間が長くなるため」に関して。
運送会社や引っ越し業者での主な業務は大まかに言うと「荷物を運ぶこと」「荷物の積み降ろしをすること」の2つです。
しかし実際に働いてみると、荷物が整理されて積み降ろしできる状態まで待つ荷待ちの時間や、他の運送会社から荷物が来るまでのタイムラグなどがあります。
また、道路が渋滞していたりすると、引っ越しや配送の時間が思い通りにいかないことも多いです。
そういった様々な理由のせいで運送会社や引っ越し業者では「帰りたくても帰れない時間」や「何もできない時間」が発生してしまいます。
2つ目の「人手不足で休日や休憩時間が安定して確保できないため」に関して。
こちらは通販サイトなどの影響により、運ぶ荷物が増加してしまい、人手が足りなくなってしまったという背景があります。
そのため「働いても働いても仕事が終わらない」ブラックな体質となってしまい、慢性的な長時間残業や休日出勤の必要性が出てきてしまいます。
3つ目の「きちんと労働時間に応じた給料を設定できていないため」に関して。
2次請けや3次請けの運送会社では、元請けの運送会社の利益から取り分を引き、さらに自身の会社の取り分を引いた額が従業員の給料となります。
つまり、同じ仕事でも下請けになるにつれて稼げる金額が減っていくのです。
人手が少ないとは言え、そういった運送会社の下請けの構造が「同じ労働時間でも給料が低い」といったブラックな事態を引き起こしてしまっているようです。
関連記事:佐川急便は激務か?ブラック/ホワイト徹底調査!口コミや評判から実態を暴露
ブラックな運送会社を見極める7つの方法
運送会社にブラック企業が多いことが分かったところで、次にブラックな運送会社を見極める方法をまとめてみました。
「それでも俺は運送会社に行きたいんだ!」という方は、よくチェックしてみて、少しでも環境の良い会社を選ぶようにして下さいね。
①賃金がきちんと支払われているか
まずはお給料に関してです。
私達がよく知っているような大手の運送会社のグループでは有り得ないとは思いますが、二次請けや三次請けの運送会社では、賃金がきちんと支払われないブラック企業であることも多いようです。
近年では通販サイトの普及により、大手運送会社だけでは手が回らず、下請けの運送会社も増加してきています。
規模の小さい下請けのブラックな運送会社では、資金繰りなどの都合で給料が遅れたり、一部未払いになってしまうこともあるそうです。
しかし企業と雇用契約を交わしているのなら、あなたは正式な労働者であり、所定の日に全額給料をもらう権利があります。
企業にとっては一度でも給料支払いの遅れや一部未払いが発生した時点で違法となってしまいますので、そういった事態が起きた場合は「ブラックだな」などと軽く考えず、労働基準監督署に相談するなどすぐに対応策を取りましょう。
②見なし残業は多くないか
見なし残業の時間がやたら多い運送会社も、ブラック企業ならではの特徴です。
昨今当たり前のように導入されている固定残業制度ですが、中小企業ではよく計算すると違法であることも多いです。
幾つかポイントをまとめてみましたので、自分の就職したい運送会社がきちんとしているか、それともブラックなのかチェックするようにしましょう。
- 就業規則がそもそも無い
- 交通費などの手当を残業代に含めてしまっている
- 見なし残業を超えた分の残業代が支払われていない
最初の「就業規則がそもそも無い」に関して。
固定残業制度が適用されるためには、まず就業規則にその旨を記載している必要があります。
それも「○○時間まで○○円の固定残業代とする」といった記述だけでは無く、規定の労働時間との兼ね合いや深夜残業をした場合の残業代、規定の時間を超えた場合の残業代に関してなど、必要事項はいくつもあります。
就業規則に見なし残業に関して記載が無かったり、ひどく簡単だったりする場合は怪しいと思っていた方がよいでしょう。
2つ目の「交通費などの手当を残業代に含めてしまっている」に関して。
給与明細には基本給の支給以外にも交通費・役職手当・営業手当など、幾つか項目があります。
これらの手当に残業代が含まれてしまっていたり「営業手当」と称して代わりに残業代が入っていたりするのは、違法になるケースがあります。
固定残業代はきちんと項目と額面が表記されているか、合っているかよく確認するようにしましょう。
3つ目の「見なし残業を超えた分の残業代が支払われていない」に関して。
こちらに関しては見逃してしまう方も多いかと思いますが、違法になる場合が多いです。
例えば、一週間に40時間の固定残業制度が決まっていた場合、45時間残業した時は5時間分の残業代を別で受け取る権利があります。
見なし残業制度は定められた時間「以内」の残業代を支給する制度なので、その時間を過ぎた場合は当然残業代を上乗せしてもらう必要があります。
一ヶ月分では少ない金額だった場合でも、何十年も積み重ねると大きな金額になるため、こちらもチェックしておきましょう。
③直接雇用か請負契約か
直接雇用か請負契約かも、ブラックかどうかを見極める一つの指針となります。
請負契約では、直接雇用に比べて社会保険(健康保険や年金、雇用保険や交通費)などといったお金を負担する必要がなく、同じ条件でも安く労働させることができるのです。
また、労働時間に対して報酬となる給料を支払うのではなく、成果に応じてのみ報酬を支払えば良くなりますので、いくら残業しても給料が上がる保証がないということまであります。
ほとんどの運送会社ではフルタイムで働くため、労働者にとって請負契約にする利益は全くありません。
特に深い理由もなく契約が請負契約になっている運送会社は、労働者にとって全く旨みのないブラック企業であるといって良いでしょう。
④保有車両やドライバーの人数は適正か
運送会社が保有している車両の数やドライバーの人数が適正かどうかも、ブラックであるかどうかを見極めるポイントになります。
運送会社の規模や仕事量に比べてやたら車両が少なかったり、ドライバーがいなかったりするというのは普通の会社ではありえません。
少人数の従業員を長時間拘束し働かせているブラック企業である場合がありますので、企業に訪問した際は注意して見てみるとよいでしょう。
⑤いつも求人広告を出しているか
次はアルバイトなどでも言えることですが、いつも求人広告を出して従業員を募集している運送会社はブラックであることが多いです。
近年は配達物の増加により運送会社のドライバーの需要は高まっていますが、それでも一年中求人を行っている運送会社は怪しいです。
労働環境の良い運送会社であれば従業員が定着し、求人は年に数回行う程度で足りるはずです。
常に求人広告を出しているようなブラックな運送会社は、労働環境が悪く離職率も高いため、年中募集せざるを得ないのです。
いつも従業員募集を行っている運送会社は自分の中でブラックリスト入りして、避けるようにしましょう。
⑥保有している車両は古すぎではないか
先程保有車両の数について述べましたが、その車両の新しさ・装備もブラックかどうかを判断する材料になります。
古すぎて安全機能が無い車両だったり、車両にドライブレコーダーが付いていなかったりする運送会社は、従業員の労働環境に配慮しているとは言えないブラック企業でしょう。
事故や故障といったトラブルを防ぐためにも、最新の機材が取り付けられた車両を保有している運送会社を選ぶようにしましょう。
⑦取引先の企業はどこか
最後に、運送会社の取引先企業を見ておくのも、ブラック企業から逃れる助けになるでしょう。
取引先企業を見ておくことで、どんな業種が荷主(依頼主)となるかが分かります。
荷主によって荷待ち時間が大きく変わりますので、取引先企業もできるだけ把握しておくようにしましょう。
また、自社が何次請けの運送会社なのかも把握しておくようにしましょう。
下請けであればあるほど、上の依頼主の都合により労働環境が左右されてしまいます。
なるべく1次受けの運送会社を選ぶと良いですね。
⑧採用のプロセスは適切か
どのような業界や会社、職種であっても採用する場合、必ず面接を行います。
面接の目的としては会社に必要な人材なのかを判断するためで、専門職の場合などは技術や知識を聞いた上で即戦力として活躍できるのかなどを判断します。
また、未経験であってもそれまでの職歴などを聞いた上で、今後辞めずに一生懸命仕事に取り組めるか、将来的に活躍できるかを慎重に判断します。
採用に必須と言える面接などの採用プロセスですが、優良企業であるほど慎重に行います。
その理由としては、社員を一人雇うためには、求人サイトなどへの掲載や保険などへの加入費用、その作業を行う事務社員の人件費など多くの費用が必要であり簡単にできることではないからです。
また、人を育てるということはとても難しく、専門職となると数年から数十年かかるので、辞めずに成長し続ける人材の確保がそのまま会社の売上に直結します。
このように重要となる面接をやらなかったり適当に行う企業は、その場しのぎで考えていたり、人材育成に力を入れていない可能性が高くなります。
必要書類だけ提出すれば誰でも簡単に入社できる会社の場合、注意が必要です。
⑨給料が出ない期間があるか
ブラック企業では給料など賃金に対するトラブルが起きやすいと言えます。
雇用形態や給与形態にもよるのですが、明らかに最低賃金を下回っていたり、酷い場合は賃金が支払われないということもあります。
「今は見習いだから」「結果を出せていないから」と言った理由で給料が出なかった場合は、早めに弁護士や労働基準局相談するようにしましょう。
また、最初のうちは出ていたのに、経営の悪化などにより給料が出なかったり遅れたりする場合もブラック企業と言えます。
なかには「経営が苦しいから仕方が無い」と考える人もいるようですが、既に作業をしている場合、必ず対価として給料は支払う必要があります。
後から払うと言った場合でも相談はしておくといいでしょう。
⑩社会保険には加入しているか
求人内容の詳細によく記載してある「各種保険完備」というのは、社会保険や労災保険、雇用保険、厚生年金保険の加入を指しています。
このような保険に加入しておくことで、安く治療を受けたり、仕事中のケガなどの保証が受けられるだけではなく、転職の際に失業手当などが受け取れる場合があります。
労働者災害補償保険に関しては必ず加入する必要があり、保険料は事業主が全額を支払わなければなりません。
各種保険に入っていない企業に関しては就職しないことが重要なのですが、入社後にケガをしたりしたときに加入していないと言われた場合は完全にブラック企業と言えます。
申請自体は必ず国に対してできるので、会社に無理と言われてもまずは相談するようにしましょう。
関連記事:トラック運転手を辞めたい時はどうする?6つの判断基準とは
ブラックな運送会社に転職してしまった場合の対処法|4選
ブラック企業の見分け方を解説してきましたが、入社前に会社の内部までを調べることはなかなか難しく、中には指摘を恐れて隠している場合もあります。
そのような会社に入社してしまった場合においても対処方法はあります。
労働基準監督署に相談する
労働基準監督署とは厚生労働省の管轄で、各都道府県労働局の下にある国の期間となります。
主な業務としては「労働基準法」「労働安全衛生法」「最低賃金法」「労働者災害補償法」に従い、企業が違法なことをしていないかを監視し指摘を行います。
まずは会社の状態を相談し、上記法律に違反しているのであれば第三者として調査を行い、必要に応じて是正命令となります。
是正勧告を受けた企業は必ず、対応する必要があります。
「他の社員は耐えているから」「どこの会社でもありえる」などと考える必要はなく、すぐに行動に移すことが大切です。
申告は無料で行うことができて、匿名で調査を依頼することも可能です。
注意点としてあるのが、申告しても必ず調査してくれるとは限らないということです。
証拠となるようなものがあれば残しておくようにしましょう。
わからないことがあっても、まずは以下の問い合わせ窓口に相談してみましょう。
厚生労働省・ホットライン相談口
TEL:0120-811-610
法テラスに相談する
法テラスとは国が運営している法律の相談期間であり、条件によっては無料での相談や問題解決が可能となります。
民事事件全般を取り扱っているため、労働専門ではないのですが解決方法などについて相談することが可能です。
法律に関する相談は3回まで無料で行うことが可能で、1回で30分と時間が決まっています。
まずは法テラスに相談してみて、ある程度教えてもらった後で別の弁護士事務所に依頼したりすることも可能です。
はじめから一般の弁護士事務所へ相談することも可能なのですが、相談費用などがかかるため事前に調べておくようにしましょう。
以下が法テラスの相談窓口となります。
法テラス・法律相談窓口
TEL:0570-078374
平日9時~21時
土曜9時~17時
未払いの残業代を請求する
ブラック企業でのトラブルに多いのが残業代の未払いです。
タイムカードを押してその後も残業での作業が残っていたり、そもそもタイムカードがなく作業が終わるまで帰れないといったこともあるようです。
また、最近ではテレワークが増えたことにより、仕事時間が曖昧になってしまいやすくもなっています。
このように本来ならもらえるはずの残業代が支払われていなかった場合、後からでも請求することが可能です。
ただし、未払いの残業代の請求には時効があり、原則として過去2年分までとなっており、残業が実際にあったという証拠が必要となります。
証拠の具体的な内容としてはタイムカードや雇用契約書、仕事内容によってはパソコンのログイン記録なども対象です。
証拠が用意できたら正確な残業代を計算していくのですが、その計算式は以下の通りとなります。
1時間あたりの賃金=基礎賃金÷月平均所定労働時間
残業代=1時間あたりの基礎賃金×残業時間×割増率(1.25%)
・計算例
基礎賃金が40万円、月平均所定労働時間が160時間、残業代20時間の場合
1時間あたりの基礎賃金=400000÷160=2500円
正確な残業代=2500×20×1.25=62,500円
この後に会社へ内容証明郵便などで送付を行ったり、労働基準監督署に申告をします。
ホワイトな運送会社へ転職する
ブラック企業に入社してしまった場合、すぐに辞めてホワイトな運送会社へ転職するのが最もおすすめの解決方法となります。
ブラック企業のほとんどは余裕がないことが多く、他の社員も大変な思いをしている分、自分が辞めたらみんなに迷惑がかかると考えてしまう場合がありますが、それはあなたの責任ではなく会社の責任です。
社員一人が辞めただけで事業が苦しくなるような会社は、仕事環境を整えるべきですし、ある程度社員が辞めても大丈夫なように人材確保の対策をとっておくのが普通です。
明らかにブラックではないけど、辛かったり将来が不安に感じた場合は、同じ会社の先輩ではなく、違う会社で働く人に相談することで客観的に自分の状態を判断することがしやすくなります。
次は、転職する際に優良な運送会社を見つける方法について解説していきます。
関連記事:運送会社に就職するなら知っておきたい人気業者の賃金・福利厚生
ブラックではないホワイトな運送会社の見つけ方|3選
これまではブラックな運送会社を見極め、避ける方法をまとめていました。
それではホワイトな運送会社、つまり優良な運送会社を見つけるにはどういった点を見ると良いのでしょうか。
こちらは3点に絞ってまとめましたので、就職活動や転職活動を始める前にチェックしておき、より労働環境の良い運送会社で働くことができるようにしましょう。
求人募集が少ない
ブラック企業を避けるため、まずは求人募集が少ない運送会社を探してみましょう。
矛盾しているように感じますが、これにはきちんとした理由があるのです。
まず、従業員を大量募集している企業。
運送業界自体が人手不足となっているとは言え、人数が全く足りていない企業では一人あたりに掛かる負担も大きくなってしまいます。
また、ブラック企業が何かしらの重大な事故やトラブルが原因で従業員が離職してしまい、大人数を募集しているといったことも有り得ます。
倍率が低くなるからと言って、求人募集が多い企業に飛びつくなどといったことは避けましょう。
規模の小さな運送会社であっても、募集人数が少ないのは「今の人手でうまく仕事が回っている証拠」です。
保有車両がキレイ
また運送会社が保有している車両がキレイなことも、優良な企業を見分けるポイントになります。
汚れきった状態でずっと車両が道を走っているというのは、企業イメージから考えるとデメリットしかありません。
それにも関わらず車両が汚いままで放置されているのは「洗車する時間・予算がない」ブラック企業か「イメージが悪くなっても構わない」ブラック企業だけです。
つまり、車両が汚いイコールブラックな運送会社であるとも言えます。
反対に車両の手入れが行き届いており、いつもピカピカな車両を保有している運送会社はブラック企業ではない可能性が高いでしょう。
車両に安全装置が装備されている
意外と見落としがちなのが、運送会社の保有車両の装備に関してです。
こちらは実際に企業に行ってみないと確認することは難しいですが、ブラック企業かどうか見極める上ではやはり重要なポイントです。
運送会社に入社した場合、一日の多くの時間を車内で過ごすことになります。
そのため、万が一事故やトラブルに巻き込まれた時には、ドライブレコーダーなどの車内の安全装備の有無が自分の身を守るかどうかに関わってきます。
車両の安全装置に関しては「車両を保有し管理している運送会社が、運転する従業員を大事にしているかどうか」を判断する大きな基準になります。
ブラックな運送会社を避けるためにも、できるだけ車両の安全装備があるかどうかは確認しておきましょう。
関連記事:西濃運輸は本当にブラック企業?口コミや噂から読み解く残業/福利厚生/ノルマを解説!
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運送会社とブラックに関するまとめ
いかがでしたか?
今回はブラック企業が多いと呼ばれる運送会社の労働時間やお給料、そしてブラックかどうかを見分けるポイントについてまとめました。
厚生労働省などが力を入れて労働環境を改善しようとしているとは言え、まだまだブラックである要因を取り除くことは難しそうです。
ブラック企業の割合が多い運送会社への就職を希望している方は「どこも同じ環境だろう」と安易に企業を決めて「イメージと違った……」となってしまわないように、くれぐれも事前にブラックかどうか見極めてから会社を選ぶようにしてくださいね。
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